データde出〜た
第1349回 ここでの好走がG1制覇につながる! 紫苑Sを分析する
2019/9/2(月)
夏競馬が終わり、今週から秋の中山・阪神開催が始まる。中山競馬の土曜メインは秋華賞トライアルの紫苑ステークス。2016年にそれまでのオープン特別からG3へ昇格すると、同レース上位馬からは、ヴィブロス、ディアドラ、そして今年のヴィクトリアマイルを制したノームコアと、立て続けにG1ウィナーが誕生している。今回は紫苑Sをピックアップし、近3年のデータからレース傾向を探っていきたい。なお、データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 紫苑S近3年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 |
2018 (良/16頭) |
1 | ノームコア | 1分58秒0 | 2 | 5 | 33秒6 | 60秒1 |
2 | マウレア | 3馬身 | 1 | 7 | 34秒0 | ||
3 | ランドネ | 1/2馬身 | 7 | 1 | 34秒8 | ||
2017 (良/18頭) |
1 | ディアドラ | 1分59秒8 | 1 | 11 | 33秒8 | 61秒3 |
2 | カリビアンゴールド | ハナ | 6 | 5 | 34秒0 | ||
3 | ポールヴァンドル | ハナ | 4 | 11 | 33秒7 | ||
2016 (良/18頭) |
1 | ビッシュ | 1分59秒7 | 1 | 2 | 35秒3 | 59秒6 |
2 | ヴィブロス | 2馬身1/2 | 3 | 11 | 35秒5 | ||
3 | フロンテアクイーン | 3馬身1/2 | 5 | 8 | 36秒2 |
まず表1は2016年以降近3年の3着以内馬一覧。16年2着ヴィブロス、17年1着ディアドラは次走で秋華賞を制し、昨年の勝ち馬ノームコアは今年のヴィクトリアMをレコードで勝利している。過去3年いずれも良馬場で行われ、勝ちタイムはすべて2分を切る速い決着となっている。前半1000m通過は16年速め、17年スロー、18年平均とそれぞれペースが異なるものの、勝ち時計はすべて速い。特に昨年勝利したノームコアの1分58秒0は非常に速く、時計勝負となった今年のヴィクトリアMを制する素質を見せていた。
近2年は昨年3着のランドネ以外、すべて34秒0以下の速い上がりを繰り出した馬が上位に入っている。人気順では1番人気馬が【2.1.0.0】ですべて連対と安定しており、3着以内馬も多頭数の割にすべて7番人気以内におさまっていた。
■表2 紫苑S近3年の脚質別成績と上がり順位別成績
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0% | 77% |
先行 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中団 | 2- 3- 2-17/24 | 8.3% | 20.8% | 29.2% | 27% | 57% |
後方 | 0- 0- 0-16/16 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
マクリ | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 155% | 70% |
3F 1位 | 2- 0- 1- 1/ 4 | 50.0% | 50.0% | 75.0% | 182% | 125% |
3F 2位 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 105% |
3F 3位 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 62% | 62% |
3F 〜5位 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 60% |
3F 6位以下 | 0- 0- 2-35/37 | 0.0% | 0.0% | 5.4% | 0% | 15% |
続いて表2は脚質別成績と上がり順位別成績。脚質別成績では、16年にマクリで勝利したビッシュ、昨年3着に逃げ粘ったランドネ以外、上位を占めているのはすべて中団からの差し馬だ。秋競馬の開幕週ではあるが、逃げ・先行有利ではなく、中団から脚を使える馬が好成績をあげている。
上がり順位別成績でも傾向がハッキリしており、上がり最速だった馬が昨年のノームコアら2勝をあげ、複勝率75.0%と非常に高い。上がり3位までの馬が軒並み連対率50%をマークしており、瞬発力に秀でたタイプが上位に来ていることがわかる。
■表3 紫苑S近3年3着以内馬の前走成績
開催年 | 着順 | 馬名 | 前走成績 |
2018 | 1 | ノームコア | フローラS 3着 |
2 | マウレア | オークス 5着 | |
3 | ランドネ | オークス 11着 | |
2017 | 1 | ディアドラ | HTB賞 1着 |
2 | カリビアンゴールド | かもめ島特別 2着 | |
3 | ポールヴァンドル | かもめ島特別 1着 | |
2016 | 1 | ビッシュ | オークス 3着 |
2 | ヴィブロス | 500万下 1着 | |
3 | フロンテアクイーン | オークス 6着 |
表3は近3年の3着以内馬9頭の前走成績。黄色で強調したように前走オークス組が4頭馬券に絡んでいる。一昨年1着ディアドラは前走HTB賞、2着カリビアンゴールドは前走かもめ島特別と、いずれも1000万下を使われていたが、ともに2走前はオークスだった。まずは前走オークスを経由している馬が主力といえる。
また17年1〜3着のように前走札幌もしくは函館を使われた馬が【1.1.1.1】と好成績を残している。逆に前走福島だと【0.0.0.8】、新潟【0.0.0.9】、阪神【0.0.0.5】あたりは不振傾向にある。
■表4 紫苑S近3年の種牡馬別成績
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
ハービンジャー | 2- 0- 0- 2/ 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 167% | 67% |
ディープインパクト | 1- 2- 0- 7/10 | 10.0% | 30.0% | 30.0% | 31% | 48% |
ステイゴールド | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 150% |
メイショウサムソン | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 270% |
ダイワメジャー | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 210% |
Blame | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 310% |
その他の種牡馬 | 0- 0- 0-33/33 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は近3年の種牡馬別成績。Blameを含めたヘイルトゥリーズン系もしくはノーザンダンサー系の種牡馬が上位を占めている。ハービンジャー産駒が一昨年のディアドラ、昨年のノームコアと近2年続けて勝利している。同産駒といえば他にも17年皐月賞2着のペルシアンナイト、昨年のホープフルS3着ニシノデイジーなど中山芝2000mでの好走が多い。今年も同産駒が出走してくれば、注目しておきたい。
ディープインパクト産駒は16年ビッシュが勝利。連対した3頭はいずれも紫苑Sで上位3番人気以内に支持されていた。
■表5 紫苑S近3年の馬体重増減別成績
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
-19〜-10kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
-9〜 -4kg | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0% | 23% |
-3〜 +3kg | 1- 2- 1-11/15 | 6.7% | 20.0% | 26.7% | 28% | 53% |
+4〜 +9kg | 1- 1- 1-10/13 | 7.7% | 15.4% | 23.1% | 23% | 54% |
+10〜+19kg | 1- 0- 0-11/12 | 8.3% | 8.3% | 8.3% | 20% | 10% |
+20kg〜 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表5は前走からの馬体重増減別成績。黄色で強調した−3キロ〜+9キロのゾーンに好走馬が集中している。特に−3キロ〜+3キロは昨年の1〜3着馬が該当しており、連対率・複勝率トップだ。休み明けであっても、馬体重の増減がほぼない、もしくは10キロ以内で微増の馬が好走しやすい傾向にある。
なお、10キロ以上の馬体増で好走したのは17年1着ディアドラのみ(+12キロ)。同馬は前走のHTB賞で12キロ減っており、それを戻したものだった。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。