データde出〜た
第1183回 東京・京都・中京芝の逃げ馬成績は?
2018/1/22(月)
前回、筆者が担当したコラム(第1175回)では中山・阪神芝コースでの、距離別逃げ馬成績を調べた。今回は現在開催している東京・京都・中京競馬に注目し、距離別の逃げ馬成績を見ていくことにする。レースの展開を予想する際、逃げ馬の動向は必ず読まなければならず、馬券作戦にも大きく影響するはずだ。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用。今回は便宜上、レースの対象期間を2008年以降(中京芝コースは2012年以降)とする。2018年1月14日の開催終了時までのデータを集計した。
■表1 東京芝の距離別逃げ馬成績(2008年〜2018年1月14日)
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
東京・芝1400 | 86- 67- 49-365/567 | 15.2% | 27.0% | 35.6% | 218 | 146 |
東京・芝1600 | 76- 64- 58-467/665 | 11.4% | 21.1% | 29.8% | 182 | 153 |
東京・芝1800 | 67- 54- 47-436/604 | 11.1% | 20.0% | 27.8% | 188 | 129 |
東京・芝2000 | 40- 48- 34-267/389 | 10.3% | 22.6% | 31.4% | 104 | 116 |
東京・芝2400 | 23- 20- 21-193/257 | 8.9% | 16.7% | 24.9% | 90 | 92 |
東京・芝2500 | 3- 1- 0- 21/ 25 | 12.0% | 16.0% | 16.0% | 140 | 96 |
東京・芝2300 | 1- 3- 1- 16/ 21 | 4.8% | 19.0% | 23.8% | 18 | 53 |
東京・芝3400 | 1- 0- 1- 10/ 12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 1583 | 380 |
まずは東京芝コースにおける距離別逃げ馬の成績を見ていこう(表1参照)。レース数としては芝1600mが最も多くなっているが、勝ち馬の数では芝1400mの方が多い。よって勝率は芝1400mが最も高く、15.2%となっている。同距離の連対率も27.0%、複勝率も35.6%と軒並み芝1400mの成績がかなりいい。同距離の特徴としては、スタートしてから間もなく3コーナーを迎える。そこから4コーナーにかけてペースが緩むケースが多々あり、それによって前が残りやすくなるのだろう。そのため、芝1400mが他の距離に比べて好成績になっていると思われる。レース数が少ない芝3400mを除けば単・複も回収率も高い部類。特に単勝は狙いどころだろう。例えば、秋に行われているOP特別のオーロCでは、トウショウピスト(17年5番人気1着)、ナックビーナス(16年7番人気1着)と2年連続で逃げ馬が勝利している。
他の距離を見てみると芝1600〜2000mに関しては、勝率・連対率ではさほど差がない。複勝率は芝2000mが若干よく、31.4%をマーク。回収率では芝1600mがやや優秀。ペースが厳しくなりやすい距離ではあるが、中距離よりもマイル戦で前残りを狙う方が良さそうだ。なお、芝2400〜2500mは全体的にやや厳しくなる。
■表2 京都芝の距離別逃げ馬成績(2008年〜2018年1月14日)
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
京都・芝1200 | 65- 50- 32-151/298 | 21.8% | 38.6% | 49.3% | 276 | 191 |
京都・芝1400 | 36- 22- 14-117/189 | 19.0% | 30.7% | 38.1% | 212 | 169 |
京都・芝1400外 | 39- 20- 21-108/188 | 20.7% | 31.4% | 42.6% | 355 | 224 |
京都・芝1600 | 82- 48- 31-204/365 | 22.5% | 35.6% | 44.1% | 252 | 175 |
京都・芝1600外 | 33- 24- 21-158/236 | 14.0% | 24.2% | 33.1% | 234 | 164 |
京都・芝1800外 | 58- 46- 34-302/440 | 13.2% | 23.6% | 31.4% | 156 | 98 |
京都・芝2000 | 77- 55- 41-251/424 | 18.2% | 31.1% | 40.8% | 224 | 152 |
京都・芝2200外 | 19- 14- 14-108/155 | 12.3% | 21.3% | 30.3% | 351 | 154 |
京都・芝2400外 | 27- 13- 8-120/168 | 16.1% | 23.8% | 28.6% | 215 | 105 |
京都・芝3000外 | 2- 1- 4- 20/ 27 | 7.4% | 11.1% | 25.9% | 165 | 88 |
京都・芝3200外 | 2- 0- 0- 10/ 12 | 16.7% | 16.7% | 16.7% | 1367 | 324 |
続いて京都芝の距離別逃げ馬成績を見ていく(表2参照)。勝率のトップは22.5%で芝1600mだが、内回りコース使用時のもの。基本的には2歳・3歳限定の新馬、未勝利戦、そして500万クラスのレースでのみ使用される。シンザン記念などの重賞レースになると、3歳限定戦でも外回り使用になるし、マイルCSなどの古馬のレースはすべて外回りコースが使われている。それでもレース数としては外回りよりも内回りの方が多く、狙える機会は比較的多そうだ。最後の直線が短い内回りの方が粘り込みやすいというイメージ通りの傾向だ。
ただし、1400mの場合は異なる。こちらも内回りと外回り両方使用されるが、外回りコースの方が若干成績はいい。回収率の面でも優秀だ。より連対率と複勝率がいいのが芝1200m。最後の直線が平坦のコースなので、納得いく傾向といったところか。昨年の京阪杯ではネロが9番人気で逃げ切り勝ち。斤量は58キロだったが、先手を奪い見事に連覇を果たした。短距離の場合だと、どの馬が逃げるか予想するのが難しく、先行争いが激しくなる場合もあるが、行き切ることができれば大きなアドバンテージになりうる。
あとは芝2000mに注目。内回りコース使用のため、芝1800mや芝2200〜2400mよりも逃げ馬にチャンスがある。無論、広い東京芝2000mよりも成績はいい。
■表3 中京芝の距離別逃げ馬成績(2012年〜2018年1月14日)
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
中京・芝1200 | 17- 11- 14- 83/125 | 13.6% | 22.4% | 33.6% | 188 | 117 |
中京・芝1400 | 22- 23- 13-147/205 | 10.7% | 22.0% | 28.3% | 189 | 142 |
中京・芝1600 | 25- 12- 12-144/193 | 13.0% | 19.2% | 25.4% | 151 | 98 |
中京・芝2000 | 29- 17- 23-166/235 | 12.3% | 19.6% | 29.4% | 177 | 144 |
中京・芝2200 | 6- 9- 7- 86/108 | 5.6% | 13.9% | 20.4% | 89 | 74 |
続いて中京芝の距離別逃げ馬成績を調べてみた(表3参照)。こちらは現在のコースになったのが2012年からなので、それ以降の成績を集計したものだ。勝率は芝1200mがトップで13.6%。同距離は連対率が22.4%、複勝率が33.6%で一応、すべての距離で最も成績がいい。しかし、京都芝1200mや東京芝1400mに比べると成績は低い。このあたりは直線距離が長くなり、坂もできた影響だろうか。短距離としては逆に狙いにくいコースという印象を受ける。1400mも他の競馬場に比べると成績は良くない。芝1600mや中距離の芝2000〜2200mにおいても同様だ。特に芝2200mの勝率は悪く、回収率も低い。中京は競馬場全体として、ローカルとしては展開の紛れが少なく、地力勝負になりやすいと言えそうだ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。