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第1339回 2勝クラスのダート1000m戦を考える

2019/7/29(月)

現在の中央競馬でダート1000m戦が行われるのは、札幌、函館、そして小倉の3場のみ。その3場の開催が集中する夏競馬は、この条件を得意とする馬にとっては絶好の稼ぎどころだ。ただ、そのレースは未勝利戦や1勝クラスが中心。今週は土曜の札幌で桑園特別、そして日曜の小倉では小郡特別と2勝クラスのレースが組まれているが、この「2勝クラス・ダート1000m」戦は、この夏に5鞍しか行われない。そこで今回は、ダート1000m戦の中でも2勝クラス(旧1000万条件)に注目して、傾向を分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、集計期間は2009年以降、本年7月までとした。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 2014年〜
1 10-2-6-5/23 43.5% 52.2% 78.3% 103% 104% 7-0-5-1/13
2 4-4-2-13/23 17.4% 34.8% 43.5% 70% 63% 1-2-0-10/13
3 1-3-4-15/23 4.3% 17.4% 34.8% 24% 68% 0-1-3-9/13
4 2-5-4-12/23 8.7% 30.4% 47.8% 81% 100% 1-5-3-4/13
5 2-2-2-17/23 8.7% 17.4% 26.1% 68% 56% 1-1-1-10/13
6 2-2-3-16/23 8.7% 17.4% 30.4% 103% 97% 2-1-0-10/13
7 2-1-0-20/23 8.7% 13.0% 13.0% 92% 41% 1-0-0-12/13
8 0-1-0-22/23 0.0% 4.3% 4.3% 0% 26% 0-0-0-13/13
9 0-1-1-19/21 0.0% 4.8% 9.5% 0% 60% 0-1-0-10/11
10〜 0-2-1-59/62 0.0% 3.2% 4.8% 0% 37% 0-2-1-32/35

2018/7/7 函館12R 噴火湾特別 1着 8番 レイダー

冒頭で「この夏に5鞍」とした2勝クラスのダート1000m戦だが、2009年から16年は年2レース、17、18年は年3レースしか行われておらず、今夏の1鞍も含め、この集計期間内に行われたのは計23レースになる。

その人気別成績を見ると、目につくのは1番人気の安定ぶりだ。複勝率は78.3%、単複の回収率はともに100%を突破。特に14年以降は【7.0.5.1】と1頭しか馬券圏内を外していない。まず1番人気に推された馬の軽視は禁物だ。その他では、09年以降で単複とも回収率100%前後をマークする6番人気や、14年以降の複勝率が69.2%と高い4番人気あたりに注目したい。

■表2 性齢別成績

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
牡・セン 3歳 2-3-1-17/23 8.7% 21.7% 26.1% 18% 47%
4歳 5-5-8-22/40 12.5% 25.0% 45.0% 52% 75%
5歳 3-2-1-34/40 7.5% 12.5% 15.0% 59% 44%
6歳 1-2-1-22/26 3.8% 11.5% 15.4% 6% 24%
7歳以上 1-0-0-7/8 12.5% 12.5% 12.5% 137% 42%
12-12-11-102/137 8.8% 17.5% 25.5% 45% 50%
3歳 6-3-3-13/25 24.0% 36.0% 48.0% 112% 116%
4歳 3-3-4-25/35 8.6% 17.1% 28.6% 63% 64%
5歳 2-4-5-43/54 3.7% 11.1% 20.4% 24% 63%
6歳 0-1-0-13/14 0.0% 7.1% 7.1% 0% 72%
7歳以上 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
11-11-12-96/130 8.5% 16.9% 26.2% 48% 73%

性別成績に大きな差は出ていないが、その活躍する年齢には違いがあり、牡・セン馬は4歳馬が複勝率45.0%、牝馬なら3歳馬が同48.0%を記録する。ただ、降級制度が廃止された今夏、7月7日の函館9レースでは、5歳牝馬が1〜3着を独占した(3歳馬は不在)。今後、降級しなくなった4歳馬の好走確率は低下する可能性が高そうだ。

■表3 脚質別成績

レース 脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
当該レース 逃げ 10-6-1-6/23 43.5% 69.6% 73.9% 205% 140%
先行 8-13-15-39/75 10.7% 28.0% 48.0% 59% 119%
中団 5-3-4-84/96 5.2% 8.3% 12.5% 34% 29%
後方 0-1-3-68/72 0.0% 1.4% 5.6% 0% 19%
前走 逃げ 10-5-8-33/56 17.9% 26.8% 41.1% 104% 80%
先行 9-11-10-66/96 9.4% 20.8% 31.3% 39% 68%
中団 2-4-2-61/69 2.9% 8.7% 11.6% 26% 24%
後方 2-3-3-36/44 4.5% 11.4% 18.2% 24% 82%

ダートのスプリント戦だけあって、脚質別では逃げた馬が強い。加えてこの条件では「前走で逃げていた馬」も複勝率41.1%などの好成績を残している。こういったデータを調べていると、「逃げ馬が強いことはわかっても、前走で逃げていただけではさほど良くない、そして当該レースで逃げる馬を見極められない」というケースも多々あるものだが、「前走:逃げ」という確定した結果から、好結果を出しやすい馬がわかるというのは見逃せないポイントだろう。

■表4 前走距離別成績(前走中央競馬ダート戦出走馬)

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1000m 13-15-12-69/109 11.9% 25.7% 36.7% 53% 87%
1150m 1-1-3-14/19 5.3% 10.5% 26.3% 18% 46%
1200m 6-4-5-50/65 9.2% 15.4% 23.1% 73% 56%
1300m 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 96% 40%
1400m 1-0-1-19/21 4.8% 4.8% 9.5% 37% 42%
1700m 0-2-0-3/5 0.0% 40.0% 40.0% 0% 104%
1800m 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
(距離短縮計) 9-7-9-89/114 7.9% 14.0% 21.9% 54% 53%

2018/8/19 札幌10R おおぞら特別 1着 4番 コパノキッキング

前走の距離別(前走中央競馬のダート戦出走馬のみ)では、同じ1000m戦に出走していた馬が連対率25.7%、複勝率36.7%をマークする。距離短縮馬も複勝率21.9%と一見悪くはなさそうだが、ダート1000mのコースはフルゲートが少なめ(札幌・函館は12頭、小倉は14頭)であるため、好走率が高く出やすいことには注意したい。

■表5 前走クラス別成績(前走中央競馬平地競走出走馬)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1勝 11-12-11-51/85 12.9% 27.1% 40.0% 62% 81%
2勝 10-11-12-130/163 6.1% 12.9% 20.2% 38% 56%
(2勝・ダ1000m) 3-3-2-22/30 10.0% 20.0% 26.7% 30% 95%
3勝 2-0-0-6/8 25.0% 25.0% 25.0% 117% 43%
OPEN特別 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

2勝クラスのダート1000m戦はレース数が少ない中、表4では前走1000m戦出走馬から多くの好走馬が出ていた。これは昇級馬でも通用しているためで、前走1勝クラス出走馬が複勝率40.0%などの好成績を記録している。「昇級馬でも通用する」というよりは、むしろ「昇級馬が強い」と言ったほうが良い結果だ。

■表6 休養明け消化レース数別成績

消化レース数 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
0(休養明け) 3-2-3-68/76 3.9% 6.6% 10.5% 26% 22%
1 11-10-3-29/53 20.8% 39.6% 45.3% 110% 109%
2 1-2-7-28/38 2.6% 7.9% 26.3% 21% 62%
3 1-1-2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 20% 45%
4 1-1-0-11/13 7.7% 15.4% 15.4% 33% 24%
5〜 5-6-7-37/55 9.1% 20.0% 32.7% 47% 80%

※「休養」は中9週以上

夏競馬のダート1000m戦を目標に仕上げてくる馬も多そうなため、休養明けの消化レース数別の成績を調べたのが表6である。ここで抜群の好結果を出しているのは、休養明け1戦を消化した馬=休養明け2戦目の馬で、連対率は39.6%、そして単複の回収率は110%、109%。その一方で、休養明け5戦以上を消化した(休養明け6戦目以降)馬も、複勝率32.7%など上々の数字を出している。

■表7 休養明け1戦消化馬(2戦目)の各種成績

前走条件等 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳馬 5-1-1-3/10 50.0% 60.0% 70.0% 195% 162%
前走平地逃げ 8-2-1-8/19 42.1% 52.6% 57.9% 272% 128%
前走ダ1000m 8-8-2-14/32 25.0% 50.0% 56.3% 115% 143%
前走 1勝クラス 7-6-2-9/24 29.2% 54.2% 62.5% 143% 133%

最後に、表6で好成績だった休養明け1戦消化馬について、いくつかの条件でデータを調べてみた。3歳馬、前走平地で逃げた馬、前走ダート1000m戦出走馬、そして前走1勝クラス出走馬はいずれも複勝率50%台後半以上、そして回収率は単複とも100%を大きく超えてきている。今週の桑園特別や小郡特別でも、該当馬がいれば特に注目したい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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