データde出〜た
第1608回 伏兵の激走が目立つフィリーズレビューを分析する
2022/3/10(木)
阪神競馬の日曜メインで桜花賞トライアルのフィリーズレビューが行われる。上位3着までに優先出走権が与えられ、2017年には2着レーヌミノルが桜花賞を制している。今回のデータde出〜たではフィリーズレビューをピックアップし、2017年以降近5年のデータからレース傾向ならびに今年狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 フィリーズレビュー近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 |
2021 (良/18頭) |
1 | シゲルピンクルビー | 1分20秒7 | 8 | 7 | 35秒1 | 45秒2 |
2 | ヨカヨカ | クビ | 2 | 4 | 35秒3 | ||
3 | ミニーアイル | 1馬身 | 11 | 15 | 34秒6 | ||
2020 (稍重/18頭) |
1 | エーポス | 1分21秒0 | 5 | 10 | 35秒1 | 45秒0 |
2 | ヤマカツマーメイド | 1馬身1/4 | 2 | 3 | 35秒9 | ||
3 | ナイントゥファイブ | 1/2馬身 | 12 | 2 | 36秒2 | ||
2019 (稍重/18頭) |
1 | ノーワン | 1分22秒0 | 12 | 10 | 34秒5 | 46秒8 |
1 | プールヴィル | 同着 | 3 | 6 | 34秒7 | ||
3 | ジュランビル | 1/2馬身 | 6 | 3 | 35秒1 | ||
2018 (良/18頭) |
1 | リバティハイツ | 1分21秒5 | 8 | 7 | 35秒3 | 45秒4 |
2 | アンコールプリュ | 1/2馬身 | 2 | 12 | 34秒7 | ||
3 | デルニエオール | クビ | 5 | 5 | 35秒5 | ||
2017 (良/18頭) |
1 | カラクレナイ | 1分21秒0 | 2 | 14 | 34秒4 | 45秒5 |
2 | レーヌミノル | 1/2馬身 | 1 | 6 | 35秒0 | ||
3 | ゴールドケープ | 1馬身1/4 | 6 | 18 | 34秒4 |
表1はフィリーズレビュー近5年の3着以内馬一覧。毎年フルゲート18頭で行われ、勝ち時計は1分20秒7〜22秒0。前半800m46秒8とスローペースだった2019年が1分22秒0と最も遅く、ノーワンとプールヴィルの1着同着となっている。
3着以内馬の4コーナー通過順を見ると、逃げた馬が1頭もおらず、10番手以降の馬が毎年1頭は3着以内に入っている。上がり最速だった馬は【3.1.1.1】で一昨年のエーポスら3勝をあげており、連対率66.7%・複勝率83.3%と非常に高い。道中緩みのない流れで進むことが多く、上がりの脚に秀でた馬が好走しやすい傾向にあるようだ。
人気別では1番人気馬が【0.1.0.4】で、好走は17年レーヌミノルの2着1回のみ。対して、2番人気馬は【1.3.0.1】で17年カラクレナイが勝利し、連対率・複勝率は80%でトップだ。以下、8番人気馬が昨年のシゲルピンクルビーら2勝、3・5・12番人気馬が1勝ずつ。6番人気以下の伏兵が3着以内に7頭入っており、特に近3年は10番人気以下の人気薄が1頭ずつ激走している。3連単でも近3年は10万円以上の配当が続いている。
■表2 フィリーズレビュー近5年の所属別成績
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 0- 0- 0-16/16 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
栗東 | 6- 4- 5-58/73 | 8.2% | 13.7% | 20.5% | 106 | 77 |
地方 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は出走馬の所属別成績。黄色で強調したように、栗東所属の関西馬が近5年の3着以内を独占している。勝ち馬6頭は前走で京都か阪神どちらかのコースを使われていた。
一方で、美浦所属の関東馬は不振傾向。上位5番人気以内に支持された馬は5頭いたものの、いずれも着外に敗れている。
■表3 フィリーズレビュー近5年のキャリア別成績
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1戦 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2戦 | 1- 1- 0- 7/ 9 | 11.1% | 22.2% | 22.2% | 154 | 58 |
3戦 | 3- 0- 1-22/26 | 11.5% | 11.5% | 15.4% | 153 | 53 |
4戦 | 0- 0- 2-14/16 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 78 |
5戦 | 2- 2- 1-11/16 | 12.5% | 25.0% | 31.3% | 150 | 125 |
6戦 | 0- 1- 0-12/13 | 0.0% | 7.7% | 7.7% | 0 | 13 |
7戦以上 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 38 |
表3はキャリア別成績。勝ち馬6頭は2〜5戦の間におさまっており、なかでも5戦の馬は19年1着同着のノーワン、プールヴィルの2勝で勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。3戦の馬は一昨年のエーポスら最多の3勝、2戦の馬は昨年のシゲルピンクルビーが勝利している。
なお、新馬戦を勝ったばかりの1戦の馬は好走なし。6戦の馬は2着1回のみ、7戦以上の馬は3着1回のみとなっている。
■表4 フィリーズレビュー近5年の前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1200m | 0- 0- 1-19/20 | 0.0% | 0.0% | 5.0% | 0 | 25 |
1400m | 3- 1- 2-33/39 | 7.7% | 10.3% | 15.4% | 75 | 44 |
1600m | 3- 3- 2-22/30 | 10.0% | 20.0% | 26.7% | 161 | 114 |
2000m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表4は前走距離別成績。前走1400m組、前走1600m組ともに3勝ずつをあげているが、勝率・連対率・複勝率いずれも前走1600m組が上回っている。前走1600m組は近3年続けて勝利しており、18年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。3着以内馬8頭中5頭は5番人気以下の伏兵で、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。
前走1400m組は18年リバティハイツら3勝も、近2年は3着以内馬が出ていない。なお、前走1200m組で好走したのは昨年3着のミニーアイルのみ。1200mからの距離延長は厳しいようだ。
■表5 フィリーズレビュー近5年の前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 2- 1- 3-29/35 | 5.7% | 8.6% | 17.1% | 69 | 70 |
前走2着 | 2- 0- 0- 7/ 9 | 22.2% | 22.2% | 22.2% | 286 | 77 |
前走3着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走4着 | 1- 1- 1- 4/ 7 | 14.3% | 28.6% | 42.9% | 197 | 210 |
前走5着 | 0- 2- 0- 6/ 8 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 46 |
前走6〜9着 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 31 |
前走10着以下 | 1- 0- 0-17/18 | 5.6% | 5.6% | 5.6% | 77 | 18 |
表5は前走着順別成績。出走数が最も多い前走1着馬は17年カラクレナイら2勝も、複勝率17.1%はそれほど高くない。前走2着馬は19年プールヴィルら2勝、前走4着馬は一昨年のエーポスが勝利している。前走5着以内馬で全3着以内馬15頭中13頭を占めている。
前走6着以下からは昨年のシゲルピンクルビーが勝利し、17年ゴールドケープが3着。この2頭は前走阪神JFに挑んで、着外に敗れていた。
■表6 フィリーズレビュー近5年の前走馬体重別成績
前走馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
〜399kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
400〜419kg | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 40 |
420〜439kg | 1- 1- 1-19/22 | 4.5% | 9.1% | 13.6% | 15 | 33 |
440〜459kg | 2- 1- 0-24/27 | 7.4% | 11.1% | 11.1% | 133 | 40 |
460〜479kg | 2- 2- 2-17/23 | 8.7% | 17.4% | 26.1% | 76 | 87 |
480〜499kg | 1- 0- 1- 4/ 6 | 16.7% | 16.7% | 33.3% | 343 | 241 |
500〜519kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
最後に表6は前走馬体重別成績。黄色で強調した前走460kg以上の馬が昨年のシゲルピンクルビーら3勝をあげており、複勝率が高い。道中のペースが緩みづらく、多頭数の混戦になりやすいフィリーズレビューでは馬体重が重い馬の方が比較的有利に働くのではないか。
<結論>
■表7 フィリーズレビューの出走予定馬(3/9時点)
馬名 | 前走成績 |
アドヴァイス | 紅梅S 4着 |
アネゴハダ | 1勝クラス(芝1400m) 1着 |
ウィリン | 紅梅S 3着 |
キミワクイーン | 阪神JF 10着 |
コンクパール | 1勝クラス(ダ1400m) 1着 |
サウンドクレア | つばき賞(芝1800m) 6着 |
サブライムアンセム | 未勝利(芝1600m) 1着 |
スリーパーダ | ファンタジーS 7着 |
ゼロドラゴン | 1勝クラス(芝1200m) 3着 |
テイエムスパーダ | あざみ賞(芝1200m) 1着 |
ナムラクレア | 阪神JF 5着 |
ビジュノワール | フェアリーS 3着 |
ブッシュガーデン | 1勝クラス(ダ1400m) 9着 |
ホワイトターフ | かささぎ賞(芝1200m) 3着 |
マイシンフォニー | 未勝利(芝1800m) 1着 |
モチベーション | 未勝利(芝1500m) 1着 |
ラブリネスオーバー | 1勝クラス(芝1400m) 2着 |
今年のフィリーズレビューの出走予定馬は表7のとおり。
今回人気に推されそうなナムラクレアは前走阪神JFで5着。これまで1200mでフェニックス賞、小倉2歳Sを勝利しており、1600mは距離が長かった印象だ。今回と同コースで行われた昨秋のファンタジーSでは2着も自身1分21秒2と走破時計は速く、状態さえ良ければ勝利に一番近いのは間違いないだろう。
これまでのデータから伏兵で挙げたいのはサブライムアンセムとアドヴァイスの2頭。サブライムアンセムは6戦目の前走未勝利で初勝利(1着入線馬降着による繰り上がり)をあげたが、関西馬、前走1600m組、前走478kgと好走する条件は揃っている。アドヴァイスは初の1400mだった前走の紅梅Sで4着。関西馬で前走5着以内、前走460kgと買い材料は揃っており、狙ってみたい一頭だ。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。