末脚勝負の新潟記念を制する馬は!?

2023/8/31(木)

2023/1/28 東京 11R 白富士ステークス 1着 7番 サリエラ2023/1/28 東京 11R 白富士ステークス
1着 7番 サリエラ
(Photo by JRA)

今週は札幌競馬場で札幌2歳S、新潟で新潟記念、小倉で小倉2歳Sが行われる。今回はサマー2000シリーズ最終戦の新潟記念を取り上げることにする。いつものように過去10年のデータを分析して、今年の有力馬を見つけてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

上がり3ハロン1位と2位の成績が抜群

上がり 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3F  1位 5-  1-  2-  5/ 13 38.5% 46.2% 61.5% 940 317
3F  2位 2-  2-  0-  6/ 10 20.0% 40.0% 40.0% 266 161
3F  3位 0-  1-  4-  4/  9 0.0% 11.1% 55.6% 0 256
3F 〜5位 2-  3-  3- 15/ 23 8.7% 21.7% 34.8% 61 156
3F 6位〜 1-  3-  1-109/114 0.9% 3.5% 4.4% 10 16

(表1 過去10年の新潟記念の上がり3ハロン別成績)

表1は新潟記念の上がり3ハロン別成績。上がり1位と2位の馬の成績がとにかく優秀。3位以下と比べて、勝率と連対率がずば抜けている。複勝率は上がり3位の55.6%、4位の34.8%もいい数字だが、6位以下は大きく成績が落ち込む。直線距離が長い新潟芝外回りコース使用のレースらしく、末脚勝負に勝つことが非常に重要だ。

前走脚質は逃げ・先行の回収率が高い

前走脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 1-  2-  0- 10/ 13 7.7% 23.1% 23.1% 329 135
平地・先行 3-  4-  2- 21/ 30 10.0% 23.3% 30.0% 240 107
平地・中団 6-  2-  3- 54/ 65 9.2% 12.3% 16.9% 92 77
平地・後方 0-  2-  5- 51/ 58 0.0% 3.4% 12.1% 0 60
平地・マクリ 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

(表2 過去10年の新潟記念の前走脚質別成績)

表2は新潟記念の前走脚質別成績。前走逃げ・先行の連対率が約23%と高く、単・複の回収率も100%を超えている。一方、前走中団は6勝をマークするも連対率や複勝率は逃げ・先行より劣る。前走後方の成績は【0.2.5.51】と特に勝率・連対率が低い。今回、末脚勝負の展開になることが濃厚でも、差し・追い込み馬だけを狙うのは得策ではない。

金子真人HD、シルク、マイネルの馬が活躍

馬主 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
金子真人ホールディングス 2- 3- 0- 5/10 20.0% 50.0% 50.0% 154 194
シルクレーシング 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 25 78
サラブレッドクラブ・ラフィアン 1- 1- 0- 8/10 10.0% 20.0% 20.0% 428 136

(表3 過去10年の新潟記念の馬主別成績)

表3は新潟記念の馬主別成績。金子真人ホールディングスの馬が【2.3.0.5】と抜群の成績。ジナンボー(19年2着、20年2着)とユーキャンスマイル(19年1着、22年2着)が2回連対を果たしている。15年1着パッションダンスは13年新潟大賞典を勝っていたので、「新潟芝2000m巧者」の活躍が目立っていると言えるだろう。

シルクレーシングの馬はラストインパクト(14年3着)、アストラエンブレム(17年2着)、ブラストワンピース(18年1着)の3頭が好走。いずれも上位人気だったため、回収率は低いが、本競走との相性はいい。

サラブレッドクラブ・ラフィアンの馬はマイネルミラノが9番人気(15年2着)、マイネルファンロンが12番人気(21年1着)で激走。「マイネル軍団」の一発には要注意だ。

【結論】

上がりの勝負ならばサリエラ

馬名 前脚 前着順 馬主
サウンドウォリアー 3着 増田雄一
サリエラ 3着 シルクレーシング
ノッキングポイント 5着 サンデーレーシング
バラジ 6着 岡田牧雄
ファユエン 1着 谷岡毅
プラダリア 6着 名古屋友豊
マイネルウィルトス 4着 サラブレッドクラブ・ラフィアン
ユーキャンスマイル 7着 金子真人ホールディングス

(表4 2023年新潟記念の主な出走予定馬。他にも登録馬あり。)

2021/4/18 新潟 11R 福島民報杯 1着 1番 マイネルウィルトス2021/4/18 新潟 11R 福島民報杯
1着 1番 マイネルウィルトス
(Photo by JRA)

2023年の新潟記念に出走予定の主な馬は表4の通り。

今回がデビュー6戦目とまだキャリアは浅いものの、最も注目したいのがサリエラ。過去5走中4走で上がり3ハロン1位をマーク。ディープインパクト産駒らしい鋭い末脚を武器にしている。3着と敗れた前走目黒記念で上がり2位だったのは、距離2500mが若干長かった可能性もある。今回は走り慣れた芝2000mに戻り、新潟芝外回りの舞台もこの馬に合いそうだ。信頼できる中心馬とみたい。

末脚勝負になればノッキングポイントも有力か。3走前の1勝クラス(東京芝1600m)と2走前の毎日杯では、上がり3ハロン1位をマークして連対している。

展開面を考えた場合、前目で競馬をしそうな馬にも注意したいところ。今回の出走予定馬を見渡すと、逃げ馬が不在なのでペースはかなり遅くなりそう。もしかすると、前走で先行しているサウンドウォリアーやバラジが押し出されてハナへ行くことになるかもしれない。こうした馬たちの粘りも警戒したい。

馬主面ではマイネルウィルトスユーキャンスマイルが注目馬。マイネルウィルトスは現役屈指の道悪巧者。特に不良馬場の新潟芝2000mで行われた21年福島民報杯での大差勝ちは印象深い。ただ、良馬場でも21年アルゼンチン共和国杯2着、22年目黒記念2着と重賞で実績がある。前走函館記念(4着)は1年ぶりのブランクを感じさせない走りだったので、状態面の不安はなさそうだ。

ユーキャンスマイルは本競走の実績十分。今年8歳だが、得意のコースでまた一変するかもしれない。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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