データde出〜た
第1681回 2強ムード漂う京都記念を分析する
2023/2/9(木)
2022/11/13 福島11R 福島記念(G3)
1着 2番 ユニコーンライオン(Photo by JRA)
今週は土曜に東京でクイーンC、日曜は東京で共同通信杯、阪神で京都記念と3鞍の重賞が組まれている。京都記念は近2年と同じく2月の阪神開幕週に開催。今年は古馬初レースとなるダービー馬ドウデュース、有馬記念で5着と復調を見せたエフフォーリアの2頭が参戦し、2強ムードも漂う。今回は京都記念近2年のレース傾向ならびに2018年以降の阪神芝2200m戦におけるコース傾向から馬券的に狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 京都記念近2年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 性齢 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 |
2022 (稍重/13頭) |
1 | アフリカンゴールド | セ7 | 2分11秒9 | 12 | 1 | 34秒5 | 61秒7 |
2 | タガノディアマンテ | 牡6 | 1馬身1/4 | 8 | 3 | 34秒3 | ||
3 | サンレイポケット | 牡7 | クビ | 6 | 9 | 33秒8 | ||
2021 (良/11頭) |
1 | ラヴズオンリーユー | 牝5 | 2分10秒4 | 1 | 3 | 34秒7 | 59秒3 |
2 | ステイフーリッシュ | 牡6 | 1馬身1/4 | 3 | 1 | 35秒2 | ||
3 | ダンビュライト | セ7 | 1/2馬身 | 6 | 2 | 35秒1 |
表1は今年と同じく阪神芝2200mで行われた近2年の京都記念の3着以内馬一覧。一昨年、昨年ともに開幕週に行われ、一昨年は1番人気ラヴズオンリーユーが優勝。勝ちタイムも2分10秒4と速かった。昨年は12番人気アフリカンゴールドが逃げ切り勝ち。稍重ながら勝ち時計は2分11秒9と速めの時計が出ていた。
一昨年は4コーナー3番手以内の馬が3着までを独占、昨年も4コーナー1・3番手の馬で1・2着と、開幕週で前が止まらない傾向が出ている。今年も近2年と同じような馬場とすると、瞬発力型よりも前にいける機動力型の馬を狙っていきたい。
また、年齢的には6歳馬が2頭、7歳馬が3頭馬券に絡んでいる点に注目。4歳馬は一昨年こそ出走馬がいなかったが、昨年は5頭出走していずれも4着以下だった。近2年だけとはいえ、6歳馬、7歳馬が活躍しているのは珍しい傾向といえる。
■表2 阪神芝2200m戦の脚質別成績(2018年以降/2勝クラス以上)
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
逃げ | 3- 4- 1- 20/ 28 | 10.7% | 25.0% | 28.6% | 665 | 228 |
先行 | 15- 8- 11- 57/ 91 | 16.5% | 25.3% | 37.4% | 171 | 84 |
差し | 7- 9- 10- 80/106 | 6.6% | 15.1% | 24.5% | 90 | 94 |
追い込み | 0- 6- 4- 79/ 89 | 0.0% | 6.7% | 11.2% | 0 | 42 |
マクリ | 2- 1- 0- 4/ 7 | 28.6% | 42.9% | 42.9% | 92 | 88 |
※3歳以上or4歳以上の2勝クラス以上27鞍を分析。以下同じ。
表2〜6は2018年以降に阪神芝2200mで行われた2勝クラス以上の27レースを分析する。表2は脚質別成績。先行馬が15勝と半数以上の勝ち星をあげており、複勝率37.4%と高い。また、逃げ馬は3勝で、勝ち切ったときが11、5、12番人気といずれも人気薄(12番人気は昨年の京都記念のアフリカンゴールド)で、単勝回収率が跳ね上がっている。差し馬はエリザベス女王杯における一昨年アカイイト、昨年ジェラルディーナなど7勝、後方からの追い込みは勝ち星なしという結果となっている。
■表3 阪神芝2200m戦の所属別成績(2018年以降/2勝クラス以上)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 1- 3- 3- 50/ 57 | 1.8% | 7.0% | 12.3% | 7 | 48 |
栗東 | 26- 24- 23-189/262 | 9.9% | 19.1% | 27.9% | 168 | 96 |
外国 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 275 |
表3は所属別成績。出走数に差はあるものの、栗東所属の関西馬が26勝と圧倒している。美浦所属の関東馬は昨年の宝塚記念におけるタイトルホルダーの1勝のみ。連対率・複勝率でも2倍以上の差があり、関西馬優勢の傾向が出ている。
■表4 阪神芝2200m戦の前走脚質別成績(2018年以降/2勝クラス以上)
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
逃げ | 2- 5- 3- 18/ 28 | 7.1% | 25.0% | 35.7% | 48 | 100 |
先行 | 12- 8- 7- 66/ 93 | 12.9% | 21.5% | 29.0% | 241 | 126 |
差し | 5- 7- 8- 80/100 | 5.0% | 12.0% | 20.0% | 28 | 50 |
追い込み | 6- 6- 4- 61/ 77 | 7.8% | 15.6% | 20.8% | 222 | 91 |
マクリ | 0- 1- 2- 3/ 6 | 0.0% | 16.7% | 50.0% | 0 | 81 |
表4は前走脚質別成績。前走先行馬が最多の12勝をあげて勝率トップだが、連対率は前走逃げ馬が25.0%で最も高い。複勝率も35.7%と優秀で、前走逃げ馬はチェックしておきたい。なかでも前走から距離短縮組は【1.3.1.3】で連対率50.0%・複勝率62.5%と要注意だ。
前走逃げ馬以外は勝率・連対率・複勝率いずれも前走先行、前走追い込み、前走差しの順となっている。
■表5 阪神芝2200m戦の種牡馬別成績(2018年以降/2勝クラス以上)
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
キングカメハメハ | 3- 3- 0-16/22 | 13.6% | 27.3% | 27.3% | 120 | 66 |
ディープインパクト | 2- 6- 3-51/62 | 3.2% | 12.9% | 17.7% | 7 | 27 |
ルーラーシップ | 2- 4- 4-21/31 | 6.5% | 19.4% | 32.3% | 27 | 85 |
オルフェーヴル | 2- 2- 1-12/17 | 11.8% | 23.5% | 29.4% | 42 | 128 |
ハーツクライ | 2- 1- 3-13/19 | 10.5% | 15.8% | 31.6% | 46 | 54 |
キズナ | 2- 1- 2- 6/11 | 18.2% | 27.3% | 45.5% | 671 | 213 |
ハービンジャー | 2- 1- 1-10/14 | 14.3% | 21.4% | 28.6% | 54 | 96 |
ドゥラメンテ | 2- 1- 0- 2/ 5 | 40.0% | 60.0% | 60.0% | 140 | 132 |
バゴ | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 196 | 96 |
ステイゴールド | 1- 1- 0-11/13 | 7.7% | 15.4% | 15.4% | 396 | 86 |
ゴールドシップ | 1- 0- 1- 6/ 8 | 12.5% | 12.5% | 25.0% | 45 | 38 |
エピファネイア | 0- 1- 2- 7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 126 |
表5は種牡馬別成績。注目すべきは出走数が抜けて多いディープインパクト産駒が2勝しかあげておらず、連対率・複勝率ともに低い点だ。瞬発力に優れた馬が多い同産駒にとって、コース適性的に合わないタイプが多いのではないか。
対して、好相性はキズナ産駒、ドゥラメンテ産駒、バゴ産駒。キズナ産駒は一昨年のエリザベス女王杯でのアカイイト、ドゥラメンテ産駒は昨年の宝塚記念でのタイトルホルダー、バゴ産駒は20年・21年宝塚記念連覇のクロノジェネシスといずれもG1馬が出ている。なお、今回出走するエフフォーリアと同じエピファネイア産駒は勝ち星がなかった。
■表6 阪神芝2200m戦の調教師別成績(2018年以降/2勝クラス以上)
調教師 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
(栗)斉藤崇史 | 4- 1- 1- 7/13 | 30.8% | 38.5% | 46.2% | 129 | 116 |
(栗)矢作芳人 | 2- 2- 3- 4/11 | 18.2% | 36.4% | 63.6% | 65 | 153 |
(栗)松永幹夫 | 2- 1- 1- 4/ 8 | 25.0% | 37.5% | 50.0% | 116 | 67 |
(栗)音無秀孝 | 2- 0- 1- 9/12 | 16.7% | 16.7% | 25.0% | 529 | 85 |
(栗)森秀行 | 2- 0- 0- 3/ 5 | 40.0% | 40.0% | 40.0% | 134 | 62 |
(栗)須貝尚介 | 2- 0- 0- 2/ 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 272 | 82 |
(栗)奥村豊 | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 253 | 96 |
(栗)清水久詞 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 127 | 77 |
(栗)佐々木晶 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 225 | 165 |
(栗)友道康夫 | 0- 2- 1-11/14 | 0.0% | 14.3% | 21.4% | 0 | 31 |
※1勝以上かつ2連対以上を掲載。
最後に表6は調教師別成績。栗東の斉藤崇史厩舎が前出のクロノジェネシス、昨年のエリザベス女王杯のジェラルディーナらG1・3勝を含む最多の4勝をあげている。斉藤崇史厩舎を複勝率で上回っているのが矢作芳人厩舎で、一昨年にラヴズオンリーユーで京都記念を優勝している。一昨年の宝塚記念では7番人気ユニコーンライオンが逃げて2着など阪神芝2200mとの相性が良い。なお、今回出走するドウデュースの友道康夫厩舎は勝ち星がなく、2・3着止まりとなっている。
【結論】
■表7 今年の京都記念における有力馬(2/8時点)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
アフリカンゴールド | セ8 | 日経新春杯 9着 |
インプレス | 牡4 | 尼崎S(3賞クラス)1着 |
ウインマイティー | 牝6 | 有馬記念 6着 |
エフフォーリア | 牡5 | 有馬記念 5着 |
キラーアビリティ | 牡4 | 中日新聞杯 1着 |
キングオブドラゴン | 牡6 | 日経新春杯 2着 |
ドウデュース | 牡4 | 凱旋門賞 19着 |
プラダリア | 牡4 | 日経新春杯 3着 |
マテンロウレオ | 牡4 | 中山金杯 5着 |
ユニコーンライオン | 牡7 | ジャパンC 16着 |
※フルゲート18頭。除外対象馬なし。
2022/3/6 中山9R 湾岸S
1着 14番 キングオブドラゴン(Photo by JRA)
昨年の日本ダービーを制したドウデュースが1番人気、一昨年の有馬記念を勝利したエフフォーリアが2番人気で、2強ムードが漂う今年の京都記念となりそうだ。
ただし、ドウデュースは凱旋門賞以来で、友道厩舎も表6で示した勝ち星なしは不安点。エフフォーリアはこのコースで1勝のみの関東馬で、昨年の大阪杯、宝塚記念を見ても阪神内回りでの実績に欠ける。実力からすれば他の出走馬を圧倒する2頭だが、両雄並び立たずの可能性は十分にあるのではないか。
今回は矢作厩舎のユニコーンライオン、キングオブドラゴンの2頭を挙げておきたい。ユニコーンライオンは表6でも取り上げたが、一昨年の宝塚記念で逃げて2着と好走。表4で示した前走逃げ馬で今回距離短縮のパターンにも当てはまる。成績のムラが激しい馬だが、気分良く行ければ粘り込んでおかしくない。
キングオブドラゴンは前走日経新春杯で10番人気ながら2着と好走。先行してヴェルトライゼンデとクビ差と力のあるところを見せた。好不調の波がある馬で、好調期は馬券圏内が続くタイプ。有力馬に差しタイプが多い中にあって、先行策が恵まれることは十分に考えられる。今回は前に行ける矢作厩舎の2頭を中心に狙ってみたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。