データde出〜た
第1247回 ダートも見逃せない! エニフSの傾向を探る
2018/9/3(月)
今週から中山と阪神に場所を移し、秋の中央場所が始まる。この時期は野芝で行われることもあり、一般的には芝のレースに注目が集まる。重賞も紫苑Sや京成杯AH、セントウルSが組まれている。ただ、今回はあえてダートに注目してみる。土曜日の阪神メインレースで組まれているエニフSは、ダート1400mのOP特別。同レースの過去10年の結果を分析し、レースの傾向を探ってみたい。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。■表1 過去10年のエニフS好走馬
年 | 着順 | 人気 | 性 | 齢 | 斤量 | 前走レース名 | 前着 | |
17年 | 1 | ウインムート | 1 | 牡 | 4 | 56 | サマーG3 | 3 |
2 | ゴーインググレート | 7 | 牡 | 7 | 56 | 阿蘇SH | 10 | |
3 | ラテンロック | 4 | 牡 | 6 | 56 | アハルテH | 2 | |
16年 | 1 | キングズガード | 1 | 牡 | 5 | 57 | プロキオG3 | 3 |
2 | ゴーイングパワー | 2 | 牡 | 7 | 57 | NST賞H | 2 | |
3 | メイショウウタゲ | 4 | 牡 | 5 | 56 | 阿蘇SH | 3 | |
15年 | 1 | エーシンビートロン | 10 | 牡 | 9 | 58 | クラスG3 | 6 |
2 | タイセイファントム | 4 | 牡 | 7 | 57 | 天保山S | 3 | |
3 | ガンジス | 8 | 牡 | 6 | 57 | 天保山S | 8 | |
14年 | 1 | ポアゾンブラック | 7 | 牡 | 5 | 56 | 北九州記HG3 | 18 |
2 | ワイドバッハ | 3 | 牡 | 5 | 56 | プロキオG3 | 7 | |
3 | ナリタスーパーワン | 4 | 牡 | 5 | 56 | 阿蘇SH | 10 | |
13年 | 1 | アドマイヤサガス | 2 | 牡 | 5 | 56 | プロキオG3 | 7 |
2 | デュアルスウォード | 9 | 牡 | 5 | 55 | NST賞H | 消 | |
3 | サンライズブレット | 4 | 牡 | 5 | 56 | アハルテH | 3 | |
12年 | 1 | マルカフリート | 5 | 牡 | 6 | 57 | BSN賞 | 2 |
2 | インペリアルマーチ | 1 | 牡 | 5 | 56 | 大沼SH | 11 | |
3 | ワールドワイド | 2 | 牡 | 6 | 57 | プロキオG3 | 4 | |
11年 | 1 | ダノンカモン | 2 | 牡 | 5 | 59 | プロキオG3 | 2 |
2 | ケイアイガーベラ | 1 | 牝 | 5 | 57 | プロキオG3 | 3 | |
3 | ケイアイテンジン | 4 | 牡 | 5 | 55 | 天王山S | 15 | |
10年 | 1 | ケイアイガーベラ | 1 | 牝 | 4 | 55 | プロキオG3 | 1 |
2 | トーホウドルチェ | 3 | 牝 | 5 | 56 | BSN賞 | 4 | |
3 | セイクリムズン | 2 | 牡 | 4 | 55 | 栗東S | 1 | |
09年 | 1 | グロリアスノア | 3 | 牡 | 3 | 53 | レパード | 10 |
2 | マイプリティワン | 7 | 牡 | 5 | 56 | 阿蘇SH | 6 | |
3 | ランザローテ | 1 | 牡 | 6 | 58 | サマーG3 | 2 | |
08年 | 1 | アイスドール | 8 | 牝 | 5 | 54 | 欅S | 14 |
2 | サチノスイーティー | 6 | 牝 | 5 | 54 | アイビスG3 | 5 | |
3 | メイショウシャフト | 10 | 牡 | 5 | 56 | 阿蘇SH | 6 |
まずはエニフSの過去10年の好走馬を見ていく。幸いにも同じ条件で行われており、重賞と同等の手段でレース傾向を分析できそうだ。好走馬にはキングズガードやガンジス、ダノンカモン、ケイアイガーベラなど、中央のダート重賞で実績がある馬が目立つ。地方のダートグレード実績でも問題なく、とにかく1400mを得意としている馬が多い印象だ。
人気の傾向としては、まず1番人気に注目。昨年優勝のウインムートら6頭が好走しており、上位人気の中では最も走っている。
性別は近年、牡馬が多くなっているが、08年から11年にかけては牝馬もよく好走していた。ケイアイガーベラやトーホウドルチェなど、力がある馬は牡馬が相手でも堂々と戦うことができている。
年齢は3歳から9歳までとかなり幅広い。芝に比べてダートの方がベテランは奮闘しやすく、特に地方のダートグレードでは高齢馬が息長く頑張ることが多い。実績馬はその分斤量を背負うケースが出てくるが、11年はダノンカモンが斤量59キロで優勝。15年は9歳馬のエーシンビートロンが58キロで制しており、全く軽視はできないと言えるだろう。
前走レースで有力なのはプロキオンS組。過去10年では7頭が馬券になっている。前走着順は素直に評価すべきで、好走している馬が有力だ。あとは、阿蘇S組に注目。過去10年では昨年2着のゴーインググレートら5頭が馬券になっている。同レースは小倉ダート1700mなのだが、同レースの着順はあまり気にしない方がいい。大きく敗れている馬がよく馬券になっている。巻き返してくるケースに注意だ。あとは、佐賀のサマーチャンピオン組も有力。好走馬は上位人気になりやすいが、普通にチャンス十分といったところだろう。
■表2 過去10年のエニフS脚質別成績
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
逃げ | 2- 3- 0- 5/10 | 20.0% | 50.0% | 50.0% | 282 | 148 |
先行 | 4- 3- 3-30/40 | 10.0% | 17.5% | 25.0% | 201 | 64 |
差し | 4- 2- 4-30/40 | 10.0% | 15.0% | 25.0% | 76 | 89 |
追い込み | 0- 2- 3-34/39 | 0.0% | 5.1% | 12.8% | 0 | 42 |
続いて脚質別の成績も見ておく(表2参照)。ダート戦らしく逃げ馬が強い。過去10年の成績は【2.3.0.5】。昨年優勝したウインムートらで連対率は50%。14年は7番人気のポアゾンブラックが1着、08年は6番人気のサチノスイーティーが2着と、上位人気以外の馬も警戒したい。
■表3 エニフSの枠順別成績(過去10年)
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1枠 | 0- 1- 1-10/12 | 0.0% | 8.3% | 16.7% | 0 | 41 |
2枠 | 1- 1- 0-12/14 | 7.1% | 14.3% | 14.3% | 20 | 23 |
3枠 | 1- 0- 3-10/14 | 7.1% | 7.1% | 28.6% | 21 | 115 |
4枠 | 0- 1- 2-12/15 | 0.0% | 6.7% | 20.0% | 0 | 38 |
5枠 | 1- 1- 0-14/16 | 6.3% | 12.5% | 12.5% | 157 | 60 |
6枠 | 1- 2- 1-14/18 | 5.6% | 16.7% | 22.2% | 18 | 52 |
7枠 | 0- 3- 3-14/20 | 0.0% | 15.0% | 30.0% | 0 | 101 |
8枠 | 6- 1- 0-13/20 | 30.0% | 35.0% | 35.0% | 524 | 115 |
さらに注目したいのが枠順別成績(表3参照)。8枠の成績が【6.1.0.13】と突出して好成績となっている。阪神ダート1400mは元々外枠が有利なコースで、その傾向が如実にあらわれている。脚質・人気を問わず、勝ち馬が多数該当している。
■表4 エニフS好走馬の父と母父(過去10年)
年 | 着順 | 種牡馬 | 母父馬 | |
17年 | 1 | ウインムート | ロージズインメイ | マイネルラヴ |
2 | ゴーインググレート | フレンチデピュティ | フジキセキ | |
3 | ラテンロック | クロフネ | Fusaichi Pegasus | |
16年 | 1 | キングズガード | シニスターミニスター | キングヘイロー |
2 | ゴーイングパワー | サクラバクシンオー | フジキセキ | |
3 | メイショウウタゲ | プリサイスエンド | フジキセキ | |
15年 | 1 | エーシンビートロン | ブライアンズタイム | ホリスキー |
2 | タイセイファントム | ファンタスティックライト | Boundary | |
3 | ガンジス | ネオユニヴァース | Silver Deputy | |
14年 | 1 | ポアゾンブラック | マイネルラヴ | チーフベアハート |
2 | ワイドバッハ | アジュディケーティング | スキャン | |
3 | ナリタスーパーワン | ウォーエンブレム | フレンチデピュティ | |
13年 | 1 | アドマイヤサガス | フジキセキ | Gone West |
2 | デュアルスウォード | デュランダル | End Sweep | |
3 | サンライズブレット | ステイゴールド | エリシオ | |
12年 | 1 | マルカフリート | アフリート | タヤスツヨシ |
2 | インペリアルマーチ | ネオユニヴァース | ダンシングブレーヴ | |
3 | ワールドワイド | フォーティナイナー | Blushing Groom | |
11年 | 1 | ダノンカモン | シンボリクリスエス | Ogygian |
2 | ケイアイガーベラ | Smarty Jones | Danzig | |
3 | ケイアイテンジン | アグネスデジタル | フォーティナイナー | |
10年 | 1 | ケイアイガーベラ | Smarty Jones | Danzig |
2 | トーホウドルチェ | サウスヴィグラス | ブライアンズタイム | |
3 | セイクリムズン | エイシンサンディ | サウスアトランテイツク | |
09年 | 1 | グロリアスノア | プリサイスエンド | ジェイドロバリー |
2 | マイプリティワン | マヤノトップガン | ノーザンテースト | |
3 | ランザローテ | アグネスタキオン | Wild Again | |
08年 | 1 | アイスドール | キャプテンスティーヴ | サンデーサイレンス |
2 | サチノスイーティー | カリスタグローリ | アフリート | |
3 | メイショウシャフト | メイショウオウドウ | キンググローリアス |
最後に血統の傾向も見ておく(表4参照)。好走馬の父と母父の系統を見た場合、最も多く占めているのがミスタープロスペクター系。マイネルラヴやフォーティナイナー、サウスヴィグラスなど、ダートのスピード競馬に強い血統が並ぶ。あとはヘイロー系だが、ディープインパクトなど芝で強い血統はほとんど見当たらない。フジキセキやネオユニヴァースなど、芝もこなせるがダートでも活躍馬を良く出しているタイプが有力。エイシンサンディやロージズインメイの名前もあるように、ダート向きのパワーを感じさせる血統を積極的に狙っていくべきだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。