データde出〜た
第1383回 決定! 2019年種牡馬勝利数ランキング
2020/1/6(月)
JRAが発表した2019年のリーディングサイアー(賞金順)は1位ディープインパクト、2位ハーツクライ、3位ロードカナロアだった。2歳戦の同ランキングは1位ディープインパクト、2位ハーツクライ、3位キズナ。相変わらずディープインパクト産駒の強さが目立った年だった。
そこで、今回は2019年の種牡馬成績を振り返ることにする。賞金ではなく、勝利数のランキングを芝とダートに分けて集計した。 データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 2019年種牡馬勝利数ランキング(JRA平地・芝)
順位 | 18年 | 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 | 主な活躍馬 |
1 | 1 | ディープインパクト | 239- 205- 185-1035/1664 | 14.4% | 26.7% | 37.8% | 77 | 83 | ワールドプレミア、フィエールマン |
2 | 4 | ロードカナロア | 109- 100- 73- 630/ 912 | 12.0% | 22.9% | 30.9% | 86 | 70 | アーモンドアイ、サートゥルナーリア |
3 | 2 | ハーツクライ | 102- 93- 101- 777/1073 | 9.5% | 18.2% | 27.6% | 72 | 73 | リスグラシュー、スワーヴリチャード |
4 | 6 | ルーラーシップ | 69- 72- 72- 590/ 803 | 8.6% | 17.6% | 26.5% | 55 | 74 | メールドグラース、キセキ |
5 | 11 | オルフェーヴル | 64- 55- 56- 512/ 687 | 9.3% | 17.3% | 25.5% | 63 | 72 | ラッキーライラック、エスポワール |
6 | 5 | ハービンジャー | 62- 56- 91- 712/ 921 | 6.7% | 12.8% | 22.7% | 57 | 60 | ノームコア、ブラストワンピース |
7 | 8 | キングカメハメハ | 59- 54- 52- 349/ 514 | 11.5% | 22.0% | 32.1% | 75 | 71 | ユーキャンスマイル、レッドジェニアル |
8 | 7 | ダイワメジャー | 58- 67- 69- 534/ 728 | 8.0% | 17.2% | 26.6% | 59 | 91 | アドマイヤマーズ、レシステンシア |
9 | 28 | ジャスタウェイ | 50- 42- 37- 332/ 461 | 10.8% | 20.0% | 28.0% | 94 | 75 | ヴェロックス、ロードマイウェイ |
10 | 3 | ステイゴールド | 48- 40- 50- 358/ 496 | 9.7% | 17.7% | 27.8% | 75 | 87 | インディチャンプ、ウインブライト |
11 | 10 | ヴィクトワールピサ | 45- 47- 37- 400/ 529 | 8.5% | 17.4% | 24.4% | 84 | 75 | スカーレットカラー、ウィクトーリア |
12 | 13 | エイシンフラッシュ | 33- 24- 23- 402/ 482 | 6.8% | 11.8% | 16.6% | 62 | 43 | メリーメーキング |
13 | 17 | キンシャサノキセキ | 31- 43- 46- 335/ 455 | 6.8% | 16.3% | 26.4% | 69 | 82 | カッパツハッチ |
14 | 12 | ノヴェリスト | 31- 28- 37- 306/ 402 | 7.7% | 14.7% | 23.9% | 71 | 69 | ラストドラフト |
15 | 19 | スクリーンヒーロー | 28- 44- 30- 308/ 410 | 6.8% | 17.6% | 24.9% | 68 | 100 | グァンチャーレ |
16 | 14 | ディープブリランテ | 28- 28- 36- 354/ 446 | 6.3% | 12.6% | 20.6% | 85 | 80 | ミッキーブリランテ |
17 | ー | エピファネイア | 28- 25- 17- 127/ 197 | 14.2% | 26.9% | 35.5% | 264 | 111 | ロールオブサンダー |
18 | ー | キズナ | 26- 24- 21- 190/ 261 | 10.0% | 19.2% | 27.2% | 70 | 100 | ビアンフェ |
19 | 9 | マンハッタンカフェ | 20- 20- 30- 230/ 300 | 6.7% | 13.3% | 23.3% | 85 | 65 | シャケトラ |
20 | 15 | ブラックタイド | 18- 19- 22- 333/ 392 | 4.6% | 9.4% | 15.1% | 50 | 47 | ディープダイバー |
- サンデーサイレンス系
- ミスタープロスペクター系
- その他
表1は2019年種牡馬勝利数ランキング。JRAの平地・芝のレースを対象に、1位から20位までの成績を記載した。前年(2018年)の順位との比較や、2019年に活躍した主な馬もわかるようにした。1位は当然ディープインパクト。勝利数は239で2位のロードカナロア(109)にダブルスコア以上の差をつけた。勝率・連対率・複勝率も非常に高い。グランアレグリア(桜花賞)やフィエールマン(天皇賞春)、ラヴズオンリーユー(オークス)、ロジャーバローズ(日本ダービー)、ワールドプレミア(菊花賞)など、1年を通じて産駒が活躍した。
ロードカナロアは18年4位から2位へランクアップ。アーモンドアイとサートゥルナーリアがG1を制した。ハーツクライは18年2位からランクダウンして3位となった。しかし、最後はリスグラシューが有馬記念を圧勝して強烈なインパクトを残した。5位オルフェーヴルは18年11位から大きくランクアップした。ラッキーライラックがエリザベス女王杯を制したのは記憶に新しい。
一方、オルフェーヴルの父ステイゴールドは10位で、18年3位から大きくダウンした。連対率はオルフェーヴルとほぼ同じだが、勝利数が大きく減った。しかし、産駒の質は依然として高い。インディチャンプは安田記念とマイルCSを制したし、ウインブライトは香港のG1を2勝した(表1は海外成績を含んでいない)。
6位はハービンジャー。18年5位からワンランクダウンとなった。しかし、ランキング内にサンデーサイレンス系とミスタープロスペクター系がライバルとして溢れている中、大変頑張っている。2020年はノームコアやブラストワンピースに続く大物の登場にも期待したい。
9位のジャスタウェイは18年28位から大きくランクアップした。クラシックは勝てなかったが、ヴェロックスが一年を通して活躍。ロードマイウェイはG3のチャレンジCを含め5連勝をマーク。この勢いは引き続き注目だ。
17位エピファネイアと18位キズナは、2019年に産駒がデビューした。特に注目したいのがエピファネイア産駒の成績。勝率14.2%、連対率26.9%、複勝率35.5%はディープインパクト産駒に匹敵する高水準の数値だ。単勝回収率264%、複勝回収率111%というのも目に付くところで、馬券的な魅力もあることを意味している。エピファネイアは現役時代、デビューから3連勝で重賞を制したが、3歳春は勝利がなかった。G1初制覇は菊花賞で、翌年のジャパンCで2つ目のG1タイトルを獲得した。そうした成長力や底力が産駒にも伝われば、今年以降は益々活躍が見込めそうだ。血統的にもサンデーサイレンス系やミスタープロスペクター系ではなくロベルト系というのが大きな特徴だ。
■表2 2019年種牡馬勝利数ランキング(JRA平地・ダート)
順位 | 18年 | 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 | 主な活躍馬 |
1 | 4 | ヘニーヒューズ | 77- 69- 66-508/720 | 10.7% | 20.3% | 29.4% | 87 | 87 | ワイドファラオ、サトノギャロス |
2 | 1 | ゴールドアリュール | 75- 80- 64-663/882 | 8.5% | 17.6% | 24.8% | 77 | 87 | クリソベリル、ゴールドドリーム |
3 | 6 | サウスヴィグラス | 61- 51- 47-416/575 | 10.6% | 19.5% | 27.7% | 134 | 84 | ヒデノヴィーナス、ヒロシゲゴールド |
4 | 18 | ロードカナロア | 51- 46- 40-323/460 | 11.1% | 21.1% | 29.8% | 92 | 71 | ミッキーワイルド、アカネサス |
5 | 2 | クロフネ | 41- 54- 56-506/657 | 6.2% | 14.5% | 23.0% | 60 | 79 | クルークハイト |
6 | 5 | エンパイアメーカー | 41- 42- 25-365/473 | 8.7% | 17.5% | 22.8% | 75 | 76 | スマートダンディー |
7 | 12 | ハーツクライ | 40- 41- 33-282/396 | 10.1% | 20.5% | 28.8% | 70 | 70 | ロードゴラッソ |
8 | 10 | パイロ | 40- 33- 35-359/467 | 8.6% | 15.6% | 23.1% | 87 | 68 | クリノケンリュウ、デルマルーヴル |
9 | 19 | オルフェーヴル | 39- 34- 32-300/405 | 9.6% | 18.0% | 25.9% | 82 | 80 | グアン |
10 | 7 | キンシャサノキセキ | 35- 41- 53-412/541 | 6.5% | 14.0% | 23.8% | 63 | 73 | ストロベリームーン |
11 | 20 | アイルハヴアナザー | 35- 31- 29-305/400 | 8.8% | 16.5% | 23.8% | 101 | 67 | アナザートゥルース |
12 | 3 | キングカメハメハ | 35- 31- 25-277/368 | 9.5% | 17.9% | 24.7% | 80 | 84 | チュウワウィザード、ハヤヤッコ |
13 | 23 | ルーラーシップ | 35- 25- 38-317/415 | 8.4% | 14.5% | 23.6% | 73 | 76 | アディラート |
14 | 17 | シニスターミニスター | 30- 35- 25-307/397 | 7.6% | 16.4% | 22.7% | 141 | 87 | ヤマニンアンプリメ |
15 | 21 | ヨハネスブルグ | 26- 26- 23-238/313 | 8.3% | 16.6% | 24.0% | 69 | 71 | ナムラカメタロー |
16 | 13 | ブラックタイド | 26- 24- 18-265/333 | 7.8% | 15.0% | 20.4% | 100 | 64 | フィードバック |
17 | 28 | スマートファルコン | 24- 26- 23-249/322 | 7.5% | 15.5% | 22.7% | 99 | 109 | リワードアンヴァル |
18 | 16 | カジノドライヴ | 23- 20- 20-209/272 | 8.5% | 15.8% | 23.2% | 48 | 103 | ヴェンジェンス |
19 | 11 | カネヒキリ | 21- 19- 20-239/299 | 7.0% | 13.4% | 20.1% | 69 | 86 | メイプルブラザー、テーオーエナジー |
20 | 67 | ダンカーク | 21- 17- 15-193/246 | 8.5% | 15.4% | 21.5% | 74 | 70 | グレースゼット |
- サンデーサイレンス系
- ミスタープロスペクター系
- ボールドルーラー系
- ストームバード系
- その他
続いて表2はJRAの平地・ダートにおける2019年種牡馬勝利数ランキング。芝と同じように1位から20位までの成績を記した。1位はヘニーヒューズ。18年4位からランクアップし、ゴールドアリュールから首位を奪取した。以前はアメリカやオーストラリアで種牡馬生活をしていたが、外国産馬のアジアエクスプレス(朝日杯フューチュリティS)やモーニン(フェブラリーS)が日本で活躍したことで、2013年から国内で共用されることになった。今年はワイドファラオがユニコーンSを勝利した。ストームバード系らしくスピードの持続力に定評があり、日本のダート適性もかなり高い。
ゴールドアリュールは2位にランクダウンしたが、大舞台での存在感は健在だ。クリソベリルがチャンピオンズCを制し、新ダート王者に輝いた。サウスヴィグラスは18年6位から3位にランクアップ。そして、ロードカナロアは18年18位から4位へと大幅ランクアップとなった。芝とダート両方でトップ5に入ったのはロードカナロアだけだ。この点はディープインパクトよりも勝る優秀な特徴と言えるだろう。
ハーツクライやオルフェーヴルの産駒は芝向きの印象だが、ダートでもそれぞれ7位、9位にランクインしている。キングカメハメハは18年3位から12位へ大きくランクダウンしてしまった。同じミスタープロスペクター系ではアイルハヴアナザー(11位)とルーラーシップ(13位)が順位を上げてきた。地味ながらダンカークも18年67位から20位へと一気にランクを上げた。
2019年はディープインパクトとキングカメハメハが亡くなり、競馬界に大きな衝撃が走った。種牡馬としても多大なる功績を残してきた名馬だけに、今後への影響は計り知れない。まだ両馬の産駒は残っているものの、種牡馬勝利数ランキングも今後大きく動くことだろう。まずは2020年の動向を注目していきたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。