セレクトセール2020

丹下日出夫のセレクトセール日記 7月13日(月)

7月13日(月)|7月14日(火)

2020年、1歳セールは、なんといってもディープインパクト産駒。
さあ、突撃だぁ〜〜。
なんてね。

コロナのことは知っている。
しかし、やっぱり競馬が好き。馬好きは、やめられない、とまらない。いざ始まってみれば、今年は、セレクトセール開催当初から、せりに通じた大オーナーが、かみしめるかのようにシミジミ。堂々、真っ向勝負で挑んできた。
うれしいね。

セレクトセール2020

序盤の山は、56番のフォエヴァーダーリングの2019でしょうか。ひとつ上の現2歳モンファボリ(牝、父フランケル)は、函館の芝1200mを超速タイムで楽勝。函館2歳Sもアッサリかもしれない。
1歳の弟は、父はディープ、馬体の造りが大幅にバージョンアップ。立たせてよし、歩かせてよし、肌艶よし。4億円で「ダノックス」さんが落札。

そして中盤、1歳せりの一番の注目馬、114番のシーヴの2019が土俵入りだ。
フレームは大きく、その上に乗った首、背中、臀部の大きさもぴったり。ビデオ映像で見るより、歩きも力強いなぁ。ほどよい闘志で同じテンポで歩ける。落札価格は本日最高の5億1000万円。今年のセレクト――そしてディープインパクトを象徴する馬なんでしょうね。

実質最後と言われる今年のディープ産駒は、他にもタレントが豊富。

67番のディープインパクト×アブソリュートレディは、姉がフランスで8戦8勝のラクレソニエール。字面の血統も美しいが、実馬もうっとりするほど品があり、スケールも大きい。126番のカルティカの2019は、胸前、腰回りの大きなディープ。姉のケマーはフランスとイギリスでG1を勝っており、新味のありそうなディープの息子だ。

36番のテディーズプロミスの2019は、現3歳マイラプソディ(京都2歳S)の妹で、構えの大きな青鹿毛。108番のカンビーナは、まさに兄のトーセンカンビーナ(阪神大賞典2着)のコピー。92番のパレスルーマー、139番のウィキッドリーパーフェクト、171番のユーロシャーリーン、ダメ押しは177番のセデューイル2だぁ。

ふう。最後のディープを味わいつくしたよ。見ているみなさんも、そうですか?

ハーツクライ産駒も支持は活発。いい馬が多いよ。

50番のラッキートゥビーミーの2019は、頭からお尻まで、無駄肉なしの流線形。速く着実に、颯爽と歩く。リズム感抜群。パレードリングでの周回の動きは、今日一番ではないか。

71番のチェリーコレクトの2019は、兄にワーケア。腰回りと後肢の力強さは、兄以上かもしれない。98番のウイングステルスは、姉に英G1ヨークシャーオークス2着のカヴァートラブ。84番のシェイクズセレナーデ、122番のキラモサ、186番のペルヴィアンリリーは、このセレクトと歩みを同じにして、見知ってきた血統馬です。

セレクトセール2020

ドゥラメンテ産駒のエースは、102番のフォンタネットポーの2019だろうか。1歳世代が2クロップ目となるが、きっとみんな正解がわからない。前日の下見の時、ドゥラメンテ産駒を何頭か連続して眺めている馬主さんがいたが、気持ちはわかる。よく見て考えよう。

セレクトセールの直前の週にJRA初勝利をあげたモーリス産駒は、もっとドッキドキかもしれないね。

当歳世代が3年目となる種牡馬エピファネイアは、初年度産駒のなかで、デアリングタクトが、セレクトという舞踏会からクラシックのヒロインへと飛び出した。
まるでシンデレラのよう。全妹となる93番のデアリングバードの2019も、身のこなし、骨格、少しキツめの気性は、ほんとそっくりだよ。妹も、二人目のシンデレラになるかもしれない。そうあってほしい。

馬っぷりなら68番のクッカーニャの2019もいいね。何頭か下見などで見て思ったのですが、エピファネイア産駒たちは、年ごとに精度が高くなっているように思う。明日の当歳にも、コレはという馬が数頭いる。

新種牡馬は95番のサトノアラジン×エセンテペ。イスラボニータは、想像通りというか、産駒はみんな平均点以上。父親の健やかさを伝承している――父のフジキセキを超える、長く、しっかり、付き合っていく種牡馬になると思います。

で、思うのは。せりは経験。何事も。

今日も明日も、そこにある自分の楽しいかもしれないなと思うことを、見たり考えたりするんですよ。

ディープインパクトは、セレクトセールにおいては、実質今年が最後と言われていますが、キングカメハメハも1歳世代でピリオド。74番のヒストリックレディの2019など、セレクトの歴史などを重ねて見つめていたりしたが、大団円は258番のマルシアーノ。馬っぷり、押し出しが良く、1億7000万円にて大団円だぁ〜。

注記:金額は全て税抜き

ライタープロフィール

丹下日出夫(競馬評論家)

「ホースニュース馬」を経て現在は毎日新聞本紙予想。POG大魔王の通称も定着している。

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