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第1295回 年明けから連発! ハンデ重賞の逃げ残りを考える

2019/2/25(月)

先日、2月16〜17日の開催で4つの重賞が行われた。もっとも注目されたのはG1のフェブラリーSで、インティによる鮮やかな逃げ切り勝ちで幕を閉じた。実は同日に行われた小倉大賞典、そして前日のダイヤモンドSも同じく逃げ馬がポイントとなったレースだった。小倉大賞典は14番人気のサイモンラムセスが3着に入線。ダイヤモンドSでは8番人気のサンデームーティエが2着に残る激走を見せ、波乱を演出したのだった。

そこで今回はハンデ重賞における逃げ残りについて考えてみることにする。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 2019年ダイヤモンドSの上位馬

着順 馬名 人気 ハンデ 1角 2角 3角 4角
1 ユーキャンスマイル 1 4 54 6 7 8 9
2 サンデームーティエ 8 5 50 1 1 1 1
3 カフェブリッツ 3 6 54 3 3 3 2

2019/2/16 東京11R ダイヤモンドS(G3) 1着 10番 ユーキャンスマイル

あらためて先日の重賞を振り返っておく。表1はダイヤモンドSの上位馬。1着は圧倒的人気のユーキャンスマイルだったが、2着には8番人気のサンデームーティエが入った。10頭立てのレースだったので、8番人気でも単勝オッズは51.1倍という大穴だった。同馬が単騎で逃げ、スローペースに持ち込んだことが大きかったように思う。ハンデの50キロも利いたが、それ以上に展開の利があった。

■表2 2019年小倉大賞典の上位馬

着順 馬名 人気 ハンデ 1角 2角 3角 4角
1 スティッフェリオ 3 5 57 5 4 4 4
2 タニノフランケル 1 4 54 2 2 2 2
3 サイモンラムセス 14 9 53 1 1 1 1

表2は翌日に行われた小倉大賞典の上位馬。1着は3番人気スティッフェリオ、2着は1番人気タニノフランケルという穏やかな決着だったが、3着に14番人気のサイモンラムセスが飛び込んだ。3連単は37万9540円という大波乱だった。同馬が逃げてギリギリ残った競馬で、ペースとしてはそれほど楽ではなかった。ただ、ハナへ行きたかったはずのマルターズアポジーが出遅れ、タニノフランケルも控えたことが幸いしただろうか。激しくなってもおかしくなかった先行争いをまぬがれ、単騎の逃げに持ち込むことができた。

■表3 2019年のハンデ重賞結果(2/10まで)

レース名 着順 馬名 人気 ハンデ 2角 3角 4角
シルクロHG3 1 ダノンスマッシュ 1 4 56.5   5 5
2 エスティタート 11 6 53   14 9
3 ティーハーフ 12 9 57   16 15
愛知杯HG3 1 ワンブレスアウェイ 8 6 54 4 4 4
2 ノームコア 1 4 55 10 10 10
3 ランドネ 4 4 53 1 1 1
日経新春HG2 1 グローリーヴェイズ 1 4 55 9 10 6
2 ルックトゥワイス 5 6 55 13 10 10
3 シュペルミエール 3 6 55 7 8 6
中山金杯HG3 1 ウインブライト 3 5 58 8 9 7
2 ステイフーリッシュ 7 4 56 12 3 2
3 タニノフランケル 9 4 53 1 1 1
京都金杯HG3 1 パクスアメリカーナ 1 4 55   6 5
2 マイスタイル 5 5 56   3 3
3 ミエノサクシード 11 6 54   10 9

今年に入ってのハンデ重賞を振り返ると(表3参照)、逃げ馬がよく残っていることがわかる。愛知杯はランドネが3着、中山金杯はタニノフランケルが9番人気で3着に残り、穴をあけた。よって2019年はすでに4レースのハンデ重賞で逃げ馬が好走していることになる。

これは例年と比較するとかなりハイペースだ。2015年以降のデータを調べると、平地のハンデ重賞で逃げ馬が残ったのは、1年間で5〜7レース程度。わずか2か月で4レースも出現している今年は異常と言えるかもしれない。ただ、ハンデ戦で逃げ馬が穴になるケースが特に多いというわけでもない。表3に戻るとわかるように、シルクロードSや京都金杯は差し馬が穴を演出している。

伏兵馬の逃げ残りはあくまでも展開の一つだ。全レースで警戒し、馬券を買うわけにはいかない。レースのたびに「逃げ馬は残ることができるか?」などと、考えていくしかない。もしくは馬のキャラクターを強く意識し、狙えそうなレースに出てくるまで待つという作戦もある。

■表4 2018年(2月)箱根特別の上位馬

着順 馬名 人気 ハンデ 1角 2角 3角 4角
1 コルコバード 1 5 54 6 6 5 7
2 サンデームーティエ 11 4 54 1 1 1 1
3 トータルソッカー 9 4 55 2 2 3 3

■表5 2018年(6月)グリーンSの上位馬

着順 馬名 人気 ハンデ 1角 2角 3角 4角
1 サイモンラムセス 4 8 54 1 1 1 1
2 アドマイヤエイカン 2 5 56 7 6 8 10
3 ペンタトニック 3 7 55 11 11 11 8

2018/6/3 阪神11R グリーンステークス 1着 4番 サイモンラムセス

例えば、先ほどのサンデームーティエ。同馬は2018年2月3日に行われた箱根特別(1000万・東京芝2400m)に11番人気で出走し、逃げて2着に入っていた。また、サイモンラムセスは2018年6月3日に行われたグリーンS(1600万・阪神芝2400m)に出走し、4番人気で逃げ切り勝ちを収めていた。つまり2頭とも、遠くない過去(約1年以内)に、ハンデ戦で逃げて好走した経験があったというわけだ。こうした条件・ファクターを目安にし、馬ごとに走れそうな条件を把握しておくのだ。もしタイミングよく狙うことができれば、効率的に大きな配当にたどり着くこともできそうだ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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