データde出〜た
第1234回 世代の一番星が誕生! 函館2歳Sを分析
2018/7/19(木)
今週末の重賞は、日曜日に中京記念と函館2歳Sの2レースが行なわれる。昨年の当コーナーでは中京記念を取り上げているので、今年は函館2歳Sを展望したい。なお、今回の集計期間は、函館開催が計6週となった12年以降の過去6年とする。11年まで組まれていた前哨戦のラベンダー賞がなくなったことで、ローテーションなどへの影響が見られるからだ。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1番人気 | 3- 1- 0- 2/ 6 | 50.0% | 66.7% | 66.7% | 138% | 90% |
2番人気 | 1- 0- 2- 3/ 6 | 16.7% | 16.7% | 50.0% | 120% | 101% |
3番人気 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 85% | 73% |
4番人気 | 1- 0- 1- 4/ 6 | 16.7% | 16.7% | 33.3% | 141% | 83% |
5番人気 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 56% |
6番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
7番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
8番人気 | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0% | 136% |
9番人気 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 123% |
10番人気〜 | 0- 2- 2-37/41 | 0.0% | 4.9% | 9.8% | 0% | 92% |
表1は人気別成績。過去6年で1番人気が3勝、2〜4番人気が各1勝と、1着馬は上位人気から出ている。その一方で、2、3着には8番人気以下から3頭ずつ突っ込んでおり、穴馬が台頭する余地も十分。ただし、その間にあたる5〜7番人気から3着以内に入った馬は2着の1頭しかいない。まとめると、函館2歳Sは上位人気が強く、人気薄もしばしば3着以内に入るが、中穴はあまり馬券にならないという興味深い傾向が出ている。
■表2 東西所属別成績
厩舎 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
関東 | 1- 5- 3-39/48 | 2.1% | 12.5% | 18.8% | 4% | 126% |
関西 | 5- 1- 3-25/34 | 14.7% | 17.6% | 26.5% | 79% | 50% |
地方 | 0- 0- 0-13/13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表2は、関東馬と関西馬の成績を比較したもの。ご覧の通り、過去6年は関西5勝、関東1勝となっており、1着という点では明らかに関西馬が優勢だ。ところが、2、3着には関東馬が計8頭入っているのに対して、関西馬は計4頭と逆転。また、関東馬は複勝回収率が126%と高く、穴馬が2、3着に食い込むケースも多い様子も見てとれる。表1の項と合わせて考えると、1着には上位人気に推された関西馬、2、3着には人気薄の関東馬を押さえるのがひとつのセオリーとなりそうだ。なお、過去6年、地方所属馬の好走はなかった。
■表3 キャリア別成績
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1戦 | 5- 4- 6-47/62 | 8.1% | 14.5% | 24.2% | 42% | 95% |
2戦 | 1- 2- 0-16/19 | 5.3% | 15.8% | 15.8% | 15% | 97% |
3戦 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3はキャリア別成績。前項で確認した通り、過去6年、地方所属馬の好走例がないため、以降のデータでは中央馬のみを集計の対象とする。表3に戻ると、中央所属の出走馬の大半はキャリア1戦か2戦。そして、好走率はキャリア1戦のほうが若干高い。決定打というほどではないものの、迷った場合などではキャリア1戦の馬を重視すると結果に結びつきそうだ。
■表4 生まれ月別成績
生まれ月 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1月生 | 0- 0- 2- 2/ 4 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 315% |
2月生 | 1- 2- 0- 6/ 9 | 11.1% | 33.3% | 33.3% | 56% | 143% |
3月生 | 3- 2- 2-19/26 | 11.5% | 19.2% | 26.9% | 47% | 88% |
4月生 | 2- 2- 2-21/27 | 7.4% | 14.8% | 22.2% | 43% | 107% |
5月生 | 0- 0- 0-15/15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
6月生 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は生まれ月別成績。複勝率に注目すると、見事に生まれ月が早い馬ほど高い数値を記録している。1月生まれが複勝率50.0%、2月生まれも複勝率33.3%と高い確率で好走している一方で、5月生まれや6月生まれの合計16頭は好走例が皆無。世代最初の2歳重賞だけあって、生まれ月による完成度の差が結果にも直結しているようだ。
■表5 前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
芝1000m | 1- 0- 0-11/12 | 8.3% | 8.3% | 8.3% | 42% | 17% |
芝1200m | 5- 6- 5-42/58 | 8.6% | 19.0% | 27.6% | 41% | 116% |
芝1400m | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 410% |
芝1600m | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走ダート | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は前走距離別成績。なお、前走がダート戦だった馬の成績は表のいちばん下にまとめているが、距離を問わず好走した馬は見られない。出走例、好走例ともに圧倒的に多いのは前走芝1200m。キャリアの浅い馬同士のレースということもあり、同距離の経験は無駄にはならないのだろう。次に出走例が多いのは前走芝1000mで、好走例は12年1着のストークアンドレイのみ。残りの11頭は凡走に終わっており、200mの距離延長が意外と堪えている印象だ。むしろ、2頭中1頭が3着に入った前走芝1400mからの距離短縮のほうが狙いやすいのではないか。ただし、前走芝1600mだった2頭は好走に至らず、400mの距離短縮は厳しいようだ。
■表6 前走タイム差別成績
前走タイム差 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
勝1.0秒差〜 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 70% | 46% |
勝0.6〜0.9秒差 | 2- 2- 1- 5/10 | 20.0% | 40.0% | 50.0% | 115% | 157% |
勝0.3〜0.5秒差 | 0- 1- 1-15/17 | 0.0% | 5.9% | 11.8% | 0% | 70% |
勝0.1〜0.2秒差 | 1- 2- 2-27/32 | 3.1% | 9.4% | 15.6% | 15% | 97% |
勝0.0秒差 | 2- 1- 2-15/20 | 10.0% | 15.0% | 25.0% | 52% | 86% |
表6は前走のタイム差別成績。過去6年、函館2歳Sに出走した中央所属馬はすべて前走1着だったため、2着馬につけたタイム差ということになる。これを見ると、前走で1.0秒以上や0.6〜0.9秒の大差をつけて勝った馬の好走率は明らかに高い。また、0.3〜0.5秒差や0.1〜0.2秒差で勝ってきた馬より、0.0秒差で勝っていた馬の好走率が高いことも興味深い。函館2歳Sは毎年フルゲートの16頭立てで行なわれており、この時期の2歳馬にとっては厳しい面もある。混戦になったとき、タイム差なしで勝ってきた勝負強さが活きるのかもしれない。
【結論】
■表7 2018年函館2歳S登録馬
馬名 | 所属 | キャリア | 生月 | 前走 | |
距離 | タイム差 | ||||
アスターペガサス | 関西 | 1 | 2月 | 1200m | 0.4秒 |
イチゴミルフィーユ | 関東 | 1 | 5月 | 1200m | 0.5秒 |
エムティアン | (地方馬) | ||||
カルリーノ | 関東 | 2 | 5月 | 1200m | 0.2秒 |
ガイセン | 関東 | 1 | 3月 | 1200m | 0.2秒 |
ジゴロ | 関西 | 1 | 2月 | 1200m | 0.8秒 |
スズカカナロア | 関西 | 1 | 3月 | 1200m | 0.1秒 |
トーセンオパール | 関東 | 1 | 2月 | 1200m | 0.3秒 |
ナンヨーイザヨイ | 関西 | 1 | 2月 | 1200m | 0.2秒 |
ニヴィアン | 関東 | 2 | 3月 | 1200m | 0.0秒 |
ヒストリコ | 関東 | 1 | 3月 | ダート | 0.6秒 |
ホールドユアハンド | 関東 | 1 | 4月 | ダート | 0.7秒 |
ラブミーファイン | 関西 | 1 | 5月 | 1800m | 0.2秒 |
ラブミーリッキー | 関東 | 1 | 4月 | ダート | 0.4秒 |
ラブリロンリロンス | 関西 | 1 | 3月 | 1000m | 0.0秒 |
レコードチェイサー | (地方馬) | ||||
ロードワンダー | 関西 | 3 | 4月 | 1200m | 0.1秒 |
表7は、今年の函館2歳Sの登録馬一覧。表2〜6で確認したプラス条件、マイナス条件に応じて色分けしている。一定以上の出走例があり、好走率が非常に高い条件に合致したものをピンク、好走率が低い条件を青、まったく好走例がない条件をグレーで示した。
結果、マイナス条件がひとつもなく、そのうえでプラス条件が最多となったのはジゴロだが、残念ながら陣営より回避が発表された。そのほかにマイナス材料が見られないのは、アスターペガサス、ガイセン、スズカカナロア、トーセンオパール、ナンヨーイザヨイ、ニヴィアン、ロードワンダーの7頭。特に「2月生まれ」で、1着の多い「関西馬」でもあるアスターペガサス、ナンヨーイザヨイの2頭を、データからの有力馬として挙げたい。2、3着に来ることが多い関東馬では、2月生まれのトーセンオパールを筆頭に、ガイセン、ニヴィアンの食い込みに期待する。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。