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第1614回 G1昇格後6回目となる大阪杯を制する馬は?

2022/3/31(木)

阪神競馬場・芝2000mを舞台に行われるG1・大阪杯。2016年まではG1へ向けたステップレースとして行われてきたが、2017年にこのレース自体がG1に昇格。その1回目の優勝馬キタサンブラックをはじめ、毎年多くの実力馬が出走し熱戦が繰り広げられている。そんな大阪杯の傾向を、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 2017年〜 同複勝率
1 3-2-3-2/10 30.0% 50.0% 80.0% 71% 96% 2-0-2-1 80.0%
2 3-2-2-3/10 30.0% 50.0% 70.0% 104% 105% 1-1-1-2 60.0%
3 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5 0.0%
4 2-1-3-4/10 20.0% 30.0% 60.0% 242% 140% 1-1-2-1 80.0%
5 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 41% 0-0-0-5 0.0%
6 1-3-1-5/10 10.0% 40.0% 50.0% 90% 165% 0-2-0-3 40.0%
7 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 28% 0-1-0-4 20.0%
8 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5 0.0%
9 1-0-0-8/9 11.1% 11.1% 11.1% 246% 50% 1-0-0-4 20.0%
10〜 0-0-0-39/39 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-24 0.0%

2017/4/2 阪神11R 大阪杯(G1) 1着 5番 キタサンブラック(1番人気) 2017/4/2 阪神11R 大阪杯(G1)
1着 5番 キタサンブラック(1番人気)

過去10年の人気別では、1、2、4、6番人気が複勝率50.0%以上をマーク。いずれもG1昇格後にかぎっても複勝率40.0%以上を記録している。逆に不振が目立つのは3番人気だが、単勝オッズでみると特にどのあたりが悪いということもなく、単に人気順で3番目になると好走馬が出ていない、という結果だ。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 2017年〜 同複勝率
4歳 5-3-5-22/35 14.3% 22.9% 37.1% 88% 67% 2-2-4-15/23 34.8%
5歳 5-5-2-29/41 12.2% 24.4% 29.3% 102% 60% 3-2-1-21/27 22.2%
6歳 0-1-3-23/27 0.0% 3.7% 14.8% 0% 34% 0-1-0-10/11 9.1%
7歳 0-1-0-14/15 0.0% 6.7% 6.7% 0% 30% 0-0-0-5/5 0.0%
8歳 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-3/3 0.0%
9歳 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 該当なし

年齢別では4歳馬と5歳馬が中心を占め、複勝率は特に4歳馬が高い。6歳以上の好走馬5頭中4頭はG2時代のもので、G1昇格後は2017年2着のステファノス1頭のみ。G1になってから6歳以上の馬は出走数自体が減少している。

■表3 馬番別成績

馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 42%
2 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 49%
3 2-2-0-6/10 20.0% 40.0% 40.0% 342% 127%
4 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 64%
5 3-1-0-6/10 30.0% 40.0% 40.0% 77% 67%
6 0-2-0-8/10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 30%
7 1-2-2-5/10 10.0% 30.0% 50.0% 24% 74%
8 1-0-3-6/10 10.0% 10.0% 40.0% 122% 70%
9 1-0-0-8/9 11.1% 11.1% 11.1% 43% 17%
10〜 2-1-1-35/39 5.1% 7.7% 10.3% 32% 20%

馬番別では3〜8番あたりが良く、1〜2番や9番より外は好走確率が下がる。ただ、G1昇格後も1〜2番は【0.1.1.8】、9〜16番が【1.1.1.26】と数頭の好走馬は出ているため、馬番だけで大きく評価を下げるのは避けたい。悩んだ際に3〜8番の馬をプラス評価するという程度が妥当だろう。

■表4 G1昇格後・3着以内好走馬の2000m以上G1実績

馬名 性齢 人気 着順 G1実績
芝2000m 芝2200〜2400m
2017 キタサンブラック 牡5 1 1 皐月賞3着 ジャパンC1着
ステファノス 牡6 7 2 天皇賞(秋)2着 宝塚記念5着
ヤマカツエース 牡5 4 3 天皇賞(秋)15着 宝塚記念13着
2018 スワーヴリチャード 牡4 1 1 皐月賞6着 日本ダービー2着
ペルシアンナイト 牡4 6 2 皐月賞2着 日本ダービー7着
アルアイン 牡4 2 3 皐月賞1着 日本ダービー5着
2019 アルアイン 牡5 9 1 皐月賞1着 日本ダービー5着
キセキ 牡5 2 2 天皇賞(秋)3着 ジャパンC2着
ワグネリアン 牡4 4 3 皐月賞7着 日本ダービー1着
2020 ラッキーライラック 牝5 2 1 秋華賞9着 エ女王杯1着
クロノジェネシス 牝4 4 2 秋華賞1着 オークス3着
ダノンキングリー 牡4 1 3 皐月賞3着 日本ダービー2着
2021 レイパパレ 牝4 4 1 未経験
モズベッロ 牡5 6 2 未経験 宝塚記念3着
コントレイル 牡4 1 3 皐月賞1着 日本ダービー1着

表4は、2017年のG1昇格後に3着以内に好走した15頭である。このうち半数を超える9頭は大阪杯と同じ芝2000mのG1で3着以内の実績を持ち、他の6頭中4頭は2200〜2400mのG1で馬券に絡んだ経験があった。残る2頭はヤマカツエースとレイパパレ。ヤマカツエースは金鯱賞連覇など2000mの重賞4勝(2017年の出走メンバー中最多)、レイパパレはデビューから無傷の5連勝中と、G1実績が不足している馬ならその他の要素でなにか目を引く実績が必要だ。

■表5 前走クラス別成績(G1昇格後)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
OPEN 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G3 1-0-0-8/9 11.1% 11.1% 11.1% 135% 25%
中央G2 3-4-4-36/47 6.4% 14.9% 23.4% 63% 59%
中央G1 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 24% 40%
海外 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

G1昇格後の前走クラス別では、中央G2組が【3.4.4.36】と好走馬15頭中11頭を占める。中央G1組は好走3頭止まりも、出走数が少ないため好走確率はG2組を上回っている。

■表6 前走G2からの3着以内好走馬(G1昇格後)

馬名 大阪杯 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2017 ステファノス 7 2 金鯱賞 3 6
ヤマカツエース 4 3 金鯱賞 1 1
2018 スワーヴリチャード 1 1 金鯱賞 1 1
ペルシアンナイト 6 2 中山記念 1 5
アルアイン 2 3 京都記念 3 2
2019 アルアイン 9 1 金鯱賞 3 5
ワグネリアン 4 3 神戸新聞杯 2 1
2020 ラッキーライラック 2 1 中山記念 2 2
クロノジェネシス 4 2 京都記念 1 1
ダノンキングリー 1 3 中山記念 1 1
2021 モズベッロ 6 2 京都記念 5 8

表6は該当馬が多かった中央G2組の好走馬11頭で、うち7頭は前走3番人気以内の連対馬(6頭は2番人気以内)。この「前走G2を3番人気以内で連対」を満たす馬は全体で【2.1.4.6】複勝率53.8%になる。他の4頭は前走馬券圏外で、本競走過去5年の6番人気以下の好走馬4頭と完全に合致する。このうちモズベッロ以外の3頭は、芝2000mのG1連対実績馬だった。

なお、表は掲載しなかったが前走G1組の好走馬3頭(キタサンブラック、キセキ、コントレイル)の共通点は「前年秋に2000m以上のG1で3着以内2回以上(連対1回以上)」とかなりハイレベル。昨年はこれを満たせなかったグランアレグリア(2番人気)、サリオス(3番人気)が4、5着に敗退した。そして前走G3組の好走馬1頭は無傷の5連勝中だったレイパパレだ。

【結論】

2021/10/31 東京11R 天皇賞(秋)(G1) 1着 5番 エフフォーリア(3番人気) 2021/10/31 東京11R 天皇賞(秋)(G1)
1着 5番 エフフォーリア(3番人気)

本年の登録馬のうち、芝2000mのG1で3着以内(表4)の実績を持つ4〜5歳馬(表2)は、エフフォーリア(4歳)とレイパパレ(5歳)の2頭。エフフォーリアは昨秋の天皇賞、有馬記念とG1を連勝中。レイパパレは前走・金鯱賞で2番人気2着と、どちらも表6本文で記した前走G1組、G2組の好走条件を満たしている。

この2頭では4歳馬のほうが好走確率は高いこと(表2)、そしてレイパパレは不振の3番人気になる可能性があることからエフフォーリアが上位だが、気になるのはエフフォーリアの父が非サンデーサイレンス系のエピファネイアという点だ。サンデーサイレンス系以外の優勝は2010年テイエムアンコール(父ノーザンダンサー系オペラハウス)までさかのぼるため、ディープインパクト産駒・レイパパレが連覇を飾る目も十分にある。

ほかに芝2200〜2400mのG1で3着以内がある4〜5歳馬はアカイイト、ウインマリリン、ステラリアだが、この3頭は表6の条件を満たせない。ならばG1初出走でもジャックドール。「5連勝中」「前走1番人気1着」「4歳」と昨年のレイパパレと同じようなタイプだ。

なお、表6で記したような前走G2馬券圏外の穴候補としてピタリと当てはまる馬は不在だが、9歳という年齢さえ気にしなければ実績面は十分なマカヒキには一応要注意。そしてモズベッロのように2000mを超える距離に実績がある馬ならレッドジェネシスだろうか。「前走G2馬券圏外」にこだわらなければウインマリリン、キングオブコージあたりも挙げられるが、いずれも強く推奨するまでには至らない印象だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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