データde出〜た
第1657回 クラシックに直結! 札幌2歳Sを分析!
2022/8/29(月)
今週土曜日に札幌競馬場で札幌2歳Sが行われる。最近の同レースを勝った馬の顔ぶれを見ると、翌年のクラシックに直結するレースになりつつある。果たして今年はどの馬が勝ち上がるかとても興味深い。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探る。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年の札幌2歳S好走馬(函館開催だった2013年は除く)
年 | 着順 | 馬名 | 性別 | 人気 | キャリア | 種牡馬 | 母父馬 |
21年 | 1 | ジオグリフ | 牡 | 1 | 1 | ドレフォン | キングカメハメハ |
2 | アスクワイルドモア | 牡 | 4 | 3 | キズナ | ゼンノロブロイ | |
3 | トーセンヴァンノ | 牡 | 5 | 4 | ヴァンキッシュラン | ファンタスティックライト | |
20年 | 1 | ソダシ | 牝 | 2 | 1 | クロフネ | キングカメハメハ |
2 | ユーバーレーベン | 牝 | 5 | 1 | ゴールドシップ | ロージズインメイ | |
3 | バスラットレオン | 牡 | 1 | 1 | キズナ | New Approach | |
19年 | 1 | ブラックホール | 牡 | 5 | 2 | ゴールドシップ | キングカメハメハ |
2 | サトノゴールド | 牡 | 3 | 1 | ゴールドシップ | Fusaichi Pegasus | |
3 | ダーリントンホール | 牡 | 2 | 1 | New Approach | Pivotal | |
18年 | 1 | ニシノデイジー | 牡 | 6 | 2 | ハービンジャー | アグネスタキオン |
2 | ナイママ | 牡 | 4 | 3 | ダノンバラード | ジャングルポケット | |
3 | クラージュゲリエ | 牡 | 1 | 1 | キングカメハメハ | タニノギムレット | |
17年 | 1 | ロックディスタウン | 牝 | 1 | 1 | オルフェーヴル | Storm Cat |
2 | ファストアプローチ | 牡 | 4 | 2 | Dawn Approach | Marju | |
3 | ダブルシャープ | 牡 | 7 | 4 | ベーカバド | アグネスタキオン | |
16年 | 1 | トラスト | 牡 | 5 | 3 | スクリーンヒーロー | エイシンサンディ |
2 | ブラックオニキス | 牝 | 10 | 5 | ブラックタイド | チーフベアハート | |
3 | アドマイヤウイナー | 牡 | 7 | 1 | ワークフォース | ダンスインザダーク | |
15年 | 1 | アドマイヤエイカン | 牡 | 2 | 1 | ハーツクライ | フレンチデピュティ |
2 | プロフェット | 牡 | 1 | 1 | ハービンジャー | タニノギムレット | |
3 | クロコスミア | 牝 | 8 | 4 | ステイゴールド | ボストンハーバー | |
14年 | 1 | ブライトエンブレム | 牡 | 5 | 1 | ネオユニヴァース | ウォーエンブレム |
2 | マイネルシュバリエ | 牡 | 11 | 1 | バトルプラン | スペシャルウィーク | |
3 | レッツゴードンキ | 牝 | 7 | 1 | キングカメハメハ | マーベラスサンデー | |
12年 | 1 | コディーノ | 牡 | 3 | 1 | キングカメハメハ | サンデーサイレンス |
2 | ラウンドワールド | 牡 | 1 | 3 | ディープインパクト | トニービン | |
3 | エデンロック | 牡 | 9 | 1 | フレンチデピュティ | サンデーサイレンス |
- ミスタープロスペクター系
- サドラーズウェルズ系
2021/9/4 札幌11R 札幌2歳ステークス(G3)
1着 9番 ジオグリフ
表1は過去10年の札幌2歳Sの好走馬。ただし、函館で行われた2013年のデータは除外した(以下、同様)。2014年に3着に入ったレッツゴードンキは翌年の桜花賞を制したが、その後はクラシックの好走馬は出ていなかった。しかし、最近2年でソダシ(桜花賞)、ユーバーレーベン(オークス)、ジオグリフ(皐月賞)と好走馬のなかから3頭もクラシック優勝馬が出ている。近年のクラシックはトライアルを使わずに本番に挑み、なおかつ結果を出すケースが増えている。早い時期に芝中距離の重賞を経験できて賞金を稼ぎ、クラシックに向けて長い準備期間が取れるという意味でも、札幌2歳Sを勝つメリットは大きくなっているのかもしれない。
近年の傾向としては、血統面でも特徴的な結果が出ている。19年〜21年にかけてゴールドシップ産駒が3頭、キズナ産駒が2頭好走している。たくさんいるサンデーサイレンス系種牡馬のなかでは、この2頭に注目したい。また、母父キングカメハメハの産駒が3連勝中でもある。キングカメハメハはミスタープロスペクター系にカテゴライズされるが、本競走の好走馬においては短距離向きのミスタープロスペクター系は全然見かけない。キングカメハメハ、ウォーエンブレム、ワークフォース、Fusaichi Pegasusと中長距離向きの馬が並んでいるのが特徴だ。また、サドラーズウェルズ系のDawn ApproachやNew Approachという血も気になる。17年2着ファストアプローチら3頭の好走馬が出ている。札幌競馬場は洋芝なので、少しタフな力を要求され、時計もかかる。こうした状況に適性がありそうな馬を狙いたい。
■表2 過去10年の札幌2歳Sのキャリア別成績(函館開催だった2013年は除く)
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1戦 | 6- 4- 6- 48/ 64 | 9.4% | 15.6% | 25.0% | 47 | 77 |
2戦 | 2- 1- 0- 25/ 28 | 7.1% | 10.7% | 10.7% | 205 | 37 |
3戦 | 1- 3- 0- 10/ 14 | 7.1% | 28.6% | 28.6% | 69 | 63 |
4戦 | 0- 0- 3- 3/ 6 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 161 |
5戦 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 236 |
6戦 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2はキャリア別成績。基本的にはキャリア1戦馬の出走が最も多く、勝ち馬6頭、2着馬4頭、3着馬6頭が出ている。勝率は9.4%と最も高く、1着馬はキャリア1戦の馬から探すのがおすすめだ。
キャリア2戦は意外と平凡な成績で、単勝回収率205%が目立つ程度。キャリア3戦は連対率が28.6%と高く、キャリア4戦は複勝率が50.0%と優秀。キャリア4〜5戦は複勝回収率が100%を超えており、豊富なキャリアの馬も軽視はできない。
■表3 過去10年の札幌2歳Sの前走レース別成績(函館開催だった2013年は除く)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
新馬 | 6- 4- 6-47/63 | 9.5% | 15.9% | 25.4% | 48 | 78 |
未勝利 | 2- 2- 0-20/24 | 8.3% | 16.7% | 16.7% | 240 | 52 |
クローバ | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 97 | 197 |
コスモス | 0- 2- 2-10/14 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0 | 60 |
函館2歳G3 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
未勝利・牝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
中京2歳 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新馬・牝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2016/9/3 札幌11R 札幌2歳ステークス(G3)
1着 5番 トラスト
表3は前走レース別成績。新馬や未勝利以外だと、やはり札幌で行われるクローバー賞組とコスモス賞組に注目したい。前走クローバー賞組は前走1、2着馬が有力。16年は1着トラスト・2着ブラックオニキスはともに前走クローバー賞で連対していた。前走コスモス賞組は好走馬4頭中3頭が前走1着だった。前走札幌のオープン特別組は、シンプルに前走着順がいい馬にチャンスがある。
■表4 前走新馬組の人気別成績(函館開催だった2013年は除く)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1番人気 | 2- 1- 2- 2/ 7 | 28.6% | 42.9% | 71.4% | 72 | 101 |
2番人気 | 2- 0- 1- 6/ 9 | 22.2% | 22.2% | 33.3% | 115 | 51 |
3番人気 | 1- 1- 0- 6/ 8 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 51 | 56 |
4番人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
5番人気 | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 370 | 246 |
6番人気 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
7番人気 | 0- 0- 2- 2/ 4 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 232 |
8番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
9番人気 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 131 |
10番人気 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
11番人気 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 215 |
12番人気 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
13番人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
14番人気 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
※表4は前走新馬組の人気別成績。基本的には人気を集めている馬に注目したい。具体的には5番人気以内であれば有望。キャリアがわずか1戦であっても、新馬で強い勝ち方をした前評判の高い馬が有力だ。昨年優勝したジオグリフは単勝2.1倍とかなり人気を集め、その期待に見事に応えた。
■表5 前走未勝利組の前走コース別成績(函館開催だった2013年は除く)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
函館・芝1800 | 2- 1- 0- 2/ 5 | 40.0% | 60.0% | 60.0% | 1152 | 196 |
札幌・芝1500 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 93 |
札幌・芝1800 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
福島・芝1800 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新潟・芝1800外 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新潟・芝1600外 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
札幌・ダ1700 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走未勝利(牝馬限定戦は除く)組の前走コース別成績。こちらは前走札幌芝1800m組の成績が【0.0.0.9】と不振なのが特徴。一方、函館芝1800m組の成績が【2.1.0.2】と優秀だ。18年ニシノデイジーが6番人気で1着、19年ブラックホークが5番人気で1着、21年アスクワイルドモアが4番人気で2着と好走しており、配当的にも妙味がある。
【連載間隔変更のお知らせ】
月・木曜日の週2回連載している当コラムは9月より木曜日の週1回連載に変更となりますのでご了承ください。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。