データde出〜た
第1666回 ドバイ国際競走勝ち馬や3歳馬が挑む天皇賞(秋)を分析!
2022/10/27(木)
2021/5/30 東京11R 東京優駿(日本ダービー)
1着 10番 シャフリヤール(Photo by JRA)
今週は日曜日に天皇賞(秋)が行われる。いつものように過去のデータを分析し、今年のレースを展望してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 今年の天皇賞(秋)出走予定馬
馬名 | 性 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 備考 |
アブレイズ | 牝 | 5 | アイルラG2 | 5 | |
イクイノックス | 牡 | 3 | 東京優駿G1 | 2 | 皐月賞2着、日本ダービー2着 |
カデナ | 牡 | 8 | 小倉記念HG3 | 7 | |
カラテ | 牡 | 6 | 新潟記念HG3 | 1 | |
シャフリヤール | 牡 | 4 | プリンG1 | 4 | ドバイシーマクラシック1着、日本ダービー1着 |
ジオグリフ | 牡 | 3 | 東京優駿G1 | 7 | 皐月賞1着 |
ジャックドール | 牡 | 4 | 札幌記念G2 | 1 | |
ダノンベルーガ | 牡 | 3 | 東京優駿G1 | 4 | |
ノースブリッジ | 牡 | 4 | 毎日王冠G2 | 5 | |
バビット | 牡 | 5 | オールカG2 | 4 | |
パンサラッサ | 牡 | 5 | 札幌記念G2 | 2 | ドバイターフ1着 |
ポタジェ | 牡 | 5 | 毎日王冠G2 | 6 | 大阪杯1着 |
マリアエレーナ | 牝 | 4 | 小倉記念HG3 | 1 | |
ユーバーレーベン | 牝 | 4 | 札幌記念G2 | 11 | オークス1着 |
レッドガラン | 牡 | 7 | 京都大賞G2 | 9 |
表1は今年の天皇賞(秋)出走予定馬。出走馬の顔ぶれを見ると、フルゲート(18頭)のレースにはならないことが確定しており、その点はやや寂しい。ただ、3頭の3歳牡馬が菊花賞ではなく、本競走を選んだのは興味深い。また、今年のドバイ国際競走勝ち馬が2頭いるというのはめずらしい。その点に注目しながら、有力馬について考えてみたい。
■表2 過去にドバイシーマクラシックを勝利した日本馬
年 | 馬名 | 他の主なG1実績 |
22年 | シャフリヤール | 日本ダービー1着 |
14年 | ジェンティルドンナ | 有馬記念1着、ジャパンC1着 |
06年 | ハーツクライ | 有馬記念1着 |
01年 | ステイゴールド | 香港ヴァーズ1着 |
※01年はG2。01年、06年はナドアルシバ芝2400m
表2は過去にドバイシーマクラシック(現在はメイダン芝2410m)を勝利した日本馬の一覧。2001年ステイゴールド、06年ハーツクライ、14年ジェンティルドンナ、22年シャフリヤールと4頭が勝利を飾った。近年は勝ってもあまり驚かれない雰囲気になっているが、実際には勝つのがかなり難しいレースという印象がある。ブエナビスタ、レイデオロ、ドゥラメンテ、クロノジェネシスといった強い馬たちが負けているし、欧州勢がかなり手ごわいからだ。それだけに勝利したこの4頭は相当地力があり、評価されるべきと考えている。
ただ、ドバイシーマクラシックを勝てるような馬は、距離2400〜2500mがベストという印象もある。実際にシャフリヤールのJRA・G1勝利実績は21年の日本ダービーだ。この秋のG1で言えば、天皇賞(秋)よりもジャパンCや有馬記念との相性がいい可能性もある。シャフリヤールにとって芝2000mが短いということはないだろうが、勝ち切るのは決して楽ではないはずだ。
■表3 過去にドバイターフを勝利した日本馬
年 | 馬名 | 他の主なG1実績 |
22年 | パンサラッサ | |
19年 | アーモンドアイ | ジャパンC1着、天皇賞(秋)1着、安田記念1着 |
17年 | ヴィブロス | 秋華賞1着 |
16年 | リアルスティール | 天皇賞(秋)2着、皐月賞2着 |
14年 | ジャスタウェイ | 天皇賞(秋)1着、安田記念1着 |
07年 | アドマイヤムーン | ジャパンC1着、宝塚記念1着 |
※07年、14年のレース名称はドバイデューティーフリー。07年はナドアルシバ芝1770m。
表3は過去にドバイターフ(現在はメイダン芝1800m)を勝利した日本馬の一覧。07年アドマイヤムーン、14年ジャスタウェイ、16年リアルスティール、17年ヴィブロス、19年アーモンドアイ、22年パンサラッサが勝利を飾った。この6頭の他のG1実績を調べると、芝2000m前後のレースで強い馬が多い印象。ジャスタウェイやリアルスティール、アーモンドアイは実際に天皇賞(秋)で好走を果たしている。
パンサラッサは過去にJRAのG1で好走した経験はないが、それは不自然という見方もできる。いずれ好走してもおかしくはない。距離的には2000mは大歓迎なので、今回は大きなチャンスだろう。ただ、東京芝2000mでは不利と見られている「逃げ」という脚質はネック。一応、過去10年で2頭(18年キセキ3着、19年3着アエロリット)好走しているが、果たしてどうなるか。そのパンサラッサに芝2000mの札幌記念で勝利したジャックドールも当然注目。
■表4 天皇賞(秋)で好走した3歳馬(2000年以降)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | クラシックの好走実績 |
21年 | 1 | エフフォーリア | 3 | 皐月賞1着、日本ダービー2着 |
14年 | 3 | イスラボニータ | 1 | 皐月賞1着、日本ダービー2着 |
12年 | 2 | フェノーメノ | 1 | 日本ダービー2着 |
10年 | 2 | ペルーサ | 4 | |
08年 | 3 | ディープスカイ | 3 | 日本ダービー1着 |
06年 | 3 | アドマイヤムーン | 2 | |
04年 | 2 | ダンスインザムード | 13 | 桜花賞1着 |
02年 | 1 | シンボリクリスエス | 3 | 日本ダービー2着 |
表4は天皇賞(秋)で好走した3歳馬(2000年以降)。この間の天皇賞(秋)における3歳馬の成績は【2.3.3.20】で勝率7.1%、連対率17.9%、複勝率28.6%だった。最も成績が良かった4歳【10.10.8.68】は勝率10.4%、連対率20.8%、複勝率29.2%だったので、3歳馬も十分に戦えている。
実際に好走した3歳馬たちのクラシック成績を調べたところ、アドマイヤムーンとペルーサ以外の6頭には連対実績があった。中でも日本ダービー連対馬が5頭と最も多かった。距離は2400mだが東京芝のG1で好走したという点を高く評価すべきなのだろう。そして、アドマイヤムーンは共同通信杯1着、ペルーサは青葉賞1着と東京の重賞を勝っていた点も見逃せない。東京芝1800〜2400mの実績・適性が最も重要なポイントになりそうだ。
そうなると今年出走予定の3歳馬の評価は、イクイノックス(日本ダービー2着)>ジオグリフ(皐月賞1着)・ダノンベルーガ(共同通信杯1着)になるだろうか。ジオグリフとダノンベルーガはどちらが上かは難しいが、イクイノックスが3歳勢で1番手評価になるのは間違いない。
2022/5/29 東京11R 東京優駿(日本ダービー)
(Photo by JRA)
■表5 天皇賞(秋)を6番人気以下で好走した馬(過去10年)
年 | 着順 | 馬名S | 人気 | 性別 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 備考 |
19年 | 3 | アエロリット | 6 | 牝 | 5 | 毎日王冠G2 | 2 | 安田記念2着 |
18年 | 3 | キセキ | 6 | 牡 | 4 | 毎日王冠G2 | 3 | 菊花賞1着 |
17年 | 3 | レインボーライン | 13 | 牡 | 4 | 宝塚記念G1 | 5 | 菊花賞2着 |
16年 | 2 | リアルスティール | 7 | 牡 | 4 | 安田記念G1 | 11 | ドバイターフ1着、菊花賞2着 |
16年 | 3 | ステファノス | 6 | 牡 | 5 | 毎日王冠G2 | 5 | 天皇賞(秋)2着 |
15年 | 2 | ステファノス | 10 | 牡 | 4 | 毎日王冠G2 | 7 | クイーンエリザベス2世C2着 |
15年 | 3 | イスラボニータ | 6 | 牡 | 4 | 毎日王冠G2 | 3 | 皐月賞1着、日本ダービー2着 |
最後に表5のデータを記しておく。天皇賞(秋)を6番人気以下で好走した馬(過去10年)の一覧。どんなタイプの馬が穴をあけているのかを確認しておきたい。まず該当馬7頭の年齢は4〜5歳だった。前走毎日王冠組が5頭いて、そのうち4頭が前走5着以内だった。また、全馬が過去に3歳以上の芝G1で連対実績があった。そして、芝3000mの菊花賞連対馬が3頭もいる点はかなり興味深い。
今年のメンバーでマークすべきなのはポタジェだろうか。前走毎日王冠は惜しくも6着だったが、今年大阪杯を制した5歳の牡馬。人気もあまりなさそうなので、配当面の妙味もありそうだ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。