第1195回 波乱の牝馬ハンデ戦・中山牝馬Sのポイントは?|競馬情報ならJRA-VAN

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第1195回 波乱の牝馬ハンデ戦・中山牝馬Sのポイントは?

2018/3/5(月)

今週は障害も含め4重賞。そのうち3レースはG1へ向けたステップとなるG2だが、馬券的にもっとも旨みがありそうなのは、唯一のG3・中山牝馬Sだ。牝馬限定のハンデ戦、過去10年でも3連単50万馬券以上が3度飛び出すこのレースを分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去2年
1 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 45% 66% 0-2-0-0/2
2 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 21% 0-0-0-2/2
3 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 52% 53% 0-0-0-2/2
4 3-2-0-5/10 30.0% 50.0% 50.0% 237% 132% 1-0-0-1/2
5 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 125% 58% 1-0-0-1/2
6 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 274% 75% 0-0-0-2/2
7 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 86% 0-0-1-1/2
8 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 177% 97% 0-0-0-2/2
9 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 45% 0-0-0-2/2
10〜 1-4-4-61/70 1.4% 7.1% 12.9% 27% 132% 0-0-1-13/14

2017/3/12 中山11R 中山牝馬ステークス(G3) 1着 4番 トーセンビクトリー (5番人気)

過去10年、1番人気こそ複勝率40.0%は確保したものの、2〜3番人気は計【1.1.1.17】。単勝で妙味があるのは、計6勝の4〜6番人気。また、2桁人気も9頭が馬券に絡み、複勝回収率132%を記録する。前年のエリザベス女王杯後の古牝馬路線は12月・ターコイズSの重賞昇格、愛知杯の時期変更、そして京都牝馬Sの距離短縮と、このところかなり手が加えられているが、ここ2年を見ても勝ち馬2頭は4〜5番人気、そして2桁人気も好走1頭と、過去10年全体の傾向と大きな変わりはないとみていいだろう。

■表2 ハンデ別成績

ハンデ 1〜5番人気 6番人気以下
着別度数 複勝率 着別度数 複勝率
49kg 0-0-0-0/0 0-0-0-2/2 0.0%
50kg 0-0-0-0/0 0-0-0-6/6 0.0%
51kg 0-0-0-1/1 0.0% 0-2-0-9/11 18.2%
52kg 0-1-0-1/2 50.0% 0-0-1-14/15 6.7%
53kg 3-0-1-8/12 33.3% 2-2-2-25/31 19.4%
54kg 2-2-0-4/8 50.0% 1-2-1-16/20 20.0%
55kg 0-0-0-11/11 0.0% 0-0-2-15/17 11.8%
55.5kg 0-0-0-2/2 0.0% 0-0-0-1/1 0.0%
56kg 0-2-1-6/9 33.3% 1-0-0-6/7 14.3%
56.5kg 1-0-1-2/4 50.0% 0-0-0-0/0
57kg 0-0-0-1/1 0.0% 0-0-0-0/0

ハンデ別の成績で、人気馬、穴馬とも好走馬が数多いのは53〜54キロ台。対して55キロ台は1〜5番人気13頭で好走ゼロ、6番人気以下18頭も連対ゼロと不振だ。また、人気馬であれば、56キロ以上なら悪くないものの、人気薄は55キロ以上になると【1.0.2.22】と全般的に良くない傾向にある。一方で、荒れるレースではあるものの、50キロ以下の軽ハンデ馬も好走はない。なお、55キロ台は好走2頭がともに2桁人気で、複勝回収率ではそれだけで91%まで上がってくるため、回収率重視なら別のデータ(表3)も見てみたい。

■表3 前走ハンデ戦出走馬のハンデ増減別成績(条件戦除く)

前走比 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
今回増 1-2-1-19/23 4.3% 13.0% 17.4% 19% 36%
増減無し 4-1-1-12/18 22.2% 27.8% 33.3% 185% 172%
今回減 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 53%

その「別のデータ」、ハンデについてはもうひとつ。前走もハンデ戦(条件戦除く)に出走していた馬について、ハンデの増減別成績を調べると、増減なしだった馬が複勝率33.3%、単複の回収率も180%前後の好成績を残している。ここ3年は、バウンスシャッセ(54キロ)、シュンドルボン(54キロ)、そしてトーセンビクトリー(53キロ)と、表2で挙げた53〜54キロで、前走比増減なしだった馬が3連勝。またここ2年はともに、好走3頭中2頭をハンデ増減なしの馬が占めていた。

■表4 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
4歳 2-3-1-51/57 3.5% 8.8% 10.5% 43% 58%
5歳 5-4-4-38/51 9.8% 17.6% 25.5% 109% 128%
6歳 3-4-2-29/38 7.9% 18.4% 23.7% 79% 96%
7歳以上 0-0-2-12/14 0.0% 0.0% 14.3% 0% 147%

年齢別では4歳馬が連対率ひと桁、複勝率も10.5%にとどまり、単複の回収率も50%前後と今ひとつ。5歳馬の成績が全体的に良く、6歳も上々の成績。また、複勝回収率で見れば7歳以上も147%を記録するため、4歳よりは5歳以上の馬を多く候補に入れたい。

■表5 枠番別成績(中山のみ)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 0- 0- 2-15/17 0.0% 0.0% 11.8% 0% 45%
2枠 3- 0- 2-13/18 16.7% 16.7% 27.8% 138% 103%
3枠 1- 1- 1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 25% 158%
4枠 1- 3- 0-14/18 5.6% 22.2% 22.2% 45% 137%
5枠 1- 2- 0-15/18 5.6% 16.7% 16.7% 81% 54%
6枠 2- 0- 1-15/18 11.1% 11.1% 16.7% 168% 109%
7枠 0- 3- 0-14/17 0.0% 17.6% 17.6% 0% 62%
8枠 1- 1- 2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 46% 43%

2015/3/15 中山11R 中山牝馬ステークス(G3) 1着 3番 バウンスシャッセ

阪神で代替された11年を除く9回の枠番別成績を見ると、内から外まで広く好走馬が出ている中、1枠のみ連対なし、2〜8枠はそれぞれ2連対以上と、明らかに1枠は苦戦している。複勝率や複勝回収率も踏まえて考えると、2〜6枠が計【8.7.5.80】複勝率20.0%、複勝回収率123%になる。7、8枠も複勝率は悪くないが回収率はひと息のため、内や外よりは中ほどの枠を中心に考えたい。

■表6 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜5番人気 同複勝率
1000万下 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-0/0
1600万下 1-4-1-18/24 4.2% 20.8% 25.0% 81% 205% 0-0-0-6/6 0.0%
OPEN特別 2-1-1-19/23 8.7% 13.0% 17.4% 118% 67% 1-1-0-4/6 33.3%
G3 5-4-6-61/76 6.6% 11.8% 19.7% 61% 103% 4-3-2-16/25 36.0%
G2 1-0-1-5/7 14.3% 14.3% 28.6% 64% 54% 1-0-1-1/3 66.7%
G1 1-1-0-19/21 4.8% 9.5% 9.5% 60% 24% 0-1-0-9/10 10.0%
地方 0-1-0-4/5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 80% 0-0-0-0/0

前述のように、近年はここへ向かうステップに大きな変更があったため、前走についてはレース別よりもクラス別で見てみたい。目につくのは前走G1組の不振だが、今年は登録馬不在。人気サイドでは、前走1600万組が15年にシャトーブランシュが1番人気で5着に敗退するなど、1〜5番人気は計【0.0.0.6】。1600万組で好走した6頭中5頭は2桁人気馬のため、狙うなら穴馬にかぎりたい。

■表7 前走競馬場、距離別成績(距離は平地芝のみ)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 中山開催時
福島 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-0/0
新潟 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-2/2
東京 3-3-2-24/32 9.4% 18.8% 25.0% 132% 147% 2-3-2-23/30
中山 0-3-0-16/19 0.0% 15.8% 15.8% 0% 25% 0-3-0-15/18
中京 3-1-2-16/22 13.6% 18.2% 27.3% 94% 144% 3-1-2-16/22
京都 4-1-5-47/57 7.0% 8.8% 17.5% 83% 73% 4-1-4-42/51
阪神 0-2-0-5/7 0.0% 28.6% 28.6% 0% 378% 0-1-0-4/5
小倉 0-0-0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-9/9
地方 0-1-0-4/5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 80% 0-1-0-4/5
1200m 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-1/1
1400m 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 175% 0-1-0-7/8
1600m 3-4-5-41/53 5.7% 13.2% 22.6% 85% 120% 2-4-4-36/46
1800m 0-1-0-23/24 0.0% 4.2% 4.2% 0% 22% 0-1-0-20/21
2000m 5-3-3-33/44 11.4% 18.2% 25.0% 109% 137% 5-2-3-27/37
2200m 1-0-0-16/17 5.9% 5.9% 5.9% 74% 22% 1-0-0-15/16
2400m 1-0-1-1/3 33.3% 33.3% 66.7% 150% 126% 1-0-1-1/3
2500m 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 130% 0-1-0-0/1

前走競馬場別では、小倉競馬出走馬15頭すべてが馬券圏外で、同コースになる中山組も回収率は低い。距離別では同距離の1800m組が【0.1.0.23】。また、主にG1・エリザベス女王杯組が占める2200mも【1.0.0.16】の不振だ。複勝回収率はこの1800mと2200mはともに22%。その他、1400m〜2400mであれば100%以上と、明らかな違いがある点には注目したい。なお、1600mでは京都牝馬Sが15年までで、16年からは1400mに短縮されたが、その京都牝馬S組を除いても前走1600m組は【2.4.1.21】複勝率25.0%と上々の結果を出している。

以上、中山牝馬Sの各種データをまとめてみたが、いくつか、成績の善し悪しがはっきり出ている項目も見られた。特に複勝回収率を見るとそれがはっきり出ており、前走別なら小倉・中山組、1800m、2200m組は低回収率。ほかに4歳馬や、前走もハンデ戦(オープン・重賞)で今回のハンデに増減があった馬、そして1枠や7〜8枠は複勝回収率が低いため、このあたりに該当する馬は買うにしても抑えくらいまでにとどめ、それ以外の馬で高配当を狙っていきたいレースだ。本稿執筆段階ではハンデは未発表だが、前走愛知杯6〜12着のシャルール、ワンブレスアウェイ、キンショーユキヒメ、ゲッカコウあたりは、もしハンデ据え置き(表3)なら好走馬の多い53〜54キロ(表2)の5、6歳馬(表4)になる。愛知杯も、前走「G3」「中京」「2000m」は好走が多く(表6〜7)、これらの馬が出走してくれば注目したい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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