データde出〜た
第1574回 近年波乱続きの武蔵野Sを分析する!
2021/11/8(月)
今週は土曜に東京で武蔵野S、阪神でデイリー杯2歳S、日曜に阪神でエリザベス女王杯、福島で福島記念と4鞍の重賞が組まれている。今回のデータde出〜たでは、土曜東京メインのダート重賞・武蔵野Sをピックアップ。近5年で3連単15万円以上が4回、うち2回は100万円以上と非常に波乱傾向が強い一戦特徴をデータから探っていく。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 武蔵野S近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 性齢 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 |
2020 (良/16頭) |
1 | サンライズノヴァ | 牡6 | 1分35秒0 | 3 | 12 | 35秒4 | 46秒1 |
2 | ソリストサンダー | 牡5 | 3/4馬身 | 11 | 10 | 35秒6 | ||
3 | エアスピネル | 牡7 | 1馬身1/4 | 8 | 6 | 36秒1 | ||
2019 (良/16頭) |
1 | ワンダーリーデル | 牡6 | 1分34秒6 | 9 | 9 | 35秒0 | 46秒5 |
2 | タイムフライヤー | 牡4 | 1馬身1/4 | 8 | 8 | 35秒5 | ||
3 | ダノンフェイス | 牡6 | 1/2馬身 | 13 | 12 | 35秒0 | ||
2018 (稍重/16頭) |
1 | サンライズノヴァ | 牡4 | 1分34秒7 | 1 | 12 | 34秒8 | 46秒7 |
2 | クインズサターン | 牡5 | 1馬身1/4 | 7 | 14 | 34秒9 | ||
3 | ナムラミラクル | 牡5 | クビ | 2 | 2 | 35秒9 | ||
2017 (良/16頭) |
1 | インカンテーション | 牡7 | 1分35秒5 | 6 | 2 | 35秒4 | 47秒3 |
2 | サンライズソア | 牡3 | 1/2馬身 | 8 | 3 | 35秒3 | ||
3 | アキトクレッセント | 牡5 | 1馬身3/4 | 15 | 3 | 35秒6 | ||
2016 (重/16頭) |
1 | タガノトネール | セ6 | 1分33秒8 | 8 | 1 | 35秒5 | 46秒6 |
2 | ゴールドドリーム | 牡3 | 1馬身1/4 | 2 | 8 | 34秒9 | ||
3 | カフジテイク | 牡4 | 1馬身1/2 | 6 | 16 | 34秒2 |
表1は2016年以降近5年の武蔵野Sの3着以内馬一覧。昨年はサンライズノヴァが18年以来となる2回目の勝利を決めた。同馬は近4年連続で武蔵野Sに出走しており、17年は12着、19年は5着に敗れている。
勝ちタイムは重馬場で行われた16年のみ1分33秒8と格段に速く、その後は1分34秒6〜35秒5の間におさまっている。また、好走馬の上がりは34〜35秒台が大半と、速い上がりが求められるレースだ。近3年では18年3着ナムラミラクル以外、4コーナー6番手以降からの差し・追い込みが決まっている。
17年のように先行馬がまとめて上位を独占する年もあるが、前半のペースが流れれば、差し・追い込みが決まりやすいのが武蔵野Sの大きな特徴といえるだろう。
人気順では、1番人気馬が3着以内に入ったのは18年1着サンライズノヴァのみ。毎年7番人気以下の馬が1頭は3着以内に入っており、近5年中4年は3連単で15万円以上、なかでも17年は178万3490円、19年は235万3630円と大波乱となっている。
■表2 武蔵野S近5年の所属別成績
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 0- 0- 0-22/22 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
栗東 | 5- 5- 5-43/58 | 8.6% | 17.2% | 25.9% | 144 | 177 |
表2は出走馬の所属別成績。近5年の3着以内馬15頭はいずれも栗東所属の関西馬だった。出走数が多いのは確かだが、ここまで偏るのは驚異的だ。美浦所属の関東馬は17年4着ノンコノユメ以外すべて着外に敗れていた。今年も関西馬を中心に考えたい。
■表3 武蔵野S近5年の前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1200m | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1400m | 3- 0- 4-21/28 | 10.7% | 10.7% | 25.0% | 231 | 237 |
1600m | 1- 0- 0-15/16 | 6.3% | 6.3% | 6.3% | 31 | 11 |
1700m | 0- 1- 1- 7/ 9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0 | 137 |
1800m | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1900m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2000m | 0- 3- 0- 2/ 5 | 0.0% | 60.0% | 60.0% | 0 | 242 |
2100m | 1- 1- 0- 6/ 8 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 173 | 126 |
表3は前走距離別成績。1400m組が一昨年のワンダーリーデルら最多の3勝をあげており、複勝率25.0%。この組の3着以内馬7頭中5頭は6番人気以下の伏兵だった。
1600m組は昨年のサンライズノヴァの1勝のみで、複勝率が低い。2100m組は17年インカンテーションが勝利。2000m組は勝ち星こそないものの、連対率60%と非常に高い。なお、1200m組、1800m組、1900m組からは好走馬が出ていない。
■表4 武蔵野S近5年の前走人気別成績
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1人気 | 3- 3- 0-13/19 | 15.8% | 31.6% | 31.6% | 115 | 108 |
前走2人気 | 2- 0- 0- 8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 618 | 128 |
前走3人気 | 0- 1- 1- 3/ 5 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0 | 248 |
前走4人気 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0 | 392 |
前走5人気 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9番人気 | 0- 1- 2-18/21 | 0.0% | 4.8% | 14.3% | 0 | 141 |
前走10番人気以下 | 0- 0- 0-13/13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表4は前走人気別成績。黄色で強調した前走3番人気以内の連対率が高い。前走1番人気だった馬は17年インカンテーションら3勝をあげ、連対率・複勝率31.6%と優秀だ。昨年は1着サンライズノヴァが該当しており、毎年連対している。
前走2番人気馬は16年タガノトネールら2勝。勝ち馬はすべて前走2番人気以内の馬から出ている。前走3番人気馬は複勝率40%で前走1番人気馬を上回っている。なお、前走10番人気以下からは好走馬が出ていない。
■表5 武蔵野S近5年の前走馬体重別成績
前走馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
440〜459kg | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
460〜479kg | 0- 2- 0-10/12 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0 | 87 |
480〜499kg | 1- 1- 3-23/28 | 3.6% | 7.1% | 17.9% | 130 | 84 |
500〜519kg | 1- 2- 1-13/17 | 5.9% | 17.6% | 23.5% | 81 | 221 |
520〜539kg | 3- 0- 1-10/14 | 21.4% | 21.4% | 28.6% | 237 | 222 |
540kg以上 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走馬体重別成績。前走500kg以上の馬が近4年続けて勝利しており、のべ【4.2.2.27】で複勝率22.9%。この中で前走1番人気に支持されていた馬は【3.2.0.2】で、連対率・複勝率71.4%と非常に高い。ただし、540kg以上だった馬は4頭いずれも着外に敗れている。
一方、前走馬体重480kg未満の馬からは勝ち馬が出ていない。前走540kgを境に、馬体重が減るにつれて複勝率も低下傾向にある。
■表6 武蔵野S近5年の前走から継続騎乗or乗り替わり別成績
前走騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
乗替り | 3- 5- 3-40/51 | 5.9% | 15.7% | 21.6% | 148 | 137 |
同騎手 | 2- 0- 2-25/29 | 6.9% | 6.9% | 13.8% | 27 | 114 |
最後に表6は前走から継続騎乗or乗り替わり別成績。前走から乗り替わりの馬が一昨年のワンダーリーデルら3勝をあげ、連対率・複勝率で継続騎乗の馬を上回っている。3着以内馬11頭中9頭は武蔵野Sで6番人気以下の伏兵だった。
逆に継続騎乗の馬は、18年、昨年とサンライズノヴァが2勝。3着以内馬4頭中3頭は前走オープン特別のグリーンチャンネルCを使われていた。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。