データde出〜た
第1626回 G1組か牝馬限定重賞組か!? ヴィクトリアマイルを占う
2022/5/12(木)
今週日曜日に東京競馬場でヴィクトリアマイルが行われる。古馬牝馬による芝マイル女王決定戦で、昨年はグランアレグリア、一昨年はアーモンドアイが1番人気で勝利した。今年のメンバーを見渡すと、実績が図抜けている中心馬はいないので、近2年とは違い混戦が予想される。果たして勝つのはどの馬か。いつものようにデータからレースを分析したい。分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のヴィクトリアマイル好走馬
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | 前人 | 2走前レース名 | 2走着 | 2走人 |
21年 | 1 | グランアレグリア | 1 | 大阪杯G1 | 4 | 2 | マイルチG1 | 1 | 1 |
2 | ランブリングアレー | 10 | 中山牝馬HG3 | 1 | 7 | 愛知杯G3 | 2 | 6 | |
3 | マジックキャッスル | 5 | 阪神牝馬G2 | 2 | 2 | 愛知杯G3 | 1 | 2 | |
20年 | 1 | アーモンドアイ | 1 | 有馬記念G1 | 9 | 1 | 天皇賞秋G1 | 1 | 1 |
2 | サウンドキアラ | 4 | 阪神牝馬G2 | 1 | 2 | 京都牝馬G3 | 1 | 1 | |
3 | ノームコア | 5 | 高松宮記G1 | 15 | 8 | 香港MG1 | 4 | -- | |
19年 | 1 | ノームコア | 5 | 中山牝馬HG3 | 7 | 1 | 愛知杯G3 | 2 | 1 |
2 | プリモシーン | 4 | ダービーHG3 | 2 | 3 | ターコイHG3 | 8 | 1 | |
3 | クロコスミア | 11 | 阪神牝馬G2 | 5 | 6 | 中山牝馬HG3 | 6 | 8 | |
18年 | 1 | ジュールポレール | 8 | 阪神牝馬G2 | 5 | 5 | エリザベG1 | 16 | 10 |
2 | リスグラシュー | 1 | 阪神牝馬G2 | 3 | 1 | 東京新聞G3 | 1 | 3 | |
3 | レッドアヴァンセ | 7 | 阪神牝馬G2 | 2 | 11 | ユートピ1600 | 1 | 3 | |
17年 | 1 | アドマイヤリード | 6 | 阪神牝馬G2 | 2 | 3 | 飛鳥S1600 | 1 | 2 |
2 | デンコウアンジュ | 11 | 福島牝馬G3 | 4 | 8 | 阪神牝馬G2 | 7 | 10 | |
3 | ジュールポレール | 7 | 阪神牝馬G2 | 3 | 4 | うずしお1600 | 1 | 1 | |
16年 | 1 | ストレイトガール | 7 | 阪神牝馬G2 | 9 | 3 | 香スプG1 | 9 | -- |
2 | ミッキークイーン | 1 | 阪神牝馬G2 | 2 | 1 | JCG1 | 8 | 3 | |
3 | ショウナンパンドラ | 2 | 産経大阪G2 | 3 | 4 | JCG1 | 1 | 4 | |
15年 | 1 | ストレイトガール | 5 | 高松宮記G1 | 13 | 1 | 香スプG1 | 3 | -- |
2 | ケイアイエレガント | 12 | 京都牝馬G3 | 1 | 9 | 中山金杯HG3 | 13 | 17 | |
3 | ミナレット | 18 | 福島牝馬G3 | 5 | 14 | 中山牝馬HG3 | 11 | 11 | |
14年 | 1 | ヴィルシーナ | 11 | 阪神牝馬G2 | 11 | 5 | 東京新聞G3 | 11 | 9 |
2 | メイショウマンボ | 3 | 産経大阪G2 | 7 | 3 | エリザベG1 | 1 | 2 | |
3 | ストレイトガール | 6 | 高松宮記G1 | 3 | 1 | シルクロHG3 | 1 | 2 | |
13年 | 1 | ヴィルシーナ | 1 | 産経大阪G2 | 6 | 4 | エリザベG1 | 2 | 1 |
2 | ホエールキャプチャ | 12 | 阪神牝馬G2 | 14 | 6 | 船橋・クイーG3 | 13 | 3 | |
3 | マイネイサベル | 5 | 福島牝馬G3 | 2 | 3 | 中山牝馬HG3 | 1 | 6 | |
12年 | 1 | ホエールキャプチャ | 4 | 中山牝馬HG3 | 5 | 2 | エリザベG1 | 4 | 6 |
2 | ドナウブルー | 7 | 中山牝馬HG3 | 11 | 4 | 京都牝馬G3 | 1 | 2 | |
3 | マルセリーナ | 3 | 阪神牝馬G2 | 2 | 2 | 阪神カッG2 | 4 | 3 |
2016/5/15 東京11R ヴィクトリアマイル(G1)
1着 13番 ストレイトガール
表1は過去10年のヴィクトリアマイルで3着以内に好走した馬の一覧。主に前走と2走前の成績を記載した。このレースの大きな特徴を挙げると、リピーターが目立つということ。ストレイトガールは2勝3着1回で計3回、ヴィルシーナ、ホエールキャプチャ、ノームコア、ジュールポレールは2回好走と、複数回好走した馬が5頭もいる。
詳しい成績をみていくと、13年のホエールキャプチャは、2走前がクイーン賞(船橋)で13着、前走が阪神牝馬Sで14着と大敗していたこともあり、前年のヴィクトリアマイルの覇者でありながら12番人気の低評価だった。しかし、結果はヴィルシーナの2着と激走した。14年のヴィルシーナも前年の覇者という立場で出走したが、近2走の着順が悪く、11番人気まで評価を落としていた。しかし、レースでは見事な走りをみせて連覇を飾った。このように前年の好走馬が、翌年も好走するパターンが非常に目立つ。東京芝1600mのコース適性が高い馬が、力を存分に発揮するイメージがある。近走の成績が良くない馬でも一変してくるので、決して侮れない。
また、本競走は近走G1で戦ってきた馬と、牝馬限定重賞路線を歩んできた馬がぶつかる、という構図になりやすい。そして結果的には、それぞれの路線から来た馬が両方馬券に絡みやすい。G1組が上位を独占し、牝馬限定重賞組が全然こないというケースはほとんどない、と考えてみたい。
冒頭で名前を挙げたグランアレグリアやアーモンドアイはG1組の代表格。牡馬が相手のG1を勝ちまくっていて、牝馬同士では実績が図抜けていた。実力的にここは勝って当然ともいえたし、東京芝1600mの適性も極めて高かった。
16年は2走前にジャパンカップに出走していたミッキークイーンとショウナンパンドラが好走した。しかし、勝ち馬のストレイトガールに比べて、マイル戦の適性が劣っていた分、勝ち切れなかったという気もする。
14年3着、15年・16年は連覇と大活躍したストレイトガールは芝1200mのG1戦線で戦っていた馬。芝1600mの経験は少なかったが、このレースだけはとにかく良く走った。また、12年1着ホエールキャプチャ、13年1着ヴィルシーナは2走前にエリザベス女王杯に出走。両馬とも3歳時は桜花賞で2着という実績があった。中距離だけでなくマイル戦にも対応できる馬だった。
このように近2走でG1に出走していた馬は、毎年高い確率で馬券に絡んでくる傾向にあり、桜花賞などマイルG1で好走実績がある方が望ましいと考えたい。
一方、牝馬限定重賞で実績を挙げてきた馬も、毎年のように好走している。前走阪神牝馬S組は特に有力で、同年の中山牝馬Sや福島牝馬S、京都牝馬S、そして前年の愛知杯も重要。中でも近2走両方で好走している馬は注目。13年3着マイネイサベル、20年2着サウンドキアラ、21年は2着ランブリングアレーと3着マジックキャッスルが、牝馬限定重賞で連続好走していた。
17年3着ジュールポレールと18年3着レッドアヴァンセは2走前に1600万クラスを勝ち、前走阪神牝馬Sで好走。18年2着リスグラシューは、2走前に東京新聞杯を勝ち、前走阪神牝馬Sが3着だった。このように、牝馬限定重賞に限らず近2走で好走している好調馬は有力と言える。
その他には、12年2着ドナウブルー、15年2着ケイアイエレガント、19年2着プリモシーンのように、近2走中1回だけ重賞で連対していた馬もいる。また、15年3着ミナレット、17年2着デンコウアンジュ、19年3着クロコスミアは、近2走中1回だけ重賞で5着以内に入っていた。これぐらいの実績馬までマークすると、馬券の買い目が広がって大変だが、穴馬券を狙うのであれば、こうしたタイプも軽視はできない。
【結論】
それでは今年のヴィクトリアマイルを占っていくことにする。出走予定馬は表2の通り。
■表2 今年のヴィクトリアマイル出走予定馬
馬名 | 前走レース名 | 前着 | 前人 | 2走前レース名 | 2走着 | 2走人 |
アカイイト | 大阪杯G1 | 10 | 4 | 金鯱賞G2 | 3 | 5 |
アブレイズ | 福島牝馬G3 | 9 | 1 | 中山牝馬HG3 | 2 | 12 |
アンドヴァラナウト | 阪神牝馬G2 | 2 | 1 | 愛知杯HG3 | 11 | 1 |
クリノプレミアム | 福島牝馬G3 | 2 | 6 | 中山牝馬HG3 | 1 | 15 |
シャドウディーヴァ | 金鯱賞G2 | 12 | 7 | 有馬記念G1 | 12 | 13 |
ソダシ | フェブラG1 | 3 | 4 | チャンピG1 | 12 | 2 |
ソングライン | 135G3 | 1 | -- | 阪神カッG2 | 15 | 1 |
テルツェット | 中山牝馬HG3 | 5 | 3 | エリザベG1 | 11 | 4 |
デアリングタクト | QE2G1 | 3 | -- | 金鯱賞G2 | 2 | 1 |
ディヴィーナ | 豊橋S・3勝 | 1 | 4 | 武庫川S・3勝 | 6 | 1 |
デゼル | 阪神牝馬G2 | 3 | 2 | 愛知杯HG3 | 3 | 6 |
ファインルージュ | 東京新聞G3 | 2 | 1 | 秋華賞G1 | 2 | 2 |
マジックキャッスル | 阪神牝馬G2 | 5 | 4 | 愛知杯HG3 | 9 | 4 |
ミスニューヨーク | 中山牝馬HG3 | 3 | 1 | ターコイHG3 | 1 | 4 |
メイショウミモザ | 阪神牝馬G2 | 1 | 9 | 北九州短 | 13 | 3 |
レイパパレ | 大阪杯G1 | 2 | 3 | 金鯱賞G2 | 2 | 2 |
レシステンシア | 高松宮記G1 | 6 | 1 | 香港SG1 | 2 | -- |
ローザノワール | 中山牝馬HG3 | 9 | 10 | ディセン(L) | 1 | 6 |
フルゲートは18頭。他にも登録馬あり。
2021/4/11 阪神11R 桜花賞(G1)
1着 4番 ソダシ
まず近2走でG1に出走していたのはアカイイト、シャドウディーヴァ、ソダシ、テルツェット、デアリングタクト、ファインルージュ、レイパパレ、レシステンシア。この中では芝1600mのG1で好走実績があるソダシ、デアリングタクト、ファインルージュ、レシステンシアが特に有力。ただ、さらに順番をつけるとすれば、デアリングタクトは約1年1か月ぶりの休み明け、レシステンシアは昨年の本競走で6着と敗れている点を考慮し、ソダシとファインルージュを上位の評価としてみたい。
近2走ともに牝馬限定重賞で好走しているのはクリノプレミアム、デゼル、ミスニューヨーク。ただし、デゼルは昨年の本競走で8着と敗れているのがどうか。他の2頭は勢いを買って注目してみたい。
その他では、昨年の本競走で3着と好走しているマジックキャッスルに注目。今年もリピーターが出るとすればこの馬しかいない。前走阪神牝馬Sで5着とギリギリ掲示板に乗った点も好材料とみたい。ソングラインは昨年のNHKマイルCで2着の実績がある。前走はサウジアラビアのレースだが重賞(G3)で1着。左回りでは安定した成績を残している。
以上、取り上げたG1組・牝馬限定重賞組の有力馬、マイルG1実績馬をうまく組み合わせた馬券を考えてみたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。