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第1273回 数少ないダートのスプリント重賞・カペラSを分析する

2018/12/3(月)

2008年に新設され、昨年まで10回が行なわれたカペラS。ちょうど過去10年分のデータが蓄積されたキリのいいタイミングでもあるので、今回はこのダート1200m重賞を分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 0- 1- 1- 8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 26%
2番人気 1- 1- 2- 6/10 10.0% 20.0% 40.0% 39% 71%
3番人気 3- 2- 0- 5/10 30.0% 50.0% 50.0% 169% 106%
4番人気 3- 1- 0- 6/10 30.0% 40.0% 40.0% 237% 124%
5番人気 1- 0- 1- 8/10 10.0% 10.0% 20.0% 94% 60%
6番人気 1- 0- 1- 8/10 10.0% 10.0% 20.0% 112% 62%
7番人気 0- 3- 0- 7/10 0.0% 30.0% 30.0% 0% 138%
8番人気 0- 1- 4- 5/10 0.0% 10.0% 50.0% 0% 265%
9番人気 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番人気〜 1- 1- 1-64/67 1.5% 3.0% 4.5% 69% 47%

表1は人気別成績。なんといっても言及すべきは、上位人気の苦戦だ。1番人気は1勝もしておらず、2、3着も各1回。2番人気も1勝のみに終わっている。各3勝を挙げている3番人気や4番人気のほうが好成績で、2着3回の7番人気、複勝率50.0%の8番人気も侮れないことを考えると、中穴級の馬までしっかりと目を光らせる必要があるだろう。また、10番人気以下から3着以内に入った3頭には、いずれも4歳馬という共通項がある点も興味深い。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 4- 1- 0-14/19 21.1% 26.3% 26.3% 387% 123%
2枠 1- 0- 1-18/20 5.0% 5.0% 10.0% 47% 24%
3枠 0- 1- 1-17/19 0.0% 5.3% 10.5% 0% 47%
4枠 0- 3- 2-15/20 0.0% 15.0% 25.0% 0% 73%
5枠 1- 0- 0-18/19 5.3% 5.3% 5.3% 33% 14%
6枠 0- 2- 3-15/20 0.0% 10.0% 25.0% 0% 107%
7枠 2- 1- 2-15/20 10.0% 15.0% 25.0% 60% 66%
8枠 2- 2- 1-15/20 10.0% 20.0% 25.0% 52% 139%

表2は枠番別成績。中山ダート1200mといえば外枠の有利がよく知られたコースだが、当レースでも7、8枠が各2勝を挙げ、6〜8枠のいずれも複勝率25.0%と、やはり外枠は安定して走っている。ただし、過去10年で4勝を挙げている1枠も同等以上に注意すべきで、13年に6番人気1着のノーザンリバー、14年に12番人気1着のダノンレジェンドと穴馬も勝っており、一発にも警戒したい枠となっている。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 1- 0- 0- 6/ 7 14.3% 14.3% 14.3% 94% 35%
4歳 4- 1- 2-23/30 13.3% 16.7% 23.3% 222% 152%
5歳 3- 5- 4-34/46 6.5% 17.4% 26.1% 53% 68%
6歳 2- 3- 2-29/36 5.6% 13.9% 19.4% 38% 78%
7歳以上 0- 1- 2-35/38 0.0% 2.6% 7.9% 0% 25%

表3は年齢別成績。勝率ベースで見ると、年齢が若い順に高い数値を記録していることがわかる。ダート路線では高齢まで息長く活躍する傾向もあるが、単複の回収率も高い4歳馬を中心に、若い馬がいれば狙ってみる価値がありそうだ。

■表4 出走間隔別成績

間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
連闘 0- 0- 0- 0/ 0          
中1週 2- 1- 3-30/36 5.6% 8.3% 16.7% 161% 92%
中2週 4- 3- 2-18/27 14.8% 25.9% 33.3% 103% 91%
中3週 2- 1- 2- 7/12 16.7% 25.0% 41.7% 94% 216%
中4〜8週 1- 4- 3-49/57 1.8% 8.8% 14.0% 18% 52%
中9週〜 1- 1- 0-23/25 4.0% 8.0% 8.0% 15% 13%

表4は出走間隔別成績。好走率が高いのは中3週や中2週で、中1週も回収率は高い。一方、中4〜8週や中9週以上になると数値が下がる傾向にある。このデータを見る限り、カペラSでは出走間隔が詰まった馬を狙うと結果につながりやすいといえそうだ。

■表5 前走上がり3F順位別成績

前走上がり3F 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1位 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 66% 81%
2位 2- 1- 1- 8/12 16.7% 25.0% 33.3% 125% 87%
3位 3- 1- 0- 5/ 9 33.3% 44.4% 44.4% 232% 137%
4位〜 4- 4- 5-75/88 4.5% 9.1% 14.8% 78% 74%
※前走の集計対象は中央のみ

表5は前走上がり3Fタイムの順位別成績。ご覧の通り、前走の上がりが1〜3位の馬と4位以下だった馬では好走率に大きな差が出ている。4位以下では好走できないというわけではないが、1〜3位だった馬をより重視したいところだ。

■表6 前走距離別成績

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1200m 1-  3-  3- 65/ 72 1.4% 5.6% 9.7% 9% 33%
1400m 7-  5-  5- 37/ 54 13.0% 22.2% 31.5% 174% 114%
1500m 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600m 2-  1-  2- 10/ 15 13.3% 20.0% 33.3% 75% 173%
1800m 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
※前走の集計対象はダートのみ

表6は前走距離別成績。好走数が圧倒的に多いのが前走1400mで、数値も優秀だ。また、出走例の少ない前走1600mも1400mと同等の好走率を記録しており、こちらも期待十分。しかし、カペラSと同距離の前走1200mは意外なほど振るわない。この傾向には注意が必要だろう。

■表7 前走レース別成績

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
霜月S 3- 3- 2-14/22 13.6% 27.3% 36.4% 97% 100%
武蔵野S・G3 2- 1- 2- 7/12 16.7% 25.0% 41.7% 94% 216%
オータムリーフS 2- 1- 1-14/18 11.1% 16.7% 22.2% 322% 133%
西陣S・1600 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 220% 83%
エニフS 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 195% 90%
渡月橋S1600 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1070% 430%
JBCスプリント・G1 0- 2- 3-11/16 0.0% 12.5% 31.3% 0% 120%
室町S 0- 1- 0-19/20 0.0% 5.0% 5.0% 0% 6%
京洛S 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 176%
オーバルスプリント・G3 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 160%
太秦S 0- 0- 2-10/12 0.0% 0.0% 16.7% 0% 76%
※好走例のある前走のみ

表7は前走レース別成績。出走数、好走数ともに多いのは霜月S、武蔵野S、オータムリーフS(2013年の京都オータムリーフプレミアムを含む)、JBCスプリントの4レース。なかでも霜月Sと武蔵野Sは好走率が高く、注目の前走といえそうだ。また、オータムリーフSは回収率が高く、こちらは激走に注意したい。交流G1のJBCスプリントからは勝ち馬が出ていないものの、2、3着に入った馬は多い。これら4レース以外で出走例が多いのは室町Sと太秦S(ともに京都ダート1200mのオープン特別)だが、合わせて【0.1.2.29】と成績は振るわない。

■表8 前走霜月S出走馬の前走人気別成績

前走人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2番人気 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 253% 170%
3番人気 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 220% 325%
4番人気 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 280%
5番人気 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 940% 280%
6〜9番人気 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 27%
10番人気〜 0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 50%

ここからの表8〜11の項では、出走例、好走例ともに多い前走の霜月S、武蔵野S、オータムリーフS、JBCスプリントに関するデータを見ていく。まずは前走霜月Sから。この組に関するデータでもっとも明確な傾向が出ているのが前走人気だ。表8の通り、霜月Sで5番人気までに収まっていた馬が高い好走率を記録しており、合算して【3.2.1.3】、勝率33.3%、複勝率66.7%、単勝回収率237%、複勝回収率191%という成績が残っている。1番人気だった2頭がいずれも凡走に終わっているのは気になるところだが、該当する馬がいたら狙ってみる価値は高いだろう。

■表9 前走武蔵野S出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1着 0- 0- 0- 0/ 0          
2着 0- 0- 0- 0/ 0          
3着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5着 0- 0- 0- 0/ 0          
6〜9着 1- 0- 1- 1/ 3 33.3% 33.3% 66.7% 163% 246%
10着〜 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 91% 265%

表9の通り、前走武蔵野S出走馬は巻き返しに要注意だ。前走6着以下だった馬の成績を合算すると【2.1.2.5】、勝率20.0%、複勝率50.0%、単勝回収率113%、複勝回収率260%。東京で行なわれる武蔵野Sは左回りの1600m、中山のカペラSは右回りの1200mと、両レースの条件はまったく異なるため、こうした巻き返しが見られるのではないか。

■表10 前走オータムリーフS出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1着 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 373% 106%
2着 0- 0- 0- 0/ 0          
3着 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 530%
4着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5着 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 2340% 615%
6〜9着 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 64%
10着〜 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表10は、前走オータムリーフS出走馬の前走着順別成績。ご覧の通り、ここで6着以下に敗れていると苦しく、合わせて【0.1.0.9】という成績が残っている。逆に、5着以内に入っていれば【2.0.1.5】。勝った2頭は、13年に6番人気1着のノーザンリバー、14年に12番人気1着のダノンレジェンドという穴馬2頭で、激走にも警戒したほうがいいかもしれない。

■表11 前走JBCスプリント出走馬の前走馬体重比

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
今回減 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
同体重 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 640%
今回増 0- 2- 2- 6/10 0.0% 20.0% 40.0% 0% 129%

表11は、前走JBCスプリント出走馬に関して、当日の馬体重が今回減、同体重、今回増となった場合の成績をそれぞれ比較したもの。注目すべきは、前走より馬体重が減って出走した4頭がすべて4着以下に終わっていることだ。ダートの短距離馬にとっては大きな目標となるJBCスプリント。そこから約1カ月という時期に行なわれるカペラSに出走してマイナス馬体重となると、反動などによって体調面の不安が出ている可能性を考慮したほうがいいのかもしれない。この組に関しては、同体重か今回増の馬を狙ってみたいところだ。

【結論】

2018/11/25 京都11R オータムリーフステークス 1着 10番 コパノキッキング

今年のカペラSに登録がある22頭から、前走レース別で有力と思われる馬を挙げていこう。

まずは、過去10年の好走例が最多の前走霜月Sだが、この組で重要だった前走5番人気以内を満たす馬が見当たらない。また、前走武蔵野Sの馬も登録がなく、今年は例年とは少々様相が異なるようだ。

そこで前走オータムリーフS組を見ていく。この組は1〜5着に入っていることが重要で、該当するのは1着のコパノキッキング。3歳と若い馬であることや前走で上がり3位の脚を使っていることも好感でき、有力な1頭となりそうだ。

2018/11/18 京都12R 西陣ステークス 1着 6番 タテヤマ

前走JBCスプリントは、当日に馬体重を同じかプラスで出走していることが重要だった。これに関しては当日発表されるまでわからないが、ウインムート、キタサンミカヅキ、キングズガード、ネロ、ノボバカラの馬体重にはしっかり注目しておきたい。

そのほかの前走で注目したいのはタテヤマ。前走1200mは減点も、それ以外は4歳馬、中2週、前走上がり3位と好材料が揃っており、昇級初戦でも十分期待できそうだ。前走室町Sからは1着のオールドベイリーと2着のヴェンジェンスがエントリー。カペラSとの相性が悪い臨戦となるが、なんとかデータを覆したいところだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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