データde出〜た
第1592回 前走オープン・重賞組が苦戦!? 京成杯を分析する
2022/1/13(木)
今週は中京競馬場で土曜に愛知杯、日曜に日経新春杯、中山競馬場で日曜に京成杯と3鞍の重賞が組まれている。今回のデータde出〜たでは、中山芝2000mで行われる3歳重賞の京成杯をピックアップ。2017年以降近5年のデータから京成杯のレース傾向ならびに今年狙えそうなタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 京成杯近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 |
2021 (良/12頭) |
1 | グラティアス | 2分3秒1 | 1 | 2 | 34秒9 | 63秒7 |
2 | タイムトゥヘヴン | 2馬身1/2 | 2 | 1 | 35秒6 | ||
3 | テンバガー | 1馬身1/4 | 6 | 5 | 35秒2 | ||
2020 (稍重/12頭) |
1 | クリスタルブラック | 2分2秒1 | 7 | 10 | 35秒4 | 61秒5 |
2 | スカイグルーヴ | 1/2馬身 | 1 | 1 | 36秒2 | ||
3 | ディアスティマ | 2馬身1/2 | 6 | 4 | 36秒4 | ||
2019 (良/12頭) |
1 | ラストドラフト | 2分1秒2 | 4 | 1 | 35秒3 | 61秒1 |
2 | ランフォザローゼス | 1馬身1/4 | 2 | 2 | 35秒4 | ||
3 | ヒンドゥタイムズ | クビ | 7 | 4 | 35秒2 | ||
2018 (良/15頭) |
1 | ジェネラーレウーノ | 2分1秒2 | 1 | 2 | 36秒3 | 59秒7 |
2 | コズミックフォース | 1/2馬身 | 2 | 11 | 35秒4 | ||
3 | イェッツト | 1/2馬身 | 6 | 8 | 35秒7 | ||
2017 (良/15頭) |
1 | コマノインパルス | 2分2秒5 | 1 | 7 | 35秒6 | 61秒6 |
2 | ガンサリュート | クビ | 7 | 11 | 35秒5 | ||
3 | マイネルスフェーン | 1/2馬身 | 3 | 11 | 35秒6 |
表1は京成杯近5年の3着以内馬一覧。稍重だった一昨年以外は良馬場で行われ、勝ちタイムは2分1秒2〜3秒1と掛かっている。勝ちタイムが最も遅い昨年は前半1000m通過63秒7とかなりのスローペースで、前残りの展開となった。好走馬の上がり3ハロンを見ると、昨年の勝ち馬グラティアスのみが34秒台で、あとはすべて35〜36秒台だった。
また4コーナー通過順では17年・18年は中団〜後方の馬が多いものの、19年以降は5番手以内の馬が9頭中8頭と大半を占めている。特に4コーナー先頭の馬が近3年続けて連対しているのも大きな特徴だ。
人気順では1番人気馬が【3.1.0.1】で昨年のグラティアスら3勝をあげ、連対率・複勝率80%。2番人気馬は【0.3.0.2】で勝ち星がないものの、連対率・複勝率60%。以下、4・7番人気馬が1勝ずつ。6番人気馬は【0.0.3.2】、7番人気馬も【1.1.1.2】でともに複勝率60%と健闘している。なお、8番人気以下は【0.0.0.31】で好走馬が出ていない。
■表2 京成杯出走馬の所属別成績(過去5年)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 5- 4- 2-31/42 | 11.9% | 21.4% | 26.2% | 86 | 51 |
栗東 | 0- 1- 3-19/23 | 0.0% | 4.3% | 17.4% | 0 | 61 |
地方 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は出走馬の所属別成績。美浦所属の関東馬が近5年すべて勝利しており、連対率・複勝率ともに関西馬を上回っている。昨年は1・2着馬が該当しており、毎年2頭以上馬券圏内に入っている。栗東所属の関西馬は勝ち星がなく、2・3着止まり。関西馬の3着以内馬4頭はいずれも6・7番人気馬で、上位5番人気以内は【0.0.0.6】ですべて着外に敗れている。
■表3 京成杯近5年の枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 1- 1- 1- 2/ 5 | 20.0% | 40.0% | 60.0% | 418 | 180 |
2枠 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0 | 90 |
3枠 | 1- 1- 0- 5/ 7 | 14.3% | 28.6% | 28.6% | 44 | 42 |
4枠 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
5枠 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 38 | 59 |
6枠 | 1- 1- 1- 7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 51 | 86 |
7枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
8枠 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 35 | 30 |
表3は枠番別成績。黄色で強調した1枠に入った馬が連対率40%・複勝率60%でトップだ。近2年も一昨年のクリスタルブラック1着、昨年のタイムトゥヘヴン2着と続けて連対している。コーナー4回で早々にペースが落ち着きやすいため、コースロスなく追走しやすい最内の1枠が有利に働くのだろう。今年も1枠の馬はチェックしておきたい。なお、4枠、7枠からは3着以内馬が出ていない。
■表4 京成杯近5年の前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
新馬 | 3- 1- 2- 7/13 | 23.1% | 30.8% | 46.2% | 223 | 126 |
未勝利 | 0- 3- 1-14/18 | 0.0% | 16.7% | 22.2% | 0 | 54 |
1勝クラス | 2- 1- 1-14/18 | 11.1% | 16.7% | 22.2% | 40 | 42 |
OPEN特別 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
G3 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
G2 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 63 |
G1 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表4は前走クラス別成績。意外なことに前走オープン・重賞組はのべ17頭で、連対がなく、3着1回のみと不振傾向にある。3着1回は17年3着マイネルスフェーン(前走ホープフルS2着)のみ。前走の格で判断しない方が良いレースだ。
対して、前走新馬戦組が近3年続けて勝利しており、複勝率46.2%と優秀だ。複勝回収率でも100%を超えている。特に前走2000mの新馬戦を勝利した馬は【1.1.1.1】と好相性だ。未勝利組は勝ち星こそないものの、複勝率22.2%。1勝クラス組は18年ジェネラーレウーノら2勝をあげ、連対率・複勝率ともに未勝利組と並んでいる。
■表5 京成杯近5年の前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 4- 4- 3-24/35 | 11.4% | 22.9% | 31.4% | 93 | 79 |
前走2着 | 1- 1- 1- 0/ 3 | 33.3% | 66.7% | 100.0% | 126 | 160 |
前走3着 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 64 |
前走4着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走5着 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走着順別成績。出走数最多の前走1着馬が近4年続けて勝利し、複勝率31.4%と優秀だ。昨年は上位3着までを独占している。前走2着馬は該当馬3頭がいずれも3着以内に入っている。前走3着馬は一昨年ディアスティマが3着に入っている。なお、前走4着以下だった馬は23頭すべて4着以下に敗れている。
■表6 京成杯近5年の前走上がり順位別成績
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3F 1位 | 2- 2- 2-10/16 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 150 | 102 |
3F 2位 | 2- 1- 2-10/15 | 13.3% | 20.0% | 33.3% | 59 | 78 |
3F 3位 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 21 |
3F 〜5位 | 1- 0- 1-10/12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 29 | 39 |
3F 6位以下 | 0- 1- 0-15/16 | 0.0% | 6.3% | 6.3% | 0 | 9 |
表6は前走上がり順位別成績。前走上がり1位だった馬は一昨年のクリスタルブラックら2勝をあげ、連対率・複勝率ともにトップ。近2年は1・2着馬が該当しており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。前走上がり2位だった馬は19年ラストドラフトら2勝をあげ、複勝率33.3%と前走上がり最速に迫っている。これら前走上がり2位以内の馬で3着以内馬15頭中11頭を占めている。
<結論>
■表7 今年の京成杯の出走予定馬(1/12時点)
馬名 | 前走成績 |
アライバル | 新潟2歳S 2着 |
ヴェローナシチー | 未勝利(芝2000m) 1着 |
ヴェールランス | エリカ賞 2着 |
オディロン | JBC2歳優駿 4着 |
オニャンコポン | ホープフルS 11着 |
サンストックトン | 未勝利(芝1800m) 1着 |
タイセイディバイン | 未勝利(芝2000m) 1着 |
テラフォーミング | 東京スポーツ杯2歳S 9着 |
テンダンス | 東京スポーツ杯2歳S 3着 |
トゥーサン | 新馬(芝2000m) 1着 |
トーセンヴァンノ | ジュニアC 5着 |
ニシノムネヲウツ | 未勝利(芝2000m) 1着 |
ハナキリ | 1勝クラス(ダ1800m) 9着 |
フジマサフリーダム | 新馬(芝2000m) 1着 |
ホウオウプレミア | 百日草特別 2着 |
ルークスヘリオス | 未勝利(芝2000m) 1着 |
ロジハービン | 未勝利(芝2000m) 1着 |
※フルゲート17頭。除外対象なし。
今年の京成杯の出走予定馬は表7のとおり。
1番人気になりそうなのは前走新潟2歳S2着のアライバル。ただ、表4で示したように不振傾向にある前走重賞組、前走上がり3位、マイルから2000mへの距離延長など不安材料が多い。前2走と同じルメール騎手が騎乗予定だが、絶対視は危険と見たい。
替わって推奨したいのがホウオウプレミア。前走の百日草特別はスタートで出遅れ、後方からの追走。かなりのスローペースで直線は上がり勝負となったが、先に抜け出したオニャンコポンにクビ差まで迫った。上がりはメンバー中最速の33秒1。まだ荒削りな面はあるが、能力は高い。前走2着、前走上がり最速も強調材料で、好勝負できる可能性は高い。
他ではサンストックトンとフジマサフリーダム。サンストックトンは新馬戦でホウオウプレミアの2着。前走3戦目の未勝利戦で勝ち上がったが、内容が非常に良かった。上がり最速で2着に2馬身、3着には5馬身差をつける快勝。格上挑戦のここでも通用しておかしくない。フジマサフリーダムは相性が良い前走新馬戦組。前走522kgと大型馬で、一回使われた上積みは大きいだろう。福島2000mと小回りで勝利しており、前走と同じくスムーズに追走できれば面白い。
あとは逃げてしぶとさを発揮するタイセイディバイン、前走で中山芝2000mを勝利しているロジハービンあたりも注意しておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。