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第1428回 マーメイドSで波乱を演出する馬は?

2020/6/11(木)

中央競馬で行われている「牝馬限定のハンデ重賞」は中山牝馬S、マーメイドS、愛知杯、そして2015年に重賞に昇格したターコイズSの4競走。いずれも3連単100万馬券以上を記録したことがあり、荒れ模様のレースばかりだ。今週、阪神競馬場で行われるのはマーメイドS。JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して、波乱の立役者になり得る馬を探ってみたい。

■表1 1〜3着馬の人気と主な配当

1〜3着馬人気 主な配当
1着 2着 3着 単勝 馬連 3連単
2010 3 14 4 640円 8,410円 91,010円
2011 2 7 13 560円 3,490円 425,710円
2012 1 7 10 230円 1,720円 45,350円
2013 7 10 1 1,240円 18,390円 193,030円
2014 1 13 2 330円 12,920円 127,050円
2015 8 1 10 1,560円 3,650円 151,990円
2016 6 7 5 1,080円 6,030円 147,190円
2017 3 2 6 570円 1,270円 14,720円
2018 10 9 4 1,710円 10,840円 263,970円
2019 7 10 5 1,420円 19,380円 391,310円

2019/6/9 阪神11R マーメイドステークス(G3) 1着 3番 サラス 7番人気

まず過去10年の3連単の配当をみると、8回は9万馬券以上。ただ、冒頭に触れた100万馬券は12年前(2008年、193万350円)のこと。ここ10年では9年前の42万馬券が最高だ。3着以内馬でもっとも人気がなかったのは、2010年2着のセラフィックロンプ(14番人気)だが、同馬の単勝オッズは37.9倍。人気が割れる年が多いため、人気順でみれば下位にあたる馬が激走しても、とてつもない超高額配当には至っていない。なお、人気別で複勝率が高いのは、【2.3.0.5】の7番人気と、【1.2.2.5】の10番人気で、ともに50.0%。昨年はその7番人気のサラスが優勝、ハナ差の2着には10番人気のレッドランディーニが入った。

■表2 単勝オッズ別成績

単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2.0〜2.9 1-0-1-0/2 50.0% 50.0% 100.0% 115% 145%
3.0〜3.9 1-1-0-1/3 33.3% 66.7% 66.7% 110% 103%
4.0〜4.9 0-1-1-6/8 0.0% 12.5% 25.0% 0% 42%
5.0〜6.9 3-0-0-12/15 20.0% 20.0% 20.0% 118% 43%
7.0〜9.9 0-0-4-15/19 0.0% 0.0% 21.1% 0% 60%
10.0〜14.9 3-4-1-21/29 10.3% 24.1% 27.6% 128% 111%
15.0〜19.9 2-0-0-7/9 22.2% 22.2% 22.2% 363% 104%
20.0〜29.9 0-2-2-12/16 0.0% 12.5% 25.0% 0% 158%
30.0〜49.9 0-1-0-18/19 0.0% 5.3% 5.3% 0% 43%
50.0〜99.9 0-1-1-17/19 0.0% 5.3% 10.5% 0% 162%
100.0〜 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2.0〜3.9 2-1-1-1/5 40.0% 60.0% 80.0% 112% 120%
4.0〜9.9 3-1-5-33/42 7.1% 9.5% 21.4% 42% 50%
10.0〜29.9 5-6-3-40/54 9.3% 20.4% 25.9% 129% 124%
30.0〜 0-2-1-40/43 0.0% 4.7% 7.0% 0% 90%

表2は単勝オッズ別の成績で、好成績を残しているのは2〜3倍台、そして10倍以上30倍未満の馬だ。「単勝7番人気」や「10番人気」とピンポイントになるよりは、このくらいの幅があったほうが予想ファクターとして使いやすいだろう。
また単勝100倍以上だった馬は、それぞれ別の年の5頭のみ。過去10年のうち5回は最低人気馬でも単勝100倍未満ということから、人気が割れがちなレースであることをうかがい知れる。

■表3 単勝2〜3倍台の支持を受けた馬

馬名 キャリア 年齢 ハンデ 人気 単オッズ 着順 前走 人気 着順
2011 アスカトップレディ 15戦 4 53 1 3.5 7 パールS 3 1
2012 グルヴェイグ 10戦 4 53 1 2.3 1 ホンコンJCT 1 1
2013 アロマティコ 13戦 4 54 1 2.8 3 ヴィクトリアM 9 10
2014 ディアデラマドレ 8戦 4 53 1 3.3 1 パールS 1 2
2015 マリアライト 10戦 4 53 1 3.5 2 緑風S 2 1

表2で好成績だった単勝2〜3倍台の支持を受けた馬は、表3の5頭である。【2.1.1.1】という成績や単複の回収率をみれば、特にこれ以外の条件をつけず「買い」と判断しても良いくらいだろう。この中で唯一、馬券に絡めなかったアスカトップレディはキャリア15戦。あえて言えば、キャリアが浅い馬のほうが信頼性は高そうだ。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 単勝オッズ10.0〜29.9倍 その他
着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 着別度数 複勝率
1勝(500万) 該当なし 0-0-0-1/1 0.0%
2勝(1000万) 0-2-0-5/7 0.0% 28.6% 28.6% 0% 182% 1-1-1-10/13 23.1%
3勝(1600万) 4-1-2-14/21 19.0% 23.8% 33.3% 274% 147% 1-1-1-31/34 8.8%
OPEN 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 124% 153% 2-1-0-5/8 37.5%
G3 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 50% 0-1-0-14/15 6.7%
G2 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 1-0-3-3/7 57.1%
G1 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 66% 0-0-2-10/12 16.7%

2018/6/10 阪神11R マーメイドステークス(G3) 1着 3番 アンドリエッテ 単勝17.1倍

一方、単勝10.0〜29.9倍の馬では、まず前走クラス別成績に注目したい。これに該当する好走馬14頭中12頭は前走でオープン特別か条件戦に出走していた。特に3勝クラス出走馬が【4.1.2.14】で複勝率33.3%を記録している。対して、重賞に出走していた馬は【0.2.0.14】で複勝率は12.5%にとどまる。

■表5 前走距離別成績

前走距離 単勝オッズ10.0〜29.9倍 その他
着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 着別度数 複勝率
1400m 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-3/3 0.0%
1600m 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 50% 0-0-5-16/21 23.8%
1700m 該当なし 0-0-0-1/1 0.0%
1800m 5-3-3-18/29 17.2% 27.6% 37.9% 241% 173% 3-3-1-33/40 17.5%
(芝18・パールS) 4-1-2-7/14 28.6% 35.7% 50.0% 412% 220% 1-0-1-10/12 16.7%
2000m 0-2-0-10/12 0.0% 16.7% 16.7% 0% 106% 2-0-0-16/18 11.1%
2400m 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-1-0-5/6 16.7%
2500m 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-1-0/1 100.0%

もうひとつ、単勝10.0〜29.9倍の馬で注目したいのは前走の出走距離で、1800m戦出走馬が【5.3.3.18】複勝率37.9%。この表4と表5を合わせ、「単勝10.0〜29.9倍、前走1800m、前走オープン特別か条件戦」のすべてを満たす馬は、【5.2.3.14】で複勝率41.7%、単複の回収率はそれぞれ292%、192%。該当する馬がいればぜひ狙っていきたい。特に3勝クラス・パールS出走馬への注目は欠かせない

■表6 馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
〜439kg 0-1-1-15/17 0.0% 5.9% 11.8% 0% 38%
440〜459kg 5-4-1-22/32 15.6% 28.1% 31.3% 110% 139%
460〜479kg 3-3-8-33/47 6.4% 12.8% 29.8% 81% 128%
480kg〜 2-2-0-44/48 4.2% 8.3% 8.3% 41% 45%

ここからは、単勝オッズを問わない注目データを2つ見ておきたい。1つめは馬体重別の成績で、440〜450キロ台で出走した馬は複勝率31.3%、そして回収率は単複とも100%超。その上の460〜470キロ台も上々の成績だ。対して440キロ未満の軽量馬や、480キロ以上の大型馬は複勝率10%前後と苦戦傾向にある。

■表7 ハンデ別成績

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
48kg 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
49kg 0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
50kg 0-2-1-18/21 0.0% 9.5% 14.3% 0% 100%
51kg 2-2-0-16/20 10.0% 20.0% 20.0% 156% 116%
52kg 0-0-1-15/16 0.0% 0.0% 6.3% 0% 112%
53kg 5-3-3-17/28 17.9% 28.6% 39.3% 137% 137%
54kg 0-1-3-11/15 0.0% 6.7% 26.7% 0% 56%
55kg 2-1-1-12/16 12.5% 18.8% 25.0% 70% 86%
55.5kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
56kg 1-1-1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 88% 72%
57kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
〜49kg 0-0-0-12/12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
50〜53kg 7-7-5-66/85 8.2% 16.5% 22.4% 82% 118%
54kg〜 3-3-5-36/47 6.4% 12.8% 23.4% 50% 69%

もうひとつ、ハンデ別の成績を調べると、53キロの馬が【5.3.3.17】複勝率39.3%でトップ、次位は54キロの同26.7%だが連対馬は1頭しか出ていない。また、50キロから53キロまではいずれも複勝回収率100%以上を記録し、この50〜53キロで計【7.7.5.66】と好走馬の3分の2近くを占めている。50キロ未満は好走なし、そして54キロ以上は複勝率こそ互角でも複勝回収率は70%を割ってしまうため、ハンデは50〜53キロの馬に注目したい。

【結論】

マーメイドSは単勝オッズ10.0〜29.9倍だった馬の回収率が高く、好走確率も上々。中でも、前走が1800m戦だった馬や、前走で重賞以外に出走していた馬が好成績を残している(表4、5)。混戦模様の一戦で単勝オッズはフタを開けてみないとわからない上、一部の格上挑戦馬が抽選や除外対象にもなっているため馬名は挙げづらいが、5頭が登録してきたパールS(3勝クラス・芝1800m)組などから、単勝10.0〜29.9倍に該当する馬を中心視したい。
その他の注目馬は、表7で好成績だったハンデ53キロのミスマンマミーアリュヌルージュ、そして馬体重450キロ前後での出走馬(表6)。また、もし単勝2〜3倍台に支持される馬(表2、3)がいれば馬券候補からは外せない。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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