データde出〜た
第1190回 コース実績がモノをいう!? フェブラリーSを分析する
2018/2/15(木)
日曜に東京競馬場で今年のG1競走の幕開けとなるフェブラリーSが行われる。芝スタートとなるダート1600mに強豪馬が集結し、ダートの頂点を競う一戦だ。昨年はゴールドドリームがG1初制覇。暮れのチャンピオンズCも制し、JRAダートG1・3連勝なるかが大きな見どころだ。今回は2013年以降の直近5年のデータから好走馬の特徴を探り、馬券作戦に生かしていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 フェブラリーS近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 性齢 | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 | レース上がり |
2017 (良) |
1 | ゴールドドリーム | 1分35秒1 | 牡4 | 2 | 8 | 35秒6 | 46秒2 | 36秒1 |
2 | ベストウォーリア | クビ | 牡7 | 5 | 6 | 35秒7 | |||
3 | カフジテイク | 3/4馬身 | 牡5 | 1 | 16 | 34秒9 | |||
2016 (重) |
1 | モーニン | 1分34秒0 | 牡4 | 2 | 4 | 35秒2 | 46秒1 | 35秒6 |
2 | ノンコノユメ | 1馬身1/4 | 牡4 | 1 | 12 | 34秒7 | |||
3 | アスカノロマン | アタマ | 牡5 | 7 | 9 | 34秒9 | |||
2015 (良) |
1 | コパノリッキー | 1分36秒3 | 牡5 | 1 | 2 | 36秒2 | 46秒9 | 36秒3 |
2 | インカンテーション | 1/2馬身 | 牡5 | 5 | 3 | 36秒2 | |||
3 | ベストウォーリア | 3/4馬身 | 牡5 | 3 | 8 | 36秒1 | |||
2014 (良) |
1 | コパノリッキー | 1分36秒0 | 牡4 | 16 | 2 | 35秒3 | 48秒0 | 35秒4 |
2 | ホッコータルマエ | 1/2馬身 | 牡5 | 2 | 5 | 35秒1 | |||
3 | ベルシャザール | 1馬身3/4 | 牡6 | 1 | 11 | 35秒1 | |||
2013 (良) |
1 | グレープブランデー | 1分35秒1 | 牡5 | 3 | 7 | 35秒9 | 46秒5 | 36秒5 |
2 | エスポワールシチー | 3/4馬身 | 牡8 | 9 | 2 | 36秒5 | |||
3 | ワンダーアキュート | クビ | 牡7 | 7 | 10 | 35秒9 |
まず表1は近5年の上位3着以内馬一覧。重馬場だった一昨年を除いて良馬場で行われており、コパノリッキーが連覇した14年・15年を除いて1分34秒0〜35秒1と速い時計が出ている。近2年は前半800mが速くなって、中団・後方からの差し・追い込みタイプの馬が台頭している。今週末にかけては転向も安定しており、おそらく良馬場で行われる見込み。前半のペース次第ではあるが、1分35秒台の速い決着となりそうだ。
上位馬の上がりを見ると、先行勢は36秒台前半、差し・追い込み馬は34秒後半〜35秒台の速い上がりを求められる。東京ダート特有のもので、適性があるかないか大きく分かれるコース形態といえるだろう。
人気順では1番人気馬が【1.1.2.1】で15年コパノリッキーの1勝のみだが、近4年は続けて3着以内に入っており、複勝率80%。近2年は昨年のゴールドドリームら2番人気馬が連勝している。以下、3・16番人気馬が1勝ずつ。ただし、10番人気以下の激走は14年1着コパノリッキーのみで、近3年は上位人気馬で堅めの決着となっている。
■表2 フェブラリーSの所属別成績(過去5年)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
美浦 | 0- 1- 0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0% | 10% |
栗東 | 5- 4- 5-52/66 | 7.6% | 13.6% | 21.2% | 440% | 97% |
地方 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表2は出走馬の所属別成績。出走馬が抜けて多い栗東所属の関西馬が昨年のゴールドドリームら5勝すべてを挙げて、関東馬を圧倒している。対して、美浦所属の関東馬は一昨年に1番人気で2着ノンコノユメのみ。着外に敗れるケースが多く、関東馬苦戦の様相となっている。なお、地方馬も過去5年では2頭出走して、いずれも10着以下に敗れている。
■表3 フェブラリーSの年齢別成績(過去5年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
4歳 | 3- 1- 0-13/17 | 17.6% | 23.5% | 23.5% | 1660% | 222% |
5歳 | 2- 2- 3- 9/16 | 12.5% | 25.0% | 43.8% | 55% | 98% |
6歳 | 0- 0- 1-12/13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0% | 10% |
7歳以上 | 0- 2- 1-31/34 | 0.0% | 5.9% | 8.8% | 0% | 30% |
表3は年齢別成績。4歳馬が昨年のゴールドドリームら過半数の3勝をあげて、勝率17.6%でトップだ。連対率・複勝率で4歳馬を上回るのが5歳馬で、15年コパノリッキーら2勝。昨年は3着カフジテイクが該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。表の黄色で強調した4歳・5歳馬が強い傾向が出ている。
対して、6歳馬は14年3着ベルシャザールのみと不振傾向。出走数が多い7歳以上の馬は勝ち星こそないものの、2・3着に好走した3頭はいずれも5番人気以下の伏兵だった。
■表4 フェブラリーSの前走レース別成績(過去5年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
東海S | 2- 1- 1- 9/13 | 15.4% | 23.1% | 30.8% | 67% | 84% |
根岸S | 1- 1- 1-27/30 | 3.3% | 6.7% | 10.0% | 17% | 17% |
チャンピオンズC | 1- 1- 1- 2/ 5 | 20.0% | 40.0% | 60.0% | 100% | 98% |
フェアウェルS | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 27210% | 3310% |
川崎記念 | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0% | 55% |
東京大賞典 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 85% |
JCダート | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 70% |
その他のレース | 0- 0- 0-15/15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走レース別成績。東海S組が13年グレープブランデー、15年コパノリッキーと最多の2勝をあげている。前走東海S組のうち、前走1着だった馬は【2.0.1.1】と好相性を示している。出走数最多の根岸S組は連対率・複勝率こそ低いものの、一昨年は1着モーニン、昨年は2着ベストウォーリア、3着カフジテイクが好走している。
黄色で強調したチャンピオンズC組は昨年優勝のゴールドドリームら近3年続けて好走馬を出しており、関連性が強い。フェアウェルS組からは14年コパノリッキーが勝利。また、以前は強かった地方の川崎記念組・東京大賞典組からは勝ち馬が出ておらず、2・3着止まりとなっている点もチェックしておきたい。
■表5 フェブラリーSの前走着順別成績(過去5年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 3- 1- 3-12/19 | 15.8% | 21.1% | 36.8% | 73% | 74% |
前走2着 | 0- 2- 1- 9/12 | 0.0% | 16.7% | 25.0% | 0% | 45% |
前走3着 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0% | 33% |
前走4着 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走5着 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0% | 66% |
前走6〜9着 | 1- 0- 0-12/13 | 7.7% | 7.7% | 7.7% | 2093% | 254% |
前走10着以下 | 1- 0- 1-10/12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 41% | 30% |
表5は前走着順別成績。前走1着だった馬が一昨年のモーニンら過半数の3勝をあげており、勝ち切る傾向が強い。毎年1頭は3着以内に入っており、前走1着馬はチェックしておきたい。前走2着馬も複勝率は高く、これら前走連対馬で3着以内馬15頭中10頭を占めている。
前走着外から巻き返したのは14年1着コパノリッキー(前走フェアウェルS9着)、15年3着ベストウォーリア(前走チャンピオンズC11着)、昨年1着のゴールドドリーム(前走チャンピオンズC12着)の3頭。後でも述べるが、これら3頭は以前に東京ダート1600mで適性を示していた馬だった。
■表6 フェブラリーS好走馬の東京ダート1600m実績(過去5年)
年度 | 着順 | 馬名 | 東京ダート1600m実績 |
2017 | 1 | ゴールドドリーム | 16ユニコーンS 1着 |
2 | ベストウォーリア | 13ユニコーンS 1着 | |
3 | カフジテイク | 16武蔵野S 3着 | |
2016 | 1 | モーニン | 15武蔵野S 3着 |
2 | ノンコノユメ | 15ユニコーンS・武蔵野S 1着 | |
3 | アスカノロマン | 初出走 | |
2015 | 1 | コパノリッキー | 14フェブラリーS 1着 |
2 | インカンテーション | 500万下 4着 | |
3 | ベストウォーリア | 13ユニコーンS 1着 | |
2014 | 1 | コパノリッキー | 13ヒヤシンスS 3着 |
2 | ホッコータルマエ | 青梅特別(1000万下) 1着 | |
3 | ベルシャザール | 13武蔵野S 1着 | |
2013 | 1 | グレープブランデー | 11ユニコーンS 2着 |
2 | エスポワールシチー | 10フェブラリーS 1着 | |
3 | ワンダーアキュート | 09武蔵野S 1着 |
表6はフェブラリーS好走馬のそれまでの東京ダート1600mでの実績をまとめたもの。黄色で強調したように昨年の1・2着など3歳時にユニコーンSで連対した馬が4頭活躍している。また、同コースの武蔵野Sで3着以内に入った馬からも好走馬が多く出ている。
14年に16番人気で勝利したコパノリッキーも3歳時に同コースのヒヤシンスSで3着。当時は1番人気で、前半800m45秒7のハイペースに巻き込まれたものだった。東京ダート初出走だったのは一昨年3着のアスカノロマンのみ。好走馬の多くが過去に東京ダート1600mを経験して、適性の高さを示していた。
■表7 フェブラリーSの馬体重別成績(過去5年)
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
440〜459kg | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 24% |
460〜479kg | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
480〜499kg | 0- 1- 1-15/17 | 0.0% | 5.9% | 11.8% | 0% | 26% |
500〜519kg | 0- 3- 2-17/22 | 0.0% | 13.6% | 22.7% | 0% | 61% |
520〜539kg | 5- 0- 1-20/26 | 19.2% | 19.2% | 23.1% | 1119% | 171% |
540kg以上 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 70% |
表7は出走馬の馬体重別成績。勝ち馬5頭を含む好走馬の8割が500kg以上ある大型馬だった。なかでも勝ち馬はすべて520〜539kgの間におさまっていた。逆に500kg以下だと連対率・複勝率も低い傾向にあった。
<結論>
■表8 今年のフェブラリーSの出走予定馬(2/14時点)
馬名 | 性齢 | 前走成績 | 前走馬体重 |
ゴールドドリーム | 牡5 | チャンピオンズC 1着 | 538kg |
サウンドトゥルー | セ8 | 川崎記念 5着 | 481kg |
ケイティブレイブ | 牡5 | 川崎記念 1着 | 516kg |
テイエムジンソク | 牡6 | 東海S 1着 | 498kg |
ベストウォーリア | 牡8 | 武蔵野S 7着 | 518kg |
ノンコノユメ | セ6 | 根岸S 1着 | 456kg |
アウォーディー | 牡8 | 川崎記念 3着 | 514kg |
インカンテーション | 牡8 | 東京大賞典 7着 | 507kg |
レッツゴードンキ | 牝6 | 香港スプリント 6着 | 488kg |
ニシケンモノノフ | 牡7 | シルクロードS 15着 | 514kg |
ロンドンタウン | 牡5 | 東京大賞典 5着 | 512kg |
メイショウスミトモ | 牡7 | 川崎記念 7着 | 482kg |
ララベル | 牝6 | TCK女王盃 4着 | 564kg |
キングズガード | 牡7 | 根岸S 6着 | 476kg |
サンライズノヴァ | 牡4 | 根岸S 2着 | 532kg |
モルトベーネ | 牡6 | 東海S 3着 | 476kg |
ノボバカラ | 牡6 | 根岸S 10着 | 518kg |
モンドクラッセ | 牡7 | 根岸S 7着 | 532kg |
サイタスリーレッド | 牡5 | 根岸S 13着 | 480kg |
アスカノロマン | 牡7 | 東海S 8着 | 530kg |
カフジテイク | 牡6 | 根岸S 3着 | 498kg |
コパノチャーリー | 牡6 | 佐賀記念 10着 | 521kg |
コスモカナディアン | 牡5 | 東海S 2着 | 484kg |
ヒデノインペリアル | 牡6 | バレンタインS 9着 | 512kg |
今年の出走予定馬は表8のとおり。
人気に推されるのは昨年の覇者ゴールドドリームと前走の東海Sを勝利したテイエムジンソクの2頭だろう。ただし、これまで示したデータからゴールドドリームは本命候補、テイエムジンソクは思い切って消し、のスタンスで勝負してみたい。
ゴールドドリームは関西馬で5歳馬、前走チャンピオンズC組、前走1着馬、東京ダート1600m実績、前走500kg以上の馬体重とすべての好走条件に当てはまる。前走のチャンピオンズCでも先行勢2頭で決まりそうなところを一気に差し切り勝ち。得意の東京ダート1600mでさらに前進が見込める。対して、テイエムジンソクは不振の6歳馬に加えて、東京ダート未経験なのが大きい。表6で示したように、好走馬の大多数が東京ダート1600mを経験済だったことからも今回は思い切って軽視したい。
ゴールドドリームと並んで本命候補に推したいのがサンライズノヴァ。最多勝ち数の4歳馬で前走根岸S2着、昨年のユニコーンS勝ち馬も大きな強調材料だ。前走の根岸Sは勝ったノンコノユメよりも一歩先に動いてのもので、ほぼ勝ちに等しい内容だった。年明けを一度使われて、ここは順当にチャンスと見ている。
他では連下候補として昨年の武蔵野Sを勝利したインカンテーション、根岸S勝利で復活気配のノンコノユメ、前走取り消したものの東京ダート1600m適性が高いベストウォーリアの3頭を挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。