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第1347回 各場の「2歳ステークス」を制した馬の将来像は?

2019/8/26(月)

先週の新潟2歳ステークス、そして今週の小倉・札幌2歳ステークスと、2歳重賞が一気に3競走も行われるこの時期。各レースの馬券作戦ももちろん重要だが、2歳戦だけに、ここを制した馬が後々どういった活躍を見せてくれるのかも気になるところだ。そこで今回は、新潟、小倉、札幌の各2歳ステークスの優勝馬や、出走馬の将来像を探ってみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 新潟2歳ステークス優勝馬の、その後の実績(2002年以降)

馬名 性別 人気 G1優勝 その他実績(カッコ内はG1以外)
2002 ワナ 4    
2003 ダイワバンディット 1   (ユニコーンS2着、関屋記念2着)
2004 マイネルレコルト 1 朝日杯FS 弥生賞3着
2005 ショウナンタキオン 1    
2006 ゴールドアグリ 2    
2007 エフティマイア 4   桜花賞2着、オークス2着
2008 セイウンワンダー 1 朝日杯FS 皐月賞3着、菊花賞3着
2009 シンメイフジ 1   (関東オークス1着)
2010 マイネイサベル 9   ヴィクトリアマイル3着
2011 モンストール 4    
2012 ザラストロ 3    
2013 ハープスター 1 桜花賞 阪神JF2着、オークス2着
2014 ミュゼスルタン 3   NHKマイルC3着
2015 ロードクエスト 1   NHKマイルC2着
2016 ヴゼットジョリー 3    
2017 フロンティア 3   (ファルコンS3着)
2018 ケイデンスコール 1   NHKマイルC2着

2013/8/25 新潟11R 新潟2歳ステークス(G3) 1着 17番 ハープスター

まず表1は、新潟2歳ステークスが芝1600m戦になった2002年以降の優勝馬について、その後の主な実績をまとめたものだ。後に中央競馬のG1を制した馬は、04年のマイネルレコルト、08年のセイウンワンダー、そして13年のハープスターの3頭。共通するのは、いずれも新潟2歳ステークスと同じ、芝1600mでG1勝ちを飾っていることだ。
その他の活躍馬を見ても、昨年の優勝馬・ケイデンスコール(NHKマイルC2着)など、マイル戦で結果を残した馬が多いのが特徴だ。距離が1600mに延長された当初は「2歳のこの時期としては長めの距離」で、後々は中距離も視野に入れたレースという印象だったが、近年の優勝馬はNHKマイルCを中心としたマイル路線が活躍の場。同レースのほか、朝日杯FSや阪神JF、そして牝馬であれば桜花賞あたりが大目標になりそうなのが、新潟2歳ステークスの優勝馬だ。

■表2 小倉2歳ステークス優勝馬の、その後の実績(2002年以降)

馬名 性別 人気 G1優勝 その他実績(カッコ内はG1以外)
2002 メイプルロード 10    
2003 メイショウボーラー 1 フェブラリーS 朝日杯FS2着、皐月賞3着
2004 コスモヴァレンチ 4    
2005 アルーリングボイス 2   (ファンタジーS1着、北九州記念2着)
2006 アストンマーチャン 3 スプリンターズS 阪神JF2着
2007 マルブツイースター 5   (ファルコンS2着、アイビスSD3着)
2008 デグラーティア 3    
2009 ジュエルオブナイル 2    
2010 ブラウンワイルド 1    
2011 エピセアローム 2   (セントウルS1着、チューリップ賞2着)
2012 マイネルエテルネル 2   (デイリー杯2歳S3着)
2013 ホウライアキコ 2   (デイリー杯2歳S1着)
2014 オーミアリス 15    
2015 シュウジ 1   (阪神C1着、デイリー杯2歳S2着)
2016 レーヌミノル 1 桜花賞 阪神JF3着
2017 アサクサゲンキ 3   (ファルコンS2着、京王杯2歳S3着)
2018 ファンタジスト 3   (京王杯2歳S1着、スプリングS2着)

2016/9/4 小倉11R 小倉2歳ステークス(G3) 1着 4番 レーヌミノル

続いて表2は、小倉2歳ステークスの優勝馬について、新潟と同じ2002年以降について調べたものである。以前の本競走はあまり後々の大レースには繋がらず、まさに「夏の小倉2歳王者決定戦」だったが、この期間の優勝馬では、新潟2歳ステークスと同じく3頭が後に中央競馬のG1を制している。ただ、ダートのフェブラリーSを勝ったメイショウボーラー、同距離のスプリンターズSを制したアストンマーチャン、そして桜花賞馬・レーヌミノルと、その内訳は新潟2歳ステークスの3頭と比べると多彩だ。
また、メイショウボーラーの皐月賞3着や、ファンタジストのスプリングS2着なども含め、1200mを超える距離の重賞で結果を出した馬が多く揃っている。さすがに1600m以下が中心にはなるものの、同時期に1600mの新潟2歳ステークスや、1800mの札幌2歳ステークス(同時期に定着したのは12年以降)があるからといって、純然たるスプリンターばかりが勝っているわけではない。逆に言えば、新潟2歳ステークスの優勝馬と同じく、マイルG1を狙える可能性も十分にありそうだ。もちろん、同距離・1200mのスプリンターズSや高松宮記念も、成長力さえ見せられればターゲットになるだろう。

■表3 札幌2歳ステークス優勝馬の、その後の実績(2012年以降)

馬名 性別 人気 G1優勝 その他実績(カッコ内はG1以外)
2012 コディーノ 3   朝日杯FS2着、皐月賞3着
2013 レッドリヴェール 2 阪神JF 桜花賞2着
2014 ブライトエンブレム 5   (弥生賞2着)
2015 アドマイヤエイカン 2   (ステイヤーズS2着、京都2歳S3着)
2016 トラスト 5    
2017 ロックディスタウン 1    
2018 ニシノデイジー 6   ホープフルS3着

そして表3は、札幌2歳ステークスが現在の時期に定着した、12年以降の優勝馬について調べたものである(ほかに09年も、函館競馬場改修の影響でこの時期に施行された)。
本競走は1997年より芝1800mで行われており、以来、2000年のジャングルポケット、08年のロジユニヴァースと、優勝馬から後の日本ダービー馬2頭を輩出。また、05年には後にジャパンCなどを制するアドマイヤムーンが、ここで重賞初制覇を飾っている。ただ、いずれもこのレースが9月下旬から10月上旬に行われていた時代の優勝馬だ。
現在の時期になった当初は、12年のコディーノが朝日杯FSで2着に入り、翌春の皐月賞では3着。そして13年のレッドリヴェールが阪神JFを制し、桜花賞でも2着と、時期が繰り上がってもさほど大きな影響はないように思われた。しかしその後は今のところ、以前ほどの結果は残せていない。これは本競走の施行時期変更のためか、北海道以外でも早い時期から芝中距離の新馬・未勝利戦が行われるようになった影響なのか、あるいは時期変更からまだ7回で単なるサンプル不足なのかは、定かではない。
そんな中、昨年のニシノデイジーは芝2000mのホープフルSで3着、そして2400mの日本ダービーでは5着に食い込んだ。今後、G1で活躍する馬が現れるならば、やはりジャングルポケットなどと同様、芝中距離以上の路線が中心になることだろう。

■表4 新潟、小倉、札幌2歳ステークス2着以下、後の中央平地G1で3着以内の好走馬(2009年以降)

馬名 出走レース 人気 着順 中央G1優勝 その他主なG1実績
2009 コスモセンサー 新潟2歳S 3 13   安田記念3着
2010 アヴェンチュラ 札幌2歳S 2 2 秋華賞 エリザベス女王杯2着
2011 ジャスタウェイ 新潟2歳S 1 2 天皇賞(秋)など2勝 ドバイデューティフリー1着
ゴールドシップ 札幌2歳S 2 2 天皇賞(春)など6勝 有馬記念3着
マイネルロブスト 札幌2歳S 5 3   朝日杯FS2着
2012 ミナレット 新潟2歳S 17 15   ヴィクトリアマイル3着
ロゴタイプ 札幌2歳S 8 4 安田記念など3勝 安田記念2着
マイネルホウオウ 札幌2歳S 4 9 NHKマイルC  
クロフネサプライズ 小倉2歳S 8 9   阪神JF2着
2013 イスラボニータ 新潟2歳S 4 2 皐月賞 日本ダービー2着
マイネルフロスト 札幌2歳S 1 5   日本ダービー3着
バウンスシャッセ 札幌2歳S 5 14   オークス3着
2014 レッツゴードンキ 札幌2歳S 7 3 桜花賞 高松宮記念2着
アルマワイオリ 札幌2歳S 10 6   朝日杯FS2着
2015 ウインファビラス 新潟2歳S 12 2   阪神JF2着
クロコスミア 札幌2歳S 8 3   エリザベス女王杯2着
2016 サンライズソア 新潟2歳S 5 7   チャンピオンズC3着

最後に表4は、新潟、小倉、札幌の「2歳ステークス」では敗退したものの、後に中央競馬のG1で3着以内に入った馬たちである(09年以降、ほかに障害1頭)。現在のところG1馬まで登り詰めたのは、ゴールドシップ(札幌2歳S2着)を筆頭に計7頭。ほかにも、多くの馬がG1で2〜3着に好走している。
このうち、後にG1を制した7頭を見ると、マイネルホウオウを除く6頭はこの「2歳ステークス」(すべて新潟か札幌)で2〜4着に入っていた。表1〜3にあったように、ここを勝ったからといって後のG1に直結するわけではないが、後にG1を勝つほどの馬ならある程度の走りは見せる。それがこの「2歳ステークス」3競走である。特に小倉2歳ステークスの出走馬が後にG1を制するためには、ここでもぜひ勝利が欲しいところだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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