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第1198回 近5年連対馬の共通項とは? スプリングSを分析する
2018/3/15(木)
気温の上昇とともに競馬界では春のG1シリーズが近づいてきた。日曜中山では皐月賞トライアルのスプリングステークスが行われる。3着以内に皐月賞への優先出走権が与えられ、近年ではロゴタイプが本番を勝利している。今回はスプリングSをピックアップし、2013年以降の近5年のデータから好走馬の特徴を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 スプリングS近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 1000m通過 | レース上がり |
2017 (良) |
1 | ウインブライト | 1分48秒4 | 5 | 6 | 35秒5 | 60秒3 | 36秒3 |
2 | アウトライアーズ | 1/2馬身 | 2 | 6 | 35秒7 | |||
3 | プラチナヴォイス | 1/2馬身 | 6 | 2 | 35秒9 | |||
2016 (良) |
1 | マウントロブソン | 1分48秒1 | 4 | 5 | 35秒7 | 60秒3 | 36秒2 |
2 | マイネルハニー | クビ | 5 | 1 | 36秒2 | |||
3 | ロードクエスト | クビ | 1 | 10 | 35秒0 | |||
2015 (良) |
1 | キタサンブラック | 1分49秒1 | 5 | 1 | 34秒4 | 62秒6 | 34秒5 |
2 | リアルスティール | クビ | 1 | 7 | 33秒6 | |||
3 | ダノンプラチナ | 3/4馬身 | 2 | 4 | 34秒0 | |||
2014 (良) |
1 | ロサギガンティア | 1分48秒4 | 3 | 3 | 35秒3 | 60秒3 | 36秒0 |
2 | アジアエクスプレス | 1馬身1/4 | 1 | 7 | 35秒1 | |||
3 | クラリティシチー | クビ | 4 | 5 | 35秒0 | |||
2013 (良) |
1 | ロゴタイプ | 1分47秒8 | 1 | 2 | 35秒2 | 60秒1 | 35秒6 |
2 | タマモベストプレイ | 1馬身1/2 | 3 | 5 | 35秒1 | |||
3 | マイネルホウオウ | クビ | 11 | 10 | 34秒7 |
まず表1は近5年の上位3着以内馬一覧。かなりのスローペースとなった15年を除いて、例年勝ちタイムは1分48秒前後となっている。1000m通過60秒台でレース上がりが36秒前後というのが平均的なスプリングSのレース内容といえるだろう。
15年以外の好走馬は4コーナー10番手以降の後方からの追い込みは厳しいが、それ以外は逃げ・先行・差しともにまんべんなく好走している。平均ペースで流れた際には35秒台の上がりでまとめられた馬が上位に入っていた。コーナー4回で切れる脚よりも持続力が求められるレースといえるだろう。昨年の勝ち馬ウインブライトが先日同舞台の中山記念を勝利したように中山芝1800m適性が高い馬を狙っていきたい。
人気面では1番人気馬が【1.2.1.1】で13年ロゴタイプの1勝のみだが、連対率60%・複勝率80%と高い。以下、連対馬は上位5番人気以内でおさまっており、大荒れは見込みづらいレースだ。有力馬を見極めて、少点数で取りたいレースといえるだろう。
■表2 スプリングS出走馬の所属別成績(過去5年)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
美浦 | 4- 3- 4-28/39 | 10.3% | 17.9% | 28.2% | 64% | 62% |
栗東 | 1- 2- 1-22/26 | 3.8% | 11.5% | 15.4% | 47% | 38% |
表2は出走馬の所属別成績。黄色で強調したように美浦所属の関東馬が昨年のウインブライトら大半の4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率ともに関西馬を大きく上回っている。昨年は1・2着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。一方、関西馬は15年キタサンブラックの1勝のみで、やや苦戦傾向にあるようだ。
■表3 スプリングSの前走レース別成績(過去5年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
500万下 | 2- 0- 0- 5/ 7 | 28.6% | 28.6% | 28.6% | 255% | 57% |
朝日杯FS | 1- 1- 1- 2/ 5 | 20.0% | 40.0% | 60.0% | 68% | 88% |
あすなろ賞(500万下) | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 400% | 95% |
若竹賞(500万下) | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 810% | 250% |
きさらぎ賞 | 0- 1- 1- 0/ 2 | 0.0% | 50.0% | 100.0% | 0% | 330% |
共同通信杯 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0% | 12% |
フリージア賞(500万下) | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 110% |
ひいらぎ賞(500万下) | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 160% |
セントポーリア賞(500万下) | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 56% |
ホープフルS | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 110% |
ジュニアC | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 730% |
京成杯 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3は前走レース別成績。平場と特別を含めて前走500万下組が【4.2.1.16】で大半の4勝をあげており、連対率26.1%・複勝率30.4%と高い。前走下のクラスからでも通用するレースであることを示している。
前走重賞組では黄色で示した朝日杯FS組ときさらぎ賞組が好相性。その他の共同通信杯組は15年2着リアルスティールのみ、京成杯組も3着以内馬なしと苦戦傾向にある。なお、前走新馬組【0.0.0.2】、前走未勝利組【0.0.0.3】からはともに好走馬が出ていない。
■表4 前走500万下組の前走コース別成績(過去5年)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
東京芝2000m | 1- 1- 1- 3/ 6 | 16.7% | 33.3% | 50.0% | 205% | 101% |
小倉芝2000m | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 400% | 95% |
東京芝1800m | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 560% | 180% |
中山芝1800m | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 810% | 250% |
中山芝1600m | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 160% |
その他のコース | 0- 0- 0-12/12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は好成績をあげている前走500万下組の前走コース別成績。出走数最多の東京芝2000m組から15年キタサンブラックが勝利しており、のべ3頭好走馬を出している。他では小倉芝2000m組から16年マウントロブソン、東京芝1800m組から14年ロサギガンティア、中山芝1800m組から昨年のウインブライトがそれぞれ勝利している。
■表5 スプリングSの前走着順別成績(過去5年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 5- 5- 2-22/34 | 14.7% | 29.4% | 35.3% | 110% | 80% |
前走2着 | 0- 0- 2- 7/ 9 | 0.0% | 0.0% | 22.2% | 0% | 31% |
前走3着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 220% |
前走5着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は前走着順別成績。黄色で強調したように連対馬10頭すべて前走で勝利をおさめていた。前走を勝利して勢いをもってスプリングSに臨んだ馬が上位を独占している。3歳春は勝ってさらに成長する上がり馬が多いためだろう。3着まで広げると、前走4着以内だった馬からすべての好走馬が出ていた。逆に前走着外に敗れた馬の巻き返しは厳しい。
■表6 スプリングSの前走からの間隔別成績(過去5年)
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
中1週 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中2週 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中3週 | 1- 1- 1-14/17 | 5.9% | 11.8% | 17.6% | 72% | 35% |
中4〜8週 | 3- 2- 1-17/23 | 13.0% | 21.7% | 26.1% | 94% | 60% |
中9〜半年 | 1- 2- 3- 8/14 | 7.1% | 21.4% | 42.9% | 24% | 102% |
半年以上 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表6は前走からの間隔別成績。3着以内馬はすべて中3週〜半年の間におさまっているが、なかでも中4〜8週、中9週〜半年の馬の連対率・複勝率が高い。中4〜8週の馬は一昨年マウントロブソン、昨年のウインブライトと近2年続けて勝ち馬を出しており、毎年1頭は3着以内に入っている。なお、中9週〜半年の馬の3着以内馬6頭中5頭の前走は昨年末に行われたレースで、今年初戦での好走だった。
<結論>
■表7 今年のスプリングSの出走予定馬(3/14現在)
馬名 | 所属 | 前走内容 | 間隔 |
エトナ | 美浦 | 500万下 10着 | 中3週 |
エポカドーロ | 栗東 | あすなろ賞 1着 | 中4週 |
カフジバンガード | 栗東 | 共同通信杯 5着 | 中4週 |
コスモイグナーツ | 美浦 | 共同通信杯 8着 | 中4週 |
ゴーフォザサミット | 美浦 | 共同通信杯 4着 | 中4週 |
サトノソルタス | 美浦 | 共同通信杯 2着 | 中4週 |
ステルヴィオ | 美浦 | 朝日杯FS 2着 | 中12週 |
ハッピーグリン | 地方 | セントポーリア賞 1着 | 中6週 |
バールドバイ | 美浦 | 未勝利 1着 | 中3週 |
ビッグスモーキー | 栗東 | すみれS 3着 | 中2週 |
フォルツァエフ | 栗東 | 園田・妙見山特別 1着 | 中2週 |
マイネルファンロン | 美浦 | フリージア賞 2着 | 中3週 |
ライトカラカゼ | 美浦 | 京成杯 4着 | 中8週 |
ルーカス | 美浦 | ホープフルS 6着 | 中10週 |
レノヴァール | 栗東 | 若竹賞 1着 | 中7週 |
今年の出走予定馬は表7のとおり。
1番人気が予想されるのが前走朝日杯FSで2着と好走したステルヴィオ。2走前のサウジアラビアRC、前走でともにダノンプレミアムには敗れたものの、自身も1分33秒台の好時計で走破している。コーナー4回の札幌コスモス賞を勝ってはいるが、タイム差なしの辛勝で本質的には直線が長いコースの方が合うタイプだろう。それでも関東馬で相性が良い前走朝日杯FS組ということで連軸には外せない存在だ。
これまでのデータからイチ推ししたいのがエポカドーロ。前走小倉芝2000mの500万下あすなろ賞を勝利しているが、前半速めのラップを刻んで逃げ、結局3馬身半差で完勝した。表1で示した平均ペースの持続力を前走で示しており、今回初の関東遠征でも絶好の狙い目といえる。所属の藤原英昭厩舎が現在リーディング独走と勢いがあるのも好感が持てる点だ。
馬券作戦としてはエポカドーロとステルヴィオの馬連1点にほぼ絞りたいが、連下として前走1着からハッピーグリンとレノヴァール、さらに前走東京芝2000mの500万下を使われたマイネルファンロンの3頭を挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。