データde出〜た
第1610回 皐月賞への出走権を手にする馬は? スプリングSを分析する
2022/3/17(木)
今週は変則の3日間開催で、重賞は4つ組まれている。今回は日曜日に中山競馬場で行われるフジテレビ賞スプリングSを分析する。ここで3着以内に入ると、皐月賞への優先出走権を得ることができる。いつものように過去10年のデータを分析して傾向を探り、今年のレースを占うことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 スプリングSの前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
新馬 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
未勝利 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 15 |
1勝 | 6- 4- 3- 39/ 52 | 11.5% | 19.2% | 25.0% | 149 | 74 |
OPEN非L | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 91 |
OPEN(L) | 0- 0- 2- 1/ 3 | 0.0% | 0.0% | 66.7% | 0 | 183 |
G3 | 2- 3- 1- 32/ 38 | 5.3% | 13.2% | 15.8% | 34 | 33 |
G2 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 22 |
G1 | 2- 3- 1- 6/ 12 | 16.7% | 41.7% | 50.0% | 47 | 75 |
まず過去10年のスプリングS(以下、同様)の前走クラス別成績(表1・中央のレースのみ)をみていこう。前走G1組の成績が全体的に良く、連対率41.7%、複勝率50.0%はなかなか優秀。ただし、回収率はやや低めだ。前走G2組は出走数が少ないこともあり、連対馬はいない。前走G3組は好走馬が6頭いるものの、好走率や回収率は目立たない。前走オープン特別組(L・非L)も連対馬はいなかった。前走1勝クラス組の出走数が最も多く、好走馬は13頭いた。また、前走1勝クラスは好走率も前走G3組より高く、単勝回収率は149%もある。スプリングSは前走1勝クラス組の取捨が、かなり重要なレースと言えるだろう。次からは前走クラス別に、気になるポイントをみていく。
■表2 前走G1組の前走着順別成績(過去10年)
前入線順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
前走1着 | 1- 1- 1- 2/ 5 | 20.0% | 40.0% | 60.0% | 68 | 88 |
前走2着 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 57 | 57 |
前走3着 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
前走4着 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 115 |
前走5着 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走10着〜 | 0- 0- 0- 0/ 0 |
表2は前走G1組の前走着順別成績。前走1着と前走2着の間には、成績に大きな差はない。前走4着も連対率・複勝率は50.0%と、前走2着と変わらない。基本的には前走着順が良い方が安心はできそうだが、前走6着以下の出走例が少なすぎるため、何とも言えないところだ。ちなみに前走は朝日杯フューチュリティSか、ホープフルSのいずれかで、前者の方が出走例は多い。
■表3 前走G3組の前走着順別成績(過去10年)
前入線順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
前走1着 | 0- 2- 0- 4/ 6 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 55 |
前走2着 | 1- 1- 0- 6/ 8 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 88 | 41 |
前走3着 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 200 | 63 |
前走4着 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 73 |
前走5着 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走10着〜 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は前走G3組の前走着順別成績。こちらは前走で3着以内に入っているのがベスト。ただし、前走1着の勝利はない。そして前走4着以下に敗れていると厳しく、巻き返すのは容易ではなさそうだ。
■表4 前走G3組の前走レース別成績(過去10年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
共同通信G3 | 1- 2- 0-15/18 | 5.6% | 16.7% | 16.7% | 39 | 24 |
ラジオNIG3 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 600 | 190 |
きさらぎG3 | 0- 1- 1- 2/ 4 | 0.0% | 25.0% | 50.0% | 0 | 165 |
京成杯G3 | 0- 0- 0-12/12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
シンザンG3 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新潟2歳G3 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
京都2歳G3 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表4は前走G3組の前走レース別成績。前走京成杯組が【0.0.0.12】と不振である点が大きな特徴。2013年はフェイムゲーム、15年はベルーフが京成杯を勝ち、次走スプリングSに出走したがともに4着と敗れた。前走共同通信杯組は3頭好走しており、このうち12年2着ディープブリランテと15年2着のリアルスティールはクラシックでも連対を果たした。
■表5 前走1勝クラス組の前走着順別成績(過去10年)
前入線順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
前走1着 | 5- 3- 0-24/32 | 15.6% | 25.0% | 25.0% | 190 | 62 |
前走2着 | 0- 0- 3- 4/ 7 | 0.0% | 0.0% | 42.9% | 0 | 164 |
前走3着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走4着 | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 553 | 236 |
前走5着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走10着〜 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走1勝クラス組の前走順別成績。当然前走1着馬の出走が最も多く、なおかつ有力だが、前走2着以下に敗れていた馬を軽視してはいけない。前走2着は3着が3回あり、複勝回収率は164%。そして前走4着馬も2頭が連対しており、20年ガロアクリーク、21年アサマノイタズラと前走水仙賞で4着だった馬が、近2年で結果を出しているのだ。ちなみにガロアクリークは東京芝2000mの新馬戦を勝利していて、アサマノイタズラはデビュー2戦目、中山芝2000mの未勝利戦を勝利していた。ガロアクリークは重賞経験(ホープフルS11着)があり、アサマノイタズラはなかった。もしかすると芝2000mの勝利実績があるかどうか、というのが本競走におけるポイントかもしれない。
なお、前走オープン特別(L・非L)組の好走馬3頭は、いずれも前走1400〜1600mのレース(ジュニアC・クロッカスS)を勝っていた。前走新馬・未勝利組で好走したのは、21年に1番人気に支持されたボーデン(3着)だけ。基本的には厳しい傾向となっている。
【結論】
それでは今年のスプリングSを占っていく。出走予定馬は表6の通り。
■表6 今年のスプリングS出走予定馬
馬名 | 前走レース | 前着 | ※1 |
アサヒ | 共同通信G3 | 5 | |
アライバル | 京成杯G3 | 4 | |
アルナシーム | つばき賞・1勝 | 2 | |
エンギダルマ | 未勝利 | 1 | ○ |
オウケンボルト | 水仙賞・1勝 | 2 | ○ |
グランドライン | ホープフG1 | 9 | |
サトノヘリオス | ホープフG1 | 13 | ○ |
サノラキ | 未勝利 | 1 | |
ソリタリオ | シンザンG3 | 2 | |
ディオ | 未勝利 | 1 | |
トーセンヴァンノ | すみれS(L) | 6 | |
ドーブネ | フューチG1 | 7 | |
ニシノスーベニア | 1勝クラス | 5 | |
ビーアストニッシド | 共同通信G3 | 3 | |
リューベック | 弥生賞G2 | 6 | ○ |
※1:芝2000mで勝利した実績
メンバー構成をみると、どうやらアサヒとアライバルが上位人気に支持されそうだ。アサヒは東スポ杯2歳S2着、アライバルは新潟2歳S2着の実績が評価されたということになるだろう。ただ、アサヒは前走共同通信杯で5着と馬券圏外だった。アライバルは前走京成杯で4着と敗れており、今回のデータでは買いづらいタイプとなった。
前走重賞組の中では前走シンザン記念2着のソリタリオ、前走共同通信杯3着のビーアストニッシドの方が上位評価となる。
それから注目の前走1勝クラス組は今年、前走1着の馬の出走がない。しかし、前走つばき賞2着のアルナシーム、前走水仙賞2着のオウケンボルトは侮れないとみるべきだろう。
そして、最後にサトノヘリオスという馬に注目してみたい。同馬は前走ホープフルSで13着と大敗したが、デビュー2戦目、中京芝2000mの未勝利戦を2歳コースレコードで勝利。続くエリカ賞(阪神芝2000m)も2歳コースレコードで制した。芝2000mでインパクトがある勝ち方をしているという意味で、本競走ではマークしてみたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。