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第1708回 今年も好メンバーが集結! 札幌記念を占う

2023/8/17(木)

2022/8/21 札幌11R 札幌記念(G2) 1着 4番 ジャックドール (3番人気)2022/8/21 札幌11R 札幌記念(G2)
1着 4番 ジャックドール (3番人気)
(Photo by JRA)

今週は札幌競馬場で札幌記念が行われる。夏のローカル唯一のG2競走であることに加え、実績馬も出走しやすい定量戦で行われるため、毎年のようにG1級の好メンバーが顔を揃えるレースだ。今年も大阪杯を制したジャックドールや、一昨年の日本ダービー馬・シャフリヤールなどが参戦予定。今後の大レースへ向け弾みをつけるのはどの馬か。過去の傾向をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 〜2017年 2018年〜
1 0-4-3-3/10 0.0% 40.0% 70.0% 0% 89% 0-2-1-2 0-2-2-1
2 5-1-0-4/10 50.0% 60.0% 60.0% 198% 98% 2-0-0-3 3-1-0-1
3 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 93% 35% 0-0-0-5 2-0-0-3
4 0-1-3-6/10 0.0% 10.0% 40.0% 0% 101% 0-0-2-3 0-1-1-3
5 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 283% 92% 2-0-0-3 0-0-1-4
6 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 199% 71% 1-0-0-4 0-1-0-4
7 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 69% 0-0-1-4 0-0-0-5
8 0-2-1-7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 175% 0-2-0-3 0-0-1-4
9 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5 0-0-0-31
10 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5
11〜 0-1-1-43/45 0.0% 2.2% 4.4% 0% 43% 0-1-1-22

過去10年、1番人気は【0.4.3.3】で複勝率は70.0%と上々ながら、2011年のトーセンジョーダンの優勝を最後に11連敗中。その分、2番人気が5勝と好結果を残している。また、2018年以降の後半5年は穴馬の好走が少なく、近5年の3連単はいずれも1万円以上1万7000円未満。1番人気が勝っていないため極端な低配当こそないものの、波乱は期待しづらいレースになっている。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 2-0-1-6/9 22.2% 22.2% 33.3% 83% 62%
4歳 4-0-3-27/34 11.8% 11.8% 20.6% 52% 57%
5歳 2-6-4-31/43 4.7% 18.6% 27.9% 48% 51%
6歳 2-2-1-24/29 6.9% 13.8% 17.2% 106% 80%
7歳以上 0-2-1-27/30 0.0% 6.7% 10.0% 0% 73%

年齢別では4勝を挙げている4歳と、8連対の5歳が中心。ただ6歳以上の馬も8頭が馬券に絡んでおり、まったく軽視してしまうのは避けたい。勝率〜複勝率トップの3歳は、牝馬2戦2勝に対し牡馬【0.0.1.6】と牡馬は苦戦。今年は3歳牝馬の登録がない。

■表3 枠番別成績(函館代替時除く)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
1枠 4-0-1-7/12 33.3% 33.3% 41.7% 279% 100% 1-0-0-4/5
2枠 1-3-0-9/13 7.7% 30.8% 30.8% 35% 131% 0-2-0-8/10
3枠 0-2-2-11/15 0.0% 13.3% 26.7% 0% 98% 0-1-0-9/10
4枠 0-2-0-15/17 0.0% 11.8% 11.8% 0% 12% 0-0-0-9/9
5枠 1-0-3-14/18 5.6% 5.6% 22.2% 20% 47% 0-0-1-11/12
6枠 1-1-2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 61% 71% 0-0-1-13/14
7枠 1-0-0-17/18 5.6% 5.6% 5.6% 95% 17% 0-0-0-11/11
8枠 1-1-1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 21% 27% 0-0-0-13/13

函館で代替された2013年を除く9回の枠番別では、1〜3枠が【5.5.3.27】複勝率32.5%、4〜8枠が【4.4.6.75】同15.7%と内枠が優勢。人気馬なら中〜外枠でも大きな減点は必要なさそうだが、4枠より外を引いた穴馬の連対は望みづらい

■表4 前走クラス・主なレース別成績

前走クラス・レース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年
2勝クラス〜OP特別 0-0-0-19/19 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-8
中央G3 4-2-3-53/62 6.5% 9.7% 14.5% 83% 71% 0-0-1-25
中央G2 1-1-0-10/12 8.3% 16.7% 16.7% 39% 81% 1-0-0-6
中央G1 5-6-6-24/41 12.2% 26.8% 41.5% 51% 85% 4-4-3-12
海外G1 0-1-1-9/11 0.0% 9.1% 18.2% 0% 30% 0-1-1-5
函館記念 3-2-2-32/39 7.7% 12.8% 17.9% 103 98 0-0-0-16
安田記念 2-2-1-4/9 22.2% 44.4% 55.6% 98 146 2-1-0-2
オークス 2-0-0-0/2 100.0% 100.0% 100.0% 375 145 1-0-0-0
目黒記念 1-1-0-7/9 11.1% 22.2% 22.2% 52 108 1-0-0-3
大阪杯 1-0-1-4/6 16.7% 16.7% 33.3% 76 53 1-0-0-3
エプソムC 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 370 96 0-0-0-0
宝塚記念 0-3-2-5/10 0.0% 30.0% 50.0% 0 98 0-2-2-1
QE2世C 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0 55 0-1-0-0
ジャパンC 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0 95 0-1-0-0
ドバイシーマクラシック 0-0-1-3/4 0.0% 0.0% 25.0% 0 57 0-0-1-2
鳴尾記念 0-0-1-3/4 0.0% 0.0% 25.0% 0 75 0-0-1-2
日本ダービー 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0 54 0-0-0-3
天皇賞(春) 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0 40 0-0-1-1

表4は前走クラスと主な前走レース別の成績である。まず前走が重賞以外だった馬は【0.0.0.19】と好走なし(本年は該当馬不在)。また、函館記念を中心とした前走G3組は2013〜17年の前半5年に【4.2.2.28】複勝率22.2%と好走馬8頭を出していたのに対し、2018年以降は【0.0.1.25】同3.8%と極度の不振に陥っている。近5年の中心は【4.4.3.12】複勝率47.8%を記録する中央G1組で、その結果として表1で触れたように穴馬の出番が減少したと考えられる。

■表5 前走中央G1からの3着以内好走馬(1)

馬名 札幌記念 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2014 ハープスター 2 1 オークス 1 2
ゴールドシップ 1 2 宝塚記念 1 1
ホエールキャプチャ 7 3 安田記念 7 15
2016 モーリス 1 2 安田記念 1 2
レインボーライン 4 3 日本ダービー 12 8
2017 ヤマカツエース 1 3 大阪杯 4 3
2018 サングレーザー 2 1 安田記念 3 5
マカヒキ 1 2 ジャパンC 6 4
2019 サングレーザー 4 2 安田記念 6 5
フィエールマン 1 3 天皇賞春 1 1
2020 ノームコア 2 1 安田記念 7 4
ペルシアンナイト 6 2 宝塚記念 13 15
ラッキーライラック 1 3 宝塚記念 3 6
2021 ソダシ 2 1 オークス 1 8
2022 ジャックドール 3 1 大阪杯 2 5
パンサラッサ 2 2 宝塚記念 6 8
ウインマリリン 5 3 宝塚記念 9 7

前走中央G1組の3着以内好走馬は表5の17頭。以前は前走5着以内馬が大半を占めていたのに対し、2020年以降は掲示板外から巻き返した馬が多い。そもそも前走好走馬の出走が少なかったという事情もあるが、いずれにせよ前走が中央G1なら前走着順は無視して構わないだろう。

■表6 前走中央G1からの3着以内好走馬(2)

馬名 札幌記念 主なG1実績
人気 着順 2000m以下 2200m以上
2014 ハープスター 2 1 桜花賞1着 オークス2着
ゴールドシップ 1 2 皐月賞1着 有馬記念1着
ホエールキャプチャ 7 3 ヴィクトリアM1着 オークス3着
2016 モーリス 1 2 安田記念1着 未経験
レインボーライン 4 3 NHKマイルC3着 (日本ダービー8着)
2017 ヤマカツエース 1 3 大阪杯3着 (有馬記念4着)
2018 サングレーザー 2 1 マイルCS3着 未経験
マカヒキ 1 2 皐月賞2着 日本ダービー1着
2019 サングレーザー 4 2 天皇賞(秋)2着 未経験
フィエールマン 1 3 未経験 天皇賞(春)1着
2020 ノームコア 2 1 ヴィクトリアM1着 (エ女王杯5着)
ペルシアンナイト 6 2 マイルCS1着 (日本ダービー7着)
ラッキーライラック 1 3 大阪杯1着 エ女王杯1着
2021 ソダシ 2 1 桜花賞1着 (オークス8着)
2022 ジャックドール 3 1 (大阪杯5着) 未経験
パンサラッサ 2 2 ドバイターフ1着 (宝塚記念8着)
ウインマリリン 5 3 (秋華賞15着) オークス2着

表6は同じく前走中央G1組について、主なG1実績を調べたものである。好走馬17頭のうち、G1で馬券に絡んだ実績がなかったのは昨年のジャックドール1頭のみ。17頭中11頭にはG1優勝実績があった。また、マイル〜2000mがベストと思われる馬が多いのも特徴だ。

■表7 前走中央G2以下・前走海外からの好走馬

馬名 札幌記念 前走 主なG1実績
人気 着順 レース 人気 着順
2013 トウケイヘイロー 2 1 函館記念 3 1 (朝日杯FS4着)
アスカクリチャン 8 2 函館記念 8 3 未経験
アンコイルド 14 3 函館記念 7 2 未経験
2015 ディサイファ 5 1 エプソムC 4 3 (天皇賞・秋12着)
ヒットザターゲット 8 2 目黒記念 11 1 (宝塚記念4着)
ダービーフィズ 4 3 函館記念 3 1 (菊花賞16着)
2016 ネオリアリズム 5 1 函館記念 4 6 未経験
2017 サクラアンプルール 6 1 函館記念 8 9 (大阪杯13着)
ナリタハリケーン 12 2 函館記念 12 7 未経験
2018 モズカッチャン 4 3 ドバイシーマC 6 エリザベス女王杯
2019 ブラストワンピース 3 1 目黒記念 1 8 有馬記念
2021 ラヴズオンリーユー 1 2 QE2世C 1 QE2世C
ペルシアンナイト 8 3 鳴尾記念 7 4 マイルCS

最後に表7は、前走中央G2以下か海外G1からの好走馬13頭。前述のようにここ5年はこの組の好走馬が激減しており、馬券に絡んだ4頭はすべてG1馬だった。また海外G1組のモズカッチャンとラヴズオンリーユーはともに牝馬で、G1で馬券圏内が3回以上あったことでも共通している。

【結論】

以前とは違い近年の札幌記念は前走中央G1組が中心になり、それにともなって穴馬の出番も減少している(表1、4)。今年のメンバーで前走中央G1かつG1優勝実績馬は、昨年の覇者・ジャックドール1頭のみ。昨年はG1未勝利の身で優勝したが、大阪杯でG1タイトルを獲得した今年はより信頼性の高い存在と言える(表6)。ひとつ年齢を重ね5歳になったことも特に不安材料とはならない(表2)。ひとつ気になる点を挙げるとすれば1番人気に支持されそうなことで、大きくは崩れないまでも2〜3着止まりの可能性は考えて馬券を組み立てたい(表1)。

2021/9/26 中山11R オールカマー(G2) 1着 1番 ウインマリリン (2番人気)2021/9/26 中山11R オールカマー(G2)
1着 1番 ウインマリリン (2番人気)
(Photo by JRA)

逆転の1番手は昨年の3着馬・ウインマリリンだろうか。宝塚記念7着後だった昨年と違って今年は海外(ドバイシーマクラシック6着)からの参戦になるが、香港ヴァーズ優勝などG1で馬券圏内3回(以上)の実績を持つ牝馬という点は、海外組の好走馬・モズカッチャンやラヴズオンリーユーと同じだ。その他では、中央G1組ならG1で3着以内の経験があるラーグルフヒシイグアス。海外組では牝馬でこそないが、G1・2勝2着1回と実績面の条件はクリアするシャフリヤールが候補に挙げられる。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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