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第1414回 人気薄の激走が目立つフローラSの穴候補は?
2020/4/23(木)
G1の谷間となる今週は春の東京、京都開催が開幕。土曜には福島牝馬S、日曜にはフローラS、マイラーズCと3鞍の重賞が行われる。今回はオークストライアルのフローラSをピックアップ。上位2着までにオークスの優先出走権が与えられるが、過去10年でみても3連単10万円以上が6回、うち2回は100万円以上と波乱傾向が強い一戦だ。今回は過去10年のデータからフローラSにおける馬券の狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 フローラSの人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1番人気 | 4- 1- 0- 5/ 10 | 40.0% | 50.0% | 50.0% | 106% | 71% |
2番人気 | 1- 4- 2- 3/ 10 | 10.0% | 50.0% | 70.0% | 60% | 131% |
3番人気 | 2- 0- 2- 6/ 10 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 124% | 94% |
4番人気 | 1- 1- 0- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 91% | 59% |
5番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 26% |
6番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 32% |
7番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
8番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
9番人気 | 1- 0- 2- 7/ 10 | 10.0% | 10.0% | 30.0% | 269% | 179% |
10番人気以下 | 1- 3- 3- 76/ 83 | 1.2% | 4.8% | 8.4% | 44% | 150% |
まず表1はフローラS過去10年の人気別成績。1番人気馬が一昨年のサトノワルキューレら最多の4勝をあげ、連対率・複勝率50%。2番人気馬は15年シングウィズジョイの1勝のみも、複勝率は70%でトップだ。以下、3番人気馬が昨年のウィクトーリアら2勝、4・9・12番人気馬が1勝ずつ。2・3着馬も下位人気まで幅広く分布。特に9番人気以下の人気薄が2勝、2着3回、3着5回と10頭も馬券圏内に入っている。
逆に5〜8番人気馬はのべ【0.1.1.38】。専門紙の予想などでは、△などが並び伏兵視されるゾーンではあるが、勝ち星がなく、不振傾向にある。むしろ9番人気以下でほぼ無印になるような人気薄の方が激走している。昨年は9番人気ジョディーが3着に激走。2010年・15年を除いて、毎年9番人気以下の人気薄が激走している。思い切った人気薄を狙ってみても面白いレースだ。
■表2 フローラSの枠番別成績(過去10年)
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1枠 | 2- 2- 1-15/20 | 10.0% | 20.0% | 25.0% | 231% | 290% |
2枠 | 2- 0- 0-18/20 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 47% | 21% |
3枠 | 2- 3- 4-10/19 | 10.5% | 26.3% | 47.4% | 43% | 290% |
4枠 | 1- 1- 0-18/20 | 5.0% | 10.0% | 10.0% | 134% | 75% |
5枠 | 0- 2- 1-17/20 | 0.0% | 10.0% | 15.0% | 0% | 45% |
6枠 | 1- 1- 0-18/20 | 5.0% | 10.0% | 10.0% | 18% | 19% |
7枠 | 0- 0- 2-24/26 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0% | 13% |
8枠 | 2- 1- 2-23/28 | 7.1% | 10.7% | 17.9% | 27% | 124% |
表2は枠順別成績。黄色で強調した内めの1〜3枠で過半数の6勝をあげている。特に3枠に入った馬は12年ミッドサマーフェアら2勝をあげ、複勝率47.4%と優秀だ。1枠・3枠ともに複勝回収率290%と非常に高く、9番人気以下の人気薄も1枠から2頭、3枠から3頭好走している。外めでは大外の8枠が16年チェッキーノら2勝で、複勝率は17.9%だ。
■表3 フローラSのキャリア別成績(過去10年)
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1戦 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
2戦 | 1- 0- 0- 19/ 20 | 5.0% | 5.0% | 5.0% | 45% | 17% |
3戦 | 4- 3- 3- 25/ 35 | 11.4% | 20.0% | 28.6% | 40% | 94% |
4戦 | 3- 0- 2- 21/ 26 | 11.5% | 11.5% | 19.2% | 272% | 173% |
5戦 | 0- 3- 2- 25/ 30 | 0.0% | 10.0% | 16.7% | 0% | 48% |
6戦 | 0- 1- 1- 17/ 19 | 0.0% | 5.3% | 10.5% | 0% | 21% |
7戦 | 2- 1- 1- 12/ 16 | 12.5% | 18.8% | 25.0% | 51% | 323% |
8戦 | 0- 2- 1- 7/ 10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0% | 319% |
9戦以上 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3はキャリア別成績。1戦の馬は7頭すべて着外に敗れ、2戦の馬も3着以内に入ったのは14年1着サングレアルのみ。対して、3・4戦の馬で合わせて7勝と多くの勝ち星をあげている。
また、7・8戦の馬は複勝率が高く、複勝回収率も300%以上と優秀だ。なお、9戦以上の馬からは3着以内馬が出ていない。
■表4 フローラSの前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
新馬 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
未勝利 | 2- 1- 1- 24/ 28 | 7.1% | 10.7% | 14.3% | 109% | 92% |
500万下 | 6- 6- 4- 59/ 75 | 8.0% | 16.0% | 21.3% | 85% | 161% |
オープン特別 | 1- 0- 0- 15/ 16 | 6.3% | 6.3% | 6.3% | 35% | 14% |
G3 | 1- 3- 5- 34/ 43 | 2.3% | 9.3% | 20.9% | 4% | 80% |
G2 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
G1 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走クラス別成績。未勝利組は13年デニムアンドルビーら2勝、出走数最多の500万下(現1勝クラス)組は昨年のウィクトーリアら6勝と、前走が下のクラスだった馬の勝ち星が目立つ。対して、オープン特別組は16年チェッキーノ(前走アネモネS1着)の1勝のみ。前走G3組も10年サンテミリオン(前走フラワーC3着)の1勝に終わっている。
G2組・G1組の3着以内馬がいないことからも、前走の格はまったく関係ないレースだ。波乱傾向が強い最大の要因はここにあるといえる。
■表5 フローラSの前走着順別成績(過去10年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 8- 4- 1- 41/ 54 | 14.8% | 22.2% | 24.1% | 168% | 93% |
前走2着 | 0- 3- 2- 18/ 23 | 0.0% | 13.0% | 21.7% | 0% | 66% |
前走3着 | 1- 1- 2- 11/ 15 | 6.7% | 13.3% | 26.7% | 12% | 48% |
前走4着 | 1- 1- 0- 17/ 19 | 5.3% | 10.5% | 10.5% | 47% | 27% |
前走5着 | 0- 0- 2- 13/ 15 | 0.0% | 0.0% | 13.3% | 0% | 46% |
前走6〜9着 | 0- 1- 3- 26/ 30 | 0.0% | 3.3% | 13.3% | 0% | 328% |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 17/ 17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は前走着順別成績。前走1着だった馬が近5年の勝ち馬を含む8勝と勝ち切る傾向が強い。勝率・連対率もトップで、3着以内馬13頭中4頭は9番人気以下の人気薄だった。複勝率トップは前走3着馬だが、好走した4頭はいずれも5番人気以内の人気馬だった。
複勝回収率328%で注目したいのが前走6〜9着だった馬。3着以内に入った4頭はいずれも13番人気以下だった。前走6〜9着の馬は大穴候補でチェックしておきたい。なお、前走10着以下だった馬はすべて馬券圏外に敗れている。
■表6 500万下(現1勝クラス)組の前走着順別成績(過去10年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 5- 3- 0-13/21 | 23.8% | 38.1% | 38.1% | 261% | 107% |
前走2着 | 0- 2- 2-10/14 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0% | 97% |
前走3着 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 182% | 68% |
前走5着 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走6〜9着 | 0- 1- 2-12/15 | 0.0% | 6.7% | 20.0% | 0% | 542% |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表6は好走馬が多い前走500万下(現1勝クラス)組の前走着順別成績。前走1着馬が昨年のウィクトーリアら5勝をあげ、連対率・複勝率ともに高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。なかでも前走1800mで勝利した馬が【4.1.0.5】と好成績をあげている。対して、前走2000m勝ち馬は【0.1.0.6】で2着1回のみだった。
前走2着馬は複勝率28.6%で前走1着馬に次いで高い。前走6〜9着馬は複勝率20.0%、複勝回収率542%と非常に高く、穴候補でチェックしておきたいゾーンだ。
■表7 フローラS 9番人気以下の3着以内馬一覧(過去10年)
年度 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走成績 |
2019 | ジョディー | 9 | 3 | フラワーC 5着 |
2018 | パイオニアバイオ | 13 | 2 | 未勝利(芝2000m) 1着 |
2017 | モズカッチャン | 12 | 1 | 500万下(芝1800m) 1着 |
ヤマカツグレース | 10 | 2 | 君子蘭賞(芝1800m) 2着 | |
2016 | アウェイク | 13 | 3 | フリージア賞(芝2000m) 8着 |
2014 | マイネオーラム | 13 | 3 | フラワーC 6着 |
2013 | ブリュネット | 9 | 3 | 未勝利(芝1800m) 1着 |
2012 | ダイワデッセー | 18 | 3 | 梅花賞(芝2400m) 6着 |
2011 | バウンシーチューン | 9 | 1 | 未勝利(芝1800m) 1着 |
マイネソルシエール | 15 | 2 | 500万下(芝1800m) 9着 |
最後に表7は実際に9番人気以下で激走した馬の一覧。これら10頭中7頭は前走芝1800m戦を使われていた。あとは前走芝2000m戦が2頭、前走芝2400m戦が1頭。また、ハービンジャー、ステイゴールド、ダイワメジャーの各産駒が2頭ずつ入っていた。
<結論>
■表8 今年のフローラSの出走予定馬(4/22時点)
馬名 | 前走成績 |
スカイグルーヴ | 京成杯 2着 |
レッドルレーヴ | フラワーC 2着 |
ウインマリリン | ミモザ賞(芝2000m) 1着 |
シャンドフルール | チューリップ賞 13着 |
ショウナンハレルヤ | フラワーC 12着 |
ホウオウピースフル | クイーンC 6着 |
アカノニジュウイチ | クイーンC 4着 |
ウィスパリンホープ | 未勝利(芝1600m) 1着 |
ウインキートス | ミモザ賞(芝2000m) 2着 |
ヴォリアーモ | ゆりかもめ賞(芝2400m) 2着 |
エレヴァテッツァ | 未勝利(芝1800m) 1着 |
キングスタイル | 忘れな草賞 6着 |
シャレード | 君子蘭賞(芝1800m) 7着 |
セイウンヴィーナス | クイーンC 3着 |
テイエムフローラ | 毎日杯 7着 |
ナスノフォルテ | 未勝利(ダ1800m) 1着 |
ヒューマンコメディ | 未勝利(芝2000m) 1着 |
フアナ | 未勝利(芝1800m) 1着 |
リヴァージュ | 1勝クラス(芝1800m) 5着 |
ルトロヴァイユ | ゆりかもめ賞(芝2400m) 4着 |
レッドサーシャ | 新馬(芝1800m) 1着 |
※フルゲート18頭。アカノニジュウイチ以下は抽選対象。
今年の出走予定馬は表8のとおり。
1番人気に推されそうなのが前走京成杯2着のスカイグルーヴ。東京芝2000mで新馬戦を勝利しているが、キャリア2戦は気になるところだ。能力の高さは間違いないが、絶対視は危険だろう。この馬が馬券圏外に敗れることがあれば、大波乱の決着も考えられる。
レッドルレーヴはキャリア3戦。新馬戦では今回と同じ東京芝2000mで半馬身差の2着に敗れているが、勝ったのは続く共同通信杯で3着のフィリオアレグロ。重馬場で時計も優秀だった。全兄は青葉賞2着のランフォザローゼス。データからもレッドルレーヴを上位に見たい。
これまでのデータから人気薄の穴候補として、セイウンヴィーナスとシャレードの2頭を挙げておきたい。セイウンヴィーナスは前走クイーンCで12番人気ながら3着と好走。勝ったミヤマザクラとは0秒1差と際どく、4着アカノニジュウイチを0秒2離している。フロック視されそうなのは昨年3着のジョディーと同じパターン。ジョディーもクイーンCで逃げて3着になりながら、フローラSは9番人気と人気薄だった。
シャレードは前走芝1800mの君子蘭賞で7着と敗退。表6で示した前走1勝クラス6〜9着の範囲に当てはまる。また、左回り巧者の可能性が高く、2走前のフローラルウォーク賞は4着ながら僅差だった。出走してくれば、大穴候補として推奨しておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。