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第1323回 新馬戦の馬体重別成績は?

2019/6/3(月)

日本ダービーが終わったばかりたが、早くも「来年のダービー」へ向けた戦いがスタート。先週は土日あわせて5レースの2歳新馬戦が行われた。この時期の新馬戦は「仕上がり早」の小型馬に注目とも言われるが、競馬では一般的に中〜大型馬のほうが好成績を残すもの。2009年から18年に行われた2歳〜3歳春のG1優勝馬のべ73頭のうち、55頭は460キロ以上。440キロ未満の勝ち馬はわずか4頭しかいなかった。果たして、この時期の新馬戦なら本当に小型馬に注目していいのか、過去の傾向を探ってみたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、2009年〜18年の新馬戦を対象とした。

■表1 2歳6〜8月の新馬戦・ダート、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
400〜419kg 3-1-6-42/52 5.8% 7.7% 19.2% 78% 74%
420〜439kg 10-12-12-158/192 5.2% 11.5% 17.7% 91% 77%
440〜459kg 24-29-23-285/361 6.6% 14.7% 21.1% 101% 79%
460〜479kg 40-45-35-302/422 9.5% 20.1% 28.4% 92% 91%
480〜499kg 28-17-23-173/241 11.6% 18.7% 28.2% 75% 81%
500〜519kg 7-8-12-58/85 8.2% 17.6% 31.8% 38% 59%
520〜539kg 2-3-5-21/31 6.5% 16.1% 32.3% 33% 65%
540kg〜 2-1-0-4/7 28.6% 42.9% 42.9% 220% 72%
平均未満 50-51-48-562/711 7.0% 14.2% 21.0% 103% 78%
平均以上 66-65-68-491/690 9.6% 19.0% 28.8% 68% 83%

2017/8/13 新潟6R 2歳新馬 1着 9番 ルヴァンスレーヴ 馬体重486キロ

2歳〜3歳春のG1へ向けては芝での成績が気になるところだが、その前に、大型馬有利の傾向が出やすいと思われるダート戦の馬体重別成績から見ておきたい。表1は、おおむね「夏競馬」の期間に相当する6〜8月にダートコースで行われた2歳新馬戦の、馬体重別成績である。表にある通り、500キロ以上の馬なら3着内率30%を超え、460キロ以上500キロ未満でも同28%台。460キロ未満の馬とは明らかな差がついている。出走全馬の平均馬体重は463キロで、その平均未満だった馬は勝率7.0%、3着内率21.0%に対し、平均以上なら勝率9.6%、3着内率28.8%。ダートの新馬戦では2歳夏の段階から中〜大型馬優勢の傾向だ。

■表2 2歳9〜12月の新馬戦・ダート、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 0-0-0-31/31 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
400〜419kg 3-9-6-146/164 1.8% 7.3% 11.0% 18% 61%
420〜439kg 27-30-27-491/575 4.7% 9.9% 14.6% 87% 74%
440〜459kg 65-72-92-1025/1254 5.2% 10.9% 18.3% 66% 75%
460〜479kg 106-125-127-1258/1616 6.6% 14.3% 22.2% 76% 79%
480〜499kg 128-118-101-954/1301 9.8% 18.9% 26.7% 78% 84%
500〜519kg 78-58-55-532/723 10.8% 18.8% 26.4% 91% 82%
520〜539kg 30-28-27-194/279 10.8% 20.8% 30.5% 48% 75%
540kg〜 6-4-8-76/94 6.4% 10.6% 19.1% 23% 48%
平均未満 156-205-210-2543/3114 5.0% 11.6% 18.3% 71% 75%
平均以上 287-239-233-2164/2923 9.8% 18.0% 26.0% 75% 80%

■表3 3歳新馬戦・ダート、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 0-1-0-33/34 0.0% 2.9% 2.9% 0% 5%
400〜419kg 3-6-5-190/204 1.5% 4.4% 6.9% 77% 52%
420〜439kg 12-24-27-464/527 2.3% 6.8% 12.0% 45% 52%
440〜459kg 41-50-60-766/917 4.5% 9.9% 16.5% 70% 72%
460〜479kg 90-73-74-943/1180 7.6% 13.8% 20.1% 100% 79%
480〜499kg 84-82-83-765/1014 8.3% 16.4% 24.6% 95% 108%
500〜519kg 58-55-46-478/637 9.1% 17.7% 25.0% 76% 99%
520〜539kg 34-24-23-234/315 10.8% 18.4% 25.7% 83% 88%
540kg〜 4-7-6-68/85 4.7% 12.9% 20.0% 15% 41%
平均未満 118-132-136-2113/2499 4.7% 10.0% 15.4% 73% 66%
平均以上 208-190-188-1828/2414 8.6% 16.5% 24.3% 88% 98%

続いて同じくダートの新馬戦について、2歳9〜12月(表2)と、3歳(表3)も見てみよう。470キロ前後の馬は表1では「好成績」の部類だったが、2歳9月以降になると、良くも悪くもない、といった程度になる。出走全馬の平均馬体重は、表2、表3ともに472キロ少々。表1の463キロから10キロ程度増え、「好成績」を残せるボーダーラインもその分、上がっているようだ。
また、時期が進むと1レースあたりの出走頭数が増えるため、全体的に好走確率は低下していく傾向があり、中でも小型馬の落ち込みが特に目立っている。こうして見ると、表1にあった2歳夏の小型馬は決して良くはないものの、秋以降に比べれば「まだ良い方」だった、とも言えるだろう。

■表4 2歳6〜8月の新馬戦・芝、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 7-7-5-151/170 4.1% 8.2% 11.2% 210% 102%
400〜419kg 40-51-52-645/788 5.1% 11.5% 18.1% 45% 67%
420〜439kg 142-138-155-1386/1821 7.8% 15.4% 23.9% 90% 84%
440〜459kg 196-203-213-2070/2682 7.3% 14.9% 22.8% 74% 73%
460〜479kg 200-199-181-1670/2250 8.9% 17.7% 25.8% 61% 68%
480〜499kg 102-98-89-900/1189 8.6% 16.8% 24.3% 50% 61%
500〜519kg 40-36-37-307/420 9.5% 18.1% 26.9% 51% 54%
520〜539kg 13-6-5-60/84 15.5% 22.6% 28.6% 50% 45%
540kg〜 0-2-0-13/15 0.0% 13.3% 13.3% 0% 34%
平均未満 342-360-390-3818/4910 7.0% 14.3% 22.2% 82% 80%
平均以上 398-380-347-3384/4509 8.8% 17.3% 25.0% 56% 62%

2010/8/14 新潟5R 2歳新馬 1着 8番 オルフェーヴル 馬体重448キロ

今度は芝の新馬戦について、表4は2歳6〜8月の馬体重別成績である。この表4で、明らかに好走確率が低いと言えるのは、400キロを切る馬のみ。420キロ以上440キロ未満で3着内率23.9%と、中〜大型馬と遜色ない数字になる。全体的には、平均(454.1キロ)より重いほうが好走確率は高いものの、表1のダート戦(3着内率で7.8ポイント差)に比べればその差はわずかだ。

■表5 2歳9〜12月の新馬戦・芝、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 2-6-8-155/171 1.2% 4.7% 9.4% 25% 112%
400〜419kg 41-41-49-642/773 5.3% 10.6% 16.9% 72% 82%
420〜439kg 128-125-122-1698/2073 6.2% 12.2% 18.1% 73% 69%
440〜459kg 190-222-231-2459/3102 6.1% 13.3% 20.7% 60% 70%
460〜479kg 244-263-253-2302/3062 8.0% 16.6% 24.8% 70% 76%
480〜499kg 197-165-156-1491/2009 9.8% 18.0% 25.8% 70% 71%
500〜519kg 83-68-75-653/879 9.4% 17.2% 25.7% 62% 66%
520〜539kg 25-25-21-205/276 9.1% 18.1% 25.7% 58% 51%
540kg〜 7-0-4-42/53 13.2% 13.2% 20.8% 59% 41%
平均未満 384-421-441-5216/6462 5.9% 12.5% 19.3% 66% 73%
平均以上 533-494-478-4431/5936 9.0% 17.3% 25.4% 68% 71%

■表6 3歳新馬戦・芝、馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
〜399kg 1-2-0-74/77 1.3% 3.9% 3.9% 5% 7%
400〜419kg 9-16-20-230/275 3.3% 9.1% 16.4% 83% 97%
420〜439kg 30-27-38-505/600 5.0% 9.5% 15.8% 61% 77%
440〜459kg 65-51-53-769/938 6.9% 12.4% 18.0% 82% 84%
460〜479kg 76-61-66-715/918 8.3% 14.9% 22.1% 53% 76%
480〜499kg 38-71-47-519/675 5.6% 16.1% 23.1% 52% 79%
500〜519kg 28-30-27-276/361 7.8% 16.1% 23.5% 51% 69%
520〜539kg 13-5-9-96/123 10.6% 14.6% 22.0% 131% 57%
540kg〜 5-3-4-27/39 12.8% 20.5% 30.8% 45% 58%
平均未満 120-105-123-1727/2075 5.8% 10.8% 16.8% 71% 80%
平均以上 145-161-141-1484/1931 7.5% 15.8% 23.1% 57% 74%

9〜12月に行われた芝の2歳新馬戦(表5)でも、明らかに苦しいのは400キロ未満のみ。ただ、こちらは460キロを切るとやや劣勢で、連対率が15%を超えてくるのは460キロ以上だ。出走馬の平均馬体重は460.03キロ。平均未満と平均以上では、3着内率で6.1ポイントの差がついている。芝の3歳新馬戦(表6)でも同じような傾向にあり、やはり460キロあたりが境になる。平均馬体重は462.2キロで、平均未満と平均以上は3着内率で6.3ポイント差だ。

以上、新馬戦の馬体重別成績を、2歳夏、2歳秋、3歳と分けて、芝・ダート別に調べてみた。ダート戦では小型馬苦戦の傾向だが、それでも2歳夏の段階であれば、秋以降に比べればまだ勝負になる可能性がある。一方、芝のレースでは、420キロ台から450キロ台あたりの馬でも、夏競馬のうちは中〜大型馬と互角に渡り合えそうなデータが出ていた。

また、ここまでは好走確率に注目してデータを見てきたが、単複の回収率に注目すると、少し違った面も見えてくる。表1(2歳夏・ダート)では馬体重「平均未満」の単勝回収率が103%。そして表4(2歳夏・芝)では「平均未満」の単複の回収率は80%台で、100%こそ超えていないものの、「平均以上」の56%、62%を大きく上回る。特に400キロ未満の馬は、全7勝中3勝を2桁人気馬が挙げ、単勝回収率210%、複勝回収率102%を記録している。好走確率こそ低くても、「馬券作戦」としては「夏の2歳新馬戦は小型馬に注目」しても良さそうな結果だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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