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第1627回 「父サンデー系×母の父サンデー系」の成績は?

2022/5/16(月)

2022/5/7 中京11R 京都新聞杯(G2) 1着 3番 アスクワイルドモア 2022/5/7 中京11R 京都新聞杯(G2)
1着 3番 アスクワイルドモア

今月、交流G1・かしわ記念を制したショウナンナデシコと、G2・京都新聞杯を制したアスクワイルドモアには、血統上のある共通点がある。それは「父」と「母の父」がいずれもサンデーサイレンス系の種牡馬ということだ。また、この配合の馬は年々増加中で、今後さらに増えることも予想される。そこで今回は「父サンデー系×母の父サンデー系」のデータを分析したい。集計期間は、この配合の競走馬が初めて中央競馬のレースに出走した05年7月16日から22年5月8日。対象は平地戦のみとする。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 馬場別成績

馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
76-  73- 102-1358/1609 4.7% 9.3% 15.6% 82% 67%
ダート 54-  49-  51-1105/1259 4.3% 8.2% 12.2% 53% 56%
合計 130- 122- 153-2463/2868 4.5% 8.8% 14.1% 69% 62%

「父サンデー系×母の父サンデー系」の配合では、必然的にサンデーサイレンスのクロス(インブリード)が発生する。現時点では3×3になる馬が非常に多く、前述したショウナンナデシコとアスクワイルドモアも該当する。3×3のクロスは血量で25%に相当し、その影響力は決して小さくはない。つまり、今回のテーマは「サンデーサイレンス3×3のクロスを持つ馬のデータ分析」と言い換えてもいいかもしれない。そうした側面を持つ「父サンデー系×母の父サンデー系」の競走馬にはどのような傾向があるのだろうか。

表1は馬場別成績。芝のほうがダートより好走率は高く、回収率の面でも有利だ。サンデーサイレンスの直仔には芝が得意な馬が多かったことを思えば、納得の傾向と言えそうだ。

■表2 東西・牡牝・年齢別成績

項目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
所属 関東 54-  52-  72-1427/1605 3.4% 6.6% 11.1% 49% 53%
関西 76-  70-  81-1025/1252 6.1% 11.7% 18.1% 96% 74%
性別 牡馬・セン馬 61-  66-  87-1352/1566 3.9% 8.1% 13.7% 41% 54%
牝馬 69-  56-  66-1111/1302 5.3% 9.6% 14.7% 103% 72%
年齢 2歳 35-  35-  46- 749/ 865 4.0% 8.1% 13.4% 90% 62%
3歳 63-  66-  75-1280/1484 4.2% 8.7% 13.7% 60% 61%
4歳 24-   9-  24- 252/ 309 7.8% 10.7% 18.4% 70% 66%
5歳 7-   5-   6- 140/ 158 4.4% 7.6% 11.4% 63% 57%
6歳 1-   7-   2-  33/  43 2.3% 18.6% 23.3% 29% 83%
7歳以上 0-   0-   0-   9/   9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2は「東西の所属別」「牡牝別(セン馬は牡馬に含める)」「年齢別」の成績を表したもので、上から順に見ていきたい。「東西別」では関西馬の好走率が関東馬を大きく上回る。これまでに重賞を勝ったのも、今年のショウナンナデシコとアスクワイルドモアのほか、17年シンザン記念のキョウヘイ、21年函館2歳Sのナムラリコリスとすべて関西の所属だ。「牡牝別」にも特徴がある。牝馬のほうが好走率は高く、単勝回収率103%をマーク。一般的には牡馬のほうが高い好走率を記録することが多いだけに、この配合では牝馬の健闘が目立っている。「年齢別」では、勝率は4歳、連対率と複勝率は6歳がもっとも高く、やや晩成の傾向も見られる。

■表3 距離別成績

馬場 距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 18-  15-  17- 296/ 346 5.2% 9.5% 14.5% 54% 49%
1400m〜1600m 37-  27-  42- 489/ 595 6.2% 10.8% 17.8% 167% 95%
1700m〜2000m 17-  20-  34- 468/ 539 3.2% 6.9% 13.2% 21% 50%
2100m〜2400m 4-   8-   7-  85/ 104 3.8% 11.5% 18.3% 37% 44%
2500m〜 0-   3-   2-  20/  25 0.0% 12.0% 20.0% 0% 78%
ダート 1000m〜1300m 20- 15- 19-387/441 4.5% 7.9% 12.2% 70% 71%
1400m〜1600m 11- 11-  9-258/289 3.8% 7.6% 10.7% 60% 52%
1700m〜2000m 19- 22- 20-418/479 4.0% 8.6% 12.7% 30% 46%
2100m〜2400m 4-  1-  3- 39/ 47 8.5% 10.6% 17.0% 85% 46%
2500m〜 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は距離別成績を芝・ダート別で表したもの。好走率に関しては、芝・ダートともに明確と言えるほどの傾向は見られない。注目したいのは回収率で、芝1400〜1600mの数値が突出して高い。より細かく言えば、芝1400mが単勝回収率299%、複勝回収率131%と抜群。2021年11月14日のオーロCで11番人気1着のハーフバックなど、多くの激走を記録する要注意の距離となっている。

■表4 競馬場別成績

馬場 競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 3-   6-   5-  46/  60 5.0% 15.0% 23.3% 18% 70%
函館 5-   4-   2-  40/  51 9.8% 17.6% 21.6% 39% 61%
福島 2-   1-   8- 115/ 126 1.6% 2.4% 8.7% 10% 24%
新潟 5-   3-   8- 173/ 189 2.6% 4.2% 8.5% 107% 50%
東京 9-  13-  13- 230/ 265 3.4% 8.3% 13.2% 53% 56%
中山 12-   8-  17- 190/ 227 5.3% 8.8% 16.3% 96% 77%
中京 7-   4-  10- 124/ 145 4.8% 7.6% 14.5% 59% 59%
京都 14-   9-  15-  92/ 130 10.8% 17.7% 29.2% 386% 158%
阪神 12-  19-  17- 197/ 245 4.9% 12.7% 19.6% 41% 76%
小倉 7-   6-   7- 151/ 171 4.1% 7.6% 11.7% 20% 42%
ダート 札幌 0-  0-  1- 34/ 35 0.0% 0.0% 2.9% 0% 19%
函館 1-  1-  1- 33/ 36 2.8% 5.6% 8.3% 10% 22%
福島 2-  5-  5- 63/ 75 2.7% 9.3% 16.0% 23% 49%
新潟 6-  5-  2- 92/105 5.7% 10.5% 12.4% 75% 80%
東京 10-  6-  8-200/224 4.5% 7.1% 10.7% 81% 48%
中山 12-  9- 11-248/280 4.3% 7.5% 11.4% 48% 48%
中京 5-  9-  7-143/164 3.0% 8.5% 12.8% 15% 65%
京都 4-  3-  6- 78/ 91 4.4% 7.7% 14.3% 17% 33%
阪神 13-  8-  9-159/189 6.9% 11.1% 15.9% 97% 84%
小倉 1-  3-  1- 55/ 60 1.7% 6.7% 8.3% 42% 59%

表4は競馬場別成績を芝・ダート別で表したもの。目につくのは芝の京都が抜群ということで、単勝回収率は386%にも達する。現在は改修中のため実際に狙える機会はしばらくおあずけになるが、来年春予定の開催再開を楽しみに待ちたい。また、札幌と函館には、どちらも芝は複勝率20%以上なのに、ダートは複勝率10%未満という共通点がある。6月開幕の北海道シリーズに向けて、この芝・ダートの差もチェックしておきたい。

■表5 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 17-  17-  20- 341/ 395 4.3% 8.6% 13.7% 152% 83%
未勝利 60-  61-  74-1380/1575 3.8% 7.7% 12.4% 47% 54%
1勝 28-  29-  36- 500/ 593 4.7% 9.6% 15.7% 69% 63%
2勝 11-   4-   8- 106/ 129 8.5% 11.6% 17.8% 54% 38%
3勝 7-   3-   7-  39/  56 12.5% 17.9% 30.4% 133% 87%
オープン特別 1-   2-   5-  20/  28 3.6% 10.7% 28.6% 20% 86%
リステッド競走 3-   2-   1-  31/  37 8.1% 13.5% 16.2% 103% 79%
G3 2-   3-   2-  32/  39 5.1% 12.8% 17.9% 89% 121%
G2 1-   1-   0-   5/   7 14.3% 28.6% 28.6% 254% 274%
G1 0-   0-   0-   9/   9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表5はクラス別成績。大きく「2勝クラス以下」と「3勝クラス以上」に分けると、興味深い傾向が見えてくる。「2勝クラス以下」の勝率4.3%、複勝率13.6%に対し、「3勝クラス以上」は勝率8.0%、複勝率22.7%と、上級戦のほうが高い好走率を残しているのだ。言い換えると、2勝クラスまではやや苦戦気味だが、3勝クラスやオープンまで出世した馬はしっかり走っている。同様に回収率も「2勝クラス以下」の単勝68%、複勝60%に対し、「3勝クラス以上」は単勝97%、複勝96%と差があり、馬券的な意味でも上級戦に分があるようだ。

■表6 騎手別成績(着別度数順)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
幸英明 9- 4-10-40/63 14.3% 20.6% 36.5% 80% 103%
田辺裕信 6- 4- 9-30/49 12.2% 20.4% 38.8% 251% 149%
松山弘平 6- 4- 0-34/44 13.6% 22.7% 22.7% 59% 46%
松若風馬 6- 3- 5-44/58 10.3% 15.5% 24.1% 157% 72%
高倉稜 6- 3- 3-43/55 10.9% 16.4% 21.8% 153% 106%
戸崎圭太 4- 4- 7-17/32 12.5% 25.0% 46.9% 63% 93%
石川裕紀人 4- 2- 1-35/42 9.5% 14.3% 16.7% 175% 100%
柴田善臣 4- 2- 0-38/44 9.1% 13.6% 13.6% 167% 66%
福永祐一 3- 6- 2-15/26 11.5% 34.6% 42.3% 29% 78%
武豊 3- 5- 0-11/19 15.8% 42.1% 42.1% 44% 73%

2022/5/7 東京11R プリンシパルステークス 1着 8番 セイウンハーデス 2022/5/7 東京11R プリンシパルステークス
1着 8番 セイウンハーデス

表6は騎手別成績(着別度数順)。頭ひとつ抜けた9勝を挙げているのが幸英明騎手で、勝率14.3%も優秀だ。先日のプリンシパルSではセイウンハーデスで1着に入り、ダービーの優先出走権を獲得している。田辺裕信騎手は単勝回収率251%が魅力的。今年1月29日の東京4R・3歳1勝クラスではリッキーマジックで単勝9120円の大穴をあけた。そのほか、複勝率40%を超える戸崎圭太騎手福永祐一騎手、勝率10%以上かつ単勝回収率150%以上の松若風馬騎手高倉稜騎手も「父サンデー系×母の父サンデー系」と好相性と言えそうだ。

■表7 厩舎別成績(着別度数順)

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
高橋康之 8- 7- 7-44/66 12.1% 22.7% 33.3% 81% 92%
橋口慎介 6- 2- 4-37/49 12.2% 16.3% 24.5% 70% 87%
高橋裕 5- 7- 7-23/42 11.9% 28.6% 45.2% 109% 125%
宮本博 5- 4- 6-57/72 6.9% 12.5% 20.8% 71% 81%
須貝尚介 5- 2- 2-11/20 25.0% 35.0% 45.0% 220% 92%
河内洋 5- 2- 0-17/24 20.8% 29.2% 29.2% 270% 108%
杉山晴紀 5- 1- 0-34/40 12.5% 15.0% 15.0% 204% 64%
本間忍 4- 5- 3-42/54 7.4% 16.7% 22.2% 157% 151%
清水久詞 3- 3- 7-38/51 5.9% 11.8% 25.5% 47% 70%
寺島良 3- 2- 3-29/37 8.1% 13.5% 21.6% 60% 79%

表7は厩舎別成績(着別度数順)。1位の高橋康之厩舎、2位の橋口慎介厩舎も悪くない成績だが、回収率の高さも考慮するとより狙ってみたいのは3位の高橋裕厩舎ではないか。また、いずれも5勝かつ単勝回収率200%以上の須貝尚介厩舎河内洋厩舎杉山晴紀厩舎にも注目したい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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