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第1304回 激戦必至!? G1昇格3年目の大阪杯を制する馬は?

2019/3/28(木)

今週は日曜日に阪神競馬場で大阪杯が行われる。G1に昇格して今年で3年目となる芝2000mのレースだ。ドバイで国際競走に挑むアーモンドアイは不在だが、その分多くの馬にチャンスがある激戦になりそうだ。G1で行われた過去2年のレース成績を詳しく振り返り、今年のレースを展望してみたい。データの集計・分析は、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2018/4/1 阪神11R 大阪杯(G1)

まずは昨年の大阪杯を振り返りたい。勝利したのは1番人気のスワーヴリチャードだった。各コーナーでの通過順位を見るとわかるように、スタートではヤマカツライデンが先頭に立ったが、スワーヴリチャードは向正面の直線で15番手から一気に押し上げてハナを奪うというレース運びを見せた。結果的には逃げ・先行勢がそのまま残るような競馬ではなかったものの、内回りコースということもあり、後方にいて直線一気にかけるような競馬では勝ち切れなかった可能性が十分ある。鞍上のM・デムーロ騎手の判断は見事だった。

ただ、具体的にレースラップを見ると、前半は12秒台のラップが多いものの、最初の1ハロン以外は12秒5以下。13秒台以上の遅いラップは刻まれていない。良馬場・芝2000mのG1ともなれば、時計は速くなりがちで、極端なスローペースになることは少なそうだ。また後半の5ハロンはすべて11秒台のラップが刻まれている。内回りコース使用ということで全体的に仕掛けのタイミングも早くなるのだろう。最終的には決め手勝負になるものの、スローペースで脚をじっくり溜めるような競馬にはならない。

道中のペースがあまり緩まないので、そうした流れのレースで実績がある馬が上位にきている。2着ペルシアンナイトは前年のマイルCS優勝馬。3着アルアインは前年の皐月賞を1分57秒8という速い時計で制していた。

1着だったスワーヴリチャードも前走金鯱賞を制しており、芝2000mでひとつ実績を残して本番に挑んだ。また、大阪杯の後は安田記念で3着に入線した。芝2400〜2500mがベストという印象もあったが、古馬のマイルG1でも通用するスピードを持っていることを証明してみせた。

2017/4/2 阪神11R 大阪杯(G1)

続いて2017年の大阪杯を振り返る。優勝したのは1番人気のキタサンブラックだった。この年はマルターズアポジーという速い逃げ馬がいたため、全体のレースラップは厳しい。最初の1ハロン以外は12秒台前半から11秒台が刻まれ、ゴールまで続いた。かなり息を入れにくい展開で、マルターズアポジーは12着に失速し、2番手で進んだロードヴァンドールはシンガリ負けを喫した。しかし、やや離れた先団を進んでいたキタサンブラックは4コーナーで2番手に上がり、最後の直線でしっかりと抜け出した。2着のステファノスも終始先団でレースを運んでいた。18年よりも明らかに速いペースだったが、先行馬が連対を果たしたというわけだ。

キタサンブラックはそれ以前、その後の実績を考えると、単純に力が抜けていた存在だった。そのような馬であれば厳しいペースを先行してもねじ伏せることができそうだ。2着ステファノスは天皇賞(秋)を2年連続で好走し、鳴尾記念では2着の実績もあった。香港のクイーンエリザベス2世カップでも2着と、芝2000mではハイレベルな走りを見せていた。

3着のヤマカツエースは前走金鯱賞を制して同レース2勝目をマーク。さらに中山金杯や福島記念も優勝しており、とにかく芝2000mの重賞実績が際立っていた。東京で行われる天皇賞(秋)ではスピード・瞬発力不足を露呈してしまったが、コーナーが4回あるここではG1でも十分通用した。18年の大阪杯でも4着に入線しており、惜しい競馬を見せていた。

一方、2番人気で4着に敗れたマカヒキや、3番人気で6着に敗れたサトノクラウンは、芝2000mで時計が速いレースへの適性がどうだったか。18年の大阪杯で3番人気に支持されたサトノダイヤモンドも7着に終わっている。同馬はフランス遠征でかなりダメージを受けた印象はあるが、3歳秋以降に勝った重賞は菊花賞や有馬記念、阪神大賞典と長い距離ばかりだった。このように上位人気で敗れた馬は、芝1600〜2000mでのスピードという資質を欠いていたことが敗因かもしれない。

【結論】
以上のことを踏まえて、今年の大阪杯を展望してみたい。出走予定馬は表1の通りだ。

■表1 今年の大阪杯出走予定馬

馬名 前走レース名 前着 主な芝1600〜2000mの実績
アクションスター 日経賞G2 11  
アルアイン 金鯱賞G2 5 大阪杯3着、皐月賞1着
エアウィンザー 金鯱賞G2 3 チャレンジC1着
エポカドーロ 中山記念G2 5 皐月賞1着
キセキ 有馬記念G1 5 天皇賞(秋)3着
サングレーザー 香港CG1 4 天皇賞(秋)2着、札幌記念1着、マイルCS3着
スティッフェリオ 小倉大賞HG3 1 小倉大賞典1着、福島記念1着
ステイフーリッシュ 京都記念G2 2 中山金杯2着
ステルヴィオ 中山記念G2 3 マイルCS1着、毎日王冠2着
ダンビュライト 京都記念G2 1 皐月賞3着
ブラストワンピース 有馬記念G1 1 新潟記念1着、毎日杯1着
ペルシアンナイト 金鯱賞G2 4 大阪杯2着、マイルCS1着、皐月賞2着
マカヒキ 京都記念G2 3 札幌記念2着、皐月賞2着
ムイトオブリガード 金鯱賞G2 7  
ワグネリアン 神戸新聞G2 1 弥生賞2着

天気予報によると雨の心配はあまりなく、良馬場でレースができる可能性が高いとみる。先週日曜日に行われた1000万クラスの四国新聞杯の勝ち時計は2分01秒5(良)。ペースがかなり遅かったため、時計はややかかった。しかし、同日に行われたオープンクラスの芝1600m・六甲Sの勝ち時計が1分33秒9だったので、決して時計がかかる芝状態ではないはず。そうなると、今年の大阪杯も時計勝負になる。1分58秒台の決着になる可能性も高いだろう。

そのようなレースになれば、注目すべきは芝1600〜2000mの重賞実績だ。上位人気が予想される4歳馬ブラストワンピースは前走有馬記念でG1初制覇を果たした。しかし、まだキャリアが浅く、芝1600〜2000mのG1やG2を使われていない。新潟記念や毎日杯の勝利実績があるので、距離が明らかに懸念材料というわけではないが、よりハイレベルなスピード競馬に対応できるかがカギとなりそうだ。

ダービー馬のワグネリアンも同様のことが言える。皐月賞で7着と敗れてしまったので(稍重だったが)、芝中距離でのめぼしい実績がない。休み明けよりもこの点が課題となる。

一方、芝1600〜2000mで実績十分なのが、サングレーザー。天皇賞(秋)2着、札幌記念1着、マイルCS3着の実績は今回のメンバーではかなり強力。G1初制覇のチャンスを迎えたと言っていいだろう。ペルシアンナイトも豊富な実績があり、前年同様の走りが期待できるかもしれない。ステルヴィオもこの路線では手堅い。マイルCSに続くG1・2勝目を狙えそうだ。

上がり馬としてはスティッフェリオやエアウィンザーの名前が挙がる。G2の金鯱賞で善戦していることと、阪神芝2000mの実績を重視して後者の方が上と見るが果たしてどうなるか。

エポカドーロは皐月賞馬だが、良馬場のスピード勝負に対応できるかどうか。皐月賞の勝ち時計は2分00秒8(稍重)。同じ皐月賞馬でも、アルアインとはタイプが異なるような気がする。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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