データde出〜た
第1411回 ダートG1へ羽ばたく馬は? アンタレスS分析
2020/4/13(月)
阪神競馬場のダート1800mを舞台に行われるアンタレスS。格付けこそG3だが、既にG1を制していたゴールドアリュール(2003年・京都)や、後にG1タイトルを手にするホッコータルマエ(13年)、アウォーディー(16年)など、優勝馬にはダートの強豪が多く名を連ねている。このアンタレスSの傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して調べてみたい。集計期間は過去10年。京都競馬場で行われていた10〜11年も対象としている。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1 | 4-2-1-3/10 | 40.0% | 60.0% | 70.0% | 85% | 85% |
2 | 1-2-3-4/10 | 10.0% | 30.0% | 60.0% | 40% | 93% |
3 | 2-2-3-3/10 | 20.0% | 40.0% | 70.0% | 124% | 144% |
4 | 1-0-0-9/10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 145% | 37% |
5 | 0-2-2-6/10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0% | 165% |
6 | 2-1-0-7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 254% | 97% |
7 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
8 | 0-0-1-9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 58% |
9 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
11〜 | 0-1-0-55/56 | 0.0% | 1.8% | 1.8% | 0% | 29% |
過去10年の優勝馬10頭と、3着以内馬30頭中28頭は6番人気以内。中では3番人気が【2.2.3.3】で複勝率70.0%を記録し、単複の回収率も100%を大きく超えている。同じく複勝率70.0%の1番人気も、単複回収率85%と悪くない。また、単勝最高配当は1450円(10年ダイシンオレンジ)で、15倍未満くらいには収まる馬を中心に組み立てたいレースだ。
■表2 年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
4歳 | 2-5-4-27/38 | 5.3% | 18.4% | 28.9% | 20% | 111% |
5歳 | 7-2-1-23/33 | 21.2% | 27.3% | 30.3% | 166% | 66% |
6歳 | 1-2-4-36/43 | 2.3% | 7.0% | 16.3% | 4% | 37% |
7歳以上 | 0-1-1-40/42 | 0.0% | 2.4% | 4.8% | 0% | 9% |
年齢別では5歳馬が7勝をマークし、勝率は21.2%と群を抜いている。ただ2〜3着が少なく、複勝率では4歳馬もほぼ互角だ。6歳馬の好走も見られるが、好走確率、回収率ともに4〜5歳馬とは差があり、7歳以上のベテランは2、3着各1回と苦しい。
■表3 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1600万(現3勝) | 1-0-0-12/13 | 7.7% | 7.7% | 7.7% | 39% | 11% |
OPEN(L以外) | 2-0-1-25/28 | 7.1% | 7.1% | 10.7% | 20% | 24% |
OPEN(L) | 0-0-0-7/7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中央G3 | 2-3-3-52/60 | 3.3% | 8.3% | 13.3% | 27% | 64% |
中央G2 | 0-0-3-2/5 | 0.0% | 0.0% | 60.0% | 0% | 190% |
中央G1 | 1-2-1-8/12 | 8.3% | 25.0% | 33.3% | 110% | 62% |
地方 | 4-5-2-20/31 | 12.9% | 29.0% | 35.5% | 77% | 65% |
前走別で好走馬が多く、好走確率も高いのは地方競馬出走馬で、全31頭中30頭はダートグレード競走に出走していた。また、該当馬はあまり多くないものの、前走で中央G1〜G2に出走していた馬も好走確率は高い。中央G3、オープン特別、1600万条件(現3勝クラス)からも優勝馬計5頭が出るなど無視はできないが、いずれも連対率はひと桁だ。
■表4 前走地方競馬ダートグレード競走出走の好走馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 |
2010 | フサイチセブン | 牡4 | 2 | 3 | ダイオライト記念 | 2 | 1 |
2011 | ワンダーアキュート | 牡5 | 1 | 2 | 名古屋大賞典 | 2 | 2 |
2013 | ホッコータルマエ | 牡4 | 1 | 1 | 名古屋大賞典 | 1 | 1 |
2014 | トウショウフリーク | 牡7 | 5 | 2 | ダイオライト記念 | 3 | 2 |
ニホンピロアワーズ | 牡7 | 1 | 3 | ダイオライト記念 | 2 | 1 | |
2015 | アジアエクスプレス | 牡4 | 1 | 2 | 名古屋大賞典 | 1 | 2 |
2016 | アウォーディー | 牡6 | 1 | 1 | 名古屋大賞典 | 1 | 1 |
2017 | モルトベーネ | 牡5 | 3 | 1 | 名古屋大賞典 | 1 | 4 |
2018 | ミツバ | 牡6 | 3 | 2 | 名古屋大賞典 | 2 | 2 |
2019 | アナザートゥルース | セ5 | 6 | 1 | 名古屋大賞典 | 4 | 3 |
グリム | 牡4 | 2 | 2 | 名古屋大賞典 | 1 | 1 |
表4は、前走で地方競馬に出走していた3着以内馬11頭で、全馬が前走では4番人気以内かつ4着以内。好走馬を出しているのは名古屋大賞典とダイオライト記念の2競走のみ。該当馬の多い名古屋大賞典組は【4.4.0.5】連対率61.5%。6歳以下の馬にかぎれば【4.4.0.2】で同80.0%にもなる。
一方、ダイオライト記念組は好走した3頭中2頭が7歳馬。表2にあった7歳以上の好走馬2頭はこのレースから出ていた。また、3頭の距離実績をみると、10年のフサイチセブンは1800mの経験こそなかったが、1700〜1900mでは【4.1.0.0】。14年のトウショウフリークは直近の1800m戦・前年夏のBSN賞を逃げ切るなど、ダートのこの距離で6勝をマーク。そして同年のニホンピロアワーズは、やはり直近の1800m戦にあたる3走前の東海Sを制し、ほかに前年の本競走2着、前々年のJCダート優勝などの実績があった。ダイオライト記念組は600mの距離短縮になるため、1800m前後での実績も重要だ。
■表5 前走中央G1、G2からの好走馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | 2走前 |
2011 | バーディバーディ | 牡4 | 2 | 3 | フェブラリーS | 4 | 3 | 東京大賞典3着 |
2013 | ニホンピロアワーズ | 牡6 | 2 | 2 | JCダート | 6 | 1 | みやこS2着 |
ハートビートソング | 牡6 | 3 | 3 | 東海S | 3 | 7 | ベテルギウスS1着 | |
2015 | クリノスターオー | 牡5 | 6 | 1 | チャンピオンズC | 7 | 8 | みやこS5着 |
ナムラビクター | 牡6 | 2 | 3 | 東海S | 2 | 11 | チャンピオンズC2着 | |
2016 | アスカノロマン | 牡5 | 3 | 2 | フェブラリーS | 7 | 3 | 東海S1着 |
2017 | ロワジャルダン | 牡6 | 8 | 3 | 東海S | 5 | 14 | チャンピオンズC8着 |
前走中央G1〜G2からの好走馬は表5の7頭である。この組も全体で【1.2.4.10】複勝率41.2%、6歳以下にかぎれば【1.2.4.5】同58.3%と注目は欠かせない。好走馬の前走着順はまちまちだが、7頭中5頭は2走前に3着以内に入っていた。残る2頭、15年のクリノスターオーは3走前にG3のシリウスSを制し、17年のロワジャルダンは同じく3走前のG3・みやこSで3着。近3走の成績から、G3なら巻き返しが見込めそうな馬でなければ苦しい。
■表6 前走中央G3からの好走馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | 2走前 |
2010 | ダイシンオレンジ | 牡5 | 4 | 1 | 平安S(同年1月ダ18) | 1 | 2 | 初夢S1着 |
ナニハトモアレ | 牡4 | 5 | 2 | マーチS | 6 | 2 | 東京ウインターP1着 | |
2012 | アイファーソング | 牡4 | 11 | 2 | マーチS | 9 | 11 | 桜島S1着 |
シルクシュナイダー | 牡4 | 3 | 3 | マーチS | 1 | 6 | アルデバランS2着 | |
2017 | ロンドンタウン | 牡4 | 6 | 2 | マーチS | 3 | 4 | 佐賀記念1着 |
2018 | グレイトパール | 牡5 | 1 | 1 | 平安S(前年5月ダ19) | 1 | 1 | 仁川S1着 |
クインズサターン | 牡5 | 5 | 3 | マーチS | 5 | 2 | 総武S3着 | |
2019 | ロンドンタウン | 牡6 | 3 | 3 | マーチS | 11 | 2 | コリアC1着 |
中央G3組は好走した8頭中5頭が前走連対馬で、馬券圏外から巻き返した3頭は4歳馬かつ2走前の連対馬だった。5〜6歳なら2戦連続馬券圏内、4歳馬なら前走か2走前に連対していることが好走条件だ。なお、この組の優勝馬2頭は平安S組で、今年は該当馬不在。マーチS組は計【0.3.3.50】と、好走しても勝利までは届いていない。
■表7 前走オープン特別、1600万条件からの好走馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | タイム差 |
2010 | ゴルトブリッツ | 牡4 | 3 | 1 | 門司S | 1 | 1 | -0.6 |
2012 | ゴルトブリッツ | 牡5 | 1 | 1 | 仁川S | 1 | 1 | -0.6 |
2014 | ナムラビクター | 牡5 | 2 | 1 | 仁川S | 1 | 1 | -0.7 |
2016 | サージェントバッジ | 牡4 | 5 | 3 | 総武S | 10 | 13 | 1.5 |
最後に表7は、前走オープン特別と1600万条件(現3勝クラス)からの好走馬4頭である。このうち3頭は前走1着で、2着とのタイム差は0.6秒以上。この組全体でも前走0.6秒差以上の1着馬はこの3頭しかおらず、該当すれば勝率は100%だ。なお16年のサージェントバッジは、前走オープン特別で10番人気13着という成績ながら、このレースではなんと5番人気(単勝23.4倍)。中位人気勢の評価が低い年だった。
以上、アンタレスSの傾向をまとめてみた。好走馬の大半を6番人気以内の馬が占め、前走で地方競馬、特に名古屋大賞典に出走していた馬や、中央のG1〜G2に出走していた馬の好走確率が高かった。本年の登録馬では、前走・名古屋大賞典を制した5歳馬ロードゴラッソや、昨年の本競走優勝馬で前走ダイオライト記念勝ちのアナザートゥルースが出走すれば特に注目したい。また、3勝クラスの甲南Sを6馬身差で圧勝したリワードアンヴァルも楽しみな存在だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。