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第1617回 G1/Jpn1につながるアンタレスSを分析!

2022/4/11(月)

今週は日曜日に阪神ダート1800mでアンタレスSが行われる。この日は中山の皐月賞に大きな注目が集まるが、アンタレスSも見逃せない楽しみなレースだ。いつものように過去10年の結果を分析し、同レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年のアンタレスSの好走馬

着順 馬名 性別 年齢 斤量 人気
21年 1 テーオーケインズ 4 56 1
2 ヒストリーメイカー 7 56 2
3 ロードブレス 5 58 6
20年 1 ウェスタールンド 8 56 3
2 アナザートゥルース 6 58 7
3 クリンチャー 6 57 2
19年 1 アナザートゥルース 5 56 6
2 グリム 4 57 2
3 ロンドンタウン 6 56 3
18年 1 グレイトパール 5 57 1
2 ミツバ 6 57 3
3 クインズサターン 5 56 5
17年 1 モルトベーネ 5 56 3
2 ロンドンタウン 4 57 6
3 ロワジャルダン 6 56 8
16年 1 アウォーディー 6 57 1
2 アスカノロマン 5 58 3
3 サージェントバッジ 4 56 5
15年 1 クリノスターオー 5 57 6
2 アジアエクスプレス 4 57 1
3 ナムラビクター 6 57 2
14年 1 ナムラビクター 5 56 2
2 トウショウフリーク 7 56 5
3 ニホンピロアワーズ 7 58 1
13年 1 ホッコータルマエ 4 57 1
2 ニホンピロアワーズ 6 59 2
3 ハートビートソング 6 56 3
12年 1 ゴルトブリッツ 5 57 1
2 アイファーソング 4 56 11
3 シルクシュナイダー 4 56 3

表1は過去10年(以下、同様)のアンタレスSで好走した馬たち。勝ち馬を中心に顔ぶれはなかなか豪華だ。2012年1着のゴルトブリッツは、次走帝王賞を優勝。13年1着ホッコータルマエは次走かしわ記念でG1/Jpn1初制覇を果たし、その後も大活躍を果たした。14年1着ナムラビクターは、同年のチャンピオンズCで2着(8番人気)と好走。

2021/4/18 阪神11R アンタレスステークス(G3) 1着 4番 テーオーケインズ 2021/4/18 阪神11R アンタレスステークス(G3)
1着 4番 テーオーケインズ

これ以降もアウォーディー(16年JBCクラシック1着)やミツバ(19年川崎記念1着)が後にG1/Jpn1を優勝。20年は1着ウェスタールンド(18年のチャンピオンズCで2着)、2着アナザートゥルース(21年チャンピオンズC3着)、3着クリンチャー(21年東京大賞典2着)とG1/Jpn1級の実力を持った馬が上位を占めた。

そして、昨年はアンタレスSで重賞初制覇を飾ったテーオーケインズが、同年の帝王賞やチャンピオンズCを制し、JRA賞最優秀ダートホースに輝いた。このように後のダートG1/Jpn1で活躍する馬が続々と出ており、アンタレスSは出世レースになっている。

■表2 アンタレスSの脚質別成績(過去10年)

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
平地・逃げ 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0 182
平地・先行 6-  5-  2- 23/ 36 16.7% 30.6% 36.1% 103 72
平地・中団 3-  3-  6- 49/ 61 4.9% 9.8% 19.7% 17 47
平地・後方 1-  0-  2- 50/ 53 1.9% 1.9% 5.7% 14 18
平地・マクリ 0-  0-  0-  0/  0          
3F  1位 6-  0-  3-  4/ 13 46.2% 46.2% 69.2% 235 150
3F  2位 2-  1-  3-  6/ 12 16.7% 25.0% 50.0% 37 91
3F  3位 1-  0-  1-  7/  9 11.1% 11.1% 22.2% 81 43
3F 〜5位 0-  4-  2- 13/ 19 0.0% 21.1% 31.6% 0 58
3F 6位〜 1-  5-  1-100/107 0.9% 5.6% 6.5% 12 35

表2はアンタレスSの脚質別成績。先行6勝、中団3勝、後方1勝と、勝ち馬の過半数は先行だった。先行は勝率16.7%、単勝回収率も103%と優秀で、連対率(30.6%)や複勝率(36.1%)も高い。先行がかなり有利なレースといっていいだろう。また、上がり3ハロンが1位だった馬の成績が【6.0.3.4】と、最後に鋭い脚を使った馬がよく勝っている。ちなみに18〜21年の勝ち馬はすべて、上がり3ハロン1位をマークしていた。18年は不良馬場、19年と20年は稍重馬場、21年は重馬場と、近4年は良馬場以外の馬場状態になっている。速い上がりを使った馬が連勝しているのは、脚抜きがいい馬場状態が続いているからかもしれない。

■表3 アンタレスSの斤量別成績(過去10年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
54kg 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
55kg 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
56kg 5-  3-  6- 98/112 4.5% 7.1% 12.5% 30 45
57kg 5-  4-  2- 19/ 30 16.7% 30.0% 36.7% 72 67
58kg 0-  2-  2- 10/ 14 0.0% 14.3% 28.6% 0 72
59kg 0-  1-  0-  1/  2 0.0% 50.0% 50.0% 0 65

※表3はアンタレスSの斤量別成績(牝馬も含むが、出走は2頭だけ)。57キロと56キロが5勝ずつをあげている。勝利数は互角だが、好走率は57キロの方が明らかに高い。一方、58キロや59キロは未勝利。アンタレスSはすでにG1/Jpn1やG2/Jpn2を勝っている実績馬(58kg以上を背負うことになる)よりも、そうでない馬の方が勝ちやすい傾向だ。

■表4 アンタレスSの前走クラス別成績(過去10年)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
3勝 0-  0-  0- 12/ 12 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
OPEN非L 3-  0-  1- 22/ 26 11.5% 11.5% 15.4% 33 31
OPEN(L) 0-  0-  0-  8/  8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
G3 1-  3-  4- 54/ 62 1.6% 6.5% 12.9% 3 51
G2 0-  0-  3-  5/  8 0.0% 0.0% 37.5% 0 118
G1 1-  2-  0-  5/  8 12.5% 37.5% 37.5% 165 77
地方 5-  5-  2- 24/ 36 13.9% 27.8% 33.3% 87 76

表4はアンタレスSの前走クラス別成績。前走3勝クラスは好走例がなく、上がり馬でも前走条件クラスは厳しい傾向。前走オープン特別組はL(リステッド)と非L組で差はあるが、3頭の勝ち馬が出ている。前走JRA組の中ではG1組が【1.2.0.5】と好成績。G3組は【1.3.4.54】と頭数はかなり多いが、好走率は低い印象だ。一方、前走地方組(主にダートの交流重賞)が【5.5.2.24】と連対馬10頭を含み、好走馬12頭を出している。好走率もJRAの前走G1組と遜色ない。

■表5 アンタレスSの前走レース別成績(過去10年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
名古屋Jpn3 4- 3- 1- 7/15 26.7% 46.7% 53.3% 160 108
仁川S 2- 0- 0- 6/ 8 25.0% 25.0% 25.0% 71 31
ダイオJpn2 1- 2- 1- 7/11 9.1% 27.3% 36.4% 68 100
チャンピG1 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 660 165
名古屋城 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 145 70
平安SG3 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 220 140
マーチSHG3 0- 3- 4-53/60 0.0% 5.0% 11.7% 0 50
フェブラG1 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0 32
JCDG1 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 130
東海SG2 0- 0- 3- 4/ 7 0.0% 0.0% 42.9% 0 135
総武S 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0 110
佐賀記Jpn3 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
韓国馬事1600 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
播磨S1600 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
甲南SH・3勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
仁川SH(L) 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
摩耶SH1600 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
仁川SH 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
コーラH(L) 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
黒船賞Jpn3 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

2015/4/18 阪神11R アンタレスステークス(G3) 1着 13番 クリノスターオー 2015/4/18 阪神11R アンタレスステークス(G3)
1着 13番 クリノスターオー

最後に表5はアンタレスSの前走レース別成績。前走地方組の中では前走名古屋大賞典(名古屋)と、前走ダイオライト記念(船橋)組の好走馬が多かった。前走JRAのG1組はフェブラリーS組だけでなく、チャンピオンズC(旧ジャパンカップダート)組の好走もあった。15年はクリノスターオーが、前走チャンピオンズ8着以来の休み明けで勝利を飾った。

そして前走仁川S組も実は出走頭数が多い。Lか非L、ハンデ戦か別定戦の違いにより、表では3つに分かれているが、いずれも阪神ダート2000mで行われたレースで、合計15回の出走があった。仁川Sが別定戦だった時代は、ゴルトブリッツ、ナムラビクターと2頭の勝ち馬を出していたが、ハンデ戦になってからは好走馬が1頭も出ていない。リステッド競走になってもこの傾向は変わらなかった。また、中山ダート1800mのハンデG3・マーチS組が【0.3.4.53】と未勝利である点も気になるところ。前走がハンデ戦という点は、本競走においてはマイナス材料と考えるべきかもしれない。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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