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第1541回 サマー2000シリーズ第2戦・函館記念を分析する

2021/7/15(木)

サマー2000シリーズの第2戦・函館記念。先週行われたシリーズ初戦・七夕賞も荒れるレースとして有名だが、この函館記念も負けず劣らず高配当が続出しているレースだ。昨年は2桁人気馬が1、2着を占め、3連単は343万馬券。今年はどんな結果になるのか、過去10年の傾向を分析したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 単勝オッズ別成績

単オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
〜3.9 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4.0〜4.9 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 96% 46%
5.0〜6.9 2-0-1-13/16 12.5% 12.5% 18.8% 71% 43%
7.0〜9.9 6-0-1-14/21 28.6% 28.6% 33.3% 228% 96%
10.0〜14.9 0-3-1-15/19 0.0% 15.8% 21.1% 0% 87%
15.0〜19.9 0-1-5-8/14 0.0% 7.1% 42.9% 0% 222%
20.0〜29.9 0-3-1-17/21 0.0% 14.3% 19.0% 0% 120%
30.0〜49.9 0-1-0-16/17 0.0% 5.9% 5.9% 0% 52%
50.0〜99.9 1-2-1-21/25 4.0% 12.0% 16.0% 309% 234%
100.0〜 0-0-0-14/14 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

まず表1は単勝オッズ別の成績。単勝4倍未満だった馬は好走がなく、4倍台の好走も4.8倍だった2013年の優勝馬・トウケイヘイロー1頭だけのため、ほぼ5倍以上の馬しか馬券に絡んでいない。ただ、優勝馬は10頭中9頭が4.8倍から9.6倍の範囲内で、これを大きく上回った昨年のアドマイヤジャスタ(15番人気・77.3倍)は過去10年では例外的な存在。5〜9倍台の馬が1着、穴馬が2〜3着という決着が多い。

■表2 ハンデ別成績

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
〜51kg 0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
52kg 0-2-0-11/13 0.0% 15.4% 15.4% 0 99
53kg 0-2-1-5/8 0.0% 25.0% 37.5% 0 335
54kg 4-1-2-24/31 12.9% 16.1% 22.6% 317 152
55kg 2-1-4-25/32 6.3% 9.4% 21.9% 58 92
55.5kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
56kg 3-1-1-33/38 7.9% 10.5% 13.2% 51 52
56.5kg 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0 765
57kg 0-0-1-13/14 0.0% 0.0% 7.1% 0 37
57.5kg 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 48 90
58kg 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0 102

ハンデ別でもっとも複勝率が高いのは56.5キロだが、出走2頭のうち1頭好走で50.0%のため参考外。これを除けば54キロや55キロ、該当馬はやや少ないが53キロの複勝率が高く、この53〜55キロの馬に注目したい。重ハンデなら57.5キロ以上を課された実績馬が好結果を残している。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 166%
4歳 2-3-1-14/20 10.0% 25.0% 30.0% 410% 171%
5歳 3-0-5-32/40 7.5% 7.5% 20.0% 46% 103%
6歳 2-1-2-44/49 4.1% 6.1% 10.2% 33% 48%
7歳 2-4-0-21/27 7.4% 22.2% 22.2% 62% 157%
8歳 1-1-1-9/12 8.3% 16.7% 25.0% 63% 119%
9歳以上 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 112%

年齢別では、4歳馬が複勝率30.0%など好成績を残しているが、出走馬がやや少なめな点がネック。他では出走数最多の6歳馬だけが好走確率・回収率ともかなり低いのが気にかかるが、5頭の好走馬が出ているため完全に無視もできず、他のデータも参考にしつつ取捨は考えたい。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2勝 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
3勝 0-0-1-7/8 0.0% 0.0% 12.5% 0% 52%
OPEN 2-6-3-64/75 2.7% 10.7% 14.7% 16% 79%
G3 4-2-4-32/42 9.5% 14.3% 23.8% 235% 150%
G2 4-1-0-13/18 22.2% 27.8% 27.8% 167% 89%
G1 0-1-2-12/15 0.0% 6.7% 20.0% 0% 180%

前走クラス別で好走馬が多いのはオープン特別組とG3組好走確率が高いのはG3組とG2組だ。G1組は複勝率こそ悪くないが1連対止まり。また、前走条件戦組も3着1回のみで、実績馬とのハンデ差をあまり生かせていない。なお、今年は前走でダートG1(Jpn1)・かしわ記念に出走していたカフェファラオも登録しているが、前走ダート戦出走馬は過去10年【0.0.0.4】である。

■表5 前走G3、G2からの好走馬

馬名 函館記念 前走 主な重賞実績
人気 着順 レース 人気 着順
2011 アクシオン 7 3 エプソムC 12 10 中山金杯1着
2013 トウケイヘイロー 3 1 鳴尾記念 6 1 鳴尾記念1着
アスカクリチャン 8 3 新潟大賞典 9 8 七夕賞1着
2014 ダークシャドウ 8 2 エプソムC 8 3 毎日王冠1着
2015 ハギノハイブリッド 10 2 新潟大賞典 7 10 京都新聞杯1着
2016 マイネルミラノ 3 1 エプソムC 6 3 新潟記念2着
2018 エアアンセム 5 1 エプソムC 8 5 弥生賞4着
エテルナミノル 13 3 マーメイドS 6 11 愛知杯1着
2019 ステイフーリッシュ 3 3 鳴尾記念 4 3 京都新聞杯1着
2020 アドマイヤジャスタ 15 1 鳴尾記念 13 6 ホープフルS2着
2011 キングトップガン 4 1 目黒記念 7 1 目黒記念1着
2014 ラブイズブーシェ 2 1 目黒記念 12 2 目黒記念2着
2015 ダービーフィズ 3 1 目黒記念 2 6 セントライト記念2着
2017 ルミナスウォリアー 5 1 金鯱賞 9 5 アメリカJCC4着
2018 サクラアンプルール 7 2 日経賞 6 3 札幌記念1着

表4で複勝率が高かったG3組、G2組の好走馬は表5の計15頭で、このうち13頭は重賞連対経験を持っていた。G3組は10頭中7頭が重賞優勝実績馬。G2組は単なる重賞ではなく、函館記念より格上のG2連対実績馬が5頭中4頭。G3組は重賞優勝実績、G2組ならG2連対実績を重視したい。

■表6 前走オープン特別からの好走馬

馬名 函館記念 前走
人気 着順 レース 距離 人気 着順
2011 マヤノライジン 12 2 五稜郭S 芝18 6 6
2012 トランスワープ 4 1 福島TVOP 1 3
イケトップガン 8 2 巴賞 11 5
ミッキーパンプキン 7 3 巴賞 3 6
2013 アンコイルド 7 2 巴賞 3 8
2016 ケイティープライド 13 2 巴賞 7 6
ツクバアズマオー 9 3 巴賞 4 3
2019 マイスタイル 1 1 巴賞 2 9
マイネルファンロン 9 2 巴賞 5 12
2020 ドゥオーモ 13 2 巴賞 6 9
バイオスパーク 3 3 都大路S 7 2

最後に表6は前走オープン特別組の好走馬11頭で、すべて5月以降の芝1800m戦に出走。また、前走で他場のレースに出走していたトランスワープとバイオスパークの2頭はどちらも、そのレースで馬券圏内を確保していた。

対して前走函館組の9頭は掲示板外に敗れていた馬が大半で、3着以内だったのはツクバアズマオー1頭のみ。5着以内馬もこれに加えイケトップガンしかいない。前走が函館のオープン特別だった馬について前走着順別成績を調べると、5着以内に入っていた馬は【0.1.1.28】複勝率6.7%、6〜9着は【1.4.1.17】同26.1%、そして10着以下【0.1.0.6】同14.3%。前走函館のオープン特別組なら、そこで6〜9着だった馬をまず狙いたい。

【結論】

表5にあった通り、函館記念は前走G2〜G3組の好走確率が高い。今年の登録馬で該当するのは5頭だ。このうちG2組2頭は前走目黒記念の出走馬。アイスバブル(55キロ)は今年の目黒記念こそ8着も、2019〜20年の同レースで連続2着があり表5の条件をクリアする一方、好走確率が低い6歳馬(表3)。もう1頭のディアマンミノル(54キロ)はG2で青葉賞11着が最高だが、こちらは好成績の4歳馬というプラス材料がある。どちらもハンデは「買い」(表2)のため、2頭とも馬券候補として問題なさそうだ。

G3組は3頭おり、こちらは3頭揃って6歳馬。このうちワセダインブルー(54キロ)は重賞連対実績を持たないことが減点材料で、重賞を勝っているトーセンスーリヤ(56キロ)とバイオスパーク(57キロ)は成績ひと息のハンデ56〜57キロ。G2組とG3組の比較ではG3組に減点材料が多く、G2組のほうが馬券に絡む確率は高そうだ。

2020/5/10 新潟11R 新潟大賞典(G3) 1着 9番 トーセンスーリヤ(10番人気)

オープン特別組で前走芝1800mかつ、他場で馬券圏内か函館で6〜9着(表6)だった馬は巴賞組の2頭。ジェットモーション(5歳・54キロ)、ドゥオーモ(8歳・53キロ)はどちらも年齢、ハンデとも問題なく、上記G3組の3頭より上位の評価をしても良さそうだ。

ただ、これらの各馬は恐らくほとんどが人気薄になる。表1本文で触れたように過去10年の優勝馬は10頭中9頭が単勝4.8倍から9.6倍から出ており、上記7頭からここに入る馬がいるとすればトーセンスーリヤだろうか。6歳馬やハンデ56キロの馬は好走確率こそ低いものの、それぞれ2頭、3頭が優勝しているため、実際にトーセンスーリヤの単勝オッズがこのゾーンに入るようなら有力な1着候補としたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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