函館開催のフィナーレを飾る函館記念を分析
2024/7/11(木)
今週末の重賞は函館2歳Sと函館記念が組まれている。そのうち当欄では日曜の函館記念を取り上げ、過去10年のデータから傾向を読み解いていきたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
6〜8枠は好走率が下がる傾向
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
1枠 | 1- 0- 3-15/19 | 5.3% | 5.3% | 21.1% | 98 | 85 |
2枠 | 2- 3- 0-15/20 | 10.0% | 25.0% | 25.0% | 60 | 112 |
3枠 | 2- 3- 0-15/20 | 10.0% | 25.0% | 25.0% | 69 | 123 |
4枠 | 2- 2- 2-14/20 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 70 | 93 |
5枠 | 1- 1- 2-16/20 | 5.0% | 10.0% | 20.0% | 20 | 65 |
6枠 | 1- 0- 0-19/20 | 5.0% | 5.0% | 5.0% | 45 | 16 |
7枠 | 1- 1- 0-18/20 | 5.0% | 10.0% | 10.0% | 386 | 150 |
8枠 | 0- 0- 3-17/20 | 0.0% | 0.0% | 15.0% | 0 | 143 |
(表1 枠番別成績)
過去10年のうち9回は16頭立て、残る1回も15頭立てと例年頭数が揃うレースで、今年も20頭が登録している。そこで枠の傾向を確認しておくと、1〜4枠の7勝に対し、5〜8枠は3勝。連対率や複勝率も外枠の数値がダウンする。各馬の枠の得手不得手は別として、レース傾向としては外枠がやや不利と言えるだろう。
似た条件で複勝率100%の馬がまさかの不振
複勝率 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
100% | 1- 0- 0-11/12 | 8.3% | 8.3% | 8.3% | 34 | 14 |
90.0〜99.9% | ||||||
80.0〜89.9% | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 28 |
70.0〜79.9% | 2- 1- 2- 5/10 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 121 | 158 |
60.0〜69.9% | 0- 2- 1-17/20 | 0.0% | 10.0% | 15.0% | 0 | 79 |
50.0〜59.9% | 2- 4- 2-27/35 | 5.7% | 17.1% | 22.9% | 53 | 116 |
40.0〜49.9% | 1- 1- 1-11/14 | 7.1% | 14.3% | 21.4% | 552 | 135 |
40%未満 | 3- 1- 1-44/49 | 6.1% | 8.2% | 10.2% | 37 | 78 |
未出走 | 1- 1- 2- 7/11 | 9.1% | 18.2% | 36.4% | 170 | 210 |
(表2 右回り・芝2000m実績別成績)
出走時点における「右回り・芝2000m」の実績(複勝率)別成績を調べると、興味深い傾向が見えてきた。表2の通り、函館記念と同じ「右回り・芝2000m」で複勝率100%を記録していた馬がまったく振るわないのである。好調なのは複勝率70%台。また、未出走の成績もなかなか優秀で、この条件の実績がなく適性が未知数の馬を思い切って狙ってみる手もありそうだ。
洋芝未出走であることは気にならない
複勝率 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
100% | 0- 0- 1-30/31 | 0.0% | 0.0% | 3.2% | 0 | 6 |
90.0〜99.9% | ||||||
80.0〜89.9% | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 710 | 270 |
70.0〜79.9% | 1- 0- 1- 3/ 5 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 90 | 162 |
60.0〜69.9% | 0- 2- 3-11/16 | 0.0% | 12.5% | 31.3% | 0 | 187 |
50.0〜59.9% | 2- 3- 1-25/31 | 6.5% | 16.1% | 19.4% | 40 | 78 |
40.0〜49.9% | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
40%未満 | 1- 3- 1-32/37 | 2.7% | 10.8% | 13.5% | 25 | 109 |
未出走 | 5- 2- 3-25/35 | 14.3% | 20.0% | 28.6% | 330 | 140 |
(表3 函館・札幌芝実績別成績)
函館・札幌の芝、いわゆる洋芝の実績(複勝率)別成績も意外性にあふれている。なにせ、洋芝で複勝率100%だった馬が【0.0.1.30】と絶不調なのだ。以下、複勝率90%台は出走例がなかったが、複勝率80%、70%、60%台の馬は手堅く走っている。また、未出走だった馬が5勝を挙げており、洋芝未経験でもあまり気にしなくていいだろう。
直線の長いコースの前走着順は連動する
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
前走1着 | 1- 0- 2- 4/ 7 | 14.3% | 14.3% | 42.9% | 58 | 112 |
前走2着 | 1- 1- 1- 0/ 3 | 33.3% | 66.7% | 100.0% | 236 | 233 |
前走3着 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 123 | 116 |
前走4着 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 150 | 60 |
前走5着 | 2- 0- 0- 2/ 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 465 | 165 |
前走6〜9着 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 64 | 159 |
前走10着〜 | 0- 2- 2-28/32 | 0.0% | 6.3% | 12.5% | 0 | 104 |
(表4 前走で直線400m以上の芝に出走した馬・着順別成績)
開催時期の関係もあるのだろう、函館記念出走馬の前走は多彩だ。そこで今回は、前走を「直線が長い芝(Aコース時400m以上)」と「直線が短い芝(Aコース時400m未満)」に分類して、大まかな傾向を確認していきたい。
まずは「直線が長い芝(東京・中京および京都・阪神・新潟の外回り)」から。表4の通り、中央競馬でもっとも直線が短い函館とは性格が異なる競馬場の前走着順が、思った以上に連動していることが見て取れる。具体的には、直線が長い芝で1〜5着だった馬は【6.2.3.12】と高確率で好走。また、6〜9着だった馬も3割は好走を果たしている。特に「前走東京芝で1〜9着」なら【5.3.1.6】と抜群で、該当馬がいれば要注目だ。
直線の短いコースの前走着順とは連動しない
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
前走1着 | 0- 0- 0-12/12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走2着 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走3着 | 0- 1- 2- 7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 116 |
前走4着 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走5着 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 32 |
前走6〜9着 | 2- 2- 1-24/29 | 6.9% | 13.8% | 17.2% | 283 | 134 |
前走10着〜 | 1- 1- 1-14/17 | 5.9% | 11.8% | 17.6% | 110 | 144 |
(表5 前走で直線400m未満の芝に出走した馬・着順別成績)
続いて「直線が短い芝(中山・福島・小倉・函館・札幌および京都・阪神・新潟の内回り)」。結論から言えば、こちらは前走着順がほとんど連動しない。1、2着だった馬が【0.0.0.20】に終わっているのは驚きのひと言だ。むしろ、前走で直線が短い芝に出走した場合、6〜9着や10着以下に敗れていた馬のほうが期待できるぐらいだ。
【結論】
有望な「前走東京芝で1〜9着」に合致するのは2頭
今回チェックした有望なデータに当てはまる馬を紹介していこう。
前走で直線が長い芝に出走した場合は着順が連動しやすい。このパターンで出走する登録馬8頭の中に前走1〜5着だった馬は見当たらないため、前走6〜9着のカネフラ、グランディア、サヴォーナ、プラチナトレジャー、マイネルクリソーラの名前を挙げておく。
逆に、前走で直線が短い芝に出走した場合は着順が連動しない。こちらのパターンの登録馬12頭のうち、前走6着以下だったアウスヴァール、エミュー、グリューネグリーン、サンストックトン、ショウナンバシット、ハヤヤッコ、リカンカブールは巻き返しの可能性を秘める馬としてマークしておきたい。
また、「右回り・芝2000m」の複勝率が70%台のリカンカブール、「洋芝」の複勝率が60〜80%台のサンストックトン、トップナイフ、アケルナルスター、チャックネイト、マイネルクリソーラも適性面で侮れない。
以上、ずいぶん多くの馬名を挙げてしまったため、最後に絞り込みをかけるのであれば、有望データに複数合致するリカンカブールとマイネルクリソーラ、そして、好走率が非常に高い「前走東京芝で1〜9着」に該当するグランディアとプラチナトレジャーの4頭に期待したい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。