データde出〜た
第1184回 距離短縮は歓迎? 根岸Sを占う
2018/1/25(木)
今週は日曜日に東京競馬場で根岸Sが行われる。フェブラリーSの前哨戦として定着しているレースだ。いつものように過去10年のデータを分析し、今年のレースを展望してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 根岸S出走馬の斤量別成績(過去10年)
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
54kg | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
55kg | 2- 1- 1- 10/ 14 | 14.3% | 21.4% | 28.6% | 343 | 108 |
56kg | 4- 5- 6- 75/ 90 | 4.4% | 10.0% | 16.7% | 29 | 63 |
57kg | 4- 3- 0- 26/ 33 | 12.1% | 21.2% | 21.2% | 68 | 59 |
58kg | 0- 1- 3- 12/ 16 | 0.0% | 6.3% | 25.0% | 0 | 133 |
59kg | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
まずは出走馬の斤量別成績を見ていく(表1参照)。このレースは別定戦だが、特徴ある傾向が出ている。59キロの馬が【0.0.0.3】で、58キロが【0.1.3.12】という成績。重い斤量の馬がかなり苦戦している。斤量が重いということは実績上位なのだが、中央のダートグレードは全般的に斤量を背負わされると厳しくなる印象がある。一方で55キロは【2.1.1.10】という好成績。全斤量を通じて過去10年の好走馬はすべて牡馬であり、実績的には下の馬がよく好走していることになる。
出走馬が最も多い56キロはその分好走馬の数が多い。ただし、好走率は57キロよりも下がる。57キロは55キロの次に好成績だ。58キロと57キロの1キロ差は大きく、57キロ以下の馬から中心馬を探すべきだろう。
■表2 根岸S出走馬の前走距離別成績(過去10年)
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
今回延長 | 1- 4- 1- 51/ 57 | 1.8% | 8.8% | 10.5% | 6 | 33 |
今回短縮 | 6- 1- 4- 28/ 39 | 15.4% | 17.9% | 28.2% | 65 | 114 |
1000m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1200m | 1- 4- 1- 50/ 56 | 1.8% | 8.9% | 10.7% | 6 | 33 |
1400m | 3- 5- 5- 50/ 63 | 4.8% | 12.7% | 20.6% | 108 | 79 |
1500m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1600m | 3- 0- 1- 9/ 13 | 23.1% | 23.1% | 30.8% | 100 | 136 |
1700m | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 233 | 86 |
1800m | 1- 1- 2- 10/ 14 | 7.1% | 14.3% | 28.6% | 21 | 135 |
2000m | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0 | 97 |
2100m | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 62 | 32 |
続いて出走馬の前走距離別成績を調べた(表2参照)。今回の距離は1400m。スプリンターでもマイラーこなせる距離である上、スペシャリストの存在もよく見かける。前走距離は1400m組が最も多く、【3.5.5.50】という成績だった。他の距離の成績を調べてみると、1200m組が【1.4.1.50】。出走数は2番目に多いが、勝ち馬が少なく勝率は1.8%。連対率も複勝率も1400mに比べると低い。
一方、前走1600m組は【3.0.1.9】。頭数は少ないが勝率・連対率、複勝率はいずれも高い。回収率も100%を超えている。1700〜1800mの成績も悪くない。数はかなり少ないが、2000〜2100m組の好走例もある。つまり、このレースは距離短縮馬の活躍が目立つ傾向にある。
■表3 根岸Sの好走馬と前走成績ほか(過去10年)
年 | 着順 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | 備考 | |
17年 | 1 | カフジテイク | 1 | チャンピG1 | 4 | 武蔵野S3着 |
2 | ベストウォーリア | 3 | ※JBC・スプG1 | 2 | ||
3 | エイシンバッケン | 4 | ファイナ | 2 | ||
16年 | 1 | モーニン | 1 | 武蔵野SG3 | 3 | |
2 | タールタン | 6 | ファイナ | 1 | ||
3 | グレープブランデー | 10 | チャンピG1 | 8 | フェブラリーS1着 | |
15年 | 1 | エアハリファ | 1 | 武蔵野SG3 | 2 | |
2 | ワイドバッハ | 2 | チャンピG1 | 6 | 武蔵野S1着 | |
3 | アドマイヤロイヤル | 15 | 武蔵野SG3 | 14 | ||
14年 | 1 | ゴールスキー | 4 | 武蔵野SG3 | 4 | |
2 | ノーザンリバー | 8 | カペラSG3 | 1 | ||
3 | シルクフォーチュン | 5 | カペラSG3 | 3 | ||
13年 | 1 | メイショウマシュウ | 5 | ギャラク | 3 | |
2 | ガンジス | 1 | ギャラク | 1 | ||
3 | セイクリムズン | 10 | 兵庫ゴG3 | 5 | ||
12年 | 1 | シルクフォーチュン | 4 | ギャラク | 3 | |
2 | トウショウカズン | 9 | 大和S | 1 | ||
3 | テスタマッタ | 5 | 東京大G1 | 3 | フェブラリーS2着 | |
11年 | 1 | セイクリムズン | 2 | カペラSG3 | 1 | |
2 | ダノンカモン | 3 | 大和S | 1 | ||
3 | ダイショウジェット | 10 | 師走SH | 9 | 武蔵野S2着 | |
10年 | 1 | グロリアスノア | 11 | エニフS | 1 | |
2 | サマーウインド | 1 | 初日の出1600 | 1 | ||
3 | オーロマイスター | 4 | 大和S | 1 | ||
09年 | 1 | フェラーリピサ | 4 | エルムSG3 | 1 | ユニコーンS2着 |
2 | ヒシカツリーダー | 5 | ジャニュH | 1 | ||
3 | セントラルコースト | 7 | サンタク1600 | 1 | ||
08年 | 1 | ワイルドワンダー | 1 | JCDG1 | 5 | 武蔵野S2着 |
2 | タイセイアトム | 5 | ガーネッHG3 | 1 | ||
3 | アドマイヤスバル | 3 | 霜月S | 1 |
続いて具体的に、過去10年の根岸S好走馬を見ていくことにする。3着以内に好走した馬と前走レース成績などを記した。前走距離ごとにチェックしていくと、1200m組の主力はカペラSとなる。以前はガーネットSではあったが、いずれにしても中山ダート1200mからの馬となる。1600万クラス組のサマーウインドやヒシカツリーダーも同じだ。ノーザンリバーやタイセイアトムは重賞を勝っており、1200m組は前走勝利している馬でないとかなり厳しいといえる。
前走1400m組は阪神からの馬が好調。年末のファイナルSやギャラクシーSの好走馬が有力。それよりも前は京都ダート1400mの好走馬が多かった。ダートグレード組は昨年2着のベストウォーリアや13年のセイクリムズンが該当する。ただ、同じダートグレード組でも地方のレースを使っていた馬の好走は案外少ない。
基本的に中央の重賞組が有力。特に前年の武蔵野S組がいい。前走1600m組はほぼこのタイプであり、16年1着モーニンなど近年は特に多い。こちらも15年3着アドマイヤロイヤル以外は前走5着以内だ。武蔵野Sと根岸Sとの関連性はやはり高いと言えるだろう。
残る前走中距離組は、基本G1組となる。普通は前年末のチャンピオンズCを使っていた馬に注目。戦ってきた相手が強いため、そこでの着順はあまり気にする必要はない。ただし、過去に東京ダートの重賞で好走実績がほしい。16年3着グレープブランデーや12年3着テスタマッタは、過去にフェブラリーSで連対。昨年優勝のカフジテイクや15年2着のワイドバッハは武蔵野Sで好走していた。G1に出てくるような馬は当然のように重賞実績はあるのだが、コース実績が重要なポイント。東京を得意としている馬を素直に狙うべきだろう。
【結論】
以上のことを踏まえて今年の根岸Sを占ってみたい。出走予定馬は表4の通りだ。
■表4 今年の根岸S出走予定馬
馬名 | 斤量 | 前走レース名 | 前着 | 備考 |
アキトクレッセント | 56 | ギャラクH | 1 | |
イーデンホール | 56 | すばるS | 5 | |
カフジテイク | 57 | チャンピG1 | 7 | 根岸S1着 |
キングズガード | 57 | チャンピG1 | 8 | |
サイタスリーレッド | 57 | 兵庫ゴG3 | 3 | |
サンライズノヴァ | 56 | 師走SH | 2 | ユニコーンS1着 |
ニシケンモノノフ | 59 | ※JBC・スプG1 | 1 | |
ノボバカラ | 56 | カペラSG3 | 8 | |
ノンコノユメ | 58 | チャンピG1 | 9 | フェブラリーS2着 |
ヒカリブランデー | 56 | ジャニュ | 9 | |
ブラゾンドゥリス | 57 | ギャラクH | 2 | |
ブルドッグボス | 57 | カペラSG3 | 3 | |
ベストウォーリア | 58 | 武蔵野SG3 | 7 | |
マッチレスヒーロー | 56 | ジャニュ | 2 | |
モンドクラッセ | 56 | カペラSG3 | 7 | |
ラブバレット | 56 | 兵庫ゴG3 | 2 |
まずは前走1700m以上の中距離を使っていた馬についてみていく。注目のチャンピオンズC組はカフジテイクとキングズガードとノンコノユメ。その内過去に東京ダートの重賞で実績があるのはカフジテイクとノンコノユメ。ただし、ノンコノユメは斤量が58キロ。この点は割り引きと考える。となると、カフジテイクが中心。昨年に続く連覇の可能性は十分とみる。
また前走師走Sだがサンライズノヴァも面白い。武蔵野Sでは12着と惨敗している点は気になるが、ユニコーンS優勝の実績がある。前走マイル組ではベストウォーリアがいる。ただし、斤量は58キロ。昨年同じ斤量で2着に好走しており軽視はできないが、強く推すことはできない。
前走1400m組では中央のギャラクシーS連対馬であるアキトクレッセントとブラゾンドゥリスに注目すべきだろう。いずれも東京コースでも実績はあるが、重賞実績があるのは前者。昨年の武蔵野S3着が強調材料だと考えられる。
前走1200m組は厳しいか。実績的には前走JBCスプリントを制しているニシケンモノノフで、勢いとしてもこの馬しかいない。ただ、その分斤量は59キロを背負わされる。この点がかなり不安である。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。