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第1305回 今週末に備えて阪神芝1600mの牝馬限定戦を分析!

2019/4/1(月)

今週末は3つの重賞が組まれているが、そのうち土曜のG2・阪神牝馬Sと日曜のG1・桜花賞は「阪神芝1600mの牝馬限定戦」という条件で共通する。牝馬のみで争われるレースには特有の傾向が存在しても不思議ではなく、今回はこの条件についてのデータを考察してみたい。集計期間は2010年3月6日〜2019年3月9日で、阪神芝1600mの牝馬限定戦における全体のデータと、上級戦(1600万下とオープン)に限ったデータのふたつに分けて見ていく。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2018/4/8 阪神11R 桜花賞(G1) 1着 13番 アーモンドアイ 2018/4/7 阪神11R 阪神牝馬ステークス(G2) 1着 11番 ミスパンテール

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 1番人気 22-  8-  6- 22/ 58 37.9% 51.7% 62.1% 76% 75%
2番人気 10- 13-  6- 29/ 58 17.2% 39.7% 50.0% 70% 82%
3番人気 8- 11-  7- 32/ 58 13.8% 32.8% 44.8% 78% 85%
4番人気 4- 10- 10- 34/ 58 6.9% 24.1% 41.4% 113% 108%
5番人気 8-  3-  5- 42/ 58 13.8% 19.0% 27.6% 150% 76%
6〜9番人気 5-  8- 16-203/232 2.2% 5.6% 12.5% 62% 64%
10番人気〜 1-  5-  8-340/354 0.3% 1.7% 4.0% 13% 49%
上級戦 1番人気 14-  6-  4- 11/ 35 40.0% 57.1% 68.6% 81% 83%
2番人気 6-  7-  4- 18/ 35 17.1% 37.1% 48.6% 71% 74%
3番人気 3-  6-  5- 21/ 35 8.6% 25.7% 40.0% 45% 82%
4番人気 3-  4-  6- 22/ 35 8.6% 20.0% 37.1% 149% 94%
5番人気 5-  3-  3- 24/ 35 14.3% 22.9% 31.4% 145% 85%
6〜9番人気 3-  5-  8-124/140 2.1% 5.7% 11.4% 69% 60%
10番人気〜 1-  4-  5-222/232 0.4% 2.2% 4.3% 20% 49%

表1は人気別成績。まず言えるのが1番人気の強さで、全体で勝率37.9%、上級戦では勝率40.0%とさらに上昇する。また、4番人気や5番人気の成績も良好で、全体、上級戦ともに回収率が高い。そのぶん2、3番人気が割を食っている印象もあるが、阪神芝1600mの牝馬限定戦では基本的に上位人気が強い傾向が見られる。一方、6番人気以下は苦戦しており、特に10番人気以下はまず勝てない。好走率が低いのは仕方ないとしても、回収率も振るわず、穴はあまり期待できない条件となっているようだ。

■表2 前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 1着 20- 20- 12-152/204 9.8% 19.6% 25.5% 74% 78%
2着 12-  7- 11- 73/103 11.7% 18.4% 29.1% 83% 64%
3着 3-  9-  9- 51/ 72 4.2% 16.7% 29.2% 50% 80%
4着 5-  1-  3- 54/ 63 7.9% 9.5% 14.3% 65% 57%
5着 3-  3-  5- 41/ 52 5.8% 11.5% 21.2% 24% 70%
6〜9着 4-  5-  7-107/123 3.3% 7.3% 13.0% 79% 67%
10着〜 0-  2-  0-102/104 0.0% 1.9% 1.9% 0% 28%
上級戦 1着 20- 20- 12-149/201 10.0% 19.9% 25.9% 76% 80%
2着 7-  3-  8- 56/ 74 9.5% 13.5% 24.3% 90% 60%
3着 3-  3-  6- 38/ 50 6.0% 12.0% 24.0% 72% 68%
4着 1-  1-  2- 33/ 37 2.7% 5.4% 10.8% 13% 38%
5着 2-  2-  2- 23/ 29 6.9% 13.8% 20.7% 23% 73%
6〜9着 2-  5-  5- 80/ 92 2.2% 7.6% 13.0% 55% 70%
10着〜 0-  1-  0- 62/ 63 0.0% 1.6% 1.6% 0% 9%

表2は前走着順別成績で、表1の項で見た上位人気が強い理由の一端が示されているように思われる。というのも、前走の着順がよかった馬が順当に好走するレースが非常に多いのだ。特に上級戦では全35戦中20戦で前走1着馬が勝利し、35戦中30戦で前走1〜3着馬が勝利と、その傾向が強くなっている。反面、前走10着以下の馬は63走して2着1回しかない。全体の傾向も同様で、大幅な巻き返しはかなり難しくなっている。

■表3 脚質別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 逃げ 7-  2-  6- 43/ 58 12.1% 15.5% 25.9% 106% 74%
先行 18- 23- 14-157/212 8.5% 19.3% 25.9% 50% 91%
中団 24- 16- 29-282/351 6.8% 11.4% 19.7% 79% 64%
後方 9- 17-  9-219/254 3.5% 10.2% 13.8% 11% 44%
上級戦 逃げ 4-  2-  2- 27/ 35 11.4% 17.1% 22.9% 79% 53%
先行 8-  9-  9-100/126 6.3% 13.5% 20.6% 47% 85%
中団 15-  9- 19-180/223 6.7% 10.8% 19.3% 92% 56%
後方 8- 15-  5-135/163 4.9% 14.1% 17.2% 14% 58%

表3は脚質別成績で、脚質の分類はTARGET frontier JVによる。ここで注目したいのは好走率よりも好走数で、全体、上級戦ともに1着数と1〜3着数の最多は「中団」となっている。また、率は低いものの「後方」から好走を果たした馬も少なくない。対して、一般的なデータでは優秀な数値が記録されやすい「逃げ」や「先行」の成績はそれほどでもなく、特に上級戦の「逃げ」は、この脚質としてはかなりの苦戦といっていい。阪神芝1600mの牝馬限定戦では差し馬にも十分チャンスありとみたい。

■表4 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 1枠 5-  2-  3- 77/ 87 5.7% 8.0% 11.5% 20% 32%
2枠 1-  4-  6- 81/ 92 1.1% 5.4% 12.0% 11% 31%
3枠 5-  3-  6- 83/ 97 5.2% 8.2% 14.4% 27% 38%
4枠 8-  8-  6- 82/104 7.7% 15.4% 21.2% 63% 82%
5枠 12- 12- 13- 71/108 11.1% 22.2% 34.3% 79% 113%
6枠 8-  9-  8- 86/111 7.2% 15.3% 22.5% 119% 98%
7枠 15- 10-  6-104/135 11.1% 18.5% 23.0% 88% 67%
8枠 4- 10- 10-118/142 2.8% 9.9% 16.9% 11% 48%
上級戦 1枠 5- 2- 1-48/56 8.9% 12.5% 14.3% 31% 35%
2枠 0- 1- 4-52/57 0.0% 1.8% 8.8% 0% 26%
3枠 3- 1- 3-53/60 5.0% 6.7% 11.7% 22% 23%
4枠 5- 5- 4-50/64 7.8% 15.6% 21.9% 74% 101%
5枠 5- 7- 7-47/66 7.6% 18.2% 28.8% 80% 129%
6枠 6- 5- 5-52/68 8.8% 16.2% 23.5% 145% 75%
7枠 8- 7- 2-70/87 9.2% 17.2% 19.5% 84% 63%
8枠 3- 7- 9-70/89 3.4% 11.2% 21.3% 15% 45%

表4は枠番別成績。前項で逃げ・先行馬の成績がそれほどでもなく、差し馬にもチャンスありと述べたが、枠番別でもそれを裏付けるようなデータが残っている。全体、上級戦ともに内枠の数値が悪く、外枠の成績が良好なのだ。大外の8枠こそやや苦戦も、5〜7枠は好走率、回収率ともに高め。また、5〜7枠に入った馬が「中団」からレースを進めた場合、全体で勝率10.4%、単勝回収率148%、上級戦でも勝率10.2%、単勝回収率171%という好成績が残っている。阪神芝1600mの牝馬限定戦において、外枠の差し馬はひとつの狙い目となりそうだ。

■表5 上がり3F順位別成績

上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 1位 26- 17-  5- 27/ 75 34.7% 57.3% 64.0% 225% 131%
2位 15- 12-  6- 23/ 56 26.8% 48.2% 58.9% 200% 185%
3位 8-  9- 16- 41/ 74 10.8% 23.0% 44.6% 136% 139%
4、5位 6-  8- 15- 81/110 5.5% 12.7% 26.4% 72% 119%
6位〜 3- 12- 16-529/560 0.5% 2.7% 5.5% 2% 24%
上級戦 1位 15- 12-  2- 14/ 43 34.9% 62.8% 67.4% 207% 126%
2位 8-  7-  4- 18/ 37 21.6% 40.5% 51.4% 210% 190%
3位 5-  4-  8- 25/ 42 11.9% 21.4% 40.5% 192% 112%
4、5位 4-  4- 10- 52/ 70 5.7% 11.4% 25.7% 81% 131%
6位〜 3-  8- 11-333/355 0.8% 3.1% 6.2% 3% 23%

表5は、上がり3Fタイムの順位別成績。全体、上級戦ともに明確な傾向が出ており、上がり1位の脚を使った馬の成績が極めていい。上がり2位だと好走率は若干下がるが、回収率は高いぐらいで、こちらも優秀。さらには上がり3位の成績もよく、速い上がりを使った馬がそのまま好走できる確率はかなり高い。一方、上がり6位以下の脚しか使えなかった場合は苦戦必至で、全体、上級戦ともに勝率は1%にも満たない。せめて上がり5位までの脚を使えないようだと、厳しい着順を覚悟しなければならないだろう。

■表6 前走上がり3F順位別成績

前走上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 前走1位 14- 11- 11-102/138 10.1% 18.1% 26.1% 86% 75%
前走2位 11-  5-  6- 57/ 79 13.9% 20.3% 27.8% 73% 63%
前走3位 8-  8-  6- 66/ 88 9.1% 18.2% 25.0% 124% 81%
前走4、5位 4- 13- 11-116/144 2.8% 11.8% 19.4% 11% 62%
前走6位〜 10- 10- 13-231/264 3.8% 7.6% 12.5% 46% 59%
上級戦 前走1位 14- 10-  8- 85/117 12.0% 20.5% 27.4% 102% 72%
前走2位 6-  4-  4- 47/ 61 9.8% 16.4% 23.0% 51% 54%
前走3位 5-  7-  6- 55/ 73 6.8% 16.4% 24.7% 91% 81%
前走4、5位 2-  8-  7- 87/104 1.9% 9.6% 16.3% 9% 64%
前走6位〜 8-  6- 10-160/184 4.3% 7.6% 13.0% 49% 54%

前項で上がりの脚の重要性を確認したが、実際の予想においては前走の上がり順位のほうが利用しやすい。それを示したのが表6。これを見ると、前走でも上がり順位がよかった馬のほうが、阪神芝1600mの牝馬限定戦では好走する確率が高いことがわかる。複勝率を見る限り、前走上がり順位が3位までの馬を狙うとよさそうだ。

■表7 種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 ディープインパクト 15- 14- 12- 79/120 12.5% 24.2% 34.2% 56% 89%
ハーツクライ 4-  4-  6- 29/ 43 9.3% 18.6% 32.6% 28% 85%
ダイワメジャー 3-  5-  7- 50/ 65 4.6% 12.3% 23.1% 79% 134%
ステイゴールド 3-  5-  3- 33/ 44 6.8% 18.2% 25.0% 57% 67%
キングカメハメハ 3-  3-  5- 28/ 39 7.7% 15.4% 28.2% 133% 109%
上級戦 ディープインパクト 14-11-11-61/97 14.4% 25.8% 37.1% 68% 98%
ダイワメジャー 3- 3- 2-37/45 6.7% 13.3% 17.8% 114% 81%
キングカメハメハ 3- 2- 4-20/29 10.3% 17.2% 31.0% 179% 121%
ステイゴールド 2- 4- 2-24/32 6.3% 18.8% 25.0% 71% 76%
オルフェーヴル 2- 1- 0- 1/ 4 50.0% 75.0% 75.0% 147% 90%

表7は種牡馬別成績(着別度数順)で、全体、上級戦それぞれ5位まで示した。1位はディープインパクトが圧倒的。全15勝中14勝を上級戦で挙げているように、重賞などのレースで抜群の強さを見せている。表3〜6の項で、差し馬の好走が多いことや上がりの脚が重要なことがわかったが、そうしたレースではやはりディープインパクト産駒に一日の長があるのだろう。また、回収率が高いのはキングカメハメハで、好走率はディープインパクトに届かないが、妙味を重視するならこちらを狙う手もある。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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