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第1379回 今年も20万馬券以上!? 阪神カップを分析する

2019/12/16(月)

過去の実績による斤量の加増がない「定量戦」で行われる阪神カップ。3・4歳以上のG1はすべて定量戦だが、G2では本競走と札幌記念の2レースしか行われていない。特に阪神カップはG1がない芝1400m戦であるため、ここを目標にした距離巧者が激走を見せることも多く、過去10年のうち6回は3連単20万馬券以上。今回は、そんな荒れ模様の阪神カップを分析したい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 1〜3着馬の人気と3連単配当(2009年は2着同着)

人気 3連単
1着馬 2着馬 3着馬
2009 1 7 11 12万3100円
1 11 7 14万6420円
2010 2 5 15 43万8250円
2011 4 5 13 49万0330円
2012 3 14 2 28万4680円
2013 8 10 7 32万8560円
2014 8 3 5 21万3360円
2015 3 5 1 4万9650円
2016 7 2 5 8万0280円
2017 2 7 3 2万4440円
2018 11 2 12 34万5820円

2018/12/22 阪神11R 阪神カップ(G2) 1着 3番 ダイアナヘイロー(11番人気)

過去10年、1番人気は【1.0.1.8】に終わっており、優勝馬10頭中4頭は7番人気以下。3連単では20万馬券以上が6回を数え、2009年も2着同着にならなければ20万馬券以上だった。5番人気以内の馬が1〜3着を占めたのは15年の1回のみ。残る9回は、7番人気以下から少なくとも1頭が3着以内に入っている。15〜17年はこのレースとしては落ち着いた配当だったが、昨年は2桁人気馬2頭が馬券に絡み、34万馬券が飛び出した。

■表2 東西所属別成績

所属 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
美浦(関東馬) 8-6-2-40/56 14.3% 25.0% 28.6% 122% 119%
栗東(関西馬) 2-5-7-103/117 1.7% 6.0% 12.0% 46% 66%

関西・阪神競馬場で行われるレースのため、出走馬の約3分の2は関西馬。しかし、優勝馬10頭中8頭、連対馬21頭中14頭を関東馬が占め、好走確率や回収率でも関東馬が関西馬を圧倒している。過去10年のうち、2回以上馬券に絡んだ関西馬はダンスディレクター(15年、17年ともに2着)1頭なのに対し、関東馬はキンシャサノキセキ、サンカルロ、リアルインパクトが連覇を飾り、ほかにイスラボニータとガルボが2連対を記録している。過去に阪神芝1400mで好走実績があるなど、ここを目標にしてきたと思われる関東馬には特に注意を払いたい。

■表3 性齢別成績

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 3番人気以内 同複勝率
牡・セン 3歳 1-3-2-20/26 3.8% 15.4% 23.1% 61% 80% 0-1-2-7/10 30.0%
4歳 1-2-3-20/26 3.8% 11.5% 23.1% 31% 121% 1-1-1-4/7 42.9%
5歳 2-3-2-35/42 4.8% 11.9% 16.7% 60% 77% 0-1-0-2/3 33.3%
6歳 4-2-1-24/31 12.9% 19.4% 22.6% 100% 137% 3-0-0-1/4 75.0%
7歳 1-1-1-14/17 5.9% 11.8% 17.6% 22% 52% 1-0-0-0/1 100.0%
8歳以上 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 該当なし
牝馬 1-0-0-23/24 4.2% 4.2% 4.2% 159% 32% 0-0-0-5/5 0.0%

牡・セン馬の年齢別では、3、4、6歳馬が複勝率20%台をマーク。ただ、3、4歳はともにやや勝ち切れない傾向にあり、勝率では12.9%を記録した6歳馬が他を大きく引き離している。連対率も6歳馬が優勢だ。また、6歳や7歳で3番人気以内に推された馬は計【4.0.0.1】で勝率80.0%と、該当馬がいれば見逃せない。なお、牝馬は3番人気以内に推された5頭がすべて馬券圏外に敗れるなど、【1.0.0.23】の不振だ。

■表4 馬体重別成績(牡・セン馬)

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
420〜439kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
440〜459kg 0-2-1-9/12 0.0% 16.7% 25.0% 0% 85%
460〜479kg 0-2-1-22/25 0.0% 8.0% 12.0% 0% 132%
480〜499kg 1-4-3-40/48 2.1% 10.4% 16.7% 8% 73%
500〜519kg 7-1-2-33/43 16.3% 18.6% 23.3% 167% 93%
520〜539kg 1-1-2-15/19 5.3% 10.5% 21.1% 43% 65%
540kg〜 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 490%
500kg未満 1-8-5-72/86 1.2% 10.5% 16.3% 4% 91%
500kg以上 8-3-4-48/63 12.7% 17.5% 23.8% 127% 91%

表4は、好走馬30頭中29頭を占める牡・セン馬について、馬体重別の成績を調べたものである。表の下部に記したように、500キロ以上の馬は【8.3.4.48】と馬券に絡めば勝ち切る確率が高く、500キロ未満の馬は【1.8.5.72】と2〜3着止まりがほとんどだ。前走500キロ未満から、本競走で500キロ以上になった馬が【4.0.0.7】と4勝を挙げているため、レース前に発表される馬体重をしっかりと確認したい。

■表5 前走クラス・レース別成績(レースは該当馬10頭以上)

前走 前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万(現3勝) 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
OPEN特別 2-1-2-45/50 4.0% 6.0% 10.0% 45% 77%
中央G3 1-2-2-30/35 2.9% 8.6% 14.3% 109% 60%
中央G2 2-0-1-12/15 13.3% 13.3% 20.0% 96% 129%
中央G1 5-7-4-51/67 7.5% 17.9% 23.9% 70% 92%
地方 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 360%
マイルCS 4-5-4-35/48 8.3% 18.8% 27.1% 65% 101%
1〜5着 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 41% 47%
6〜9着 1-0-1-5/7 14.3% 14.3% 28.6% 112% 91%
10着以下 2-4-2-23/31 6.5% 19.4% 25.8% 62% 121%
スワンS 2-0-1-8/11 18.2% 18.2% 27.3% 131% 176%
京阪杯 1-1-1-20/23 4.3% 8.7% 13.0% 166% 63%
オーロC 1-1-1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 45% 78%
スプリンターズS 1-1-0-12/14 7.1% 14.3% 14.3% 114% 57%
キャピタルS 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 144% 49%

前走レース別では、出走馬全173頭中48頭、3着以内馬30頭中13頭を占めるマイルCS組が、複勝率も27.1%と高い。このマイルCS組は同レースで好走していても強調材料にはあまりならず、下位に敗れた馬でも十分に巻き返せる。ほかに該当馬こそ少ないが、同距離のG2・スワンS組が複勝率27.3%とマイルCS組をわずかに上回る。また、3着以内馬30頭はすべて前走でオープン・重賞(地方競馬含む)に出走しており、1600万条件からの好走はない。

■表6 前走マイルCSからの3着以内馬

馬名 性齢 阪神C マイルCS 主な実績
人気 着順 人気 着順 G1 芝1400m
2009 サンカルロ 牡3 11 2 15 12 NHKマイルC8位入線 クロッカスS1着
2010 キンシャサノキセキ 牡7 2 1 3 13 高松宮記念1着 前年本競走1着
2011 グランプリボス 牡3 5 2 6 13 NHKマイルC1着 京王杯2歳S1着
2012 サンカルロ 牡6 3 1 17 7 高松宮記念2着 前年本競走1着
ガルボ 牡5 14 2 12 16 朝日杯FS4着 阪急杯2着
ファイナルフォーム 牡3 2 3 3 12 マイルCS12着 未経験
2013 リアルインパクト 牡5 8 1 13 10 安田記念1着 京王杯2歳S2着
ガルボ 牡6 10 2 17 14 朝日杯FS4着 前年本競走2着
クラレント 牡4 7 3 4 11 NHKマイルC3着 前年本競走5着
2016 イスラボニータ 牡5 2 2 2 2 皐月賞1着 未経験
フィエロ 牡7 5 3 5 6 マイルCS2着 スワンS2着
2017 イスラボニータ 牡6 2 1 1 5 皐月賞1着 前年本競走2着
サングレーザー 牡3 3 3 7 3 マイルCS3着 スワンS1着

2017/12/23 阪神11R 阪神カップ(G2) 1着 2番 イスラボニータ(2番人気)

表5にあったように、前走着順はあまり参考にならないマイルCS組。この組で注目すべきはG1と芝1400mでの実績だ。まず、阪神カップ3着以内の好走馬13頭中11頭がG1で4着以内に好走した実績を持っていた(9頭は3着以内)。また、芝1400m出走経験がある11頭のうち9頭は、この距離の重賞で連対経験があった。どちらも満たしていない2頭はともに3歳馬。古馬なら少なくとも、いずれか一方の条件はクリアしている馬を選びたい。

■表7 前走芝1200〜1600mからの3着以内馬(前走マイルCS除く)

馬名 阪神C 前走 芝1400m実績
人気 着順 レース 人気 着順 タイム差
2009 キンシャサノキセキ 1 1 スワンS 4 1 スワンS1着
プレミアムボックス 7 2 京阪杯 7 1 谷川岳S5着
2011 サンカルロ 4 1 スワンS 5 4 0.6 阪急杯1着
フラガラッハ 13 3 スワンS 7 10 1.2 阪急杯3着
2014 リアルインパクト 8 1 キャピタルS 4 6 0.2 前年本競走1着
2015 ロサギガンティア 3 1 オーロC 2 1 オーロC1着
ダンスディレクター 5 2 CBC賞 1 2 0.1 1600万条件1着
ビッグアーサー 1 3 京阪杯 1 2 0.0 未経験
2016 シュウジ 7 1 スプリンターズS 5 4 0.1 新馬戦1着
2017 ダンスディレクター 7 2 スプリンターズS 9 8 0.3 15年本競走2着
2018 ダイアナヘイロー 11 1 京阪杯 11 3 0.3 阪急杯1着
ミスターメロディ 2 2 オーロC 1 5 0.5 ファルコンS1着
スターオブペルシャ 12 3 オーロC 2 3 0.2 信越S1着

表7は、前走でマイルCS以外の芝1200〜1600m戦に出走していた好走馬13頭である。前走を勝つか、負けてもあまり差のない競馬をしてきた馬が多く、着順は5着以内、勝ち馬とのタイム差は0.3秒以内が目安になる。どちらか一方でも満たせなかった好走馬5頭はすべて、芝1400mの重賞で3着以内に入った実績を持っていた。

■表8 その他の3着以内馬

馬名 阪神C 前走 主な実績
人気 着順 レース 人気 着順
2010 レッドスパーダ 5 2 フェブラリーS(ダ1600) 3 12 NHKマイルC2着
マイネルフォーグ 15 3 アンドロメダS(芝2000) 12 12 ニュージーランドT2着
2014 コパノリチャード 3 2 JBCスプリント(ダ1200) 3 16 高松宮記念1着
ダイワマッジョーレ 5 3 チャレンジC(芝1800) 7 5 京王杯スプリングC1着

最後に表8は、前走で芝1200〜1600m以外のレースに出走していた好走馬4頭で、いずれも芝1600m以下の重賞で連対した実績があった。このうち、レッドスパーダとコパノリチャードは前走が初ダートで、マイネルフォーグは芝1800m以上が約2年半ぶり。また、ダイワマッジョーレも過去2年の馬券圏内好走は芝1400〜1600mに集中していた。4頭中3頭が5番人気以内に推されていたことからもわかるように、「適条件に戻った」と言える馬ばかりだ。

以上、阪神カップの傾向を分析してみた。1着候補として注目したいのは、関東馬(表2)と500キロ以上の馬(表4)。両方に合致する「500キロ以上の関東馬」は【7.2.2.17】で勝率は25.0%になる。また、3着以内馬は前走マイルCS組が中心になるが、その着順にはこだわらず、G1や芝1400mでの実績をチェックしたい。
なお、ここ7年は前走でマイルCSかスプリンターズSに出走していた馬が1〜3着を独占するか(12、13、16、17年)、逆にそれ以外の馬が1〜3着を独占するか(14、15、18年)、この2パターンしか出現していない。穴狙いでも買い目を少なめに抑えたい場合は、最初に芝G1組かそれ以外かに絞ってから検討を進める手もありそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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