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第1425回 年齢に着目して昨年の夏競馬を振り返る

2020/6/1(月)

日本ダービーでコントレイルによる無敗の二冠達成を見届けたあとは、夏競馬の開幕となる。その夏競馬においては昨年、4歳馬の降級廃止という大きなルール変更が施された。そこで今回は、「年齢」に着目して昨年の夏競馬を振り返ってみたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
18年 3歳 149- 136- 120-1116/1521 9.8% 18.7% 26.6% 63% 71%
4歳 196- 184- 185-1565/2130 9.2% 17.8% 26.5% 61% 73%
5歳 70-  92-  91-1078/1331 5.3% 12.2% 19.0% 82% 74%
6歳 23-  26-  37- 558/ 644 3.6% 7.6% 13.4% 51% 59%
7歳以上 9-   8-  14- 341/ 372 2.4% 4.6% 8.3% 71% 47%
19年 3歳 204- 141- 139-1121/1605 12.7% 21.5% 30.2% 78% 72%
4歳 122- 137- 134-1561/1954 6.2% 13.3% 20.1% 49% 73%
5歳 89- 117- 117-1062/1385 6.4% 14.9% 23.3% 76% 85%
6歳 18-  31-  36- 503/ 588 3.1% 8.3% 14.5% 35% 50%
7歳以上 4-  11-  12- 297/ 324 1.2% 4.6% 8.3% 73% 68%

表1は、夏競馬における年齢別成績を2018年と2019年で比較したもの。なお、集計対象とするのは3歳以上の平地戦のみで、2、3歳限定の平地戦および障害戦は対象外とする(表2以降も同様)。

降級廃止が直接関わることとなった4歳の成績を確認すると、18年の196勝から19年は122勝と、74勝もの大幅ダウン。やはり、制度変更の影響は大きかったと考えざるをえないようだ。そして、失われた4歳の74勝がどこへいったかというと、3歳が149勝から204勝へ55勝の大幅増、5歳も70勝から89勝へ19勝増となり、合わせてぴったり74勝分がここに移った格好となった。

■表2 人気別成績(3、4歳限定)

年齢 人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 1番人気 91-  31-  34-  86/ 242 37.6% 50.4% 64.5% 89% 84%
2番人気 36-  37-  24- 115/ 212 17.0% 34.4% 45.8% 69% 74%
3番人気 24-  17-  25-  87/ 153 15.7% 26.8% 43.1% 98% 88%
4番人気 21-  19-  17- 100/ 157 13.4% 25.5% 36.3% 110% 80%
5番人気 9-   5-   9-  96/ 119 7.6% 11.8% 19.3% 77% 54%
6番人気 9-  13-   9-  86/ 117 7.7% 18.8% 26.5% 110% 94%
7番人気 5-   5-   7-  98/ 115 4.3% 8.7% 14.8% 66% 62%
8番人気 5-   4-   5-  77/  91 5.5% 9.9% 15.4% 115% 87%
9番人気 1-   5-   1-  76/  83 1.2% 7.2% 8.4% 53% 60%
10番人気〜 3-   5-   8- 300/ 316 0.9% 2.5% 5.1% 36% 51%
4歳 1番人気 36-  19-  14-  40/ 109 33.0% 50.5% 63.3% 98% 86%
2番人気 26-  16-  12-  66/ 120 21.7% 35.0% 45.0% 95% 74%
3番人気 23-  18-  18-  85/ 144 16.0% 28.5% 41.0% 86% 80%
4番人気 11-  14-  15-  93/ 133 8.3% 18.8% 30.1% 66% 62%
5番人気 8-  16-  24- 110/ 158 5.1% 15.2% 30.4% 46% 83%
6番人気 4-  12-   7- 114/ 137 2.9% 11.7% 16.8% 43% 64%
7番人気 4-  13-   8- 115/ 140 2.9% 12.1% 17.9% 42% 75%
8番人気 5-  11-   9- 121/ 146 3.4% 11.0% 17.1% 97% 87%
9番人気 0-   4-  11- 137/ 152 0.0% 2.6% 9.9% 0% 60%
10番人気〜 5-  14-  16- 680/ 715 0.7% 2.7% 4.9% 26% 69%

ここからは2019年の夏競馬のデータを見ていく。表2は、3歳と4歳の人気別成績をそれぞれ示したもの。まず3歳から見ていくと、1番人気で勝率37.6%、単勝回収率89%と優秀な数値を残しており、1着91回に対して2着31回、3着34回というところからも本命視された3歳がきっちり勝ち切っていることがわかる。その反動なのか、2番人気は勝率17.0%、単勝回収率69%とやや不振傾向も見られるが、3番人気は勝率15.7%、単勝回収率98%、4番人気も勝率13.4%、単勝回収率110%の好成績。また、6番人気や8番人気も単勝回収率110%以上を残しており、3歳はダークホースも侮れない。

一方、表1のデータでは降級廃止の影響を避けられなかった4歳だが、1番人気で勝率33.0%、単勝回収率98%、2番人気で勝率21.7%、単勝回収率95%、3番人気も勝率16.0%、単勝回収率86%と好調。4番人気以下の数値は概して振るわないものの、1〜3番人気に推された4歳は十分信頼できるようだ。

■表3 1勝クラス・年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 154- 119- 114- 995/1382 11.1% 19.8% 28.0% 74% 70%
4歳 58-  70-  71- 932/1131 5.1% 11.3% 17.6% 42% 72%
5歳 33-  49-  53- 480/ 615 5.4% 13.3% 22.0% 50% 86%
6歳 4-   9-  11- 145/ 169 2.4% 7.7% 14.2% 55% 66%
7歳以上 1-   3-   2-  38/  44 2.3% 9.1% 13.6% 38% 78%

表3は1勝クラスの年齢別成績。3歳の好走率が頭ひとつ抜けており、単勝回収率でもやや有利な状況になっている。古馬に関しては、4歳より5歳のほうが好走率は若干高いのだが、それ以上に6歳や7歳以上を含めて全体に単勝回収率が低い点が気にかかる。そこで1勝クラスにおける4歳以上の人気別成績を確認したところ、1〜3番人気なら単勝回収率95%と優秀なのだが、4番人気以下では単勝回収率38%にとどまることがわかった。つまり、1勝クラスの古馬に関しては、特に1着で狙う場合、上位人気馬中心にしたほうがよさそうだ。

■表4 2勝クラス・年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 46-  16-  21-  98/ 181 25.4% 34.3% 45.9% 110% 85%
4歳 31-  41-  40- 433/ 545 5.7% 13.2% 20.6% 45% 65%
5歳 31-  43-  36- 363/ 473 6.6% 15.6% 23.3% 79% 80%
6歳 3-   9-  12- 161/ 185 1.6% 6.5% 13.0% 15% 31%
7歳以上 1-   3-   3-  86/  93 1.1% 4.3% 7.5% 59% 60%

表4は2勝クラスの年齢別成績。1勝クラス以上に3歳馬が好成績を収めており、勝率25.4%、単勝回収率110%は非常に優秀だ。また、3歳が挙げた46勝を見ると、前走で1勝クラスを勝ち上がった馬が26勝を挙げており、連勝を飾る3歳が多かったことも特筆すべきだろう。あるいは、前走で2、3歳限定のオープンクラスに出走していた3歳も、勝率36.6%、単勝回収率191%と抜群だ。これに対して4歳は、このクラスでも5歳に好走率でおくれをとっており、単複の回収率からも期待を裏切るケースが多かったことが見てとれる。

■表5 3勝クラス・年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 3-  3-  4- 13/ 23 13.0% 26.1% 43.5% 69% 81%
4歳 17- 11- 12-108/148 11.5% 18.9% 27.0% 80% 82%
5歳 12- 15- 14-113/154 7.8% 17.5% 26.6% 175% 85%
6歳 3-  6-  4- 72/ 85 3.5% 10.6% 15.3% 9% 46%
7歳以上 1-  1-  2- 69/ 73 1.4% 2.7% 5.5% 156% 54%

2019/8/31 新潟11R 長岡ステークス 1着 9番 ロードマイウェイ

表5は3勝クラスの年齢別成績。このクラスになると3歳の出走は少ないものの、それでも出てくれば好走率は高い。その一例として、長岡Sを4番人気で制したロードマイウェイを挙げておく。また、1、2勝クラスでは苦戦傾向だった4歳だが、このクラスでは3歳に迫る勝率11.5%を記録し、5歳に対しても好走率で上回っている。

■表6 オープン特別・年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4歳 4-  7-  3- 32/ 46 8.7% 23.9% 30.4% 41% 101%
5歳 8-  4-  7- 56/ 75 10.7% 16.0% 25.3% 98% 118%
6歳 6-  5-  4- 61/ 76 7.9% 14.5% 19.7% 57% 72%
7歳以上 1-  3-  5- 53/ 62 1.6% 6.5% 14.5% 83% 140%

※リステッド競走を含む

表6はオープン特別の年齢別成績で、リステッド競走も含めている。3歳の出走は5頭しかなく、好走例はなかった。主力となるのは4〜6歳で、安定感では4歳に分があり、1着が多いのは5歳という傾向だ。また、4歳、5歳、7歳以上はいずれも複勝回収率100%以上を記録しており、いわゆるヒモ穴が多い傾向にも気をつけたい。

■表7 重賞・年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 1-  3-  0- 10/ 14 7.1% 28.6% 28.6% 35% 66%
4歳 12-  8-  8- 56/ 84 14.3% 23.8% 33.3% 103% 88%
5歳 5-  6-  7- 50/ 68 7.4% 16.2% 26.5% 41% 76%
6歳 2-  2-  5- 64/ 73 2.7% 5.5% 12.3% 47% 42%
7歳以上 0-  1-  0- 51/ 52 0.0% 1.9% 1.9% 0% 5%

2019/8/4 小倉11R 小倉記念(G3) 1着 8番 メールドグラース

表7は重賞の年齢別成績。こちらも3歳の出走例は多くはないが、好走率は悪くなく、中京記念では1着グルーヴィット、2着クリノガウディーの3歳馬ワンツーもあった。重賞で中心となるのは4歳馬で、好走率、回収率ともに優秀。確かに、鳴尾記念と小倉記念を制し、その前の新潟大賞典を含めて重賞3連勝を飾ったメールドグラースや、札幌記念を勝ったブラストワンピースなど4歳の活躍は目立っていた。以下、5歳もまずまずの成績だが、オープン特別に比べて高齢馬は苦戦しており、特に7歳以上になると52走して好走は2着1回しかなかった。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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