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第1321回 宝塚記念へとつながる芝2000m重賞・鳴尾記念を分析

2019/5/27(月)

いわゆる「春のG1シリーズ」というくくりでは安田記念、宝塚記念の2戦が残っているが、番組上では今週末から夏競馬となる。今回は、宝塚記念の前哨戦という意味合いもあるG3の鳴尾記念を展望してみたい。集計期間は、現在の開催時期となった12年以降の7年分。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 1- 3- 0- 3/ 7 14.3% 57.1% 57.1% 55% 77%
2番人気 2- 1- 1- 3/ 7 28.6% 42.9% 57.1% 111% 87%
3番人気 2- 0- 1- 4/ 7 28.6% 28.6% 42.9% 167% 78%
4番人気 1- 0- 1- 5/ 7 14.3% 14.3% 28.6% 84% 55%
5番人気 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 30%
6番人気 1- 0- 0- 6/ 7 14.3% 14.3% 14.3% 165% 57%
7番人気 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 147%
8番人気 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 91%
9番人気 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 54%
10番人気〜 0- 0- 2-19/21 0.0% 0.0% 9.5% 0% 163%

表1は人気別成績。1番人気の連対率57.1%は悪くないが、勝ったのは過去7年で1頭のみにとどまった。かといって人気薄が勝っているわけでもなく、計5勝の2〜4番人気が1着となるケースが多いようだ。2、3着にはダークホースが突っ込むケースもしばしばあり、7番人気以下は合計して複勝回収率130%。1着は人気どころを中心に、2、3着は手広く探すのが基本線と言えそうだ。

■表2 馬番別成績

馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番 0- 0- 0- 7/ 7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2番 0- 1- 2- 4/ 7 0.0% 14.3% 42.9% 0% 507%
3番 1- 0- 1- 5/ 7 14.3% 14.3% 28.6% 54% 57%
4番 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 34%
5番 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 17%
6番 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 121%
7番 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 28%
8番 1- 2- 0- 4/ 7 14.3% 42.9% 42.9% 84% 57%
9番 1- 1- 0- 5/ 7 14.3% 28.6% 28.6% 112% 140%
10番 3- 1- 0- 3/ 7 42.9% 57.1% 57.1% 277% 158%
11番 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 78% 36%
12番 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 53%
13番 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
14番 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
15番 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
16番 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

過去7年で平均12.4頭立てと出走頭数はそれほど多くならず、今年の登録馬も12頭となった鳴尾記念。ところが、このぐらいの頭数なら枠の影響は小さそうにも思えるが、実際はそうとも言えないので注意したい。表2の馬番別成績を見ると、1着馬は8〜11番枠から6頭、2着馬は8〜12番枠から5頭と、このあたりの馬番から連対馬が多く出ていることがわかる。一方、3着馬は2〜7番枠に集中。このように意外と偏った傾向が出ているので、しっかり馬番をチェックして臨みたい。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
4歳 1- 2- 3- 3/ 9 11.1% 33.3% 66.7% 128% 134%
5歳 4- 2- 1- 8/15 26.7% 40.0% 46.7% 117% 110%
6歳 2- 1- 2-24/29 6.9% 10.3% 17.2% 40% 142%
7歳 0- 2- 1-15/18 0.0% 11.1% 16.7% 0% 65%
8歳以上 0- 0- 0-13/13 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は年齢別成績。4歳が複勝率66.7%、5歳が勝率26.7%を記録するなど高い好走率を記録している。6歳や7歳にも好走例はあるが、率としては大きな差があり、迷ったときは年齢が若い馬を選ぶと的中の確率が上がりそうだ。

■表4 前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 35%
前走2着 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 62%
前走3着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0- 3- 0- 2/ 5 0.0% 60.0% 60.0% 0% 174%
前走5着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6〜9着 4- 0- 3-13/20 20.0% 20.0% 35.0% 147% 228%
前走10着〜 3- 3- 2-30/38 7.9% 15.8% 21.1% 30% 59%

表4は前走着順別成績。この通り、過去7年の1着馬はすべて前走6着以下という珍しい傾向が出ている点に注目したい。一方、前走1〜3着は合わせて【0.1.2.14】、複勝率17.6%、複勝回収率29%と大苦戦。馬柱の前走着順がいいからといって単純に評価できないし、悪かったからといって過小評価は禁物。そのあたりの判断が難しいレースとなっている。

■表5 前走距離別成績(芝のみ)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1400m 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1160% 400%
1600m 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 20%
1800m 3- 2- 2-17/24 12.5% 20.8% 29.2% 56% 199%
2000m 1- 4- 4-26/35 2.9% 14.3% 25.7% 22% 67%
2200m 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2400m 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2500m 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 50%
3200m 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 195% 82%

表5は前走距離別成績。なお、前走ダートは距離を問わず好走例がないため、前走芝のみを示している。主流となっているのは、出走例、好走例ともに多い前走1800mと2000m。このふたつを比較すると、好走例がより多いのは鳴尾記念と同じ2000mだが、2、3着どまりのケースも目立つ。対して1800mは5項目すべての数値が2000mより高く、勝ち切れる傾向もある。前走2000mも決して悪い成績ではないが、より相性がいいのは前走1800mと言えそうだ。あとの距離は出走例が少ないが、そのなかでは前走3200m、すなわち天皇賞・春から転戦してきた馬が4戦2勝の良績を残している。

■表6 芝2000m連対率別成績

連対率 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
50%以上 4- 4- 2-17/27 14.8% 29.6% 37.0% 79% 65%
50%未満 2- 3- 5-46/56 3.6% 8.9% 17.9% 14% 107%
未出走 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1160% 400%

表6は、レース出走時点における芝2000mでの連対率を調べたもので、50%以上と50%未満の馬に分けて示している。当然と言うべきか、鳴尾記念と同距離の芝2000mで高い連対率を記録していた馬のほうが成績はいい。前走としては1800mのほうが好相性でも、もちろん芝2000mへの適性が低くてはいけないということだ。

■表7 鳴尾記念1、2着馬の芝1800、2000m持ちタイム

着順 馬名 持ちタイム
芝1800m 芝2000m
12年 1 トゥザグローリー 1分47秒8 1分58秒7
2 ショウナンマイティ 1分45秒6 2分1秒5
13年 1 トウケイヘイロー (未出走) (未出走)
2 エクスペディション 1分46秒1 1分57秒3
14年 1 エアソミュール 1分46秒0 1分59秒8
2 アドマイヤタイシ 1分46秒6 1分56秒9
15年 1 ラブリーデイ 1分47秒7 1分57秒3
2 マジェスティハーツ 1分46秒8 1分59秒2
16年 1 サトノノブレス 1分49秒3 1分59秒0
2 ステファノス 1分45秒1 1分58秒5
17年 1 ステイインシアトル 1分50秒3 2分1秒1
2 スマートレイアー 1分44秒8 1分58秒8
18年 1 ストロングタイタン 1分48秒1 1分58秒3
2 トリオンフ 1分46秒1 1分59秒1

16年と18年でコースレコードが記録されるなど、近年の鳴尾記念は速いタイムで決着することが多い。そこで過去7年の鳴尾記念1、2着馬に関して、出走時点における芝1800mと2000mの持ちタイムを調べたのが表7で、「1着時および重賞1、2着時」のみを対象としている。この通り、芝1800mなら1分46秒台、芝2000mなら1分58秒台より速いタイムでの1着、もしくは重賞1、2着の実績を持つ馬が多く連対していることがわかる。表7に掲載した14頭中11頭が該当しており、できれば満たしておきたい条件と言えそうだ。

【結論】

2018/12/8 中京11R 中日新聞杯 (G3) 1着 7番 ギベオン 2018/10/13 京都11R 大原ステークス 1着 6番 タニノフランケル

最初に調べたいのが、表7の項で確認した持ちタイム。出走登録のある12頭ではタニノフランケル(芝1800m・1分45秒4)、ギベオン(芝1800m・1分46秒8)、サンデーウィザード(芝2000m・1分57秒9)、メールドグラース(芝2000m・1分58秒6)、ブラックバゴ(芝2000m・1分58秒8)の5頭が、持ちタイムからの有力馬と言える。この5頭の年齢を見ると、タニノフランケルギベオンメールドグラースは4歳、サンデーウィザードとブラックバゴは7歳。表3で見た通り、年齢的には若い馬の好走率が明らかに高く、データからは4歳の3頭を上位にとるべきだろう。

また、登録12頭の芝2000mにおける連対率を確認すると、50%以上を記録しているのはギベオン(66.7%)とメールドグラース(50.0%)の2頭のみ。この点ではタニノフランケル(42.9%)は若干遅れをとった。

ただし、過去7年の鳴尾記念においては前走6着以下だった馬しか勝っておらず、この3頭で満たすのはタニノフランケル(前走10着)だけ。奇妙な感じではあるが、メールドグラース(前走1着)、ギベオン(前走5着)の2頭は、このレースに限っては勝ち切れないデータに合致してしまっている。

この通り、データ的にドンピシャと言えるほどの馬は見当たらないというのが正直なところ。ひとまずは3頭の4歳馬を重視しつつ、当日人気や馬番なども考慮して予想に取り組みたいところだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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