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第1311回 青葉賞で軽視されやすい馬のタイプとは?

2019/4/22(月)

今週土曜日に東京競馬場で青葉賞が行われる。日本ダービーのトライアルで、本番と同じ東京芝2400mで行われる。近年ではアドミラブルがここを勝って、日本ダービーでも3着と好走を果たした。今年は皐月賞の結果を受けると、ダービーの人気はサートゥルナーリア一色となりそうな雰囲気だ。そんなムードを打破できそうな新星は、果たして出てくるだろうか? まずは過去10年の青葉賞を分析し、同レースで好走が期待できそうなタイプをしっかりと把握しておきたい。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の青葉賞好走馬

着順 馬名 人気 調教師 前走レース名 前着 備考
18年 1 ゴーフォザサミット 6 藤沢和雄 スプリンG2 7 共同通信杯4着
2 エタリオウ 7 友道康夫 ゆきやな500* 2  
3 スーパーフェザー 1 友道康夫 アザレア500* 1  
17年 1 アドミラブル 1 音無秀孝 アザレア500* 1  
2 ベストアプローチ 4 藤原英昭 弥生賞G2 4  
3 アドマイヤウイナー 8 須貝尚介 大寒桜賞500* 1 ホープフルS11着
16年 1 ヴァンキッシュラン 4 角居勝彦 アザレア500* 1  
2 レッドエルディスト 5 笹田和秀 大寒桜賞500* 1  
3 レーヴァテイン 1 堀宣行 500万下* 1  
15年 1 レーヴミストラル 1 松田博資 アザレア500* 1  
2 タンタアレグリア 4 国枝栄 大寒桜賞500* 1 ホープフルS7着
3 ヴェラヴァルスター 5 木村哲也 ゆりかも500* 1  
14年 1 ショウナンラグーン 10 大久保洋 山吹賞500* 3  
2 ワールドインパクト 1 友道康夫 大寒桜賞500* 1 すみれS2着
3 ヤマノウィザード 4 山内研二 すみれS 7  
13年 1 ヒラボクディープ 7 国枝栄 水仙賞500* 1  
2 アポロソニック 9 堀井雅広 山吹賞500* 1 京成杯7着
3 ラストインパクト 2 松田博資 大寒桜賞500* 1 すみれS2着
12年 1 フェノーメノ 1 戸田博文 弥生賞G2 6  
2 エタンダール 10 藤原英昭 山吹賞500* 1 ラNIKKEI8着
3 ステラウインド 13 尾関知人 山吹賞500* 4  
11年 1 ウインバリアシオン 6 松永昌博 弥生賞G2 7  
2 ショウナンパルフェ 4 二ノ宮敬 スプリンG2 6  
3 トーセンレーヴ 1 池江泰寿 毎日杯G3 3  
10年 1 ペルーサ 1 藤沢和雄 若葉S 1  
2 トゥザグローリー 2 池江泰郎 500万下* 1  
3 ハートビートソング 3 平田修 ゆきやな500* 1  
09年 1 アプレザンレーヴ 1 池江泰郎 毎日杯G3 3  
2 マッハヴェロシティ 7 武藤善則 すみれS 3  
3 トップカミング 6 境直行 アザレア500* 1 若葉S3着

表1は過去10年の青葉賞で3着以内に好走した馬たち。冒頭に述べたアドミラブルや2012年のフェノーメノ、11年のウインバリアシオンらが、日本ダービーでも好走を果たした。基本的には皐月賞には出走しなかった馬たちによる戦いとなるため、こうした素質的に抜けた馬が毎年いるようなことはない。メンバー間での格はあまり差がなく、実績で判断することも難しい。前走500万クラスを勝ち上がってきたばかりの馬が多く、個々のレースレベル・内容を見極めることがかなり大事だ。それでも相性がいい特別なレースというのは存在する。

例えば、アザレア賞だ。近年は阪神芝2400mで行われている500万特別で、18年3着のスーパーフェザーや17年1着のアドミラブル、16年1着のヴァンキッシュランが前走で同レースを勝っていた。ゆりかもめ賞やゆきやなぎ賞といった別の芝2400m戦からも好走馬はよく出ている。やはり今回と同じ2400mの距離を経験し、好走しているという点は大きな強みとなる。それらのレースでいい勝ち方をしていた馬は、青葉賞でも上位人気になりやすい傾向があるものの、3着以内に入ってくる可能性は高く、素直に評価した方がいいだろう。

また、中京芝2200mで行われる大寒桜賞はアザレア賞と並んで、有力なステップレースとなっている。13年から17年にかけ、5年連続で勝ち馬が青葉賞で好走を果たした。17年のアドマイヤウイナーは8番人気、16年のレッドエルディストは5番人気での好走であり、アザレア賞よりも配当的な妙味がある。

それ以上に伏兵馬として存在感を示しているのが前走中山芝2200m組(500万クラス)だ。水仙賞や山吹賞が該当するのだが、ヒラボクディープは7番人気、アポロソニックは9番人気、エタンダールは10番人気で激走した。山吹賞組に至っては敗れていたショウナンラグーンやステラウインドも馬券になっている。

どうやら同じ500万クラスでも中山芝2200mでのレース結果は、青葉賞では評価されにくい傾向にあるようだ。無論、すべての馬が人気薄というわけではないが、案外と人気にならず、好走した時に大きな配当になりやすい。また、中山芝2200m組は脚を余して負けたようなタイプでも、東京に替わって末脚が生きるというケースも出てくるようだ。

そして、もう一つ、人気が下がる要因があるような気がする。それは過去に別の重賞で4着以下に敗れているケースだ。表1の備考に示したように、過去にホープフルSや京成杯といった芝中距離重賞で負けていた馬がそこそこいるのだ。1度の敗戦(特に中山の重賞)ぐらいでは、軽視しない方がいいだろう

■表2 青葉賞で好走した前走オープンクラス組(過去10年)

着順 馬名 人気 前走レース名 前着 前上3F
18年 1 ゴーフォザサミット 6 スプリンG2 7 2位
17年 2 ベストアプローチ 4 弥生賞G2 4 3位
14年 3 ヤマノウィザード 4 すみれS 7  
12年 1 フェノーメノ 1 弥生賞G2 6 2位
11年 1 ウインバリアシオン 6 弥生賞G2 7  
2 ショウナンパルフェ 4 ※スプリンG2 6  
3 トーセンレーヴ 1 毎日杯G3 3 3位
10年 1 ペルーサ 1 若葉S 1 1位
09年 1 アプレザンレーヴ 1 毎日杯G3 3 1位
2 マッハヴェロシティ 7 すみれS 3 2位

※11年は阪神芝1800mで施行。

前走500万クラス組以外では、前走オープンクラス組が馬券になっている。表2で示したように、過去10年では10頭が該当した。具体的なレースを見ると、スプリングSや弥生賞組が多い。これらのレースで好走していれば皐月賞に出走できるので、基本的には4着以下に敗れていた馬が中心となる。毎日杯、あるいはすみれS、若葉Sといった阪神組も多い。この中で毎日杯3着、若葉S1着と目に見えていい実績を残している馬は、青葉賞で人気になり、そして結果も出している。問題は前走着順があまり良くない馬をどう取捨するかだ。

2018/4/28 東京11R 青葉賞 (G2) 1着 9番 ゴーフォザサミット

拾える一つの目安としては、前走の上がり3ハロンが優秀かどうか。例えば、18年1着のゴーフォザサミットは、前走スプリングSで7着だったが、上がり3ハロンはメンバー中2位だった。このように小回りの中山組は、コース替わりでパフォーマンスを上げてくる可能性を考えたい

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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