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第1224回 北海道シリーズ開幕! 函館スプリントSを占う
2018/6/14(木)
今週から函館開催がスタートする。開幕を飾る重賞は函館スプリントSだ。過去10年のレースを分析し、同レースの傾向を探っていきたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年の函館スプリントS優勝馬と配当(09年除く)
年 | 優勝馬 | 単勝 | 馬連 | 馬単 | 3連複 | 3連単 |
17年 | ジューヌエコール | 720 | 3090 | 6000 | 13120 | 55520 |
16年 | ソルヴェイグ | 3940 | 17090 | 36650 | 43840 | 397650 |
15年 | ティーハーフ | 630 | 19550 | 29240 | 200320 | 944140 |
14年 | ガルボ | 3590 | 27340 | 63720 | 89720 | 872270 |
13年 | パドトロワ | 1800 | 9040 | 21330 | 16510 | 162690 |
12年 | ドリームバレンチノ | 670 | 330 | 1330 | 13180 | 72540 |
11年 | カレンチャン | 270 | 810 | 1430 | 950 | 4260 |
10年 | ワンカラット | 420 | 900 | 1770 | 3060 | 13220 |
08年 | キンシャサノキセキ | 180 | 1090 | 1500 | 3970 | 12910 |
まずは過去10年の優勝馬と主な配当を調べてみた(表1参照)。札幌開催で行われた09年を除く結果ではあるが、08年から11年は馬連配当が穏やかだった。それに伴い、3連複や3連単も大きな波乱はなかった。12年も馬連配当はかなり安かったのだが、同年からはレースの位置づけに大きな変化があった。それは中京競馬場の新装に伴い、サマースプリントシリーズが5戦から6戦へと変更されたことだ。函館スプリントS自体は、シリーズの開幕戦であることには変わりがないものの、その前後のレースに変更があった。CBC賞が函館スプリントSよりも前ではなく、後ろにきたのだ。したがって、12年以降はステップレースとしてCBC賞を使うというケースはなくなり、臨戦過程に違いが出てきた。
そうした影響もあってか12年以降のレースはかなり波乱が多い。14年のガルボや16年のソルヴェイグは単勝3000円台の配当。表1からわかるように、大きな配当が続出している。よって、函館スプリントSは12年以降と、それ以前とで分けて考える手もありそうだ。
■表2 2012年以降の函館スプリントS好走馬
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 性 | 齢 | 斤量 | 前走レース名 | 前着 |
17年 | 1 | ジューヌエコール | 3 | 牝 | 3 | 50 | 桜花賞G1 | 9 |
2 | キングハート | 4 | 牡 | 4 | 56 | 鞍馬S | 1 | |
3 | エポワス | 7 | セ | 9 | 56 | 大阪―ハ | 1 | |
16年 | 1 | ソルヴェイグ | 12 | 牝 | 3 | 50 | 桜花賞G1 | 17 |
2 | シュウジ | 2 | 牡 | 3 | 52 | NHKマG1 | 12 | |
3 | レッツゴードンキ | 7 | 牝 | 4 | 54 | ヴィクトG1 | 10 | |
15年 | 1 | ティーハーフ | 4 | 牡 | 5 | 56 | 彦根S1600 | 1 |
2 | アースソニック | 14 | 牡 | 6 | 56 | 韋駄天SH | 3 | |
3 | レンイングランド | 12 | 牡 | 3 | 52 | NHKマG1 | 16 | |
14年 | 1 | ガルボ | 8 | 牡 | 7 | 58 | 高松宮記G1 | 11 |
2 | ローブティサージュ | 6 | 牝 | 4 | 54 | ヴィクトG1 | 11 | |
3 | クリスマス | 4 | 牝 | 3 | 50 | 優駿牝馬G1 | 12 | |
13年 | 1 | パドトロワ | 6 | 牡 | 6 | 58 | 京王杯スG2 | 14 |
2 | シュプリームギフト | 5 | 牝 | 5 | 54 | 鞍馬SH | 4 | |
3 | フォーエバーマーク | 3 | 牝 | 5 | 54 | 福島民友 | 2 | |
12年 | 1 | ドリームバレンチノ | 2 | 牡 | 5 | 56 | 安土城S | 1 |
2 | ロードカナロア | 1 | 牡 | 4 | 56 | 高松宮記G1 | 3 | |
3 | ビスカヤ | 11 | 牝 | 6 | 54 | 朱雀SH1600 | 10 |
そこで表2では、12年以降の函館スプリントSで3着以内に好走した馬を記した。好走馬の共通項として挙げられる特徴は、牝馬が多いという点。かなり有名な傾向ではあるが、昨年もジューヌエコールが優勝した。牝馬で上位を独占したケースはないが、1頭も絡まなかった年も15年しかない。常に牝馬が絡んでくる可能性を念頭に置くべきだろう。
年齢的には3歳馬の活躍が目立つ。4歳馬も連対率では上々で、基本的には若い馬が良さそうだ。ただ、昨年は9歳馬のエポワスが3着に激走。高齢馬でも侮れない。
前走レースとそこでの成績を調べると、好走馬は大きく3つのパターンに分けることができる。1つ目は前走1着馬。昨年2着のキングハートや、同3着のエポワス、15年1着のティーハーフなど、クラスを問わず前走芝の短距離で勝利していたタイプ。
2つ目は前走芝1600m以上のG1に出走していた馬。桜花賞やNHKマイルC、ヴィクトリアマイルなど特にマイルG1組の好走が目立つ。そこでの着順は全く問わず、二けた着順だろうがなんでもかまわない。1600mから1200mへの距離短縮で変わり身を見せられるかがポイントと言えそうだ。
あとは前走芝1000〜1400mのオープンクラスのレースで5着以内に善戦している馬。15年2着のアースソニックは14番人気での激走だったが、その他の馬は函館スプリントSで上位人気に支持されていた。また、過去には芝1200mの重賞で3着以内の経験があった馬が多い。好調をキープしつつ、短距離重賞で地力がある馬が自然と有力になるということだろう。
あとは高松宮記念や京王杯SCといった1400m以下の格上レースからきた馬をどうするべきか。ガルボやパドトロワといった馬が巻き返しているのだが、両馬は斤量58キロを背負っていた。そのためかレース当日の人気もあまりなかった。基本的には地力上位の馬が多くなりそうだが、こうしたタイプのみだけ狙うやり方でもいいかもしれない。
【結論】
それでは今年の函館スプリントSを占ってみることにする。出走予定馬は表3の通りだ。
■表3 今年の函館スプリントS出走予定馬
馬名 | 性 | 齢 | 斤量 | 前走レース名 | 前着 |
アドマイヤゴッド | 牡 | 6 | 56 | 京王杯スG2 | 9 |
エポワス | セ | 10 | 57 | オーシャG3 | 15 |
キングハート | 牡 | 5 | 56 | 高松宮記G1 | 10 |
ジューヌエコール | 牝 | 4 | 54 | 高松宮記G1 | 17 |
セイウンコウセイ | 牡 | 5 | 57 | 京王杯スG2 | 12 |
タマモブリリアン | 牝 | 5 | 54 | 京都牝馬G3 | 9 |
ダイアナヘイロー | 牝 | 5 | 55 | 高松宮記G1 | 18 |
ティーハーフ | 牡 | 8 | 57 | 鞍馬S | 1 |
ナックビーナス | 牝 | 5 | 54 | 高松宮記G1 | 3 |
ノットフォーマル | 牝 | 6 | 54 | 韋駄天SH | 2 |
ノボバカラ | 牡 | 6 | 57 | 京王杯スG2 | 16 |
ヒルノデイバロー | 牡 | 7 | 56 | 阪急杯G3 | 17 |
ユキノアイオロス | セ | 10 | 56 | 安土城SH | 12 |
ライトフェアリー | 牝 | 6 | 54 | 鞍馬S | 2 |
ラインスピリット | 牡 | 7 | 57 | 京王杯スG2 | 5 |
ラインミーティア | 牡 | 8 | 56 | 韋駄天SH | 8 |
ワンスインナムーン | 牝 | 5 | 54 | 京都牝馬G3 | 5 |
近2年レコードで制している3歳馬の存在が気になるところなのだが、今年は登録馬がいない。しかし、牝馬の登録は7頭と今年も多いので、この点は注目だろう。
前走成績に目を移すと、前走1着馬はティーハーフ1頭。この馬は15年に函館スプリントSを制しており、その時は前走1600万クラスを勝っていた。追い込み一手で展開に左右されるタイプだが、8歳馬ながら元気いっぱいであることをアピール。有力馬の1頭とみたい。
前走1600m以上のG1組は不在。高松宮記念や京王杯SCなど、重賞組は多数いるが大きく敗れている馬が多い。斤量58キロ以上を背負う馬もおらず、狙いどころが難しい。
レースの格は下でも前走芝短距離で好走・善戦している馬に注目すべきだろう。となると、ナックビーナス、ノットフォーマル、ライトフェアリー、ラインスピリット、ワンスインナムーンあたりが浮上する。特にナックビーナスは高松宮記念で3着、オーシャンS2着と実績でも上位。牝馬でもあり、かなり有力視できそうだ。
芝1200mの重賞で3着以内という実績に注目すると、ラインスピリットやワンスインナムーンにもチャンスがあると見る。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。