データde出〜た
第1594回 重賞初制覇をかけた勝負!? アメリカジョッキークラブCを占う
2022/1/20(木)
今週は日曜日に中山競馬場でアメリカジョッキークラブCが行われる。1回中山開催を締めくくるレースで、昨年はアリストテレスが1番人気に応えて優勝した。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 アメリカジョッキークラブCの年齢別成績(過去10年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
4歳 | 2- 5- 3- 12/ 22 | 9.1% | 31.8% | 45.5% | 28 | 81 |
5歳 | 4- 1- 4- 20/ 29 | 13.8% | 17.2% | 31.0% | 86 | 65 |
6歳 | 3- 1- 2- 27/ 33 | 9.1% | 12.1% | 18.2% | 175 | 86 |
7歳以上 | 1- 3- 1- 51/ 56 | 1.8% | 7.1% | 8.9% | 8 | 46 |
表1は過去10年(以下、同様)のアメリカジョッキークラブCの年齢別成績。7歳以上の出走頭数がかなり多く、4歳が意外と少ないというのが特徴か。勝ち馬は5歳が最も多く、勝率も13.8%でトップ。連対率と複勝率は4歳が最も良かった。4歳は単勝の回収率が28%と低いが、少数精鋭で連軸としては狙いやすそうだ。
■表2 アメリカジョッキークラブCで好走した4歳馬(過去10年)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 注目したい実績 |
21年 | 1 | アリストテレス | 1 | 4 | 菊花賞G1 | 2 | 菊花賞2着 |
21年 | 2 | ヴェルトライゼンデ | 3 | 4 | 菊花賞G1 | 7 | 日本ダービー3着 |
20年 | 3 | ラストドラフト | 4 | 4 | 中日新聞HG3 | 2 | 京成杯1着 |
19年 | 2 | フィエールマン | 1 | 4 | 菊花賞G1 | 1 | 菊花賞1着 |
18年 | 1 | ダンビュライト | 2 | 4 | サンタク1600 | 1 | 皐月賞3着 |
18年 | 2 | ミッキースワロー | 1 | 4 | 菊花賞G1 | 6 | セントライト記念1着 |
17年 | 2 | ゼーヴィント | 1 | 4 | 福島記念HG3 | 2 | セントライト記念2着 |
17年 | 3 | ミライヘノツバサ | 3 | 4 | 迎春S1600 | 1 | |
14年 | 3 | フェイムゲーム | 6 | 4 | ディセン | 6 | 京成杯1着 |
12年 | 2 | ナカヤマナイト | 2 | 4 | ディセン | 1 | 日本ダービー4着 |
表2はアメリカジョッキークラブCで好走した4歳馬。前走レース成績、そして注目したい実績を挙げてみた。全10頭いるが、そのうち8頭が17年以降の好走馬だった。近5年で毎年1頭は3着以内に好走している。特に前走菊花賞組の活躍が目立つ。19年2着フィエールマンは前走菊花賞1着、21年アリストテレスは前走菊花賞2着と好走していた。また、18年1着ダンビュライトは皐月賞3着馬、21年2着ヴェルトライゼンデは日本ダービー3着馬だった。基本的に前年のクラシックで好走していた馬が強い。
そして、17年2着ゼーヴィントや18年2着ミッキースワローはセントライト記念連対馬。14年3着フェイムゲームと20年3着ラストドラフトは京成杯の勝ち馬だった。過去に中山芝2000m以上の重賞で連対実績がある馬も有力だ。
12年2着ナカヤマナイトは一応、日本ダービーで4着の実績があった。17年3着ミライヘノツバサだけ、過去にG1でも中山重賞でも実績がなかった。
■表3 アメリカジョッキークラブCで好走した5歳以上の馬(過去10年)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 注目したい実績 |
21年 | 3 | ラストドラフト | 6 | 5 | アルゼンHG2 | 2 | 20年アル共杯2着 |
20年 | 1 | ブラストワンピース | 1 | 5 | 凱旋門G1 | 11 | 18年有馬記念1着 |
20年 | 2 | ステイフーリッシュ | 5 | 5 | チャレンG3 | 10 | 19年京都記念2着 |
19年 | 1 | シャケトラ | 7 | 6 | 有馬記念G1 | 6 | 17年日経賞1着 |
19年 | 3 | メートルダール | 5 | 6 | 中日新聞HG3 | 5 | |
18年 | 3 | マイネルミラノ | 8 | 8 | 中山金杯HG3 | 11 | |
17年 | 1 | タンタアレグリア | 7 | 5 | 天皇賞春G1 | 4 | 16年阪神大賞典2着 |
16年 | 1 | ディサイファ | 2 | 7 | 金鯱賞G2 | 2 | 15年札幌記念1着 |
16年 | 2 | スーパームーン | 3 | 7 | ディセン | 2 | 14年アル共杯3着 |
16年 | 3 | ショウナンバッハ | 7 | 5 | JCG1 | 12 | |
15年 | 1 | クリールカイザー | 4 | 6 | ステイヤG2 | 3 | 14年アル共杯2着 |
15年 | 2 | ミトラ | 7 | 7 | 福島記念HG3 | 1 | |
15年 | 3 | エアソミュール | 2 | 6 | 金鯱賞G2 | 3 | 14年毎日王冠1着 |
14年 | 1 | ヴェルデグリーン | 2 | 6 | 有馬記念G1 | 10 | 13年オールカマー1着 |
14年 | 2 | サクラアルディート | 11 | 6 | 中山金杯HG3 | 9 | |
13年 | 1 | ダノンバラード | 3 | 5 | 金鯱賞G2 | 8 | 12年日経新春杯2着 |
13年 | 2 | トランスワープ | 5 | 8 | 天皇賞秋G1 | 17 | |
13年 | 3 | アドマイヤラクティ | 2 | 5 | 金鯱賞G2 | 3 | 12年金鯱賞3着 |
12年 | 1 | ルーラーシップ | 1 | 5 | 有馬記念G1 | 4 | 11年金鯱賞1着 |
12年 | 3 | ゲシュタルト | 4 | 5 | 中日新聞HG3 | 2 | 11年オールカマー2着 |
続いて表3はアメリカジョッキークラブCで好走した5歳以上の馬。まず、前走クラスが重要なポイントになる。前走G1組が強く、勝ち馬が5頭出ている。基本的には前年秋のG1(JRA)組が有力と見るのが普通だが、その他のレース組も軽視は禁物。17年1着(7番人気)タンタアレグリアは前走天皇賞(春)4着以来で、19年1着(7番人気)シャケトラは17年の有馬記念6着以来という長期休養明けだったが、勝利を飾った。また、20年1着(1番人気)ブラストワンピースは凱旋門賞11着以来で、海外遠征明けだったがしっかりと結果を出した。
表3で注目したい実績として記載したのは、過去に3歳(4歳)以上の芝1800m以上のG1・G2で3着以内に入った実績。表3の該当馬20頭中14頭にはこの実績があった。
前走G2組からも勝ち馬は13年1着ダノンバラード、15年1着クリールカイザー、16年1着ディサイファと3頭出ている。一方、前走G3組からは勝ち馬は出ていない(2着馬は3頭、3着馬は3頭)。前走オープン特別や、1600万クラス組も、過去に3歳(4歳)以上の芝1800m以上のG1・G2で3着以内に入った経験がないと厳しいかもしれない。
【結論】
それでは今年のアメリカジョッキークラブCを占っていく。出走予定馬は表4の通り。
■表4 今年のアメリカジョッキークラブC出走予定馬
馬名 | 年齢 | 前走レース名 | 前着 | 注目したい実績 |
アサマノイタズラ | 4 | 有馬記念G1 | 16 | セントライト記念1着 |
オーソクレース | 4 | 菊花賞G1 | 2 | セントライト記念3着、ホープフルS2着 |
キャッスルトップ | 4 | 東京大G1 | 13 | |
アンティシペイト | 5 | アルゼンHG2 | 8 | |
エヒト | 5 | サンタク・3勝 | 1 | |
ポタジェ | 5 | 天皇賞秋G1 | 6 | 21年毎日王冠3着、21年金鯱賞3着 |
キングオブコージ | 6 | 中日新聞HG3 | 5 | 20年目黒記念1着 |
スマイル | 6 | 迎春S・3勝 | 1 | |
ボッケリーニ | 6 | 中日新聞HG3 | 4 | |
ラストドラフト | 6 | 中日新聞HG3 | 9 | 20年・21年AJCC3着、20年アル共杯2着 |
マイネルファンロン | 7 | 中日新聞HG3 | 17 | |
クレッシェンドラヴ | 8 | 七夕賞HG3 | 14 | |
ソッサスブレイ | 8 | ディセン(L) | 3 | |
ダンビュライト | 8 | 名古屋G2 | 3 | 18年AJCC1着 |
まずは近年好調の4歳馬を調べていく。今年は3頭の登録があったが、芝で実績がないキャスルトップは狙いづらく、有力候補はアサマノイタズラとオーソクレースになるだろう。昨年のセントライト記念ではアサマノイタズラがオーソクレースに勝利しているが、オーソクレースは長期休養明けだった。また、オーソクレースは次走菊花賞で2着と好走し、2歳時にホープフルSでも2着の実績があることを考えると、同馬の方を高く評価してみたい。
5歳以上の馬のなかでは、ポタジェが最有力か。前走は天皇賞(秋)に出走して6着。前年は金鯱賞、毎日王冠とG2で2回3着と好走した。4歳のオーソクレースか5歳のポタジェ、どちらが重賞初制覇を果たすかという点に注目してみたい。
ラストドラフトは20年・21年のアメリカジョッキークラブCで3着。このレースとの相性が良く、3年連続の好走を狙う。ダンビュライトは18年に本競走を制している。近2走はダートに挑んだが、先行力は健在なようだ。キングオブコージは20年に目黒記念を勝っている。1年以上前の実績になってしまうが、本来の調子が戻れば巻き返しもありそうだ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。