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第1682回 レモンポップ、前走チャンピオンズC組が不在の有利な状況でG1初制覇か!?

2023/2/16(木)

2023/1/29 東京11R 根岸ステークス(G3)  1着 13番 レモンポップ2023/1/29 東京11R 根岸ステークス(G3)
1着 13番 レモンポップ
(Photo by JRA)

今週は日曜日に東京競馬場でフェブラリーSが行われる。本来であればレモンポップと人気を分け合う可能性があったギルデッドミラーが故障・引退により回避となったため、レモンポップが断然の人気を集めそうだ。過去10年のフェブラリーSを分析し、レモンポップの勝算がどれぐらいあるかを中心に考え、レースを展望する。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年のフェブラリーS好走馬

着順 馬名 人気 性別 年齢 前走レース名 前着 前人
22年 1 カフェファラオ 2 5 チャンピG1 11 4
2 テイエムサウスダン 5 5 根岸SG3 1 6
3 ソダシ 4 4 チャンピG1 12 2
21年 1 カフェファラオ 1 4 チャンピG1 6 2
2 エアスピネル 9 8 チャンピG1 7 12
3 ワンダーリーデル 8 8 根岸SG3 2 10
20年 1 モズアスコット 1 6 根岸SG3 1 3
2 ケイティブレイブ 16 7 川崎記G1 6 2
3 サンライズノヴァ 3 6 武蔵野SG3 5 3
19年 1 インティ 1 5 東海SG2 1 1
2 ゴールドドリーム 2 6 東京大G1 2 1
3 ユラノト 8 5 根岸SG3 2 3
18年 1 ノンコノユメ 4 6 根岸SG3 1 6
2 ゴールドドリーム 1 5 チャンピG1 1 8
3 インカンテーション 6 8 東京大G1 7 4
17年 1 ゴールドドリーム 2 4 チャンピG1 12 2
2 ベストウォーリア 5 7 根岸SG3 2 3
3 カフジテイク 1 5 根岸SG3 1 1
16年 1 モーニン 2 4 根岸SG3 1 1
2 ノンコノユメ 1 4 チャンピG1 2 3
3 アスカノロマン 7 5 東海SG2 1 4
15年 1 コパノリッキー 1 5 東海SG2 1 1
2 インカンテーション 5 5 東海SG2 3 3
3 ベストウォーリア 3 5 チャンピG1 11 9
14年 1 コパノリッキー 16 4 フェアウH 9 3
2 ホッコータルマエ 2 5 川崎記G1 1 1
3 ベルシャザール 1 6 JCDG1 1 3
13年 1 グレープブランデー 3 5 東海SG2 1 4
2 エスポワールシチー 9 8 東京大G1 5 4
3 ワンダーアキュート 7 7 川崎記G1 2 1

表1は過去10年のフェブラリーS好走馬の一覧。2014年・15年に連覇を果たしたコパノリッキーや21年・22年に連覇したカフェファラオ、3年連続(17〜19年)で連対したゴールドドリームなど複数回好走している馬が多い。リピーターが出やすいのが特徴と言えるだろう。牝馬にとっては鬼門のレースでもある。好走したのは22年3着ソダシのみで、牡馬・セン馬が非常に強い。年齢は4〜8歳と幅広く、ベテラン勢の活躍も目立つ。そして、前走レースはチャンピオンズC、根岸S、東海Sが多い。近年は特にチャンピオンズC組と根岸S組がよく好走している。

前走チャンピオンズC組については、好走馬はもちろん有力だが、同レースが行われる中京ダート1800mの条件に合わなかった馬の巻き返しに注意したい。近2年のフェブラリーSで優勝しているカフェファラオはまさにそのタイプで、中京ダート1800mと東京ダート1600mとではパフォーマンスが大きく変わる馬だった。

21年2着エアスピネルも東京ダート1600mの重賞(20年武蔵野S3着)で好走実績があったように、同コースの方が向いていた。22年2着ソダシはマイルという距離(当時芝1600mは3戦3勝)に適性があったので、コース替わりが明らかにプラスに働いたと言える。東京ダート1600mの実績・適性がある前走チャンピオンズC組がいれば真っ先に注目したい。

前走根岸S組の取捨は非常にシンプルだ。同レース連対馬だけが有力となる。21年はワンダーリーデルが8番人気で3着(前走根岸S2着)、22年はテイエムサウスダンが5番人気で2着(前走根岸S1着)と人気以上の好成績を収めている。一方、前走根岸Sで3着以下に敗れた馬の巻き返しは一度もない。前哨戦である根岸Sでの凡走は許されない、という傾向が出ている。

その他では東京大賞典や川崎記念といった地方のG1/Jpn1組に注意したい。中距離組であってもレースのレベルが高ければ、フェブラリーSにも十分繋がる。13年2着エスポワールシチー・同3着ワンダーアキュート、18年3着インカンテーションが主な好走例。20年はケイティブレイブが16番人気で2着と激走したのが印象深い。ケイティブレイブは実績こそ上位だったが、東京ダート1600mの適性が疑問視されていたのでかなり人気を落としていた。しかし、結果的には底力を見せつけたと言えるだろう。

■表2 フェブラリーSの枠順別成績(過去10年)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1枠 1- 0- 0-18/19 5.3% 5.3% 5.3% 35 13
2枠 3- 0- 2-14/19 15.8% 15.8% 26.3% 54 65
3枠 1- 2- 1-16/20 5.0% 15.0% 20.0% 25 65
4枠 1- 1- 1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 13 32
5枠 0- 2- 4-14/20 0.0% 10.0% 30.0% 0 75
6枠 2- 0- 2-16/20 10.0% 10.0% 20.0% 67 49
7枠 2- 2- 0-16/20 10.0% 20.0% 20.0% 1386 196
8枠 0- 3- 0-17/20 0.0% 15.0% 15.0% 0 130

表2はフェブラリーSの枠順別成績。東京ダート1600mはスタート後、芝の部分を長く走れる分だけ外枠が有利なため、通常枠順はかなり重要だ。ただ、表2のデータでは外枠が抜群にいいという結果は出ていない。連対率や複勝率は2〜7枠がほぼ互角という印象。1枠だけがやや成績が悪いか。よって、フェブラリーSは1枠以外であればあまり気にする必要はないかもしれない。

■表3 フェブラリーSの馬体重別成績(過去10年)

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
440〜459kg 1-  1-  0-  7/  9 11.1% 22.2% 22.2% 118 44
460〜479kg 0-  0-  1- 20/ 21 0.0% 0.0% 4.8% 0 19
480〜499kg 1-  2-  1- 30/ 34 2.9% 8.8% 11.8% 8 32
500〜519kg 2-  3-  4- 34/ 43 4.7% 11.6% 20.9% 13 54
520〜539kg 6-  3-  3- 27/ 39 15.4% 23.1% 30.8% 759 198
540〜 0-  1-  1- 10/ 12 0.0% 8.3% 16.7% 0 37

表3はフェブラリーSの馬体重別成績。レース当日の馬体重が520〜539キロの成績が【6.3.3.27】で、単勝回収率759%・複勝回収率198%の好成績だった。基本的にパワフルでがっちりとした体型の馬はダートに向く。東京のダートは他場のダートと比べると、速い時計が出る軽い馬場ではあるが、馬体重は大きい方が望ましいだろう。

【結論】
それでは今年のフェブラリーSを占っていくことにする。出走予定馬は表4の通り。

■表4 今年のフェブラリーS出走予定馬

馬名 前走レース 前着 前人 前馬体重
アドマイヤルプス 6 根岸SG3 11 9 552
オーヴェルニュ 7 東海SG2 8 8 482
ケイアイターコイズ 7 令月SH 1 1 528
ケンシンコウ 6 根岸SG3 6 10 502
シャールズスパイト 6 ブリーG1 2 -- 不明
ショウナンナデシコ 6 東京大G1 6 5 484
ジャスパープリンス 8 根岸SG3 9 16 498
スピーディキック 4 関東オG2 3 1 481
セキフウ 4 根岸SG3 13 7 482
ソリストサンダー 8 マイルG1 7 4 484
テイエムサウスダン 6 根岸SG3 14 3 550
ドライスタウト 4 すばるS(L) 2 1 538
ヘリオス 7 根岸SG3 15 5 466
メイショウハリオ 6 東京大G1 3 1 502
レッドルゼル 7 JBCスプG1 4 1 488
レモンポップ 5 根岸SG3 1 1 522

フルゲート16頭。他にも登録馬あり(2/13時点)。

今年のフェブラリーSは前走チャンピオンズC組が1頭もいないという異例の事態になった。2走前まで見てもオーヴェルニュしかおらず、昨年のチャンピオンズCで好走したジュンライトボルト、クラウンプライド、ハピの登録がなかったのは残念だ。また、東京大賞典と川崎記念を連勝しているウシュバテソーロも不在。冒頭で述べたギルデッドミラーの回避もあり、全体的に寂しいメンバー構成という印象を受ける。

一方、前走根岸S組はかなり多い。しかし、狙えるのは根岸Sを勝ったレモンポップだけだ。主戦の戸崎圭太騎手から今回坂井瑠星騎手に乗り替わるものの、相手関係的にはかなり有利な状況で今回のレースに挑める。前走馬体重が522キロという点も好材料。1枠を引かなければ、好走がかなり期待できそうだ。

レモンポップのライバルとなりそうなのは前走東京大賞典組のショウナンナデシコメイショウハリオか。マイルの実績は前者が上位だが、近走成績や性別・前走馬体重を加味すると後者の方を上に取りたい。

2022/6/29 大井11R 帝王賞(Jpn1) 1着 9番 メイショウハリオ2022/6/29 大井11R 帝王賞(Jpn1)
1着 9番 メイショウハリオ
(Photo by JRA)

一応、前走G1/Jpn1組という意味ではソリストサンダーレッドルゼル、海外のG1組ではカナダから遠征してきた外国馬シャールズスパイトの名前を挙げることができる。シャールズスパイトに関しては未知な面だらけだが、JRAの有力馬が少ないこともあり、配当次第では押さえてみる手はあるかもしれない。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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