データde出〜た
第1199回 日経賞1番人気馬の単勝オッズ別の傾向とは?
2018/3/19(月)
今週末は高松宮記念を中心に4つの重賞が控える。今回は土曜日に中山で行われる日経賞にスポットを当てることにする。同レースの過去10年のデータを分析すると、1番人気馬の単勝オッズで、興味深い傾向が見えてくる。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用。過去10年のデータを対象に分析した。
■表1 日経賞の人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1番人気 | 3- 1- 1- 4/ 9 | 33.3% | 44.4% | 55.6% | 70 | 63 |
2番人気 | 1- 1- 1- 6/ 9 | 11.1% | 22.2% | 33.3% | 36 | 45 |
3番人気 | 0- 1- 2- 6/ 9 | 0.0% | 11.1% | 33.3% | 0 | 60 |
4番人気 | 3- 1- 1- 4/ 9 | 33.3% | 44.4% | 55.6% | 215 | 126 |
5番人気 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 28 |
6番人気 | 1- 0- 2- 6/ 9 | 11.1% | 11.1% | 33.3% | 122 | 133 |
7番人気 | 0- 2- 2- 5/ 9 | 0.0% | 22.2% | 44.4% | 0 | 231 |
8番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
9番人気 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 77 |
10番人気 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% | 12.5% | 0 | 120 |
11番人気 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
12番人気 | 1- 0- 0- 7/ 8 | 12.5% | 12.5% | 12.5% | 2088 | 195 |
13番人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
14番人気 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
15番人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
16番人気 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
まずは過去10年の日経賞における人気別成績を見ていくことにする(表1参照)。なお、阪神で行われた11年の成績は除いている。1番人気の成績は【3.1.1.4】。勝率33.3%で連対率は44.4%、複勝率55.6%。特別いいわけでもないが、悪いわけでもない。4番人気が【3.1.1.4】という成績で、1番人気と同じ。配当を考えれば、4番人気の方が狙い目と言える。
また、6番人気や7番人気の複勝率が33.3〜44.4%と高め。二けた人気馬の激走もあるが、中位人気の方が狙い目になりやそうだ。
■表2 日経賞1番人気馬のオッズ別成績(過去10年)
単勝オッズ | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1.0〜 1.4 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
1.5〜 1.9 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2.0〜 2.9 | 3- 1- 0- 1/ 5 | 60.0% | 80.0% | 80.0% |
3.0〜 3.9 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1番人気に話を戻し、同人気の実際のオッズについて調べてみた(表2参照)。1.0〜1.4倍、1.5〜1.9倍、2.0〜2.9倍、3.0〜3.9倍の4パターンに分類し、成績を見てみることにする。すると、2.0〜2.9倍が【3.1.0.1】という好成績という結果が出た。3.0〜3.9倍は1番人気としてはやや支持が弱いタイプで、不安視されているともいえる。したがって、不振傾向もある程度は納得できるが、単勝1倍台という大本命馬が奮わない点は意外だった。
単勝1倍台に支持された馬は、12年のルーラーシップ(3着)と17年のゴールドアクター(5着)。前者は前走有馬記念で4着、後者は前走有馬記念で3着という成績。人気になっても不思議はない実績馬ではあった。しかし、厳しい目で見ると、過剰人気だったとも言える。その理由は後に述べることにする。
■表3 日経賞出走馬のオッズ別成績(過去10年)
単勝オッズ | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1.0〜 1.4 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
1.5〜 1.9 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2.0〜 2.9 | 3- 1- 0- 1/ 5 | 60.0% | 80.0% | 80.0% |
3.0〜 3.9 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
4.0〜 4.9 | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
5.0〜 6.9 | 2- 2- 2- 5/ 11 | 18.2% | 36.4% | 54.5% |
7.0〜 9.9 | 1- 2- 1- 6/ 10 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
10.0〜14.9 | 1- 0- 1- 5/ 7 | 14.3% | 14.3% | 28.6% |
15.0〜19.9 | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% |
20.0〜29.9 | 0- 1- 2- 5/ 8 | 0.0% | 12.5% | 37.5% |
30.0〜49.9 | 0- 2- 0- 15/ 17 | 0.0% | 11.8% | 11.8% |
50.0〜99.9 | 0- 1- 0- 12/ 13 | 0.0% | 7.7% | 7.7% |
100.0〜 | 1- 0- 0- 32/ 33 | 3.0% | 3.0% | 3.0% |
表3は日経賞出走馬すべてのオッズ別成績。1番人気以外の馬も集計して記載した。2.0〜2.9倍以外で目立つのは、5.0〜6.9倍の好成績。【2.2.2.5】で複勝率は54.5%ある。単勝20倍以下の伏兵を見ると、50〜99.9倍で好走馬が1頭(14年ホッコーブレーヴ)、100倍以上も1頭(12年ネコパンチ)好走馬がいる。常に狙うのは難しいタイプだろうが、大穴の食い込みもあるレースと考えておきたい。ともに母父にダンシングブレーヴを持つという共通項がある。
■表4 単勝2.0〜2.9倍馬の日経賞成績
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走レース名 | 前着 |
16年 | サウンズオブアース | 1 | 2 | 有馬記念G1 | 2 |
14年 | ウインバリアシオン | 1 | 1 | 有馬記念G1 | 2 |
13年 | フェノーメノ | 1 | 1 | JCG1 | 5 |
09年 | ネヴァブション | 1 | 7 | アメリカG2 | 1 |
08年 | マツリダゴッホ | 1 | 1 | 有馬記念G1 | 1 |
表4では単勝2.0〜2.9倍の馬を具体的に調べてみることにした。すべて1番人気馬であり、09年のネヴァブション以外は日経賞で連対を果たした。同馬は前走AJC杯で1着。すでに07年の日経賞で勝利した実績があったが、09年は人気を裏切った。1番人気に限らず、前走AJC杯の好走馬は、ここではどうもよくない印象だ。
それ以外の馬は前走有馬記念組が多く、しかも連対を果たしていた。この部分だけを見ると、先ほど挙げた単勝1倍台の馬たちよりも優秀であることがわかる。ある意味、日経賞での好走も自然な結果だ。前述のルーラーシップやゴールドアクターが過剰人気だったのではないかと言ったのは、このような理由からだ。つまり、1番人気で信頼できるのは前走有馬記念で連対していた馬、ということになる。
■表5 単勝5.0〜6.9倍馬の日経賞成績
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走レース名 | 前着 |
17年 | レインボーライン | 2 | 4 | JCG1 | 6 |
ディーマジェスティ | 3 | 6 | JCG1 | 13 | |
16年 | マリアライト | 4 | 3 | 有馬記念G1 | 4 |
15年 | アドマイヤデウス | 4 | 1 | 日経新春HG2 | 1 |
クリールカイザー | 3 | 10 | アメリカG2 | 1 | |
12年 | ウインバリアシオン | 2 | 2 | 京都記念G2 | 6 |
10年 | ナムラクレセント | 3 | 8 | 鳴尾記念G3 | 3 |
09年 | アルナスライン | 4 | 1 | アメリカG2 | 6 |
モンテクリスエス | 3 | 3 | ダイヤモHG3 | 1 | |
アーネストリー | 2 | 4 | 御堂筋S1600 | 1 | |
08年 | トウショウナイト | 3 | 2 | 京都記念G2 | 5 |
その他、有力と挙げた単勝5.0〜6.9倍の馬も具体的に見ていこう。15年のクリールカイザーは前走AJC杯を勝利していたが、ここでは10着と敗れた。先ほどのネヴァブションと同じパターンとなる。同じG1でも前走JC組はレインボーラインとディーマジェスティが凡走。有馬記念で4着と善戦していたマリアライトが好走している。
年明けの重賞では日経新春杯や京都記念組ならば相性が良く有力。アドマイヤデウスとトウショウナイト、ウインバリアシオンが連対を果たしている。特に京都記念から巻き返すパターンに注意だ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。