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第1294回 G1馬5頭の取捨は? 中山記念を分析する
2019/2/21(木)
皐月賞まで続く春の中山開催の開幕週メインは芝1800m重賞の中山記念。3月末に行われるドバイ国際競走の前哨戦としても注目で、近年はジャスタウェイやドゥラメンテがこのレースを制している。今年はG1馬5頭が出走を予定しており、非常に注目度の高い一戦だ。今回は中山記念をピックアップ、2014年以降の近5年のレース傾向を中心に分析して有力馬を取捨していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 中山記念 近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 1000m通過 | レース上がり |
2018 (良) |
1 | ウインブライト | 1分47秒6 | 2 | 3 | 34秒9 | 59秒2 | 36秒6 |
2 | アエロリット | クビ | 5 | 2 | 36秒2 | |||
3 | マルターズアポジー | アタマ | 6 | 1 | 36秒6 | |||
2017 (良) |
1 | ネオリアリズム | 1分47秒6 | 3 | 3 | 34秒3 | 61秒4 | 34秒6 |
2 | サクラアンプルール | 3/4馬身 | 8 | 7 | 33秒8 | |||
3 | ロゴタイプ | 1/2馬身 | 7 | 2 | 34秒5 | |||
2016 (良) |
1 | ドゥラメンテ | 1分45秒9 | 1 | 4 | 34秒1 | 59秒4 | 34秒9 |
2 | アンビシャス | クビ | 4 | 9 | 33秒6 | |||
3 | リアルスティール | 1/2馬身 | 2 | 5 | 34秒1 | |||
2015 (稍重) |
1 | ヌーヴォレコルト | 1分50秒3 | 3 | 4 | 35秒6 | 61秒9 | 36秒1 |
2 | ロゴタイプ | クビ | 2 | 1 | 35秒8 | |||
3 | ステファノス | 1馬身1/2 | 4 | 7 | 35秒6 | |||
2014 (稍重) |
1 | ジャスタウェイ | 1分49秒8 | 2 | 3 | 36秒6 | 61秒1 | 36秒9 |
2 | アルキメデス | 3馬身1/2 | 4 | 7 | 36秒9 | |||
3 | ロゴタイプ | ハナ | 3 | 3 | 37秒1 |
まず表1は中山記念近5年の3着以内馬一覧。勝ちタイムでは2016年のみ1分45秒9と非常に速く、他の年はやや掛かり気味で推移している。良馬場の近2年はペースの違いはあっても1分47秒6と同じタイムが出ており、このあたりが標準といえるだろう。
15年以降の近4年は10〜11頭で行われており、前半1000mのペースや展開に結果が左右される部分が多い。人気別成績では1番人気馬が【1.0.0.4】で、3着以内に入ったのは16年1着ドゥラメンテのみと信頼度は低い。一方、2番人気馬【2.1.1.1.】、3番人気馬【2.0.1.2】、4番人気馬【0.2.1.2】でいずれも複勝率60%以上と安定している。特に近2年は2・3着に5番人気以下の伏兵が激走している点に注意しておきたい。
■表2 中山記念の年齢別成績(過去5年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
4歳 | 3- 2- 3- 7/15 | 20.0% | 33.3% | 53.3% | 80% | 101% |
5歳 | 1- 2- 0- 9/12 | 8.3% | 25.0% | 25.0% | 44% | 52% |
6歳 | 1- 1- 1-13/16 | 6.3% | 12.5% | 18.8% | 44% | 105% |
7歳以上 | 0- 0- 1-14/15 | 0.0% | 0.0% | 6.7% | 0% | 29% |
表2は年齢別成績。黄色で強調したように4歳馬が昨年のウインブライトら最多の3勝をあげ、連対率33.3%・複勝率53.3%と非常に高い。昨年は1・2着馬が該当しており、明け4歳の勢いが目立つ結果となっている。
5歳馬は14年ジャスタウェイ、6歳馬は一昨年のネオリアリズムがそれぞれ勝利。7歳以上の馬からは連対馬が出ておらず、年齢が上がるごとに勝率・連対率・複勝率いずれも下降している。
■表3 中山記念出走馬の所属別成績(過去5年)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
美浦 | 4- 3- 3-26/36 | 11.1% | 19.4% | 27.8% | 53% | 91% |
栗東 | 1- 2- 2-17/22 | 4.5% | 13.6% | 22.7% | 24% | 44% |
表3は出走馬の所属別成績。美浦所属の関東馬が昨年のウインブライトら近4年続けて勝ち馬を出しており、関西馬に対して勝率・連対率・複勝率いずれも上回っている。特に近2年は上位3着までを独占しており、関東馬優勢の傾向を示している。
関西馬は14年ジャスタウェイの1勝のみで、3着以内に入った5頭はいずれも上位4番人気以内の馬だった。
■表4 中山記念の前走クラス別成績(過去5年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
オープン特別 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 130% |
G3 | 1- 2- 1- 7/11 | 9.1% | 27.3% | 36.4% | 48% | 73% |
G2 | 0- 0- 1-12/13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0% | 22% |
G1 | 3- 2- 2-16/23 | 13.0% | 21.7% | 30.4% | 52% | 65% |
※表のG1は国内G1にかぎる。
表4は前走クラス別成績。出走数が多い前走G1組は16年ドゥラメンテら3勝をあげ、連対率21.7%・複勝率30.4%。ただし、前走G3組は昨年ウインブライトが勝利し、連対率・複勝率で前走G1組を上回っている。なお、前走G2組からは連対馬が出ておらず、苦戦傾向にある。
■表5 中山記念の前走着順別成績(過去5年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 2- 1- 1- 7/11 | 18.2% | 27.3% | 36.4% | 67% | 73% |
前走2着 | 2- 1- 1- 1/ 5 | 40.0% | 60.0% | 80.0% | 200% | 278% |
前走3着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走5着 | 0- 1- 2- 2/ 5 | 0.0% | 20.0% | 60.0% | 0% | 178% |
前走6〜9着 | 1- 2- 0- 8/11 | 9.1% | 27.3% | 27.3% | 64% | 65% |
前走10着以下 | 0- 0- 1-17/18 | 0.0% | 0.0% | 5.6% | 0% | 25% |
表5は前走着順別成績。前走1着馬は16年ドゥラメンテら2勝をあげ、連対率27.3%・複勝率36.4%。これを上回るのが前走2着馬で昨年のウインブライトら2勝をあげ、連対率60%・複勝率80%と非常に高い。これら前走連対馬が3着以内馬15頭中半数以上の8頭を占めている。
前走5着馬も好相性を示しているが、前走10着以下からは連対馬が出ておらず、大敗からの巻き返しは厳しい。
■表6 中山記念の前走人気別成績(過去5年)
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1人気 | 2- 2- 1- 5/10 | 20.0% | 40.0% | 50.0% | 68% | 112% |
前走2人気 | 1- 0- 2- 4/ 7 | 14.3% | 14.3% | 42.9% | 75% | 74% |
前走3人気 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 23% |
前走4人気 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 40% |
前走5人気 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 132% | 280% |
前走6〜9人 | 0- 0- 1-13/14 | 0.0% | 0.0% | 7.1% | 0% | 32% |
前走10人以下 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表6は前走人気別成績。前走1番人気だった馬は16年ドゥラメンテら2勝をあげ、連対率40.0%・複勝率50%と優秀だ。前走2番人気馬も昨年ウインブライトが勝利し、複勝率42.9%と高い。これら前走で上位2番人気以内だった馬が3着以内馬15頭中半数以上の8頭を占めている。
一方、前走6番人気以下だった馬からは連対馬が出ておらず、不振傾向にある。
■表7 中山芝1800mの種牡馬別成績(2017年〜2019/1/20)
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
ディープインパクト | 10- 6- 9-37/62 | 16.1% | 25.8% | 40.3% | 146% | 86% |
ステイゴールド | 7- 5- 1-16/29 | 24.1% | 41.4% | 44.8% | 143% | 92% |
ダイワメジャー | 3- 0- 2- 8/13 | 23.1% | 23.1% | 38.5% | 361% | 136% |
シンボリクリスエス | 1- 4- 0- 7/12 | 8.3% | 41.7% | 41.7% | 37% | 85% |
キングカメハメハ | 1- 2- 0-18/21 | 4.8% | 14.3% | 14.3% | 59% | 69% |
ハーツクライ | 1- 1- 1-19/22 | 4.5% | 9.1% | 13.6% | 17% | 33% |
ハービンジャー | 1- 0- 2-18/21 | 4.8% | 4.8% | 14.3% | 19% | 41% |
※1000万クラス以上が対象。1勝以上かつ3着以内数3回以上を掲載。
表7は17年以降の1000万クラス以上における種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒が最多の10勝をあげるも、勝率・連対率・複勝率いずれも上回っているのがステイゴールド産駒だ。昨年優勝のウインブライトも同産駒で、今年1月の初富士Sでもレッドローゼスが差し切って勝利している。
シンボリクリスエス産駒も連対率が高いものの、今回は出走予定馬がいない。なお、ハーツクライ産駒、ハービンジャー産駒は1勝ずつで、連対率・複勝率ともに低調だ。ロードカナロア産駒【1.0.0.1】、オルフェーヴル産駒【0.1.0.2】はともに出走数が少ないが、連対した馬は昨年のスプリングS1着ステルヴィオ、2着エポカドーロだった。
<結論>
■表8 今年の中山記念の出走予定馬(2/20現在)
出走馬 | 性齢 | 前走成績 |
ウインブライト | 牡5 | 中山金杯 1着(3人気) |
エポカドーロ | 牡4 | 菊花賞 8着(3人気) |
シベリアンスパーブ | 牡10 | 洛陽S 11着(11人気) |
ステルヴィオ | 牡4 | マイルCS 1着(5人気) |
スワーヴリチャード | 牡5 | ジャパンC 3着(2人気) |
ディアドラ | 牝5 | 香港C 2着(1人気) |
トータルソッカー | 牡5 | 1000万下 3着(7人気) |
トルークマクト | 牡9 | 未勝利 13着(11人気) |
ハッピーグリン | 牡4 | ジャパンC 7着(14人気) |
フィールドシャルム | 牡6 | 1000万下 11着(10人気) |
マイネルサージュ | 牡7 | 白富士S 8着(7人気) |
マルターズアポジー | 牡7 | 小倉大賞典 13着(10人気) |
ラッキーライラック | 牝4 | 秋華賞 9着(2人気) |
※フルゲート16頭。除外対象なし。
今年の出走予定馬は表8のとおり。
人気になりそうなのはM.デムーロ騎手が騎乗予定のスワーヴリチャード、ルメール騎手が騎乗予定のディアドラの2頭だろう。ただし、表7の種牡馬の中山芝1800m成績ではハーツクライ・ハービンジャーともに低調だった。スワーヴリチャードは中山での2戦がいずれも4着以下に敗れており、本来は左回りで広いコース向き。対して、ディアドラは昨夏に小回り芝1800mのクイーンSを快勝。中山でも紫苑Sを差し切って勝利しており、スワーヴリチャードよりも上に評価したい。
これまでのデータから推奨したいのがステルヴィオとウインブライトの2頭。ステルヴィオは前走マイルCSを制覇したが、スプリングSを制しているように芝1800m適性が非常に高いタイプ。近年好成績の明け4歳というのも強調材料だ。ウインブライトも右回り芝1800〜2000mはベスト。表7で好成績を示したステイゴールド産駒で、昨年と同じ中山金杯からの臨戦と再び好走する条件は揃っている。
エポカドーロはデビュー以来6戦連続3着以内だったが近2戦は4着以下とリズムを崩している印象。ラッキーライラックも初の牡馬との対戦では正直厳しいだろう。ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。