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第1660回 前走掲示板外からの巻き返しに注意 セントライト記念を分析する

2022/9/15(木)

19日(月・祝)に中山競馬場で行われる菊花賞トライアル・セントライト記念。次週の神戸新聞杯に比べると菊花賞との繋がりはやや薄いレースだったが、昨年はタイトルホルダー、オーソクレースと、このセントライト記念組が菊花賞で1、2着。今年も本番へ向け注目したい一戦だ。そんなセントライト記念の過去の傾向をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去6年
1 4-3-0-3/10 40.0% 70.0% 70.0% 101% 94% 2-3-0-1
2 1-3-1-5/10 10.0% 40.0% 50.0% 61% 76% 1-2-1-2
3 1-0-3-6/10 10.0% 10.0% 40.0% 62% 78% 0-0-3-3
4 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 132% 66% 2-0-0-4
5 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 62% 0-0-1-5
6 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 125% 111% 0-0-1-5
7 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-6
8 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 42% 0-1-0-5
9 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 427% 162% 1-0-0-5
10 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 133% 0-0-0-6
11〜 0-1-0-50/51 0.0% 2.0% 2.0% 0% 22% 0-0-0-26

2021/9/20 中山11R セントライト記念(G2) 1着 2番 アサマノイタズラ(9番人気)2021/9/20 中山11R セントライト記念(G2)
1着 2番 アサマノイタズラ(9番人気)
(Photo by JRA)

まず表1は人気別の成績。1番人気の連対率70.0%や2番人気の同40.0%は悪くないが、その他の好走馬は分散気味。昨年は9番人気のアサマノイタズラが優勝し、3連単は9→2→5番人気で30万馬券の波乱となった。ここ6年は2桁人気の好走がないため、9番人気以内を目安に手広く構えたいレースだ。

■表2 枠番別成績(2014年新潟除く)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下 同複勝率
1枠 0-2-1-8/11 0.0% 18.2% 27.3% 0% 164% 0-2-0-5 28.6%
2枠 2-0-3-10/15 13.3% 13.3% 33.3% 326% 166% 1-0-2-9 25.0%
3枠 2-1-0-13/16 12.5% 18.8% 18.8% 83% 73% 0-1-0-9 10.0%
4枠 2-1-0-13/16 12.5% 18.8% 18.8% 41% 27% 0-0-0-6 0.0%
5枠 1-1-1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 32% 40% 0-0-1-13 7.1%
6枠 1-0-2-15/18 5.6% 5.6% 16.7% 11% 36% 0-0-0-12 0.0%
7枠 1-3-1-14/19 5.3% 21.1% 26.3% 65% 55% 1-0-0-11 8.3%
8枠 0-1-1-18/20 0.0% 5.0% 10.0% 0% 19% 0-0-0-15 0.0%
1〜4枠 6-4-4-44/58 10.3% 17.2% 24.1% 118% 101% 1-3-2-29 17.1%
5〜8枠 3-5-5-62/75 4.0% 10.7% 17.3% 27% 37% 1-0-1-51 3.8%

新潟で代替された2014年を除く枠番別では、1〜4枠が複勝率24.1%で単複の回収率も100%を超えているのに対し、5〜8枠は複勝率17.3%で単複の回収率は40%未満。特に穴馬を狙う際には内よりの枠を引いた馬を重視したい。

■表3 前走クラス・主な前走レース別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1勝クラス 1-0-2-39/42 2.4% 2.4% 7.1% 14% 33%
2勝クラス 1-4-0-26/31 3.2% 16.1% 16.1% 19% 59%
3勝クラス 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
OPEN 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 41%
中央G3 2-1-1-13/17 11.8% 17.6% 23.5% 285% 75%
中央G2 0-0-1-8/9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 31%
中央G1 6-5-5-24/40 15.0% 27.5% 40.0% 74% 107%
地方 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
日本ダービー 6-5-4-21/36 16.7% 30.6% 41.7% 83% 109%
ラジオNIKKEI賞 2-1-1-11/15 13.3% 20.0% 26.7% 324% 86%
いわき特別 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 610% 150%
松前特別 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 60%
信濃川特別 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 65%
藻岩山特別 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 180%
阿賀野川特別 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 570%
青葉賞 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 56%
プリンシパルS 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 83%
ホープフルS 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 360%

前走レース別では、日本ダービー組が【6.5.4.21】で複勝率41.7%を記録するなど断然。次いでラジオNIKKEI賞組が【2.1.1.11】同26.7%と4頭が好走している。ほかに複数の好走馬を出すレースはないため、この日本ダービー組とラジオNIKKEI賞組が中心になる。条件戦組も【2.4.2.67】と好走数こそ多いが、複勝率10.7%、単複の回収率16%・43%と前記2レースとの比較では劣勢だ。

■表4 前走日本ダービー5番人気以下からの好走馬

馬名 セントライト 日本ダービー
人気 着順 人気 着順
2012 フェノーメノ 1 1 5 2
2014 タガノグランパ 10 3 16 4
2015 キタサンブラック 6 1 6 14
ミュゼエイリアン 9 2 10 10
2016 プロディガルサン 3 3 11 10
2018 ジェネラーレウーノ 4 1 8 16
グレイル 6 3 9 14
2019 リオンリオン 1 1 6 15
サトノルークス 8 2 8 17
2020 ガロアクリーク 2 3 7 6

前走日本ダービー組はまず前走人気がカギになり、ダービーで4番人気以内だった馬はこのセントライト記念で【2.3.0.0】連対率100%、5番人気以下だった馬は【4.2.4.21】同19.4%と安定感に差が出ている。ただ、今年のセントライト記念はダービー4番人気以内馬が不在だ。

そこで、好走馬のうち前走日本ダービーで5番人気以下だった馬(表5)を見ると、該当する10頭中7頭がダービーでは10着以下だった。この「前走ダービー5番人気以下」の馬は、同レース9着以内だと【1.0.2.11】で連対率7.1%・複勝率21.4%、10着以下なら【3.2.2.10】連対率29.4%・複勝率41.2%と、大敗していた馬のほうが好走確率は高い。

■表5 前走ラジオNIKKEI賞からの好走馬

馬名 セントライト ラNIKKEI賞 その他重賞実績
人気 着順 人気 着順
2016 ゼーヴィント 2 2 1 1
2017 サトノクロニクル 3 3 1 6 京都新聞杯2着
2020 バビット 4 1 8 1
2021 アサマノイタズラ 9 1 5 12 スプリングS2着

続いて表5は前走ラジオNIKKEI賞からの好走馬4頭で、こちらは前走1着馬が2頭、6着以下だった馬が2頭。前走2〜5着馬が【0.0.0.7】と多くの馬が該当しながら好走がないのに対し、前走1着馬は【1.1.0.1】複勝率66.7%、前走6着以下の馬は【1.0.1.3】同40.0%を記録している。なお、前走6着以下から好走したサトノクロニクルとアサマノイタズラにはG2連対実績があった。

■表6 前走1勝クラス、2勝クラスからの好走馬

馬名 セントライト 前走
人気 着順 月日 レース 距離 人気 着順 着差
2012 ダノンジェラート 4 3 8.11 500万下 芝18 1 1 -0.3
2013 ユールシンギング 3 1 9.1 500万下 芝18 1 1 -0.4
2015 ジュンツバサ 10 3 6.28 500万下 芝18 3 1 -0.2
2012 スカイディグニティ 14 2 8.25 阿賀野川特別 芝22 2 6 0.8
2013 ダービーフィズ 5 2 8.3 信濃川特別 芝20 4 4 0.5
2017 ミッキースワロー 2 1 7.22 いわき特別 芝18 1 3 0.0
2018 レイエンダ 1 2 7.22 松前特別 芝20 1 1 -0.3
2021 ソーヴァリアント 2 2 8.15 藻岩山特別 芝20 1 1 -0.6

最後に表6は前走条件戦からの好走馬である。この組は距離延長馬が【2.4.2.43】複勝率14.0%、同距離・距離短縮馬が計【0.1.0.24】同4.0%となるため、まず前走距離から絞りたい。また、好走馬8頭の前走はすべて6月下旬以降だった。

1勝クラス組の好走馬3頭は前走を0.2秒差以上で勝ち上がっていたほか、初勝利以降は連対を外していなかったことが共通点。2勝クラス組は芝2000m以上での優勝実績(5頭すべて)に加え、ダービーフィズを除く4頭には2連勝以上した経験があった。

【結論】

2022/5/7 東京11R プリンシパルステークス 1着 8番 セイウンハーデス(6番人気)2022/5/7 東京11R プリンシパルステークス
1着 8番 セイウンハーデス(6番人気)
(Photo by JRA)

セントライト記念は前走日本ダービー出走馬が好成績(表3)。今年はアスクビクターモアオニャンコポン、そしてセイウンハーデスの3頭が登録しており、特に注目したいのは同レース11着だったセイウンハーデスだ。表4本文で触れたように、前走日本ダービーで5番人気以下だった馬なら2桁着順に大敗していたほうが好成績を残している。

ラジオNIKKEI賞組の狙いは同レースで1着か6着以下だった馬。今年は1着馬不在で、6着以下からはボーンディスウェイ(6着)とベジャール(12着)が登録しているが、この2頭にはG2連対実績(表5)がない。ボーンディスウェイはG2の弥生賞で3着、ベジャールはG3の毎日杯で2着と「G2連対」に近い実績はあるものの、この2頭よりはダービーひと桁着順のアスクビクターモアやオニャンコポンを上位に取りたい。

条件戦組(表6)は距離延長馬で前走が6月下旬以降だった馬。2勝クラス組なら芝2000m以上での優勝実績と連勝経験があるラーグルフ、1勝クラス組は「前走0.2秒差以上1着」「初勝利以降連対率100%」のガイアフォースが候補になる。ただ表3でも触れたように、条件戦組は日本ダービー組やラジオNIKKEI賞組との比較では劣勢だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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