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第1259回 2歳500万条件競走(芝)の狙い方

2018/10/15(月)

前開催で3歳未勝利戦が終わり、それにかわってこの時期に数を増やしてくるのが2歳戦。新馬・未勝利戦はもちろん、前開催まであまり行われていなかった500万条件戦も徐々に数を増やしてくる。そこで今回はその2歳500万条件から、特に芝のレースに注目してデータを分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV を利用し、集計期間は14年以降、本年の10月1週目までとした。

■表1 前走コース、所属別成績

コース 所属 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
芝→芝 96-99-95-692/982 9.8% 19.9% 29.5% 74% 79%
美浦 45-38-36-327/446 10.1% 18.6% 26.7% 94% 82%
栗東 51-61-59-353/524 9.7% 21.4% 32.6% 59% 79%
地方 0-0-0-12/12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
ダ→芝
4-2-5-108/119 3.4% 5.0% 9.2% 99% 80%
美浦 0-1-1-47/49 0.0% 2.0% 4.1% 0% 3%
栗東 4-1-3-28/36 11.1% 13.9% 22.2% 328% 235%
地方 0-0-1-33/34 0.0% 0.0% 2.9% 0% 28%

今回は芝のレースを対象としたため、まずは前走の芝・ダート別成績を見ておきたい。表1にあるように、2歳500万条件戦におけるダート→芝替わりは全体で複勝率9.2%と、芝→芝の同29.5%とは圧倒的な差がついている。基本的にダート→芝替わりは狙えない、と考えていいだろう。ただ、東西所属別に分けてみると、関西馬のダート→芝替わりにかぎれば複勝率22.2%とまずまずで、穴馬の好走も多いため、複勝回収率は100%どころか200%を突破。単勝にいたっては328%をマークしている。該当馬がさほど多くないため、やや信頼性に疑問符もつくものの、関西馬で配当妙味のある馬なら、ダート→芝替わりでも一考の余地がある。とはいえ、全体としては苦しいのは確かなため、表2以降は「前走も芝」だった馬にかぎって見ていきたい。

■表2 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1戦 27-27-18-109/181 14.9% 29.8% 39.8% 66% 82%
2戦 36-23-32-177/268 13.4% 22.0% 34.0% 91% 78%
3戦 19-24-22-167/232 8.2% 18.5% 28.0% 46% 83%
4戦 9-17-13-112/151 6.0% 17.2% 25.8% 140% 95%
5戦 3-6-4-65/78 3.8% 11.5% 16.7% 56% 63%
6戦 1-1-5-30/37 2.7% 5.4% 18.9% 8% 70%
7戦 1-1-1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 17% 46%
8戦〜 0-0-0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2はキャリア別成績である。2歳戦ということで多くのレースを経験した馬は少ないが、好走確率が比較的高いのはキャリア4戦以内の馬。特に1〜2戦馬はともに、勝率10%、連対率20%、複勝率30%のラインを超え、安定した走りを見せている。一方で、回収率が高めに出ているのはキャリア4戦馬。目先の的中を目指すなら1〜2戦馬重視、長い目で回収率を高めたいなら4戦馬、ということになる。いずれの視点でも、5戦以上の馬は減点が必要だ。

■表3 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
新馬 27-27-18-109/181 14.9% 29.8% 39.8% 66% 82%
未勝利 27-23-25-181/256 10.5% 19.5% 29.3% 50% 69%
500万下 9-22-13-186/230 3.9% 13.5% 19.1% 69% 81%
OPEN特別 13-12-18-110/153 8.5% 16.3% 28.1% 45% 67%
G3 17-15-19-83/134 12.7% 23.9% 38.1% 149% 97%
G2 3-0-2-17/22 13.6% 13.6% 22.7% 262% 153%
地方 0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

続いて表3は、前走クラス別成績である。この中でまず目につくのは、前走500万条件戦出走馬、つまり同クラスに出走していた馬の好走確率が低いことだ。この時期の2歳馬は初勝利直後にオープン特別や重賞で好走する例も多く、500万条件という選択はやや消極的とも取れる。そして、そこで負けた馬が再度500万に出走するとなると、このように好走確率が低めに出てくるのもうなずける。勝率〜複勝率がもっとも高いのは、前走新馬戦出走馬。そして回収率では重賞組が高く出ている

■表4 前走500万条件出走馬の高回収率条件

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
8番人気以下 2-3-2-91/98 2.0% 5.1% 7.1% 125% 110%
前走10番人気以下 1-2-1-30/34 2.9% 8.8% 11.8% 283% 214%
前走10着以下 1-3-1-23/28 3.6% 14.3% 17.9% 344% 281%
関東馬 4-7-3-80/94 4.3% 11.7% 14.9% 144% 123%
前走中団(TARGETによる分類) 6-6-2-46/60 10.0% 20.0% 23.3% 241% 180%

表3では苦戦傾向だった前走500万条件(同クラス)出走馬について、どこか高回収率になる条件はないかと、いくつか拾ってみたのが表4である。今回や前走の人気薄、前走大敗馬などはいくら回収率が高くても、好走確率などからやや狙いづらい感もある。そんな中で、連対率20.0%、複勝率23.3%とまずまずの結果を出しているのが、前走でレースを「中団」から進めた馬だ。初勝利はすんなり流れに乗って収めた馬が、1勝クラスで一度揉まれた経験を生かし好走する、といった形が考えられる。ただし、前走「後方」だった馬は【1.2.2.55】複勝率8.3%止まり。スピード不足やゲート難など課題がありそうで、あくまで「中団」で運べた馬がターゲットになる。

■表5 前走重賞出走馬の前走着順、距離別成績

前走着順・距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走3着 2-4-3-3/12 16.7% 50.0% 75.0% 38% 95%
前走4着 2-0-4-6/12 16.7% 16.7% 50.0% 37% 65%
前走5着 3-1-2-7/13 23.1% 30.8% 46.2% 317% 137%
前走6〜9着 7-8-8-35/58 12.1% 25.9% 39.7% 152% 141%
前走10着〜 6-5-5-52/68 8.8% 16.2% 23.5% 174% 79%
今回延長 4-7-9-40/60 6.7% 18.3% 33.3% 83% 97%
同距離 7-7-10-42/66 10.6% 21.2% 36.4% 185% 88%
今回短縮 9-4-3-22/38 23.7% 34.2% 42.1% 223% 149%

2015/12/27 阪神9R 千両賞 1着 1番 レインボーライン

続いて表5は、表3で高回収率を記録していた、前走重賞出走馬。こちらも表4同様に高回収率になる項目を探ると、前走着順と距離で比較的はっきりした傾向が現れた。まず前走着順では、さすがに重賞で3〜4着になった馬が500万条件に出てくれば好走確率は高くなるが、当然のごとく配当妙味もなし(特に単勝)。しかし5着以下、特に5〜9着までなら、好走確率もさほど下がらずに単複は高回収率をマークしている。 一方、距離については前走からの距離短縮馬が好成績だ。重賞で連対できず、その敗因を距離に求めて短縮してきたような馬が、好結果を残しやすい。ただ、同距離や距離延長馬でも、延長馬の勝率以外は特に悪いというほどではない。

■表6 前走オープン特別出走馬の前走着順、距離別成績

前走着順・距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走2着 5-3-2-8/18 27.8% 44.4% 55.6% 68% 79%
前走3着 1-4-3-12/20 5.0% 25.0% 40.0% 9% 55%
前走4着 2-1-2-15/20 10.0% 15.0% 25.0% 35% 47%
前走5着 2-1-5-10/18 11.1% 16.7% 44.4% 74% 85%
前走6〜9着 3-2-4-45/54 5.6% 9.3% 16.7% 64% 32%
前走10着〜 0-1-2-20/23 0.0% 4.3% 13.0% 0% 154%
今回延長 4-5-8-53/70 5.7% 12.9% 24.3% 29% 62%
同距離 6-5-6-37/54 11.1% 20.4% 31.5% 31% 71%
今回短縮 3-2-4-20/29 10.3% 17.2% 31.0% 110% 73%

表6は、前走オープン特別組。こちらは表3にあったように、単複の回収率は前走地方競馬を除けば最低、勝率〜複勝率も前走未勝利組に劣っていた。表5の重賞組と同じデータを見ると、好走確率としては前走2着馬が良くても、回収率視点では特に注目と言えるようなデータは出てこなかった。これ以外でもなかなか単複揃って100%を超えるようなものはなく、積極的に狙うのは避けたいグループだ。

■表7 前走未勝利戦出走馬の前走着差、今回単勝オッズ別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走着差(1着) 0.3秒差以上 14-6-7-23/50 28.0% 40.0% 54.0% 121% 111%
0.2秒差以内 13-17-17-127/174 7.5% 17.2% 27.0% 38% 67%
今回単勝オッズ 〜3.9 16-6-6-5/33 48.5% 66.7% 84.8% 122% 107%
4.0〜9.9 8-8-4-40/60 13.3% 26.7% 33.3% 85% 64%
10.0〜14.9 3-3-7-19/32 9.4% 18.8% 40.6% 113% 83%
15.0〜 0-6-8-117/131 0.0% 4.6% 10.7% 0% 58%

そして表7は、表3ではオープン特別組と好走確率の差が少なかった前走未勝利戦組。しかしこちらは、前走着差と今回の単勝オッズで、狙えるゾーンがあった。まず前走着差では、2着に0.3秒以上の差をつけて快勝した馬が、複勝率54.0%、単複の回収率121%、111%の好成績。また、重なる馬もいそうだが、単勝4倍未満の支持を受けた馬が、複勝率ではなんと84.8%、単複の回収率も122%、107%を記録している。新馬勝ちに比べ評価が低いことも多い未勝利勝ち馬だが、後続に差をつけて快勝してきたり、クラスが上がっても人気に推されたりするくらいの馬なら、ぜひ狙っていきたい。

■表8 前走新馬戦出走馬の各条件別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
距離 今回延長 4-8-3-41/56 7.1% 21.4% 26.8% 17% 56%
同距離 17-15-12-58/102 16.7% 31.4% 43.1% 82% 94%
今回短縮 6-4-3-10/23 26.1% 43.5% 56.5% 112% 91%
前走人気
1 17-11-9-25/62 27.4% 45.2% 59.7% 91% 100%
2 5-5-2-20/32 15.6% 31.3% 37.5% 42% 58%
3 2-4-1-18/25 8.0% 24.0% 28.0% 14% 51%
4〜5 1-5-2-16/24 4.2% 25.0% 33.3% 39% 128%
6〜9 2-2-3-21/28 7.1% 14.3% 25.0% 129% 78%
10〜 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 26%
間隔 中1週 1-2-2-10/15 6.7% 20.0% 33.3% 61% 74%
中2週 0-5-1-23/29 0.0% 17.2% 20.7% 0% 80%
中3週 3-4-3-23/33 9.1% 21.2% 30.3% 23% 57%
中4〜8週 15-8-8-33/64 23.4% 35.9% 48.4% 95% 75%
中9週〜 8-8-4-20/40 20.0% 40.0% 50.0% 104% 118%

2015/9/12 中山9R アスター賞 1着 2番 メジャーエンブレム

最後に表8は、前走新馬戦出走馬である。回収率面から、あまりはっきり「狙い」と言えるものは少なかったが、そんな中で注目したいのは、新馬勝ちから間隔をとって出走してきた馬だ。表の一番下にあるように、中9週以上なら複勝率50.0%。単複の回収率も104%、118%と、それぞれ100%を超えてきた。新馬戦で一定の手応えを掴み、じっくり次走に備えてきたような馬が、好結果を残す傾向だ。また中4〜8週も、回収率こそ及ばないが好走確率はほぼ互角のため、新馬勝ちの次走なら間隔が開いているほうを重視したい。ほかに、距離短縮馬や新馬戦1番人気馬が、複勝率50%台で単複の回収率も90%以上をマークしている。

以上、2歳500万条件戦(芝)について、主に前走クラス別を中心に買えそうなタイプを探ってみた。前走オープン特別出走馬は今ひとつだったが、その他についてはそれぞれ、一定以上の好走確率を保ちつつ、回収率も高い条件が見られた。初勝利を挙げたばかりの馬から、何度かオープン・重賞を経験している馬まで、キャリアの浅い2歳馬にしては多様なタイプがぶつかり合う500万条件戦。馬券候補の選択に悩んだ際には参考にしていただきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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