データde出〜た
第1376回 ノーザンファームのG1連勝が止まらない!? 阪神JFを占う
2019/12/5(木)
今週は阪神競馬場で2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズが行われる。来年の牝馬3冠戦線にもつながるこの重要な一戦には、今年も楽しみな素質馬が揃った。果たしてどの馬が勝利を飾るだろうか。過去10年の同レースの結果を分析し、今年のレースを占ってみたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 阪神ジュベナイルフィリーズの人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1番人気 | 4- 1- 1- 4/ 10 | 40.0% | 50.0% | 60.0% | 95 | 80 |
2番人気 | 2- 3- 0- 5/ 10 | 20.0% | 50.0% | 50.0% | 87 | 76 |
3番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 59 |
4番人気 | 1- 1- 3- 5/ 10 | 10.0% | 20.0% | 50.0% | 68 | 124 |
5番人気 | 3- 1- 0- 6/ 10 | 30.0% | 40.0% | 40.0% | 325 | 116 |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 30 |
7番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
8番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 153 |
9番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
10番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 192 |
11番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
12番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
13番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
14番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
15番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 243 |
16番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
17番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
18番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1〜3人気 | 6- 5- 3- 16/ 30 | 20.0% | 36.7% | 46.7% | 60 | 71 |
1〜5人気 | 10- 7- 6- 27/ 50 | 20.0% | 34.0% | 46.0% | 115 | 91 |
4〜 人気 | 4- 5- 7-134/150 | 2.7% | 6.0% | 10.7% | 26 | 57 |
6〜 人気 | 0- 3- 4-123/130 | 0.00% | 2.30% | 5.40% | 0 | 47 |
まずは過去10年の人気別成績(表1参照)を調べた。1番人気の成績は【4.1.1.4】で、そのうち3勝は近4年で挙げたものだ。上位人気は比較的好走率が高く、1〜3番人気の成績は【6.5.3.16】。さらに1〜5番人気の成績は【10.7.6.27】だった。優勝馬はすべて5番人気以内から出ているのがポイント。2着馬も7頭出ており、馬連の高配当はやや見込みにくい印象だ。ただ、3着馬は6番人気以下から4頭出ている。穴を狙うのであればこのあたりの傾向に着目したい。
■表2 1〜3番人気の単勝オッズ別成績(過去10年)
単勝オッズ | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1.0〜 1.4 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
1.5〜 1.9 | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.0% | 100.0% | 100.0% | 80 | 115 |
2.0〜 2.9 | 3- 0- 0- 2/ 5 | 60.0% | 60.0% | 60.0% | 158 | 72 |
3.0〜 3.9 | 0- 2- 0- 3/ 5 | 0.0% | 40.0% | 40.0% | 0 | 52 |
4.0〜 4.9 | 2- 0- 1- 1/ 4 | 50.0% | 50.0% | 75.0% | 217 | 135 |
5.0〜 6.9 | 0- 2- 1- 7/10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0 | 52 |
7.0〜 9.9 | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0 | 60 |
表2は1〜3番人気馬の単勝オッズ別成績。一言で上位人気と言っても、オッズ次第で印象は変わってくる。単勝オッズ1倍台であれば圧倒的な支持を受けていることになるが、阪神ジュベナイルフィリーズはキャリアの浅い2歳の牝馬限定戦ながら、そんな人気馬が信頼できるという傾向が出ている。1.5〜1.9倍の馬の成績は【1.1.0.0】なのだ。2.0〜4.9倍でも勝ち馬は5頭出ており、連対率は50%もある。一方、単勝5.0倍以上の馬は勝利していない。2着、3着馬はいるが、信頼度はやや落ちると考えるべきだろう。
■表3 1〜3番人気の前走レース別成績(過去10年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
アルテミG3 | 2- 2- 0- 2/ 6 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 110 | 91 |
アイビー | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.0% | 100.0% | 100.0% | 140 | 130 |
ファンタG3 | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 65 | 90 |
赤松賞500* | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 230 | 95 |
デイリーG2 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 80 | 55 |
新潟2歳G3 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 60 |
白菊賞500* | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 60 |
芙蓉S | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 105 |
京王杯2G2 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 170 |
札幌2歳G3 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
アルテミ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新馬 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
小倉2歳G3 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
りんどう500* | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は1〜3番人気の前走レース別成績。G3になったアルテミスS組が【2.2.0.2】の好成績、デイリー杯2歳Sや新潟2歳S組も有力で、これらマイル重賞組と阪神ジュベナイルフィリーズの相性はいい。オープン特別や1勝(500万)クラスをみても、赤松賞や白菊賞、芙蓉Sといったマイル組から好走馬が出ている。芝1400mのファンタジーSや京王杯2歳Sからも好走馬は出ているが、マイル組との比較では若干割引が必要かもしれない。
■表4 1〜3番人気の生産者別成績(過去10年)
生産者 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
ノーザンファーム | 5- 4- 0- 6/15 | 33.3% | 60.0% | 60.0% | 102 | 82 |
社台ファーム | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 56 | 24 |
清水牧場 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 170 |
フジワラフアーム | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 170 |
ノースヒルズ | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 240 |
タイヘイ牧場 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 210 |
ケイアイファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
社台コーポレーション白老ファーム | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
水上習孝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
磯野牧場 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
ナカノファーム | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
続いて表4は1〜3番人気の生産者別成績。ノーザンファームの成績が【5.4.0.6】で、他を圧倒している。今秋のG1(中央)を振り返ると、秋華賞を制したクロノジェネシスから先週のチャンピオンズCを勝ったクリソベリルまでノーザンファーム生産馬が7連勝中だ。同ファームの活躍は今に始まったことではないが、それにしても目下の勢いは凄い。阪神ジュベナイルフィリーズでの強さを考えれば、怒涛の連勝街道は今週も止まらないかもしれない。
■表5 阪神ジュベナイルフィリーズを4番人気以下で好走した馬(過去10年)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | 種牡馬 | 生産者 |
18年 | 3 | ビーチサンバ | 4 | アルテミG3 | 2 | クロフネ | ノーザンファーム |
17年 | 3 | マウレア | 4 | 赤松賞500* | 1 | ディープインパクト | 下河辺牧場 |
15年 | 2 | ウインファビラス | 10 | アルテミG3 | 5 | ステイゴールド | コスモヴューファーム |
14年 | 1 | ショウナンアデラ | 5 | からまつ500* | 1 | ディープインパクト | 下河辺牧場 |
3 | ココロノアイ | 4 | アルテミG3 | 1 | ステイゴールド | 酒井牧場 | |
13年 | 1 | レッドリヴェール | 5 | 札幌2歳G3 | 1 | ステイゴールド | 社台ファーム |
3 | フォーエバーモア | 8 | サフラン500* | 1 | ネオユニヴァース | 追分ファーム | |
12年 | 1 | ローブティサージュ | 5 | ファンタG3 | 2 | ウォーエンブレム | ノーザンファーム |
2 | クロフネサプライズ | 15 | りんどう500* | 1 | クロフネ | 上村清志 | |
3 | レッドセシリア | 10 | 新馬・牝 | 1 | ハーツクライ | ノーザンファーム | |
11年 | 1 | ジョワドヴィーヴル | 4 | 新馬 | 1 | ディープインパクト | ノーザンファーム |
2 | アイムユアーズ | 8 | ファンタG3 | 1 | ファルブラヴ | ノーザンファーム | |
10年 | 2 | ホエールキャプチャ | 4 | ファンタG3 | 3 | クロフネ | 千代田牧場 |
3 | ライステラス | 8 | 京王杯2G2 | 4 | ソングオブウインド | スピードフアーム | |
09年 | 2 | アニメイトバイオ | 5 | 京王杯2G2 | 2 | ゼンノロブロイ | ノーザンファーム |
3 | ベストクルーズ | 6 | ファンタG3 | 2 | クロフネ | 千代田牧場 |
最後に4番人気以下で阪神ジュベナイルフィリーズを好走した馬(表5参照)についてチェックしておく。前走レースを見ると、2009年から2012年にかけては、京王杯2歳S組やファンタジーS組が多かった。しかし、近年はアルテミスS組が増えてきており、全般的に前走マイル組が優勢になってきている印象だ。種牡馬としてはクロフネ、ステイゴールド、ディープインパクトの産駒が複数頭好走している。阪神ジュベナイルフィリーズと相性がいい血統と言えるだろう。
生産者の名前を見ると、こちらもノーザンファームが最も多い。しかし、該当馬16頭中6頭の割合であり圧倒しているわけではない。下河辺牧場や千代田牧場もそれぞれ2頭好走馬を出している。またディープインパクト産駒やステイゴールド産駒の好走馬は、むしろノーザンファーム以外の生産馬が大半となっている。
【結論】
それでは今年の阪神ジュベナイルフィリーズを占っていくことにする。出走予定馬は表6の通り。
■表6 今年の阪神ジュベナイルフィリーズ出走予定馬
馬名 | 前走レース名 | 前着 | 種牡馬 | 生産者 |
ウーマンズハート | 新潟2歳G3 | 1 | ハーツクライ | ダーレー・ジャパン・ファーム |
エレナアヴァンティ | ファンタG3 | 15 | アドマイヤムーン | 千代田牧場 |
オータムレッド | アルテミG3 | 5 | ワールドエース | ノーザンファーム |
カワキタアジン | 秋明菊賞・1勝 | 5 | ヘニーヒューズ | 川島牧場 |
クラヴァシュドール | サウジアG3 | 2 | ハーツクライ | 下河辺牧場 |
クリスティ | アイビー(L) | 2 | キズナ | 荻伏三好フアーム |
ジェラペッシュ | 赤松賞・1勝* | 3 | ワールドエース | 鎌田正嗣 |
スウィートメリナ | 未勝利* | 1 | ワールドエース | 高岸順一 |
ヒメサマ | 秋明菊賞・1勝 | 11 | ダイワメジャー | 清水牧場 |
ボンボヤージ | 未勝利* | 1 | ロードカナロア | ASK STUD |
マルターズディオサ | サフラン・1勝 | 1 | キズナ | 天羽禮治 |
ヤマカツマーメイド | ファンタG3 | 4 | ロードカナロア | 岡田牧場 |
リアアメリア | アルテミG3 | 1 | ディープインパクト | ノーザンファーム |
ルーチェデラヴィタ | アルテミG3 | 6 | キズナ | 広富牧場 |
レシステンシア | ファンタG3 | 1 | ダイワメジャー | ノーザンファーム |
ロータスランド | もみじS | 2 | Point of Entry | Dr. Aaron Sones & Dr. Naoya Yoshida |
今年はめずらしくフルゲートになりそうもないが、来年のクラシックにつながりそうな興味深いメンバーが揃った。重賞ウイナーのリアアメリア(アルテミスS)とウーマンズハート(新潟2歳S)、レシステンシア(ファンタジーS)に加え、サウジアラビアロイヤルC2着のクラヴァシュドールあたりの前評判が高く、上位人気に支持されそうだ。
具体的な人気順やオッズが判明してから考えたいところだが、この4頭の取捨・順位づけが大きなカギになりそうだ。まずは、前走芝1600m組という意味でリアアメリアとウーマンズハート、クラヴァシュドールがリードか。さらにその中でノーザンファーム生産馬はリアアメリアしかいない。また、メンバー中唯一のディープインパクト産駒である点も強調材料。本馬の単勝オッズが5.0倍未満であれば、信頼できる中心馬とみなしたい。
クラヴァシュドールとウーマンズハートはともにハーツクライ産駒。一応、2012年に同産駒のレッドセシリアが3着に好走した実績がある(クラヴァシュドールは下河辺牧場の生産馬でもある)。この2頭も有力馬だろう。
ただ、そうなると人気薄の馬が上位に食い込む可能性が少なくなる。あらためて出走予定馬の種牡馬をみると、今年産駒がデビューしたワールドエースの子が3頭、キズナの産駒が3頭いる。いずれの種牡馬もディープインパクトの直仔だ。阪神ジュベナイルフィリーズとの相性はまだわからないが、実績的には前走芝1600mの1勝クラスを勝ったマルターズディオサや、前走アルテミスS5着のオータムレッドあたりが穴候補。果たして上位人気勢の一角を崩すことができるだろうか。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。