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第1221回 6月の2歳新馬戦の狙いどころは?

2018/6/4(月)

日本ダービーが終わり、先週から東京・阪神で2歳の新馬戦がスタート。POGファンならずとも、初戦を迎える2歳馬のレースぶりに気持ちが高ぶる競馬ファンは多いだろう。馬券的にも6月2日〜9月2日の期間中は2歳戦の単勝払戻しが5%上乗せされる「2歳単勝」キャンペーンが行われている。今回は初期の6月に行われる2歳新馬戦に注目し、東京・阪神・函館の狙いどころを2015年以降の過去3年のデータから探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 6月の東京芝新馬戦における種牡馬別成績(2015年〜2017年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ダイワメジャー 3- 4- 3-12/22 13.6% 31.8% 45.5% 55% 115%
ディープインパクト 3- 1- 0- 2/ 6 50.0% 66.7% 66.7% 96% 85%
ステイゴールド 2- 1- 2- 4/ 9 22.2% 33.3% 55.6% 383% 145%
アイルハヴアナザー 2- 1- 0- 6/ 9 22.2% 33.3% 33.3% 110% 63%
マツリダゴッホ 2- 0- 0- 9/11 18.2% 18.2% 18.2% 233% 74%
クロフネ 2- 0- 0- 5/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 91% 40%
ヨハネスブルグ 2- 0- 0- 3/ 5 40.0% 40.0% 40.0% 448% 76%
ルーラーシップ 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 47% 64%
トーセンファントム 1- 1- 1- 6/ 9 11.1% 22.2% 33.3% 91% 104%
ヘニーヒューズ 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 130% 90%
ロードカナロア 1- 0- 2- 0/ 3 33.3% 33.3% 100.0% 123% 160%
※1勝、3着以内数3回以上。

2018/3/18 中山11R フジTV賞スプリングS(G2) 1着 8番 ステルヴィオ

まず表1は東京芝の2歳新馬戦の種牡馬別成績。出走数が最も多いダイワメジャー産駒が最多タイの3勝をあげて、複勝回収率は100%を超えている。ただし、同産駒の3勝はいずれも牝馬によるもので、ダイワメジャー産駒の牝馬は【3.3.2.3】で連対率54.5%・複勝率72.7%と一際好成績を示している。また、ディープインパクト産駒も3勝をあげているが、いずれも1番人気によるものだった。

他では黄色で強調したステイゴールド産駒、ロードカナロア産駒も複勝率、複勝回収率ともに高い。ステイゴールド産駒も牝馬の活躍が目立ち、【2.1.1.1】と東京に非常に相性が良い。昨年から産駒がデビューしたロードカナロア産駒も今年のスプリングSを制して、先日の日本ダービーにも出走したステルヴィオが勝利。仕上がりが早い2歳馬が多く、今年も活躍が期待される。

■表2 6月の東京芝新馬戦における調教師別成績(2015年〜2017年)

調教師 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
(美)田村康仁 3- 1- 1- 1/ 6 50.0% 66.7% 83.3% 255% 156%
(美)奥村武 3- 0- 0- 4/ 7 42.9% 42.9% 42.9% 161% 62%
(美)相沢郁 2- 2- 0- 4/ 8 25.0% 50.0% 50.0% 322% 138%
(美)国枝栄 2- 0- 0- 5/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 60% 37%
(美)栗田博憲 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 270% 90%
(美)手塚貴久 1- 3- 0- 2/ 6 16.7% 66.7% 66.7% 65% 101%
(美)堀宣行 1- 2- 0- 0/ 3 33.3% 100.0% 100.0% 90% 133%
(美)池上昌弘 1- 1- 1- 2/ 5 20.0% 40.0% 60.0% 124% 368%
(美)中舘英二 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 176% 112%
(美)木村哲也 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 92% 70%
(美)菊沢隆徳 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 75% 85%
(美)栗田徹 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 1012% 207%
(美)矢野英一 1- 0- 1- 1/ 3 33.3% 33.3% 66.7% 173% 113%
(栗)池江泰寿 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 85% 115%
※1勝以上、3着以内数2回以上。

表2は東京の調教師別成績。田村康仁厩舎の管理馬が15年メジャーエンブレムら最多タイの3勝をあげ、連対率・複勝率ともに非常に高い。奥村武厩舎はイブキ、テンクウの兄弟などで最多タイの3勝。他にも黄色で強調した相沢郁厩舎が2勝、上位人気馬が多い堀宣行厩舎、アンノートルで勝利している池上昌弘厩舎あたりが狙い目だ。関西の厩舎では池江泰寿厩舎が東京の新馬で3着を外していない。

■表3 6月の東京芝新馬戦における騎手別成績(2015年〜2017年)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
M.デムーロ 4- 1- 0- 0/ 5 80.0% 100.0% 100.0% 736% 266%
戸崎圭太 3- 2- 1-11/17 17.6% 29.4% 35.3% 47% 47%
内田博幸 2- 2- 2-14/20 10.0% 20.0% 30.0% 37% 56%
吉田豊 2- 1- 1-10/14 14.3% 21.4% 28.6% 129% 69%
柴田大知 2- 0- 2-19/23 8.7% 8.7% 17.4% 50% 28%
ルメール 2- 0- 2- 3/ 7 28.6% 28.6% 57.1% 90% 82%
※2勝以上。

表3は東京の騎手別成績。一番上のM.デムーロ騎手が5戦中4勝と少数精鋭で非常に高い勝率を誇る。現在オープンで活躍中のロードクエストも新馬戦ではデムーロ騎手騎乗で快勝。6番人気で単勝2120円と高配当がついていた。

 他ではルメール騎手がメジャーエンブレム、ステルヴィオで2勝。2頭ともに重賞制覇しており、ルメール騎手で勝利した馬は素質が高いといえるだろう。対して、日本人騎手は騎乗数は多いものの、抜けて好成績をあげている騎手は見当たらなかった。

■表4 6月の阪神芝新馬戦における種牡馬別成績(2015年〜2017年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ダイワメジャー 4- 1- 3- 8/16 25.0% 31.3% 50.0% 105% 73%
ディープインパクト 4- 1- 0- 2/ 7 57.1% 71.4% 71.4% 167% 100%
キンシャサノキセキ 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 297% 80%
ハーツクライ 1- 3- 0- 5/ 9 11.1% 44.4% 44.4% 73% 65%
マンハッタンカフェ 1- 1- 1- 1/ 4 25.0% 50.0% 75.0% 75% 105%
ハービンジャー 1- 1- 0- 5/ 7 14.3% 28.6% 28.6% 181% 47%
ネオユニヴァース 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 318% 100%
マツリダゴッホ 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 1006% 188%
スクリーンヒーロー 1- 1- 0- 0/ 2 50.0% 100.0% 100.0% 480% 240%
※1勝以上、連対数2回以上。

2017/12/17 阪神11R 朝日杯FS(G1) 1着 1番 ダノンプレミアム

続いて表4は6月の阪神芝での2歳新馬戦の種牡馬別成績。東京芝と同様に、ダイワメジャー産駒とディープインパクト産駒が最多タイの4勝ずつをあげている。ダイワメジャー産駒は牝馬が【3.0.2.3】で4勝中3勝と好成績。ディープインパクト産駒も昨年は芝1800mの新馬戦で、朝日杯FS勝ち馬のダノンプレミアムが勝利をおさめていた。結果は4馬身差の快勝だったが、単勝360円と意外に1番人気でも配当がついていた。

他では仕上がり早の産駒が多いマンハッタンカフェ産駒、少数ながら連対を外していないスクリーンヒーロー産駒もチェックしておきたい。

■表5 6月の阪神芝新馬戦における騎手別成績(2015年〜2017年)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
福永祐一 4- 2- 1- 4/11 36.4% 54.5% 63.6% 122% 99%
和田竜二 3- 0- 4-13/20 15.0% 15.0% 35.0% 262% 108%
ルメール 2- 1- 1- 3/ 7 28.6% 42.9% 57.1% 112% 98%
川田将雅 2- 0- 1- 5/ 8 25.0% 25.0% 37.5% 106% 55%
秋山真一郎 1- 2- 0- 0/ 3 33.3% 100.0% 100.0% 423% 183%
浜中俊 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 72% 67%
国分優作 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 558% 124%
鮫島克駿 1- 1- 0- 5/ 7 14.3% 28.6% 28.6% 42% 85%
武豊 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 25% 51%
M.デムーロ 0- 4- 0- 7/11 0.0% 36.4% 36.4% 0% 48%
※1勝以上、連対数2回以上。

表5は阪神の騎手別成績。先日ダービージョッキーとなった福永騎手が昨年のケイアイノーテックら最多の4勝をあげている。ケイアイノーテックを管理する平田修厩舎とのコンビは2戦2勝で、今年も注目しておきたい。

福永騎手と同期の和田騎手も3勝をあげ、伏兵でも馬券圏内に持ってくる技術がある。他では黄色で強調したルメール騎手、秋山騎手もチェックしておきたい。対して、東京で好成績を示していたデムーロ騎手は勝ち星がなく、2着止まり。上位1・2番人気に7回騎乗しての未勝利で、相性の悪さは気になるところだ。

■表6 6・7月の函館芝1000〜1200m新馬戦における種牡馬別成績(2015年〜2017年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ダイワメジャー 5- 1- 2- 2/10 50.0% 60.0% 80.0% 198% 115%
キンシャサノキセキ 2- 2- 4- 5/13 15.4% 30.8% 61.5% 57% 96%
ディープインパクト 1- 2- 0- 1/ 4 25.0% 75.0% 75.0% 85% 85%
ファルブラヴ 1- 1- 1- 4/ 7 14.3% 28.6% 42.9% 31% 45%
エンパイアメーカー 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 85% 75%
ルーラーシップ 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 220% 123%
パイロ 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 88% 122%
マイネルラヴ 1- 1- 0- 0/ 2 50.0% 100.0% 100.0% 190% 130%
ストロングリターン 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 440% 180%
※1勝以上、3着以内2回以上。

最後に表6は6・7月に行われる函館芝短距離の新馬戦における種牡馬別成績。ここではダイワメジャー産駒が最多の5勝と抜けた勝利数を残している。複勝率も80%と非常に高く、適性の高さが見てとれる。キンシャサノキセキ産駒が2勝で続くも、勝率はそれほど高くない。他では昨年から産駒がデビューしたルーラーシップ産駒、ストロングリターン産駒が少数ながら好成績をあげており、今年も注目しておきたい。

すでに認知されている上位人気に推される要素だけでなく、新たな傾向や意外性があるのも2歳戦の大きな魅力だ。夏競馬で新馬戦の攻略をテーマにしてみるのも面白いだろう。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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