データde出〜た
第1188回 G1級集結! 京都記念を分析する
2018/2/8(木)
今週は東京で共同通信杯とクイーンC、そして京都では京都記念と3重賞が行われる。東京も2重賞もクラシックへ向けて注目は欠かせないが、今回は、昨年のG1連対実績馬が6頭も集結した豪華メンバーの京都記念を取り上げたい。春の大レースへ向けた前哨戦でまず好結果を出すのはどの馬か、過去の傾向からみていこう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV、馬天楼 for データde出〜たを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 過去8年 |
1 | 3-2-1-4/10 | 30.0% | 50.0% | 60.0% | 72% | 72% | 2-1-1-4/8 |
2 | 0-1-4-5/10 | 0.0% | 10.0% | 50.0% | 0% | 79% | 0-1-4-3/8 |
3 | 3-3-1-3/10 | 30.0% | 60.0% | 70.0% | 218% | 148% | 2-3-1-2/8 |
4 | 0-2-2-6/10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0% | 129% | 0-1-2-5/8 |
5 | 1-2-0-7/10 | 10.0% | 30.0% | 30.0% | 145% | 81% | 1-2-0-5/8 |
6 | 3-0-0-7/10 | 30.0% | 30.0% | 30.0% | 527% | 171% | 3-0-0-5/8 |
7〜 | 0-0-2-59/61 | 0.0% | 0.0% | 3.3% | 0% | 34% | 0-0-0-45/45 |
落ち着いた頭数で行われる年が多いこともあり、過去10年、連対馬全20頭は6番人気以内。3着馬も7番人気以下では10年前のシルクフェイマス(11番人気)、9年前のヴィクトリー(9番人気)の2頭のみで、ともにG1連対実績馬。ここ8年は好走24頭すべて6番人気以内と、上位人気が中心になるレースだ。そんな中、複勝回収率を見ると3〜6番人気が良く、合計では【7.7.3.23】複勝率42.5%、複勝回収率132%になる。もっとも、1〜2番人気も複勝率は計55.0%と決して低くはなく、6番人気以内であればどこからでも入れる、くらいに考えるのが良さそうだ。
■表2 年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
4歳 | 4-3-2-24/33 | 12.1% | 21.2% | 27.3% | 49% | 51% |
5歳 | 5-1-6-20/32 | 15.6% | 18.8% | 37.5% | 142% | 99% |
6歳 | 1-5-1-24/31 | 3.2% | 19.4% | 22.6% | 110% | 74% |
7歳以上 | 0-1-1-23/25 | 0.0% | 4.0% | 8.0% | 0% | 68% |
年齢別では5歳馬が最多の5勝を挙げ、複勝率37.5%、単勝回収率142%など他を一歩リード。次いで4歳が4勝、そして6歳の1勝となる。4・5歳馬は平均6〜7頭が出走しているが、6歳のデスペラードが優勝した14年は4頭と、例年に比べ少なかった。今年は4〜5歳の有力馬が多いだけに、表1の人気面からもその4〜5歳馬から勝ち馬が出ると考えたい。
■表3 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1000万下 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
1600万下 | 0-0-0-6/6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
OPEN特別 | 0-1-0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0% | 16% |
G3 | 3-3-1-18/25 | 12.0% | 24.0% | 28.0% | 84% | 80% |
G2 | 0-1-2-38/41 | 0.0% | 2.4% | 7.3% | 0% | 44% |
G1 | 5-4-6-17/32 | 15.6% | 28.1% | 46.9% | 175% | 123% |
海外(G1) | 2-1-1-0/4 | 50.0% | 75.0% | 100.0% | 472% | 225% |
今年は前走国内重賞組ばかりのメンバー構成。そこで前走のグレード別に成績を見ると、G2組の不振が目立つ。連対したのは前年・ステイヤーズSからのスズカデヴィアス(15年)のみで、年明けのG2では、同じ京都の日経新春杯組が【0.0.1.16】、そして同距離のアメリカJCC組は【0.0.1.15】に終わっている。対してG1組は複勝率46.9%、単複の回収率も175%、123%の好成績。今年の出走予定馬のうち、G1連対実績馬はすべて前走でもG1に出走しており、まずはその中から候補を探りたい。
■表4 前年国内G1連対馬の成績
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | 前年G1主な成績 |
08 | ウオッカ | 牝4 | 2 | 6 | 有馬記念 | 3 | 11 | ダービー1着 |
09 | カワカミプリンセス | 牝6 | 2 | 4 | 有馬記念 | 6 | 7 | 女王杯2着 |
10 | ブエナビスタ | 牝4 | 1 | 1 | 有馬記念 | 1 | 2 | オークス1着 |
ドリームジャーニー | 牡6 | 2 | 3 | 有馬記念 | 2 | 1 | 有馬記念1着 | |
11 | メイショウベルーガ | 牝6 | 5 | 2 | 有馬記念 | 9 | 12 | 女王杯2着 |
ヒルノダムール | 牡4 | 2 | 3 | 日経新春杯 | 3 | 2 | 皐月賞2着 | |
ダノンシャンティ | 牡4 | 3 | 4 | 有馬記念 | 10 | 9 | NHKマイルC1着 | |
ビッグウィーク | 牡4 | 6 | 6 | 菊花賞 | 7 | 1 | 菊花賞1着 | |
12 | ダークシャドウ | 牡5 | 1 | 2 | 天皇賞(秋) | 2 | 2 | 天皇賞(秋)2着 |
ヒルノダムール | 牡5 | 3 | 3 | 有馬記念 | 8 | 6 | 天皇賞(春)1着 | |
ウインバリアシオン | 牡4 | 2 | 6 | ジャパンC | 7 | 5 | ダービー2着 | |
13 | ビートブラック | 牡6 | 5 | 4 | 有馬記念 | 8 | 9 | 天皇賞(春)1着 |
14 | トーセンラー | 牡6 | 2 | 2 | マイルCS | 2 | 1 | マイルCS1着 |
ラキシス | 牝4 | 3 | 4 | 女王杯 | 6 | 2 | 女王杯2着 | |
ジェンティルドンナ | 牝5 | 1 | 6 | ジャパンC | 1 | 1 | ジャパンC1着 | |
15 | ハープスター | 牝4 | 1 | 5 | ジャパンC | 2 | 5 | 桜花賞1着 |
17 | マカヒキ | 牡4 | 1 | 3 | 凱旋門賞 | … | 14 | ダービー1着 |
表4は、過去10年の京都記念出走馬のうち、前年の国内G1で連対していた馬の成績を調べたものである。馬券に絡んだのは全17頭中8頭と半数近く。実績の割には少々物足りない感もあるものの、今年は該当馬が6頭と多く、馬券圏内独占もありそうだ。 この中で、馬券圏外敗退を喫した9頭の共通点を探ると、ビートブラックを除く8頭は牝馬か4歳馬。ただ、今年は6頭すべてがこれに該当するため、材料には使えない。そこで前走の成績を見ると、前走で馬券圏外に敗退した馬が9頭中6頭。そして「3歳」か「牝馬」の限定戦だった馬が2頭で、どちらにも該当せず馬券圏外だったのは14年のジェンティルドンナのみである。昨年3着のマカヒキ(4歳)や、11年2着のメイショウベルーガ(牝馬)は前走馬券圏外から巻き返しているため、完全な「消し」とは言えないものの、消える可能性が高いのはこのタイプだ。
■表5 前年G1連対の4歳馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前年G1連対実績 |
11 | ヒルノダムール | 牡4 | 2 | 3 | 皐月賞 |
ダノンシャンティ | 牡4 | 3 | 4 | NHKマイルC | |
ビッグウィーク | 牡4 | 6 | 6 | 菊花賞 | |
12 | ウインバリアシオン | 牡4 | 2 | 6 | ダービー、菊花賞 |
17 | マカヒキ | 牡4 | 1 | 3 | 皐月賞、ダービー |
08 | ウオッカ | 牝4 | 2 | 6 | 桜花賞、ダービー |
10 | ブエナビスタ | 牝4 | 1 | 1 | 桜花賞、オークス、有馬記念 |
14 | ラキシス | 牝4 | 3 | 4 | エリザベス女王杯 |
15 | ハープスター | 牝4 | 1 | 5 | 桜花賞、オークス |
出走を予定している前年のG1連対馬6頭のうち、5頭は4歳馬。そこで4歳馬をもう少し詳しく見てみると、このタイプの4歳牡馬で馬券に絡んだヒルノダムールとマカヒキは、距離も時期も近い皐月賞の連対馬だった。一方、牝馬で馬券に絡んだブエナビスタは唯一、古牡馬相手のG1・有馬記念で2着の実績があった。皐月賞か、古牡馬相手のG1連対馬は、より好走の可能性が高いと考えたい。
■表6 前走G1以外からの好走馬
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | 主な実績 |
08 | アドマイヤオーラ | 1 | 1 | 京都金杯 | 1 | 2 | ダービー3着、弥生賞1着 |
アドマイヤフジ | 4 | 2 | 中山金杯 | 3 | 1 | 日経新春杯1着 | |
シルクフェイマス | 11 | 3 | アメリカJCC | 11 | 10 | 宝塚記念2着、京都記念1着 | |
09 | サクラメガワンダー | 1 | 2 | 鳴尾記念 | 1 | 1 | 札幌記念3着、鳴尾記念1着 |
ヴィクトリー | 9 | 3 | 京都金杯 | 10 | 15 | 皐月賞1着 | |
10 | ジャガーメイル | 3 | 2 | ダイヤモンドS | … | 消 | 香港ヴァーズ3着、目黒記念2着 |
11 | ヒルノダムール | 2 | 3 | 日経新春杯 | 3 | 2 | 皐月賞2着 |
13 | トーセンラー | 6 | 1 | 新潟記念 | 1 | 7 | 菊花賞3着、きさらぎ賞1着 |
ベールドインパクト | 3 | 2 | ディセンバーS | 1 | 1 | 京都新聞杯2着 | |
15 | ラブリーデイ | 3 | 1 | 中山金杯 | 4 | 1 | 金鯱賞2着、中山金杯1着 |
スズカデヴィアス | 4 | 2 | ステイヤーズS | 6 | 4 | ステイヤーズS4着 |
最後に表6は、前走G1以外からの好走馬である。前走の成績はまちまちだが、G1で3着以内か、G2連対の実績くらいは欲しいところだ。また、近年は前走G2以下の馬でも、13年のトーセンラーを除いて4番人気以内と、上位人気に推された馬しか好走していない。
【結論】
6番人気以内、4〜5歳馬が中心となる京都記念。前走G1組が好成績を残しており、前年のG1連対実績馬なら、前走馬券圏外の馬や、3歳や牝馬限定戦に出走していた馬は割引。皐月賞や、古牡馬相手のG1で連対していればプラス材料になる。
今年は、前年のG1連対馬が上位人気(表1)を占めそうだが、その中ではまず断然人気が予想されるダービー馬・レイデオロが有力だ。表4で記したように、前走馬券圏外の馬や3歳か牝馬の限定戦だった馬は凡走が目立っている。今年のG1連対馬6頭のうち、これに該当しないのは、前走ジャパンC2着のレイデオロ1頭のみ。表5で挙げた、古牡馬相手のG1連対も満たしている。
ただ、同馬は皐月賞では5着に敗退。同じく表5で挙げた牡馬2頭が満たしていた、「皐月賞連対馬」ではないこと、加えて近年は1番人気がひと息という点は気に掛かる。逆転があるとすれば、その皐月賞を制したアルアイン。その他では、好成績の5歳馬のうち(表2)、牝馬戦とはいえ前走G1(表3)のクロコスミアで、買い目を少なく抑えたいレースだけに、絞るならこの3頭まで。もう1頭加えるなら、G1以外から同じく5歳のミッキーロケットが表6の実績面をクリアするものの、前走が日経新春杯という点で割引が必要だ(表3)。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。