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第1192回 少頭数も見どころ十分!? 中山記念を占う

2018/2/22(木)

今週日曜日は中山記念が行われる。大阪杯や安田記念など、今春のG1を目指す古馬の実力馬が顔をそろえる一戦だ。今年は登録の段階で少頭数となってしまったが、G1馬の出走があり例年と同じようにハイレベルなレースとなりそうだ。過去10年の同レースを分析し、今年の展望をしてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の中山記念の好走馬(1)

着順 馬名 人気 馬場 2角 3角 4角
17年 1 ネオリアリズム 3 2 2 3
2 サクラアンプルール 8 8 8 7
3 ロゴタイプ 7 1 2 2
16年 1 ドゥラメンテ 1 5 5 4
2 アンビシャス 4 10 9 9
3 リアルスティール 2 5 6 5
15年 1 ヌーヴォレコルト 3 3 3 4
2 ロゴタイプ 2 2 2 1
3 ステファノス 4 6 7 7
14年 1 ジャスタウェイ 2 4 4 3
2 アルキメデス 4 10 8 7
3 ロゴタイプ 3 6 6 3
13年 1 ナカヤマナイト 2 5 4 3
2 ダイワファルコン 3 2 2 2
3 シルポート 8 1 1 1
12年 1 フェデラリスト 3 5 5 6
2 シルポート 7 1 1 1
3 リアルインパクト 4 3 3 3
11年 1 ヴィクトワールピサ 1 9 8 6
2 キャプテントゥーレ 4 1 1 1
3 リーチザクラウン 3 9 10 10
10年 1 トーセンクラウン 13 12 9 6
2 テイエムアンコール 12 11 9 14
3 ショウワモダン 5 13 9 4
09年 1 カンパニー 1 2 2 2
2 ドリームジャーニー 4 7 8 7
3 アドマイヤフジ 2 3 3 2
08年 1 カンパニー 2 2 2 2
2 エイシンドーバー 7 7 6 3
3 エアシェイディ 1 10 12 8

まずは過去10年の中山記念で3着以内に好走した馬を見ていくことにする(表1参照)。昨年優勝のネオリアリズムは次走香港でクイーンエリザベス2世Cを優勝。その他の勝ち馬にはドゥラメンテ、ジャスタウェイなど、超一流の実績馬が名を連ねているレースだ。昨年3着のロゴタイプもそうした実力馬で、本馬に至っては15年のレースで2着、14年のレースで3着と、3回も好走を果たしている。この中山記念というレースでは昔からこうした特徴がある。過去10年ではシルポート、そしてカンパニーがロゴタイプのように複数回好走を果たしている。

同じ条件だからといって同一重賞を複数回好走するのはそんなに簡単なことではない。実力があってもその時の調子や展開・馬場状態で、結果がガラリと変わるのが競馬だからだ。しかし、ロゴタイプやシルポートは脚質面の特徴を生かし、展開面で常にアドバンテージを取っていると考えられる。中山記念での各コーナーの位置取りを見ると、2〜4コーナーにかけて先頭か2番手で通過している。カンパニーは差しのイメージが強いが、このレースでは2番手追走から押し切る競馬で08年と09年は連勝した。

主導権を握りにいくと目標になる不利はあるが、ここは中山芝1800mが舞台。先手をつかんでペースを作れるメリットの方が大きそうだ。ただし、ただ逃げればいいというわけではない。実績に裏打ちされた実力がなければ厳しいと考えられる。

■表2 過去10年の中山記念好走馬(2)

着順 馬名 前走レース名 前着 備考
17年 1 ネオリアリズム 香港MG1 9 札幌記念1着
2 サクラアンプルール 白富士S 2  
3 ロゴタイプ 香港MG1 5 皐月賞1着
16年 1 ドゥラメンテ 東京優駿G1 1 皐月賞1着
2 アンビシャス 天皇賞秋G1 5  
3 リアルスティール 菊花賞G1 2 皐月賞2着
15年 1 ヌーヴォレコルト エリザベG1 2 秋華賞2着
2 ロゴタイプ 根岸SG3 8 皐月賞1着
3 ステファノス 富士SG3 1  
14年 1 ジャスタウェイ 天皇賞秋G1 1 天皇賞(秋)1着
2 アルキメデス 朝日チャHG3 1  
3 ロゴタイプ 札幌記念G2 5 皐月賞1着
13年 1 ナカヤマナイト 有馬記念G1 7  
2 ダイワファルコン 有馬記念G1 10  
3 シルポート 阪神カッG2 14 中山記念2着
12年 1 フェデラリスト 中山金杯HG3 1  
2 シルポート 京都金杯HG3 16 マイラーズC1着
3 リアルインパクト 阪神カッG2 10 安田記念1着
11年 1 ヴィクトワールピサ 有馬記念G1 1 皐月賞1着
2 キャプテントゥーレ 天皇賞秋G1 13 皐月賞1着
3 リーチザクラウン 京都金杯HG3 4 マイラーズC1着
10年 1 トーセンクラウン 白富士S 8  
2 テイエムアンコール 小倉大賞HG3 7  
3 ショウワモダン 根岸SG3 16  
09年 1 カンパニー マイルチG1 4  
2 ドリームジャーニー アメリカG2 8  
3 アドマイヤフジ 中山金杯HG3 1  
08年 1 カンパニー 東京新聞G3 4 中山記念2着
2 エイシンドーバー 京都金杯HG3 7  
3 エアシェイディ アメリカG2 1 中山記念2着

表1で記した好走馬の実績をチェックしていこう(表2参照)。ロゴタイプは3歳時に皐月賞を優勝。古馬になってからは安田記念を制した。シルポートはマイラーズCを優勝。カンパニーは晩年に天皇賞(秋)やマイルCSを制しためずらしいタイプだが、以前からG2では力上位を示していた。08年よりも以前に中山記念で2着を果たしている。また、11年の中山記念で逃げて2着だったキャプテントゥーレも皐月賞馬。つまりG2以上で勝ち負けとなる力があった馬ばかりというわけだ。

逃げ以外で好走した馬たちにもほぼ同じことが言える。とりわけ皐月賞で好走している馬の活躍が目立つ。あるいは札幌記念や天皇賞(秋)、秋華賞でも構わないかもしれない。とにかく芝1800〜2000mのG1で好走実績がある馬が強い

G2以上の格がない場合は苦しいが、前走中山金杯を勝っている馬にはチャンスがありそうだ。フェデラリストやアドマイヤフジが好走を果たしている。あとは、馬場状態が大事。不良馬場で行われた10年だけが、格下実績馬で決まり、大波乱となった。良馬場か稍重で行われる場合は、力がある馬の地力を信頼したほうがいいレースと言えるだろう。

【結論】

それでは今年の中山記念を占っていこう。出走予定馬は表3の通り。

■表3 今年の中山記念出走予定馬

馬名 前走レース名 前着 備考
アエロリット 秋華賞G1 7  
ウインブライト 中山金杯HG3 2  
サクラアンプルール 有馬記念G1 16 中山記念2着
ショウナンバッハ アメリカG2 6  
ディサイファ アメリカG2 4 札幌記念1着
ペルシアンナイト マイルチG1 1 皐月賞2着
マイネルサージュ 白富士S 3  
マイネルハニー 白富士S 1  
マルターズアポジー マイルチG1 15  
ヴィブロス エリザベG1 5 秋華賞1着

冒頭から述べたように今年の出走頭数は少ない。しかし、アエロリット、ペルシアンナイト、ヴィブロスというG1馬の出走があり、例年並みのレベルが高いレースが見られそうだ。展開のカギを握りそうなのはマルターズアポジー。マイネルハニー、あるいはアエロリットの出方は気になるものの、前走マイルCSでもハナを切ったマルターズアポジーがここも先手を主張する可能性が高そうだ。

2017/11/19 京都11R マイルチャンピオンS(G1) 1着 18番 ペルシアンナイト

同馬はこれまで重賞を3勝マークしているが、いずれもG3のレース。G2以上では、G2の経験がなく、G1では二けた着順という結果だ。G1にもつながる中山記念で逃げ残れるかどうかは微妙なところだ。

格ではやはり昨年のマイルCSを制したペルシアンナイト、そしてドバイターフを制したヴィブロスが最上位になる。ともに国内の芝2000mでも好走の実績がある。中でも皐月賞で2着の実績があるペルシアンナイトの方が有力か。ヴィブロスは昨年の中山記念では5着。着差は勝ち馬から0.3秒差であり、悲観することはなさそうだ。

2017/8/20 札幌11R 札幌記念(G2) 1着 1番 サクラアンプルール

サクラアンプルールは昨年のこのレースで2着。その後は夏に札幌記念を制した。今回は同馬もマークしておきたい。ディサイファも過去に札幌記念で優勝の実績がある。しかし、明け9歳馬。戦績的にもピークは過ぎており、狙いにくい印象だ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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